「Thunderbirdを特定のプロファイルで起動したい」「コマンドラインから直接メールを作成したい」
Thunderbirdには、コマンドラインから起動する際に使える便利なオプションがたくさんあります。
これらのオプションを使えば、複数のプロファイルを切り替えたり、特定のモードで起動したり、メール作成を自動化したりできるんです。
この記事では、Thunderbirdのコマンドラインオプションの使い方を、初心者にも分かりやすく解説していきます。
コマンドラインオプションとは

まず、コマンドラインオプションの基本を理解しておきましょう。
コマンドラインオプションの定義
コマンドラインオプションとは、アプリケーションを起動する時に、追加の指示を与えるための文字列のことです。
身近な例え:
レストランで注文する時に「ハンバーガー、チーズ抜き、ピクルス多めで」と指定するようなもの。
基本の「ハンバーガー」に、追加の指示(オプション)を付けるイメージです。
Thunderbirdでの使い方
通常、Thunderbirdはアイコンをダブルクリックして起動しますが、コマンドラインから起動すると、特別な動作をさせられます。
例:
thunderbird -ProfileManager
このコマンドを実行すると、Thunderbirdがプロファイルマネージャーを表示して起動します。
コマンドラインの起動方法(OS別)
まず、各OSでコマンドラインからThunderbirdを起動する基本方法を紹介します。
Windows
方法1:コマンドプロンプトから起動
手順:
- Windowsキー+Rで「ファイル名を指定して実行」を開く
cmd
と入力してEnter- コマンドプロンプトが開く
- 以下を入力(インストール場所に応じて調整):
"C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe"
オプション付きの例:
"C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -ProfileManager
方法2:ファイル名を指定して実行
手順:
- Windowsキー+Rを押す
- 直接コマンドを入力:
thunderbird -ProfileManager
- Enterで実行
※システムのPATH環境変数にThunderbirdが登録されている場合のみ有効
Mac
ターミナルから起動
手順:
- Finder→「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「ターミナル」を開く
- 以下を入力:
/Applications/Thunderbird.app/Contents/MacOS/thunderbird
オプション付きの例:
/Applications/Thunderbird.app/Contents/MacOS/thunderbird -ProfileManager
Linux
ターミナルから起動
手順:
- ターミナルを開く
- 以下を入力(ディストリビューションによって場所が異なる):
thunderbird
オプション付きの例:
thunderbird -ProfileManager
主要なコマンドラインオプション一覧

Thunderbirdで使える便利なオプションを紹介します。
プロファイル関連オプション
-ProfileManager
機能:
プロファイルマネージャーを起動します。
複数のプロファイルを作成・選択・削除できます。
使用例:
thunderbird -ProfileManager
こんな時に使う:
- 複数のプロファイルを切り替えたい
- 新しいプロファイルを作成したい
- 仕事用とプライベート用を分けたい
-P "プロファイル名"
機能:
指定したプロファイルで直接起動します。
プロファイルマネージャーを経由せず、特定のプロファイルを開けます。
使用例:
thunderbird -P "仕事用"
こんな時に使う:
- 常に特定のプロファイルで起動したい
- ショートカットで使い分けたい
-profile "パス"
機能:
指定したパスのプロファイルを使用して起動します。
プロファイルの保存場所を指定できます。
使用例:
thunderbird -profile "D:\ThunderbirdProfiles\Work"
こんな時に使う:
- プロファイルを別のドライブに保存している
- USBメモリ上のプロファイルを使いたい
トラブルシューティング用オプション
-safe-mode
機能:
セーフモードで起動します。
すべてのアドオンが無効化され、基本機能のみで起動します。
使用例:
thunderbird -safe-mode
こんな時に使う:
- アドオンが原因で動作がおかしい
- 起動時にエラーが出る
- トラブルの原因を特定したい
-purgecaches
機能:
JavaScriptキャッシュをクリアして起動します。
動作が不安定な時に試すと効果的です。
使用例:
thunderbird -purgecaches
こんな時に使う:
- 表示がおかしい
- 動作が重い
- キャッシュの問題が疑われる
メール作成・送信オプション
-compose
機能:
新規メール作成ウィンドウを開きます。
使用例:
thunderbird -compose
こんな時に使う:
- 素早くメール作成画面を開きたい
- Thunderbirdを起動すると同時にメールを書き始めたい
mailto: プロトコル
機能:
特定の宛先でメール作成画面を開きます。
件名や本文も事前に設定できます。
