Macを電源に接続しているのに、バッテリーアイコンに「充電停止中」と表示されている…
「故障したの?」
「充電できない!どうしよう」
「修理に出さないといけない?」
そんな不安を感じた経験、ありませんか?
実は、この「充電停止中」は故障ではなく、Macがバッテリーを守るために意図的に充電を止めているんです。
この記事では、なぜ充電が停止するのか、どう対処すればいいのか、バッテリーを長持ちさせる方法まで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説していきます。
「充電停止中」は正常な動作です

まず安心してください。「充電停止中」は異常ではありません。
これは、macOSに搭載されている「最適化されたバッテリー充電」という機能が働いている証拠なんです。
最適化されたバッテリー充電とは?
macOS Big Sur(2020年リリース)以降に搭載された、バッテリーの寿命を延ばすための機能です。
簡単に言うと、Macがあなたの充電パターンを学習して、バッテリーが劣化しにくいように賢く充電をコントロールしてくれる機能。
例えば:
- 夜寝る前に充電して、朝まで100%のまま放置
- 自宅で常時電源接続して使用
- デスク作業中は常に充電しっぱなし
こういった使い方をしていると、Macが学習して「今は充電を止めた方がいいな」と判断します。
なぜ充電を止める必要があるの?
バッテリーを100%満充電の状態で長時間保つと、実はバッテリーの劣化が早まるんです。
特にリチウムイオンバッテリー(Macに使われているバッテリー)は、以下の状態が苦手:
- 満充電(100%)の状態で長時間放置
- 高温環境での充電
- 常に電源に接続したまま使用
だから、Macは賢く「今は充電しなくていいよ」と判断して、バッテリーを守ってくれているんです。
バッテリー劣化のメカニズムを理解しよう
なぜ満充電が良くないのか、もう少し詳しく見てみましょう。
リチウムイオンバッテリーの特性
スマートフォンやノートパソコンに使われているリチウムイオンバッテリーには、以下の特徴があります。
長所:
- 高容量で軽量
- 自己放電が少ない
- メモリー効果がない(継ぎ足し充電OK)
弱点:
- 満充電状態での保管は劣化を早める
- 高温に弱い
- 充放電サイクルに限りがある
バッテリーが劣化する主な原因
- 100%充電での長時間放置
- 電圧が高い状態が続くと化学的ストレスがかかる
- バッテリー容量の減少が早まる
- 充放電サイクルの繰り返し
- 0%から100%への充電を1サイクルとカウント
- Macのバッテリーは約1000サイクルが寿命目安
- 高温環境
- 熱はバッテリー劣化の最大の敵
- 35度以上の環境は避けたい
- 完全放電
- 0%まで使い切るのも実は良くない
- 20〜80%の範囲で使うのが理想的
最適な充電レベルは80%前後
バッテリー研究によると、リチウムイオンバッテリーは80%程度で充電を止めるのが最も長持ちすることが分かっています。
だから、Macも「今は80%でストップしよう」と判断することがあるんですね。
「充電停止中」が表示される具体的なケース
どんなときに充電が停止するのか、具体例を見ていきましょう。
ケース1:常時電源接続での使用
デスクトップのように、MacBookを常に電源に接続して使っている場合。
Macが学習して:
- 「この人、ずっと電源に繋いでるな」
- 「100%のまま保つ必要ないな」
- 「80%くらいで充電止めよう」
と判断します。
ケース2:規則的な充電パターン
毎日同じ時間に充電する習慣がある場合。
例えば:
- 毎晩22時に充電開始
- 朝7時まで接続したまま
Macが学習して:
- 「7時に使い始めるまでに100%になればいいな」
- 「22時から朝まで100%を維持する必要ないな」
- 「朝6時くらいに100%になるように調整しよう」
と、充電タイミングを最適化します。
ケース3:高温環境
室温が高い環境や、負荷の高い作業中に本体が熱くなっている場合。
Macが判断して:
- 「今、本体が熱いな」
- 「この状態で充電すると、さらに熱くなる」
- 「バッテリーのために充電を止めよう」
と、温度優先で充電を停止することがあります。
