「家族とMacを共有したい」
「仕事用とプライベート用でアカウントを分けたい」
「子どもに使わせるけど、自分のファイルは見られたくない」
1台のMacを複数の人で使う場合、それぞれ専用のアカウントがあると便利ですよね。
この記事では、Macで別のアカウントにログインする方法、ユーザーアカウントの作成から切り替え、セキュリティ設定まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
Macのユーザーアカウントとは?

まず、ユーザーアカウントの基本から理解しましょう。
ユーザーアカウントの役割
ユーザーアカウントは、Mac上での「個人スペース」のようなものです。
各アカウントには、それぞれ独立した:
- デスクトップ:壁紙やアイコンの配置
- 書類フォルダ:個人のファイル
- ダウンロードフォルダ:ダウンロードしたファイル
- アプリケーション設定:ブックマーク、履歴など
- 環境設定:システム設定やアプリの設定
つまり、他のユーザーのファイルや設定を見られることはありません。
複数アカウントを使う理由
1台のMacで複数アカウントを作るメリット:
家族での共有:
- 父親、母親、子どもがそれぞれ自分の環境を持てる
- 誰かのファイルを誤って消す心配がない
仕事とプライベートの分離:
- 在宅勤務用とプライベート用を完全に分ける
- 仕事用のブラウザ履歴とプライベートを混ぜない
セキュリティとプライバシー:
- 個人情報を他の人から守る
- 子どもの使用を制限できる(ペアレンタルコントロール)
開発やテスト環境:
- クリーンな環境でアプリをテスト
- 設定を壊しても大丈夫
アカウントの種類
Macには主に3種類のアカウントがあります。
1. 管理者アカウント
- Mac全体の設定を変更できる
- 他のユーザーアカウントを作成・削除できる
- アプリケーションのインストールが可能
- システムファイルにアクセスできる
2. 標準アカウント
- 自分の環境だけを管理できる
- システム全体に影響する変更はできない
- アプリのインストールには管理者パスワードが必要
3. ゲストアカウント
- 一時的な使用向け
- ログアウトするとデータが全て消える
- システム設定を変更できない
新しいユーザーアカウントを作成する方法
別のアカウントでログインするには、まずアカウントを作成する必要があります。
事前準備:管理者権限が必要
ユーザーアカウントの作成には、管理者アカウントでログインしている必要があります。
自分が管理者かどうか確認する方法は、後ほど説明します。
アカウント作成の手順
- 画面左上のアップルメニュー()をクリック
- 「システム設定」を選択
- 左側のサイドバーから「ユーザとグループ」をクリック
- 右下の「ユーザを追加」ボタンをクリック
- 鍵アイコンがロックされている場合は、クリックして管理者パスワードを入力
- 新規アカウント情報を入力 アカウントの種類を選択:
- 管理者
- 標準
- グループを共有のみ(ファイル共有用) フルネーム:
- 表示名を入力(例:「田中太郎」「子ども用」) アカウント名:
- ログインに使う名前(英数字、自動入力される)
- 後から変更できないので注意 パスワード:
- セキュリティの高いパスワードを設定
- 8文字以上を推奨 パスワードのヒント:
- パスワードを忘れた時のヒント(オプション)
- 「ユーザを作成」ボタンをクリック
これで新しいアカウントの作成が完了です。
管理者と標準ユーザー、どちらにすべき?
