「このファイルは見るだけにしたい」
「特定の人だけ編集できるようにしたい」
「間違えて重要なファイルが削除されないか心配」
Google Driveでファイルやフォルダを共有する際、適切なアクセス権(権限)を設定することが重要です。
この記事では、Google Driveのアクセス権の種類から設定方法、変更、削除、セキュリティ対策まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
アクセス権(権限)とは?基本を理解しよう

まず、アクセス権の基本から理解していきましょう。
アクセス権の役割
アクセス権とは、ファイルやフォルダに対して「誰が」「何をできるか」を決める設定です。
アクセス権で決まること:
- ファイルを見られるか
- コメントを追加できるか
- 編集・削除できるか
- ダウンロードできるか
- 他の人を招待できるか
適切な権限設定により、情報の安全性と作業効率の両立が可能になります。
なぜアクセス権が重要なのか
セキュリティ面:
- 機密情報の漏洩を防ぐ
- 誤った編集や削除を防止
- 不正アクセスのリスク低減
効率面:
- 必要な人に必要な権限を与える
- スムーズな共同作業
- 責任の所在を明確化
例えば:
- 取引先には「閲覧のみ」
- チームメンバーには「編集可能」
- アルバイトには「コメントのみ」
このように使い分けることで、安全かつ効率的に作業できます。
所有者と共有者の違い
Google Driveのファイルには、必ず「所有者」がいます。
所有者(Owner):
- ファイルを作成した人
- 完全なコントロール権限
- アクセス権の設定や変更が可能
- ファイルの削除が可能
- 所有権の譲渡が可能
共有者(Shared user):
- 所有者から招待された人
- 所有者が与えた権限の範囲内で操作可能
- 所有者が設定を変更すると影響を受ける
3つの基本アクセス権
Google Driveには、主に3つのアクセス権があります。
閲覧者(Viewer)
できること:
- ファイルを見る
- ダウンロード(所有者の設定による)
- コメントを読む
できないこと:
- ファイルの編集
- コメントの追加
- 他の人を招待
- ファイルの削除
使用例:
- 完成した報告書を上司に提出
- お客様への資料提供
- 配布資料の閲覧
- 参考資料の共有
メリット:
- 最も安全
- 誤って変更される心配がない
- 情報の一方的な提供に最適
閲覧者(コメント可)(Commenter)
できること:
- ファイルを見る
- ダウンロード(所有者の設定による)
- コメントを追加
- コメントに返信
できないこと:
- ファイルの編集
- 他の人を招待
- ファイルの削除
使用例:
- 資料へのフィードバック依頼
- レビュー・校正作業
- 提案や意見の収集
- 承認プロセス
メリット:
- 元のファイルは保護される
- 意見やフィードバックを集められる
- コミュニケーションが取れる
編集者(Editor)
できること:
- ファイルを見る
- ダウンロード可能
- ファイルの編集
- コメントの追加
- 新しいファイルの追加(フォルダの場合)
- ファイルの削除(フォルダ内)
- 他の人を招待(所有者の設定による)
できないこと(通常):
- 所有権の変更
- 完全なアクセス権管理
使用例:
- チームでの共同編集
- プロジェクトフォルダの共有
- 共同で文書を作成
- データベースの更新作業
メリット:
- 共同作業が可能
- リアルタイムで編集できる
- 効率的な協働
注意点:
- 誤って削除されるリスク
- 信頼できる相手にのみ付与
- 重要ファイルは慎重に
アクセス権の設定方法(個別招待)
特定の人にアクセス権を与える方法です。
基本的な設定手順
PC(ブラウザ)の場合:
- Google Driveを開く
drive.google.com
にアクセス
- 共有したいファイルまたはフォルダを右クリック
- 「共有」を選択
- 共有設定ウィンドウが開く
- 「ユーザーやグループを追加」の入力欄をクリック
- 相手のメールアドレスを入力
- Googleアカウントのメールアドレス
- 複数人の場合はカンマで区切る
- 右側のドロップダウンメニューでアクセス権を選択
- 閲覧者
- 閲覧者(コメント可)
- 編集者
- 任意でメッセージを入力
- 招待メールに含まれるメッセージ
- 「送信」ボタンをクリック
- 相手にメールで招待が送られる
スマートフォンでの設定
iPhone・Android:
- Google Driveアプリを開く
- ファイル/フォルダの「︙」(縦三点)をタップ
- 「共有」を選択
- 「ユーザーを追加」をタップ
- メールアドレスを入力
- アクセス権を選択
- 閲覧者/コメント可/編集者
- 送信アイコンをタップ
複数人に同じ権限を与える
方法1:まとめて入力
