「このアプリは64ビット版が必要です」
「お使いのMacでは32ビットアプリは動作しません」
こんなメッセージを見たことはありませんか?
「ビット数って何?」
「自分のMacは何ビット?」
「古いアプリが動かないのはなぜ?」
この記事では、Macのビット数の確認方法から、32ビットと64ビットの違い、アプリが動かない場合の対処法まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
ビット数とは?基礎から理解しよう

まず、「ビット数」という言葉の意味から理解していきましょう。
ビットとは情報の最小単位
ビット(bit)は、コンピュータが扱う情報の最小単位です。
簡単に言うと、0か1の2つの値しか持たない、デジタルの世界の「文字」みたいなもの。
この「0」と「1」の組み合わせで、すべての情報が表現されています。
32ビットと64ビットの違い
プロセッサ(コンピュータの頭脳)が一度に処理できるデータの量を表します。
32ビット:
- 一度に32個の0と1を処理できる
- 扱えるメモリは最大4GB
- 古い技術(2000年代前半が主流)
64ビット:
- 一度に64個の0と1を処理できる
- 扱えるメモリは理論上16エクサバイト(実質無制限)
- 現代の標準技術
なぜ64ビットが必要なのか
64ビットの方が優れている理由:
- 大容量メモリを活用できる
- 4GB以上のRAMを搭載しても無駄にならない
- 複数のアプリを同時に快適に動かせる
- 処理速度が速い
- 一度に処理できる情報量が多い
- 大きな数値計算が得意
- セキュリティが強化されている
- より高度な保護機能が使える
- 現代のソフトウェアに必要
- 最新のアプリは64ビット専用が増えている
現代のMacは全て64ビット
結論から言うと、現在販売されているMacは全て64ビットプロセッサを搭載しています。
Apple Silicon Mac(M1/M2/M3/M4シリーズ)
2020年11月以降に発売されたMacは、Apple独自設計のチップを搭載。
- M1、M1 Pro、M1 Max、M1 Ultra
- M2、M2 Pro、M2 Max、M2 Ultra
- M3、M3 Pro、M3 Max
- M4、M4 Pro、M4 Max
これらは全て64ビットアーキテクチャです。
正確には「ARM64」という種類の64ビットプロセッサですね。
Intel Mac
2006年から2020年まで製造されたIntel搭載Macも、全て64ビット対応です。
- Core 2 Duo(2006年〜)
- Core i シリーズ(2010年〜)
- Xeon(Mac Pro)
2006年以降のMacなら、間違いなく64ビットプロセッサを搭載しています。
32ビットMacは存在しない?
厳密には、2006年より前のPowerPC搭載Macには32ビット版も存在しました。
しかし、それらは既に20年近く前の製品。
現役で使っている方はほとんどいないでしょう。
Macのビット数を確認する方法
念のため、自分のMacのビット数を確認する方法を紹介します。
方法1:「このMacについて」から確認
最も簡単な方法です。
- 画面左上のアップルメニュー()をクリック
- 「このMacについて」を選択
- 表示される情報を確認
プロセッサ名を見る:
- 「Apple M1」「Apple M2」など:64ビット(ARM64)
- 「Intel Core i5」「Intel Core i7」など:64ビット(x86_64)
どちらが表示されても、64ビットプロセッサです。
方法2:システム情報から詳細確認
より詳しい情報を見たい場合:
- 画面左上のアップルメニューをクリック
- 「このMacについて」を選択
- 「詳しい情報」または「システムレポート」をクリック
- 左側のサイドバーから「ハードウェア」→「ハードウェアの概要」を確認
確認項目:
- プロセッサ名:CPUの種類
- チップ:Apple SiliconならM1、M2など
- プロセッサの種類:Intelなら型番が表示される
ここに表示されるプロセッサは、全て64ビット対応です。
方法3:ターミナルで確認(上級者向け)
コマンドラインで確認する方法もあります。
- 「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「ターミナル」を開く
- 以下のコマンドを入力してEnterキー
uname -m
- 結果を確認
- 「arm64」:Apple Silicon Mac(64ビット)
- 「x86_64」:Intel Mac(64ビット)
どちらも64ビットプロセッサです。
macOSのビット数について
プロセッサだけでなく、macOS自体にもビット数の概念があります。
macOS Catalina以降は完全64ビット化
2019年にリリースされたmacOS Catalina(10.15)から、32ビットアプリのサポートが完全に終了しました。
つまり:
- macOS Catalina以降:64ビットアプリのみ動作
- macOS Mojave以前:32ビットアプリも動作可能
現在の最新macOS(Sonoma、Sequoia)は、当然64ビット専用です。
なぜ32ビットサポートを終了したのか
Appleが32ビットアプリのサポートを終了した理由:
- セキュリティの向上
- 古いコードの脆弱性を排除
- パフォーマンスの最適化
- 64ビット専用にすることで高速化
- システムの簡素化
- 互換性レイヤーが不要に
- メンテナンスコストの削減
- 開発リソースを最新技術に集中