管理者にすべき場合:
- 信頼できる大人(家族など)
- 自分でシステム管理ができる人
- アプリのインストールが必要な人
標準ユーザーにすべき場合:
- 子ども
- 一時的な使用者
- セキュリティを重視する場合
迷ったら、標準ユーザーから始めるのが安全です。
必要に応じて、後から管理者に変更できます。
別のアカウントに切り替える方法
アカウントが作成できたら、実際に切り替えてみましょう。
Macには2つの切り替え方法があります。
方法1:ファストユーザスイッチ(作業を保持したまま切り替え)
最も便利な方法です。
特徴:
- 現在のアカウントはログインしたまま
- 作業中のアプリもそのまま動き続ける
- 素早く別のユーザーに切り替えられる
手順:
- 画面右上のコントロールセンターをクリック
- または画面上部メニューバーの右端を確認
- 現在のユーザー名が表示されている部分をクリック
- 切り替えたいユーザー名を選択
- そのユーザーのパスワードを入力
- 切り替え完了
これで、前のユーザーの作業はそのまま、別のユーザーとしてログインできます。
元のユーザーに戻るときも、同じ手順で切り替えればOKです。
方法2:ログアウトしてから別のアカウントでログイン
完全にログアウトしてから切り替える方法です。
特徴:
- 現在のアカウントは完全にログアウト
- 作業中のアプリは終了される
- メモリが解放されるので動作が軽い
手順:
- 画面左上のアップルメニュー()をクリック
- 「ログアウト [ユーザー名]」を選択
- 確認ダイアログで「ログアウト」をクリック
- 開いているアプリがある場合は、保存を促される
- ログインウィンドウが表示される
- 別のユーザー名をクリック
- パスワードを入力してログイン
この方法は、前のユーザーの作業を完全に終了させたい場合に使います。
ファストユーザスイッチを有効にする方法
初期状態でファストユーザスイッチが表示されない場合の設定:
- システム設定 → コントロールセンター
- 「ファストユーザスイッチメニュー」を探す
- 「コントロールセンターに表示」または「メニューバーに表示」を選択
これで、画面右上にユーザー切り替えのメニューが表示されます。
ログインウィンドウの設定をカスタマイズ

ログイン画面の表示方法を変更できます。
ユーザーリストとユーザー名入力の違い
ログイン画面には2つの表示モードがあります。
ユーザーリスト表示:
- 全ユーザーのアイコンと名前が表示される
- クリックしてパスワードを入力するだけ
- 便利だが、どんなユーザーがいるか見える
ユーザー名とパスワード入力:
- アイコンは表示されず、入力欄のみ
- ユーザー名とパスワード両方を入力
- セキュリティが高い
ログインウィンドウの設定を変更する手順
- システム設定 → ユーザとグループ
- 左下の「ログインオプション」をクリック
- 鍵マークがロックされていたら解除
- 「ログインウィンドウに次を表示」を選択
- 「ユーザーのリスト」
- または「名前とパスワード」
- その他のオプションも設定可能
- 自動ログイン(セキュリティ低下に注意)
- 再起動後に自動でウィンドウを開く
- パスワードヒントを表示
自動ログインの設定(非推奨)
Macを起動したら、パスワード入力なしで自動的に特定のユーザーでログインする設定です。
設定方法:
- ログインオプション画面で
- 「自動ログイン」から対象ユーザーを選択
- パスワードを入力して確認
注意:
- セキュリティが大幅に低下します
- 誰でもMacを起動すればログインできる状態に
- 盗難時のリスクが非常に高い
家族で共有しているMacや、セキュリティが重要な場合は使わないでください。
ゲストユーザーの活用
一時的に他の人にMacを貸す場合、ゲストユーザーが便利です。
ゲストユーザーとは?