ケース4:バッテリー残量が80%以上
バッテリーが既に80%以上ある状態で電源に接続した場合。
特に急いで充電する必要がないと判断されると:
- 「もう十分残量あるから、ゆっくり充電しよう」
- 「今は充電止めて、必要になったら再開しよう」
となります。
「充電停止中」表示の確認方法
実際にどこで確認できるのか見てみましょう。
メニューバーでの表示
画面右上のバッテリーアイコンをクリックすると:
- 「充電停止中」
- 「バッテリーは充電停止中です。最適化されたバッテリー充電機能によって管理されています。」
といったメッセージが表示されます。
システム設定での確認
より詳しい情報は、システム設定から確認できます。
- 画面左上のアップルメニュー()をクリック
- 「システム設定」を選択
- 「バッテリー」をクリック
- バッテリーの状態と充電状況が表示される
ここで、充電停止中の理由や、次に充電が再開される予定時刻などが確認できます。
すぐに充電したい場合の対処法
「今すぐ100%まで充電したい!」という場合の方法を紹介します。
方法1:「今すぐ充電」オプションを使う
最も簡単な方法です。
- メニューバーのバッテリーアイコンをクリック
- 「今すぐ充電」または「完全充電まで充電」を選択
これで、一時的に最適化機能を無効化して、100%まで充電できます。
ただし、これは今回限りの設定。次回充電時には、また最適化機能が働きます。
方法2:バッテリーアイコンをクリックして充電を再開
状況によっては、単にバッテリーアイコンをクリックするだけで充電が再開されることもあります。
Macが「あ、今すぐ充電が必要なんだな」と理解してくれる場合があるんです。
方法3:充電器を一度抜いて挿し直す
物理的にリセットする方法:
- 電源アダプタを抜く
- 10秒ほど待つ
- 再度接続する
これで充電が再開されることがあります。
方法4:Macを再起動する
システムの判断をリセットする方法:
- Macを再起動
- 再起動後、電源に接続
ただし、根本的な解決にはならず、またすぐに充電停止になる可能性があります。
最適化されたバッテリー充電を無効にする方法
常に100%まで充電したい場合は、機能自体をオフにできます。
設定を変更する手順
- システム設定を開く
- 「バッテリー」をクリック
- 右側の「i」(情報)ボタンをクリック
- または「バッテリーの状態と設定」をクリック
- 「最適化されたバッテリー充電」のチェックを外す
- 「オフにする」を選択
- 「明日までオフにする」または「オフにする」を選択可能
これで、常に100%まで充電されるようになります。
オフにするメリットとデメリット
メリット:
- いつでも100%の状態を維持できる
- 外出前に必ず満充電になる
- 充電管理を自分でコントロールできる
デメリット:
- バッテリーの劣化が早まる可能性がある
- 長期的にはバッテリー寿命が短くなる
- バッテリー交換が早く必要になるかも
おすすめの設定
個人的には、基本的にはオンのままにしておくことをおすすめします。
どうしても外出前に満充電したい場合だけ、「今すぐ充電」を使う方が、バッテリーに優しいですよ。
バッテリーの状態を確認する方法

自分のMacのバッテリーが健康かどうか、確認してみましょう。
システム設定から確認
- システム設定 → バッテリー
- 「i」(情報)ボタンをクリック
- 「バッテリーの状態」を確認
以下の表示があります:
- 「正常」:問題なし、健康な状態
- 「間もなく交換」:まだ使えるが、性能が低下している
- 「今すぐ交換」:性能が著しく低下、交換推奨
- 「修理推奨」:バッテリーに問題、Apple Storeへ
最大容量とサイクルカウントを確認
より詳しい情報を見るには:
- Optionキーを押しながらアップルメニューをクリック
- 「システム情報」を選択
- 左側のサイドバーから「電源」を選択
- バッテリー情報が表示される
ここで確認できる重要な数値:
最大容量(フル充電時の容量):
- 新品時を100%とした現在の容量
- 80%以下になると交換推奨
充放電サイクル数:
- 0%→100%の充電を何回行ったか
- MacBookの場合、約1000サイクルが設計寿命