自分のmacOSバージョンを確認する方法
- アップルメニュー → 「このMacについて」
- バージョン番号を確認
- macOS Sonoma 14.x
- macOS Ventura 13.x
- macOS Monterey 12.x
- など
Catalina(10.15)以降なら、32ビットアプリは動きません。
アプリケーションのビット数を確認する方法

次に、インストールされているアプリが32ビットか64ビットかを確認する方法を紹介します。
方法1:アクティビティモニタで確認
リアルタイムで動作中のアプリを確認できます。
- 「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「アクティビティモニタ」を開く
- 上部の「表示」メニューから「列」→「種類」にチェック
- 「種類」列を確認
- 「Apple」:Apple Silicon用(64ビット)
- 「Intel」:Intel用(64ビット)
- 「Intel (32 ビット)」:32ビットアプリ(Catalina以降は動作不可)
- 「Universal」:両方に対応
この方法で、今動いているアプリがどのタイプか分かります。
方法2:「情報を見る」で確認
個別のアプリを調べる方法:
- Finderでアプリケーションフォルダを開く
- 確認したいアプリを選択
- Command(⌘)+ I キーを押す
- または右クリック→「情報を見る」
- 「一般情報」セクションを確認
「種類」の項目に表示される内容:
- 「アプリケーション(Intel)」:Intel用64ビット
- 「アプリケーション(ユニバーサル)」:Intel・Apple Silicon両対応
- 「アプリケーション(Apple Silicon)」:Apple Silicon専用
方法3:システム情報から一覧確認
全てのアプリを一度に確認:
- アップルメニュー → 「このMacについて」
- 「システムレポート」をクリック
- 左側から「ソフトウェア」→「アプリケーション」を選択
- 右側に全アプリの一覧が表示される
- 「種類」や「64ビット」の列を確認
ここで、インストールされている全アプリのビット数が一覧できます。
32ビットアプリが動かない場合の対処法
古いアプリが動かなくて困っている方への解決策です。
対処法1:アプリを最新版にアップデート
多くの開発者が64ビット版をリリースしています。
手順:
- アプリの公式サイトを確認
- 最新版をダウンロード
- インストールして置き換える
人気アプリなら、ほぼ確実に64ビット版が存在します。
対処法2:代替アプリを探す
開発が終了していて、64ビット版が存在しない場合:
同じ機能を持つ別のアプリを探しましょう。
例:
- 画像編集:Adobe Photoshop、Affinity Photo、Pixelmatorなど
- 動画編集:Final Cut Pro、DaVinci Resolve、iMovieなど
- テキスト編集:Microsoft Word、Pages、Google Docsなど
macOS対応の最新アプリは、必ず64ビット版です。
対処法3:古いmacOSで仮想環境を使う
どうしてもその32ビットアプリが必要な場合:
仮想化ソフトで古いmacOSを動かす方法があります。
ただし、かなり上級者向けで、以下の制約があります:
- macOS Mojave(10.14)以前が必要
- 仮想化ソフト(Parallels Desktopなど)が必要
- 動作が重い
- セキュリティリスクがある(古いOSのため)
基本的には、代替アプリを探す方が現実的です。
対処法4:古いMacを別途用意する
プロフェッショナルな現場で、どうしても32ビットアプリが必要な場合:
macOS Mojave以前を搭載した、サブのMacを用意する方法があります。
ただし:
- セキュリティアップデートが提供されない
- 最新のクラウドサービスが使えないことも
- あくまで一時的な対処法
長期的には、64ビットアプリへの移行が必須です。
Apple SiliconとIntel、どう違う?
同じ64ビットでも、Apple SiliconとIntelには違いがあります。
アーキテクチャの違い
Intel Mac:
- x86_64アーキテクチャ
- 従来のPC用プロセッサと同じ設計
- Windows PCとも互換性がある
Apple Silicon Mac:
- ARM64アーキテクチャ
- スマートフォン用から発展した設計
- 省電力で高効率
アプリの互換性
ユニバーサルアプリ:
- 両方のアーキテクチャに対応
- どちらのMacでもネイティブで動作
- 最もおすすめ
Intel専用アプリ(Apple Silicon Macでの動作):
- Rosetta 2という変換技術で動作
- ネイティブより少し遅いが、ほぼ問題なく動く
- 一部のアプリは非対応
Apple Silicon専用アプリ:
- Intel Macでは動作しない
- 最新の高性能アプリに多い
Rosetta 2とは?
Apple Silicon Macで、Intel用アプリを動かすための変換技術です。
特徴:
- 自動的にインストールされる(初回のみ確認あり)
- ユーザーが意識する必要はほぼない
- 多くのアプリが問題なく動作
制限:
- 仮想化ソフトなど、一部動かないアプリもある
- ネイティブアプリより少し遅い
基本的には、気にせず使えます。
よくある質問と誤解

ビット数について、よく聞かれる質問に答えます。
Q1:64ビットの方が32ビットの2倍速い?