特徴:
- パスワード不要で使える
- ログアウトすると全データが消える
- システム設定を変更できない
- インストールされているアプリは使える
使用例:
- 友人が一時的にインターネットを使いたい
- 来客者にプレゼン資料を見せる
- 自分のファイルを見られたくない
ゲストユーザーを有効にする方法
- システム設定 → ユーザとグループ
- 左下の「ログインオプション」をクリック
- 「ゲストユーザー」の項目を探す
- macOSのバージョンによって場所が異なります
- 「ゲストによるこのコンピュータへのログインを許可」にチェック
- オプションで「ゲストによる共有フォルダへの接続を許可」も設定可能
ゲストユーザーでログイン
ログインウィンドウで「ゲストユーザー」を選択するだけ。
パスワードは不要です。
ログアウトすると、使用した痕跡は完全に消去されます。
ペアレンタルコントロール:子ども用アカウントの制限
子どもに使わせる場合、機能を制限できます。
ペアレンタルコントロールでできること
- 使用時間の制限:平日と週末で異なる時間帯を設定
- アプリの制限:使えるアプリを限定
- Webサイトの制限:不適切なサイトをブロック
- コンテンツレーティング:年齢に応じた制限
- プライバシー制限:カメラやマイクの使用制限
ペアレンタルコントロールの設定手順
- システム設定 → ファミリー
- またはシステム設定 → スクリーンタイム
- 子ども用アカウントを選択
- 「コンテンツとプライバシー」を設定
- 許可するアプリ
- Webサイトの制限
- ストアでの購入制限
- 「スクリーンタイム」を設定
- 使用時間の上限
- 休止時間の設定
- アプリごとの時間制限
これで、子どもが安全にMacを使える環境が作れます。
アカウント管理のベストプラクティス
安全で便利にアカウントを管理するコツを紹介します。
セキュリティのポイント
1. 強力なパスワードを設定
- 8文字以上
- 英字、数字、記号を組み合わせる
- 他のサービスと使い回さない
2. 管理者アカウントは最小限に
- 信頼できる人だけ管理者に
- 日常使用は標準アカウントで
3. FileVaultでディスク全体を暗号化
- システム設定 → プライバシーとセキュリティ → FileVault
- 盗難や紛失時のデータ保護
4. 自動ログインは使わない
- セキュリティリスクが高い
- 特にノートパソコンでは危険
プライバシーの確保
1. 共有フォルダを活用
- 家族で共有したいファイルは「共有」フォルダに
- 他のユーザーのホームフォルダは通常アクセス不可
2. ブラウザのプライベートモード
- 履歴を残したくない場合に活用
3. 定期的なログアウト
- 使い終わったら必ずログアウト
- 特に共有環境では重要
効率的な使い方
1. ファストユーザスイッチを活用
- 素早く切り替えられる
- 作業を中断せずに済む
2. デスクトップを整理
- 個人ファイルは書類フォルダに
- デスクトップは共有されないが、整理すると快適
3. 定期的なメンテナンス
- 不要なアカウントは削除
- 使わないアカウントが残っていると脆弱性に
よくあるトラブルと解決方法

アカウント切り替えでよくある問題の対処法です。
トラブル1:パスワードを忘れた
対処法:
- パスワードのヒントを見る
- ログイン画面で3回間違えるとヒントが表示される
- Apple IDでリセット
- ログイン画面の「パスワードをお忘れですか?」をクリック
- Apple IDとパスワードを入力
- 新しいパスワードを設定
- 管理者アカウントからリセット
- 別の管理者でログイン
- システム設定 → ユーザとグループ
- 該当ユーザーを選択 → 「パスワードを変更」
- 復旧モードでリセット(最終手段)
- 起動時にCommand + Rで復旧モード
- ユーティリティ → ターミナル → resetpassword
トラブル2:ユーザー切り替えメニューが表示されない
対処法:
- システム設定 → コントロールセンター
- 「ファストユーザスイッチメニュー」を有効化
- 「コントロールセンターに表示」を選択
トラブル3:アカウントが削除できない
現在ログインしているアカウントは削除できません。
対処法:
- 別の管理者アカウントでログイン
- システム設定 → ユーザとグループ
- 削除したいユーザーを選択
- 「−」ボタンをクリック
- データの保存方法を選択
- ホームフォルダを削除
- ホームフォルダをディスクイメージとして保存
- ホームフォルダを削除しない
トラブル4:「管理者がいません」エラー
最後の管理者アカウントを標準に変更しようとするとエラーが出ます。