- メールアドレスを複数入力
- カンマで区切る
- 例:
tanaka@example.com, suzuki@example.com
- アクセス権を選択
- 送信
全員に同じ権限が付与されます。
方法2:グループを使用
Googleグループを作成している場合:
- グループのメールアドレスを入力
- 例:
team@example.com
- アクセス権を選択
- 送信
グループメンバー全員に権限が付与されます。
招待メールの内容
相手に送られるメールには以下が含まれます:
- 共有者の名前
- ファイル/フォルダ名
- アクセス権の種類
- 任意のメッセージ
- 「開く」ボタン
相手が「開く」をクリックすると、ファイルにアクセスできます。
アクセス権の確認と管理
設定済みのアクセス権を確認・管理する方法です。
現在のアクセス権を確認
手順:
- ファイル/フォルダを右クリック → 「共有」
- 「アクセスできるユーザー」セクションを確認
- 一覧が表示される:
- 各ユーザーの名前
- メールアドレス
- アクセス権の種類
- 所有者も表示される
アクセス権の変更
後から権限を変更できます。
手順:
- 共有設定を開く
- 変更したいユーザーを探す
- 右側のドロップダウンメニューをクリック
- 新しいアクセス権を選択
- 閲覧者 → 編集者など
- 自動的に保存される
変更は即座に反映されます。通知は送られません。
アクセス権の削除(共有解除)
特定のユーザーとの共有を停止する方法です。
手順:
- 共有設定を開く
- 削除したいユーザーを探す
- 右側のドロップダウンメニューをクリック
- 「アクセス権を削除」を選択
- 確認ダイアログで「削除」をクリック
- そのユーザーはアクセスできなくなる
注意:
- 削除されたユーザーには通知が届きます
- すぐにアクセス不可になります
- 再度招待すれば復活可能
全員の共有を一度に解除
手順:
- 共有設定を開く
- 各ユーザーを1人ずつ削除
または
- ファイルのコピーを作成
- 元のファイルを削除
- コピーを使用(共有設定なし)
残念ながら、一括削除機能はありません。
リンク共有とアクセス権
URLを知っている人全員に権限を与える方法です。
リンク共有の設定
手順:
- 共有設定を開く
- 「一般的なアクセス」セクション
- 「制限付き」から変更
- 「リンクを知っている全員」を選択
- アクセス権を選択
- 閲覧者
- 閲覧者(コメント可)
- 編集者
- 「リンクをコピー」をクリック
- URLを共有したい相手に送る
リンク共有とメール招待の違い
リンク共有:
- URLを知っている人は誰でもアクセス可能
- メールアドレス不要
- 誰がアクセスしているか把握しにくい
- 大人数への共有が簡単
メール招待:
- 特定の人だけアクセス可能
- メールアドレスが必要
- 誰がアクセスしているか明確
- セキュリティが高い
使い分け:
- 機密情報:メール招待
- 公開資料:リンク共有
- 社内共有:状況に応じて
リンク共有のアクセス範囲設定
Google Workspaceの場合、追加オプション:
組織内のユーザー:
- 同じ組織(会社/学校)のメンバーのみ
- 外部への流出を防げる
リンクを知っている全員:
- 誰でもアクセス可能
- 組織外も含む
設定方法:
- リンク共有の設定画面
- アクセス範囲を選択
- 適用
詳細なアクセス権設定
より細かく権限をコントロールする方法です。
ダウンロード・印刷・コピーの禁止
ファイルの持ち出しを防ぐ設定です。
設定手順:
- 共有設定を開く
- 右上の歯車アイコン(設定)をクリック
- 「閲覧者と閲覧者(コメント可)のダウンロード、印刷、コピーの無効化」にチェック
- 「保存」→「完了」
効果:
- ダウンロードボタンが非表示
- 印刷メニューが無効
- テキストのコピーも不可
注意点:
- 閲覧者と閲覧者(コメント可)のみ有効
- 編集者には適用されない
- スクリーンショットは防げない
編集者による共有の制限
編集者が勝手に他の人を招待できないようにする設定です。
設定手順:
- 共有設定 → 歯車アイコン
- 「編集者によるアクセス権の変更と新しいユーザーの追加を禁止する」にチェック
- 「保存」→「完了」
効果:
- 編集者は編集のみ可能
- 共有設定は変更できない
- 所有者のみが共有を管理
使用例:
- 外部パートナーに編集権限を与える場合
- 共有範囲を厳密に管理したい場合
特定の操作のみ許可
Google ドキュメント、スプレッドシート、スライドでは、さらに細かい設定が可能です。
提案モード(ドキュメント):
- 編集者が「提案」のみできる
- 所有者が承認/却下を判断
- 元の文書は保護される
コメントのみ許可:
- 閲覧者(コメント可)を選択
- 編集はできないがフィードバックは可能
所有権の譲渡
ファイルの所有者を変更する方法です。
所有権譲渡とは?