例:
- サイクル数:345回
- 最大容量:95%
→ まだまだ健康な状態 - サイクル数:987回
- 最大容量:78%
→ そろそろ交換を検討
サードパーティ製アプリでの確認
より詳しく監視したい場合は、専用アプリもあります:
- coconutBattery(無料)
- iStat Menus(有料)
- Battery Health(無料)
これらのアプリで、温度、電圧、充電速度なども確認できます。
充電が本当にできない場合のトラブルシューティング
「充電停止中」ではなく、本当に充電できない場合の対処法です。
症状:バッテリー残量が減っていく
電源に接続しているのに、バッテリーが減っていく場合。
チェック項目:
- 電源アダプタがしっかり接続されているか
- MacBook側とコンセント側の両方を確認
- 純正または認証済みのアダプタを使っているか
- 他メーカーの安価な充電器は出力不足の可能性
- 充電ケーブルに破損がないか
- 断線やほつれがないかチェック
- 電源アダプタのワット数は適切か
- MacBook Airは30W以上
- MacBook Proは60W以上(モデルによって異なる)
症状:充電アイコンが表示されない
電源に接続しても、バッテリーアイコンが変化しない場合。
対処方法:
- SMCリセットを試す(Intel Macの場合)
- MacBookをシャットダウン
- Shift + Control + Option + 電源ボタンを10秒間押す
- すべてのキーを離して、電源ボタンで起動
- 別のUSB-Cポートを試す
- 複数ポートがある場合、別のポートに接続
- 充電ポートの掃除
- ホコリやゴミが詰まっていないか確認
- エアダスターで優しく吹き飛ばす
- セーフモードで起動してみる
- Intel Mac:起動時にShiftキーを押し続ける
- Apple Silicon:電源ボタン長押し→起動オプション
症状:充電が極端に遅い
満充電までに通常より長時間かかる場合。
原因と対処:
- 低出力の充電器を使っている
- MacBook Pro用に30Wアダプタを使っている、など
- 適切なワット数の充電器に交換
- 非純正の充電器やケーブル
- Apple純正または認証済み製品を使用
- 高負荷作業中
- 動画編集やゲームなど、消費電力が大きい作業中は充電が遅い
- 作業を一時中断すると充電速度が上がる
- バッテリーの劣化
- サイクル数が多い場合、充電速度も低下
- バッテリー交換を検討
それでも解決しない場合
以下の可能性があります:
- バッテリーの故障
- 充電ポートの故障
- 電源管理チップの問題
この場合は、Apple StoreやApple正規サービスプロバイダに相談しましょう。
バッテリーを長持ちさせる使い方のコツ
せっかくなので、バッテリーを長く使うためのテクニックも紹介します。
基本的な使い方のポイント
- 20〜80%の範囲で使う
- 0%まで使い切らない
- 100%で長時間放置しない
- 高温を避ける
- 直射日光の当たる場所に置かない
- 車内に放置しない(特に夏場)
- 布団やクッションの上で使わない
- 適度に充放電する
- 常時電源接続も、常にバッテリー駆動も極端
- 週に数回はバッテリーで動かす
- 最新のmacOSを使う
- バッテリー管理機能が改善されている
- 定期的にアップデート
長期間使わない場合の保管方法
旅行や出張で長期間Macを使わない場合:
- バッテリーを50%程度にする
- 満充電でも空でもなく、半分くらい
- 涼しい場所で保管
- 理想は15〜25度
- 湿度の低い場所
- 6ヶ月に1回は充電
- 長期間放置すると深放電して故障の原因に
やってはいけないNG行動
以下は避けましょう:
❌ 常に100%を維持
- 電源に繋ぎっぱなしで使い続ける
❌ 0%まで頻繁に使い切る
- 「バッテリー駆動のトレーニング」は現代では不要
❌ 高温環境での使用
- 35度以上の環境、直射日光下
❌ 非純正の安価な充電器
- 火災や故障のリスク
❌ 極端な温度変化
- 寒い屋外から暖かい室内など、結露の原因に
よくある質問と誤解
バッテリーについて、よく聞かれる質問に答えます。
Q1:充電しながら使うのは良くない?