対処法:
- 最低1つは管理者アカウントが必要
- 別のアカウントを管理者にしてから変更
トラブル5:ログイン後に画面が真っ黒
起動項目やアプリの問題の可能性があります。
対処法:
- セーフモードで起動
- Intel Mac:起動時にShiftキーを押し続ける
- Apple Silicon:電源ボタン長押し→オプション
- システム設定 → 一般 → ログイン項目
- 不要な項目を削除
アカウント削除前の注意事項
不要になったアカウントを削除する前に、必ず確認しましょう。
削除前のチェックリスト
- [ ] 重要なファイルはバックアップした
- [ ] クラウドに同期していないデータを確認
- [ ] ブラウザのブックマークをエクスポート
- [ ] メールやメッセージの重要データを保存
- [ ] アプリのライセンス情報を控えた
アカウント削除の手順
- 削除したいアカウント以外でログイン(管理者権限必要)
- システム設定 → ユーザとグループ
- 削除するユーザーを選択
- 「−」ボタンをクリック
- 削除方法を選択 「ホームフォルダを削除」:
- 完全にデータを削除
- 復元不可能 「ホームフォルダをディスクイメージとして保存」:
- データを1つのファイルとして保存
- 後で復元可能(高度な知識が必要) 「ホームフォルダを削除しない」:
- ユーザーフォルダは「削除されたユーザ」に移動
- 手動でアクセス可能
- 「ユーザを削除」をクリック
削除後の確認
- Finder → Macintosh HD → ユーザ
- 削除されたユーザーのフォルダが残っていないか確認
複数アカウント使用時のストレージ管理
複数のユーザーアカウントがあると、ディスク容量を圧迫することがあります。
ストレージ使用状況の確認
- システム設定 → 一般 → ストレージ
- 各カテゴリの使用量を確認
- システムデータ
- アプリケーション
- 書類
- 写真
- 音楽
- ユーザーごとの使用量
- 各ユーザーフォルダのサイズを確認
容量を節約する方法
1. 重複ファイルを削除
- 各ユーザーが同じ動画や写真を保存していないか
2. 共有フォルダを活用
- 全員が使うファイルは共有フォルダに
- 各ユーザーにコピーしない
3. クラウドストレージの利用
- iCloud、Dropbox、Google Driveなど
- 大きなファイルはクラウドに
4. 不要なアカウントの削除
- 使っていないアカウントは削除
まとめ:複数アカウントで快適な共有を
Macの複数アカウント機能を使えば、1台のコンピュータを安全に共有できます。
この記事のポイントまとめ
アカウントの基本:
- ユーザーアカウントで個人スペースを分離
- 管理者と標準ユーザーの違いを理解
- ゲストユーザーで一時利用も可能
アカウントの作成:
- システム設定 → ユーザとグループ
- 管理者権限が必要
- 適切な権限設定を選ぶ
切り替え方法:
- ファストユーザスイッチ(作業を保持)
- 完全ログアウト(メモリ解放)
- 状況に応じて使い分け
セキュリティ対策:
- 強力なパスワード設定
- 管理者アカウントは最小限
- FileVault暗号化の活用
- 自動ログインは避ける
子ども向け設定:
- ペアレンタルコントロール
- スクリーンタイムで時間制限
- コンテンツフィルタリング
トラブル対処:
- パスワード忘れはApple IDで解決
- 最低1つは管理者アカウント必要
- セーフモードで問題診断
こんな使い方がおすすめ
家族での共有:
- 父親:管理者アカウント
- 母親:管理者または標準アカウント
- 子ども:標準アカウント(ペアレンタルコントロール有効)
- ゲスト:来客用
在宅勤務:
- 仕事用:標準アカウント(必要なアプリのみ)
- プライベート用:管理者アカウント
- 完全に環境を分離して集中
開発者:
- メイン環境:管理者アカウント
- テスト環境:標準アカウント
- 設定を壊しても安心
最後に:プライバシーを守りながら便利に使おう
複数のユーザーアカウントは、セキュリティとプライバシーを守りながら、1台のMacを効率的に使うための優れた機能です。
最初は設定が面倒に感じるかもしれませんが、一度セットアップすれば、その後は快適に使い続けられます。
「自分専用の環境」を持てることで、家族みんなが安心してMacを使えるようになります。
この記事が、あなたのMac活用をより便利で安全にする手助けになれば嬉しいです。
さあ、今日から複数アカウントで、もっと快適なMacライフを楽しみましょう!
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