基本構文:
thunderbird -compose "to='メールアドレス'"
詳細な使用例:
thunderbird -compose "to='yamada@example.com',subject='会議のご案内',body='お世話になっております。'"
パラメータ:
to=
:宛先cc=
:CCbcc=
:BCCsubject=
:件名body=
:本文attachment=
:添付ファイル(ファイルパス)
添付ファイル付きの例:
thunderbird -compose "to='yamada@example.com',subject='報告書',attachment='C:\Documents\report.pdf'"
複数の宛先:
thunderbird -compose "to='yamada@example.com,tanaka@example.com'"
その他の便利なオプション
-addressbook
機能:
アドレス帳を開きます。
使用例:
thunderbird -addressbook
こんな時に使う:
- 連絡先を素早く確認したい
- アドレス帳だけを開きたい
-calendar
機能:
カレンダー画面を開きます。
使用例:
thunderbird -calendar
こんな時に使う:
- スケジュールを素早く確認したい
- カレンダーから起動したい
機能:
メール画面を開きます(デフォルト動作)。
使用例:
thunderbird -mail
-offline
機能:
オフラインモードで起動します。
ネットワークに接続せず、ローカルのメールのみを扱います。
使用例:
thunderbird -offline
こんな時に使う:
- オフライン環境で作業したい
- ネットワーク接続を避けたい
-version
機能:
Thunderbirdのバージョン情報を表示します。
使用例:
thunderbird -version
複数のオプションを組み合わせる
複数のオプションを同時に指定することもできます。
組み合わせ例1:特定のプロファイルでセーフモード起動
thunderbird -P "仕事用" -safe-mode
組み合わせ例2:特定のプロファイルでオフライン起動
thunderbird -P "プライベート" -offline
組み合わせ例3:プロファイル指定してメール作成
thunderbird -P "仕事用" -compose "to='boss@company.com',subject='報告'"
ショートカットでコマンドラインオプションを使う
毎回コマンドを入力するのは面倒なので、ショートカットに設定しましょう。
Windows
ショートカットの作成手順
手順:
- デスクトップを右クリック→「新規作成」→「ショートカット」
- 「項目の場所を入力してください」に以下を入力:
"C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -P "仕事用"
- 「次へ」をクリック
- ショートカット名を入力(例:「Thunderbird(仕事用)」)
- 「完了」をクリック
これで、ダブルクリックするだけで特定のプロファイルで起動できます。
アイコンの変更
手順:
- ショートカットを右クリック→「プロパティ」
- 「アイコンの変更」をクリック
- Thunderbirdのアイコンを選択
Mac
エイリアスまたはスクリプトの作成
スクリプト例(AppleScript):
- 「スクリプトエディタ」を開く
- 以下を入力:
do shell script "/Applications/Thunderbird.app/Contents/MacOS/thunderbird -P '仕事用' > /dev/null 2>&1 &"
- 「ファイル」→「書き出す」→「アプリケーション」として保存
バッチファイルで自動化(Windows)
より高度な自動化には、バッチファイルを作成します。
バッチファイルの作成例
例1:プロファイル選択メニュー
@echo off
echo Thunderbirdプロファイル選択
echo 1. 仕事用
echo 2. プライベート
echo 3. テスト用
set /p choice=番号を選択してください:
if %choice%==1 start "" "C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -P "仕事用"
if %choice%==2 start "" "C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -P "プライベート"
if %choice%==3 start "" "C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -P "テスト用"
このバッチファイルを実行すると、プロファイルを選択できるメニューが表示されます。
バッチファイルの保存方法
- メモ帳を開く
- 上記のコードを貼り付け
- 「ファイル」→「名前を付けて保存」
- ファイル名を「thunderbird.bat」とする(拡張子を.batに)
- 保存場所を選択して保存
実用的な使用例
コマンドラインオプションの実際の活用シーンを紹介します。
使用例1:仕事用とプライベートを完全に分ける
ショートカット1(仕事用):
thunderbird -P "Work"
ショートカット2(プライベート):
thunderbird -P "Private"