所有権を譲渡すると:
- 譲渡先が新しい所有者になる
- 元の所有者は編集者になる
- 新しい所有者が完全なコントロール権限を持つ
- 新しい所有者の容量を消費
譲渡が必要な場合:
- 退職・異動時のファイル引き継ぎ
- プロジェクトのリーダー交代
- 容量の都合で所有者を変更
所有権譲渡の手順
Google ドキュメント、スプレッドシート、スライドの場合:
- ファイルを開く
- 右上の「共有」ボタンをクリック
- 譲渡先の人を「編集者」として追加
- まだ共有していない場合
- 譲渡先の人の横のドロップダウンメニュー
- 「所有権を譲渡」を選択
- 確認ダイアログで「はい」
- 譲渡先にメールが送られる
- 譲渡先が承認すると完了
その他のファイル形式:
残念ながら、PDF、画像、動画などは所有権譲渡ができません。
代替方法:
- 譲渡先にコピーを作成してもらう
- 元のファイルを削除
所有権譲渡の注意点
重要:
- 一度譲渡すると、元に戻すには新しい所有者の許可が必要
- 新しい所有者が元の所有者の共有を解除できる
- 新しい所有者の容量を消費
確認すべきこと:
- 本当に譲渡が必要か
- 信頼できる相手か
- 譲渡後の管理体制
フォルダのアクセス権
フォルダに設定するアクセス権の特徴です。
フォルダのアクセス権の継承
基本ルール:
- フォルダにアクセス権を設定すると、中のファイルにも適用される
- サブフォルダも同じ権限を継承
例:
プロジェクトフォルダ(田中さんに編集者権限)
├── 資料/ → 田中さんも編集可能
├── 画像/ → 田中さんも編集可能
└── 報告書.pdf → 田中さんも編集可能
個別ファイルのアクセス権
フォルダ内の特定ファイルだけ、別の権限を設定することもできます。
手順:
- フォルダ内のファイルを右クリック → 共有
- フォルダとは別の権限を設定
- 例:フォルダは閲覧者、特定ファイルは編集者
注意点:
- 管理が複雑になる
- できるだけフォルダ単位で統一するのが理想
フォルダ構成での権限管理
おすすめの構成:
マイドライブ/
├── 公開資料/(全員:閲覧者)
├── チーム作業/(チーム:編集者)
├── レビュー待ち/(レビュアー:コメント可)
└── 個人作業/(共有なし)
用途ごとにフォルダを分けると管理しやすくなります。
アクセス権のトラブルシューティング
うまくいかない場合の対処法です。
トラブル1:「権限がありません」エラー
症状:
ファイルを開こうとすると「権限がありません」と表示される
原因:
- アクセス権が削除された
- 所有者が設定を変更した
- 違うGoogleアカウントでログインしている
対処法:
- 正しいアカウントでログインしているか確認
- 画面右上のアカウントアイコンを確認
- 所有者に連絡
- アクセス権をリクエスト
- 招待メールを確認
- 迷惑メールフォルダも確認
- 招待メールのリンクから再度アクセス
トラブル2:編集できない
症状:
ファイルを開けるが編集できない
原因:
閲覧者または閲覧者(コメント可)権限しかない
対処法:
- 自分のアクセス権を確認
- ファイル名の下に表示される
- 「閲覧者」「コメント可」「編集者」
- 所有者に編集者権限をリクエスト
- コピーを作成して編集
- ファイル → コピーを作成
- コピーは自分が所有者になる
トラブル3:共有できない
症状:
共有ボタンを押しても反応しない、または共有できない
原因:
- 自分が閲覧者権限しかない
- 所有者が共有を制限している
- Google Workspaceの管理者設定
対処法:
- 自分の権限を確認
- 編集者以上が必要(通常)
- 所有者に連絡
- 共有権限をリクエスト
- または所有者に共有を依頼
トラブル4:アクセス権が反映されない
症状:
設定を変更したのに反映されない
対処法:
- ページをリロード
- F5キーまたは更新ボタン
- 相手にもリロードしてもらう
- 時間を置いて確認
- 反映に数分かかることも
- 一度削除して再度追加
トラブル5:招待メールが届かない
対処法:
- 迷惑メールフォルダを確認
- 正しいメールアドレスか確認
- リンクを直接送る
- 共有設定画面でリンクをコピー
- チャットやメールで送信
- 再度招待を送る