A:必ずしもそうではありません
ビット数は「一度に処理できる情報量」であって、単純な速度ではありません。
ただし、大容量メモリを活用できたり、大きな数値計算が得意だったりするため、結果的に高速になることが多いです。
Q2:32ビットアプリを64ビットに変換できる?
A:ユーザー側では不可能です
アプリを64ビット化するには、開発者がソースコードを書き直す必要があります。
私たちユーザーにできることは:
- 開発者に64ビット版をリクエストする
- 代替アプリを探す
- 古いmacOSを使い続ける(非推奨)
Q3:64ビットMacで32ビットアプリは絶対動かない?
A:macOS Catalina以降では動きません
- Mojave(10.14)以前:32ビットアプリも動作
- Catalina(10.15)以降:完全に動作不可
プロセッサが64ビットでも、OSが対応していないと動かないんです。
Q4:メモリ4GB以下でも64ビットの意味はある?
A:はい、あります
メモリが4GB以下でも:
- 64ビットアプリが動く
- セキュリティが向上
- 将来のメモリ増設に対応
現代では、64ビットが標準です。
Q5:ビット数とコア数は同じ?
A:全く別の概念です
- ビット数:一度に処理できるデータの幅
- コア数:プロセッサの並列処理能力
例:
- デュアルコア64ビットプロセッサ
→ 2つのコアが、それぞれ64ビット処理できる
macOSアップデート前の確認事項
新しいmacOSにアップデートする前に、32ビットアプリをチェックしましょう。
Mojaveから Catalinaへのアップデート
特に注意が必要なケースです。
アップデート前に必ず確認:
- 32ビットアプリの洗い出し
- システム情報で全アプリを確認
- 重要なアプリが32ビットでないかチェック
- 代替アプリの検討
- 32ビットアプリの代わりを探す
- 事前にインストール・動作確認
- バックアップ
- Time Machineでフルバックアップ
- 問題があれば元に戻せるように
32ビットアプリの警告表示
macOS Mojaveでは、32ビットアプリを起動すると警告が出ます。
「このアプリケーションは最適化されていません」
「このアプリは今後のmacOSでは動作しません」
この警告が出たアプリは、Catalina以降では使えません。
ビット数とセキュリティの関係
64ビット化は、単なる高速化だけでなく、セキュリティ面でも重要です。
64ビットのセキュリティ機能
ASLR(Address Space Layout Randomization):
- メモリの配置をランダム化
- ハッカーの攻撃を困難にする
- 64ビットの方が広い範囲でランダム化できる
DEP(Data Execution Prevention):
- データ領域でのコード実行を防ぐ
- マルウェア対策に有効
その他の保護機能:
- より高度な暗号化
- サンドボックスの強化
- システムの堅牢性向上
古いアプリを使い続けるリスク
32ビットアプリを使い続けるには、古いmacOSが必要です。
リスク:
- セキュリティアップデートが提供されない
- 既知の脆弱性が放置される
- マルウェア感染のリスクが高まる
- 個人情報漏洩の危険性
重要なデータを扱う場合は、最新のmacOSと64ビットアプリを使いましょう。
まとめ:現代のMacは全て64ビット
最後に、重要なポイントをおさらいしましょう。
この記事のポイントまとめ
ビット数の基本:
- 32ビットと64ビットは処理能力の違い
- 64ビットの方が大容量メモリを活用できる
- 現代のコンピュータは全て64ビット化
Macのビット数:
- 2006年以降のMacは全て64ビット
- Apple Silicon(M1以降)もIntelも64ビット
- プロセッサのビット数を心配する必要はない
macOSとアプリ:
- macOS Catalina以降は32ビットアプリ非対応
- システム情報やアクティビティモニタで確認可能
- 古いアプリは64ビット版にアップデート
32ビットアプリへの対処:
- まず最新版にアップデート
- なければ代替アプリを探す
- 古いOSを使い続けるのは非推奨
Apple SiliconとIntel:
- どちらも64ビットだが、アーキテクチャが異なる
- Rosetta 2でIntelアプリも動作
- ユニバーサルアプリが最適
今後の展望
64ビット化は既に完了しており、今後は:
- さらなる高性能化
- Apple Silicon専用アプリの増加
- より高度なセキュリティ機能
- AIや機械学習の統合
32ビットは過去のものになりました。
最後に:心配する必要はありません
「自分のMacは何ビット?」と心配している方、安心してください。
現在使っているMacは、間違いなく64ビットプロセッサを搭載しています。
確認する必要があるのは、プロセッサではなく:
- 使いたいアプリが64ビット対応か
- macOSのバージョンは最新か
- セキュリティアップデートは適用されているか
こちらの方が重要です。
この記事が、ビット数に関する疑問や不安を解消する手助けになれば嬉しいです。
安心して、快適なMacライフを楽しんでくださいね!
コメント