A:いいえ、問題ありません
充電しながら使っても、バッテリーに悪影響はありません。
むしろ、最適化されたバッテリー充電が有効なら、Macが自動で最適な充電を行ってくれます。
Q2:寝る前に充電するのは良くない?
A:最適化機能があるので問題なし
昔のデバイスでは「過充電」が問題でしたが、現代のMacは充電管理が優秀です。
100%に達すると自動で充電を停止し、少し減ったら補充する仕組みになっています。
Q3:バッテリーを「鍛える」必要はある?
A:不要です
「0%まで使い切ってから100%にする」という「バッテリーのトレーニング」は、ニッケル水素電池の時代の話。
リチウムイオンバッテリーには逆効果です。
Q4:80%以上充電されない設定にできる?
A:標準機能ではありません
macOSの標準機能では、最大充電量を80%に制限する設定はありません。
ただし、サードパーティ製アプリ(AlDente、Battery Limitなど)を使えば可能です。
Q5:バッテリー交換の費用は?
A:モデルによって異なります
Apple公式での交換費用:
- MacBook Air:約15,000〜20,000円
- MacBook Pro:約20,000〜30,000円
AppleCare+加入なら無料(バッテリー容量が80%未満の場合)
Apple Silicon(M1/M2/M3)とIntel Macの違い
プロセッサによって、バッテリー管理に違いがあります。
Apple Silicon Macの特徴
バッテリー効率が大幅に向上:
- M1以降のチップは省電力設計
- 同じ作業でもバッテリー持ちが良い
- 動画再生で最大20時間(モデルによる)
充電管理も進化:
- より賢い学習機能
- 発熱が少なく、バッテリーに優しい
Intel Macの特徴
比較的バッテリー消費が大きい:
- 高負荷作業時の発熱が大きい
- バッテリー駆動時間が短め
SMCリセットが可能:
- トラブル時の対処法が多い
- Apple Siliconにはない機能
どちらも「最適化されたバッテリー充電」機能は同じように動作します。
まとめ:「充電停止中」は味方です
最後に、重要なポイントをおさらいしましょう。
この記事のポイントまとめ
「充電停止中」は正常:
- 故障ではなく、バッテリー保護機能
- macOSが賢く充電を管理している
- 基本的にはそのままでOK
すぐ充電したい場合:
- メニューバーから「今すぐ充電」を選択
- 一時的に最適化機能を無効化できる
機能を無効にすることも可能:
- システム設定から変更可能
- ただし、バッテリー寿命が短くなる可能性
バッテリーを長持ちさせるコツ:
- 20〜80%の範囲で使う
- 高温を避ける
- 最適化機能はオンのまま
- 適切な充電器を使う
定期的に状態を確認:
- システム設定でバッテリー状態をチェック
- サイクル数と最大容量を把握
- 80%以下になったら交換検討
最後に:Macを信じて大丈夫
「充電停止中」という表示を見ると不安になるかもしれませんが、これはMacがあなたのバッテリーを守ろうとしている証拠です。
長年の研究と開発の結果、Appleは最適なバッテリー管理機能を搭載しました。
基本的にはMacに任せておけば大丈夫。
どうしても今すぐ満充電したいときだけ、手動で充電を再開すればOKです。
バッテリーは消耗品ですが、正しく使えば長く快適に使い続けられます。
この記事が、あなたのMacライフをより安心で快適なものにする手助けになれば嬉しいです!
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