デスクトップに2つのショートカットを作成し、使い分けます。
使用例2:日報メールを自動作成
バッチファイル例:
@echo off
set TODAY=%date:~0,10%
start "" "C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -compose "to='boss@company.com',subject='日報_%TODAY%'"
このバッチファイルを実行すると、上司宛の日報メールが自動的に作成されます。
使用例3:トラブル時の診断モード起動
ショートカット:
thunderbird -safe-mode -purgecaches
アドオンを無効化し、キャッシュをクリアして起動するため、トラブルの原因を特定しやすくなります。
使用例4:USBメモリで持ち運ぶポータブル版
ショートカット(USBメモリ内):
thunderbird.exe -profile ".\profile"
相対パスを使うことで、USBメモリのドライブレターが変わっても動作します。
注意点とトラブル対処

コマンドラインオプションを使う際の注意点です。
注意点1:パスにスペースが含まれる場合
パスにスペースが含まれる場合は、必ずダブルクォーテーション("
)で囲みます。
正しい例:
"C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe"
間違い例:
C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe
注意点2:大文字・小文字の区別
オプション名は大文字・小文字を区別します。
正しい:
-ProfileManager
間違い:
-profilemanager
注意点3:既にThunderbirdが起動している場合
既にThunderbirdが起動している状態で、別のプロファイルを開こうとしても、新しいウィンドウが開かないことがあります。
対処法:
- Thunderbirdを完全に終了
- タスクマネージャーでプロセスが残っていないか確認
- 再度コマンドを実行
トラブル:「Thunderbirdは既に起動しています」エラー
原因:
同じプロファイルを複数起動しようとしている
対処法:
- 既存のThunderbirdウィンドウを確認
- タスクマネージャーで強制終了
-no-remote
オプションを追加(非推奨だが強制起動可能)
高度なオプション(上級者向け)
-console
機能:
エラーコンソールを表示します(デバッグ用)。
使用例:
thunderbird -console
-jsconsole
機能:
JavaScriptコンソールを開きます(開発者向け)。
使用例:
thunderbird -jsconsole
-no-remote
機能:
新しいThunderbirdインスタンスを強制的に起動します。
同じプロファイルでも複数起動できますが、データ破損のリスクがあります。
使用例:
thunderbird -no-remote -P "Work"
警告:
このオプションは、プロファイルの破損を引き起こす可能性があるため、通常は使用しないでください。
よくある質問
Q. コマンドラインオプションの一覧はどこで確認できる?
A. 公式ドキュメントまたは-help
オプションで確認できます。
thunderbird -help
このコマンドで、利用可能なオプションの一覧が表示されます(英語)。
Q. プロファイル名にスペースが含まれる場合は?
A. シングルクォーテーションで囲みます。
thunderbird -P "My Profile"
Q. バッチファイルやスクリプトから起動すると、ウィンドウが残る
A. start
コマンド(Windows)や&
(Mac/Linux)を使います。
Windows:
start "" "C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe"
Mac/Linux:
/Applications/Thunderbird.app/Contents/MacOS/thunderbird &
Q. 複数のプロファイルを同時に起動できる?
A. 可能ですが、推奨されません。
-no-remote
オプションを使えば可能ですが、データ破損のリスクがあります。
通常は、プロファイルを切り替えて使うことをおすすめします。
まとめ:コマンドラインオプションで効率アップ
Thunderbirdのコマンドラインオプションを使いこなせば、より効率的にメール管理ができます。
基本的なオプション:
-ProfileManager
:プロファイル選択-P "プロファイル名"
:特定のプロファイルで起動-safe-mode
:セーフモード起動-compose
:メール作成
活用方法:
- ショートカットで複数プロファイルを使い分け
- バッチファイルでメール作成を自動化
- トラブル時にセーフモードで診断
注意点:
- パスにスペースがある場合は
"
で囲む - オプション名は大文字・小文字を区別
- 既に起動中のプロファイルは開けない
実用例:
- 仕事用・プライベート用で完全分離
- 日報や定型メールの自動作成
- USBメモリでポータブル運用
コマンドラインオプションは、一度設定すれば毎日の作業が楽になる便利な機能です。
この記事を参考に、自分の使い方に合ったカスタマイズをしてみてくださいね!
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