セキュリティのベストプラクティス
安全にアクセス権を管理する方法です。
必要最小限の権限を与える
原則:
作業に必要な最小限の権限のみ付与
判断基準:
- 見るだけで十分 → 閲覧者
- 意見が欲しい → コメント可
- 共同作業 → 編集者
NG例:
- 全員に編集者権限
- 「とりあえず」の編集者権限
定期的な権限の見直し
やるべきこと:
- 月1回、共有設定を確認
- 不要な共有はないか
- 権限は適切か
- プロジェクト終了時に整理
- 一時的な共有を削除
- アーカイブフォルダに移動
- 退職者・異動者の権限削除
- すぐに削除
- 必要なら所有権を譲渡
機密情報の取り扱い
高リスク情報(機密文書など):
- 個別招待のみ(リンク共有禁止)
- 閲覧者権限を基本に
- ダウンロード・印刷・コピー禁止
- 編集者による共有を禁止
中リスク情報(社内資料など):
- 組織内限定で共有
- 適切な権限を設定
- 定期的に見直し
低リスク情報(公開資料など):
- リンク共有も可
- 状況に応じて柔軟に
組織での管理(Google Workspace)
管理者がすべきこと:
- 組織外との共有ポリシーを設定
- デフォルト権限を設定
- 監査ログで共有状況を監視
- 異常な共有を検出
ユーザーが守るべきこと:
- 会社のポリシーに従う
- 不明点はIT部門に確認
- 個人アカウントと混同しない
よくある質問(FAQ)
アクセス権に関する疑問に答えます。
Q1:閲覧者でもファイルをコピーできる?
A:はい、できます(設定による)
所有者が「ダウンロード・印刷・コピーの無効化」を設定していなければ、閲覧者でもファイルのコピーを作成できます。コピーは閲覧者が所有者になります。
Q2:編集者は他の編集者を削除できる?
A:いいえ、できません
編集者は他のユーザーを追加できますが(設定による)、削除はできません。削除できるのは所有者のみです。
Q3:アクセス権を変更すると、相手に通知される?
A:基本的に通知されません
権限の変更では通知は送られません。ただし、完全に削除(共有解除)した場合は通知が届きます。
Q4:所有者が削除されたら、ファイルはどうなる?
A:Google Workspaceでは管理者が管理、個人アカウントでは削除される可能性
- 個人アカウント:アカウント削除後30日でファイルも削除
- Google Workspace:管理者がファイルを引き継ぎ可能
事前に所有権を譲渡しておくのが安全です。
Q5:100人以上に共有できる?
A:はい、できます
個別招待に人数制限はありません。ただし、管理が煩雑になるため、Googleグループの使用や、組織内リンク共有を検討しましょう。
まとめ:適切な権限で安全に共有しよう
アクセス権の適切な設定は、セキュリティと効率の両立に不可欠です。
この記事のポイントまとめ
3つの基本アクセス権:
- 閲覧者:見るだけ、最も安全
- コメント可:フィードバック収集
- 編集者:共同作業、慎重に
設定方法:
- 右クリック → 共有
- メールアドレス入力
- アクセス権を選択 → 送信
管理のポイント:
- 定期的に見直し
- 不要な共有は削除
- 権限変更は即座に反映
詳細設定:
- ダウンロード禁止設定
- 編集者による共有制限
- 所有権の譲渡
セキュリティ:
- 必要最小限の権限
- 機密情報は個別招待
- 月1回の見直し
用途別おすすめ設定
取引先への資料提供:
→ 閲覧者 + ダウンロード禁止
チームでの共同編集:
→ 編集者 + 編集者による共有制限
レビュー・校正依頼:
→ 閲覧者(コメント可)
公開資料の配布:
→ リンク共有(閲覧者)
機密プロジェクト:
→ 個別招待(閲覧者または編集者)+ 全ての制限を有効化
最後に:権限管理は継続的な作業
アクセス権の設定は、一度やって終わりではありません。
覚えておきたいこと:
- 状況に応じて変更する
- 定期的に見直す
- 疑ったら制限を強く
- セキュリティと効率のバランス
この記事で紹介した方法を使って、安全かつ効率的にファイル共有を行ってください。
適切な権限設定で、安心して共同作業を楽しみましょう!
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