Thunderbirdを使っていて、「メールが送信できなくなった」「SMTPサーバーのパスワードを入力してくださいと表示される」という経験はありませんか?
実は、Thunderbirdに保存されているSMTPパスワードは、特定の手順で確認することができます。パスワードを忘れてしまっても、慌てる必要はありません。
この記事では、ThunderbirdでSMTPパスワードを確認する方法から、パスワードを忘れた場合の対処法まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
そもそもSMTPって何?

まずは基本から確認しましょう。
SMTPとは
SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)は、メールを送信するときに使う仕組みのことです。
簡単に言うと:
- 受信 = POPやIMAPサーバー
- 送信 = SMTPサーバー
メールを送るときは、必ずSMTPサーバーを経由します。そのため、SMTPサーバーにログインするためのパスワードが必要になるんです。
なぜパスワードが必要なの?
セキュリティのためです。
誰でも勝手にメールを送れてしまうと、迷惑メールやなりすましメールが増えてしまいます。そこで、本人確認のためにパスワードが必要になるわけです。
Thunderbirdでパスワードを確認する方法
Thunderbirdには、保存されているパスワードを確認できる機能があります。
ステップ1:設定画面を開く
方法1:メニューから開く
- Thunderbirdを起動
- 画面右上の「三本線メニュー」をクリック
- 「設定」を選択
方法2:ショートカットキーを使う
- Windowsの場合:
Alt + E
を押してからN
を押す - Macの場合:メニューバーから「Thunderbird」→「設定」
ステップ2:プライバシーとセキュリティを開く
- 左側のメニューから「プライバシーとセキュリティ」をクリック
- ページを下にスクロール
- 「保存されているパスワード」という項目を探します
ステップ3:パスワードを表示する
- 「保存されているパスワード…」ボタンをクリック
- 新しいウィンドウが開きます
- 「パスワードを表示」ボタンをクリック
- 確認メッセージが出たら「はい」を選択
すると、以下の情報が表示されます:
- サーバーのアドレス(例:smtp.gmail.com)
- ユーザー名(メールアドレス)
- パスワード(●●●で隠されていたものが表示される)
ステップ4:SMTPのパスワードを見つける
表示されたリストの中から、「smtp」で始まるサーバーを探しましょう。
例:
smtp.gmail.com
smtp.yahoo.co.jp
smtp.example.com
これがあなたの送信サーバーのパスワードです。
パスワードが表示されない場合の原因
原因1:パスワードが保存されていない
Thunderbirdには、パスワードを保存するかどうかを選べる機能があります。保存していない場合は、リストに表示されません。
確認方法:
メール送信時に毎回パスワードを入力していませんか?
原因2:マスターパスワードが設定されている
セキュリティ強化のため、マスターパスワードを設定している場合があります。
対処法:
- パスワード表示時にマスターパスワードの入力を求められます
- 設定したマスターパスワードを入力してください
原因3:古いバージョンを使っている
古いバージョンのThunderbirdでは、設定画面の場所が異なる場合があります。
対処法:
- メニューバーから「ツール」→「オプション」を選択
- 「セキュリティ」タブをクリック
- 「パスワード」タブを選択
パスワードを忘れてしまった場合の対処法
保存されているパスワードも見つからない、マスターパスワードも忘れてしまった…そんな時はどうすればいいでしょうか?
対処法1:メールプロバイダーのサイトで確認
Thunderbirdに保存されているのは、メールプロバイダーのパスワードです。
手順:
- ブラウザでメールプロバイダーのサイトにアクセス
- ログインできる場合 → そのパスワードがSMTPパスワード
- ログインできない場合 → パスワードリセットが必要
対処法2:パスワードをリセットする
各メールプロバイダーのパスワードリセット手順に従います。
Gmail(Google)の場合:
- Googleのログインページにアクセス
- 「パスワードを忘れた場合」をクリック
- 本人確認の質問に答える
- 新しいパスワードを設定
Yahoo!メールの場合:
- Yahoo!のログインページにアクセス
- 「IDまたはパスワードがわからない」をクリック
- 登録した電話番号やメールアドレスで本人確認
- 新しいパスワードを設定
その他のプロバイダー:
各プロバイダーのサポートページを確認してください。
対処法3:Thunderbirdのパスワードを再入力
新しいパスワードを設定したら、Thunderbirdにも反映させましょう。
手順:
- アカウント設定を開く
- 左側で該当アカウントを選択
- 下部の「送信(SMTP)サーバー」をクリック
- 使用しているSMTPサーバーを選択
- 「編集」ボタンをクリック
- 新しいパスワードを入力
パスワード認証エラーが出る場合
「パスワードが間違っています」というエラーが出る場合、いくつかの原因が考えられます。
原因1:アプリパスワードが必要
GmailやYahoo!メールなどでは、アプリパスワードという特別なパスワードが必要な場合があります。
アプリパスワードとは?
普段のログインパスワードとは別の、アプリ専用のパスワードです。セキュリティ強化のために使われます。
Gmailでアプリパスワードを取得する方法:
- Googleアカウントにログイン
- セキュリティ設定を開く
- 「2段階認証プロセス」を有効にする
- 「アプリパスワード」を生成
- 生成されたパスワードをThunderbirdに入力
原因2:2段階認証が有効になっている
2段階認証を使っている場合、通常のパスワードでは認証できません。
対処法:
- アプリパスワードを使用する
- または、2段階認証の設定で「安全性の低いアプリのアクセス」を許可する(非推奨)
原因3:サーバー設定が間違っている
パスワードは正しくても、サーバーの設定が間違っていると送信できません。
確認すべき項目:
- サーバーのアドレス(smtp.gmail.comなど)
- ポート番号(通常は587または465)
- 接続の保護(STARTTLSまたはSSL/TLS)
- 認証方式(通常のパスワード認証)
主要メールサービスのSMTP設定一覧
正しいパスワードを入力しても送信できない場合は、サーバー設定を確認しましょう。
Gmail
- SMTPサーバー: smtp.gmail.com
- ポート: 587(推奨)または465
- 接続の保護: STARTTLS(587)またはSSL/TLS(465)
- 認証: 必要
- ユーザー名: フルのメールアドレス
- パスワード: アプリパスワード
Yahoo!メール
- SMTPサーバー: smtp.mail.yahoo.co.jp
- ポート: 587または465
- 接続の保護: STARTTLS(587)またはSSL/TLS(465)
- 認証: 必要
- ユーザー名: @より前の部分(または全体)
- パスワード: Yahoo!のパスワード
Outlook.com / Hotmail
- SMTPサーバー: smtp-mail.outlook.com
- ポート: 587
- 接続の保護: STARTTLS
- 認証: 必要
- ユーザー名: フルのメールアドレス
- パスワー: Microsoftアカウントのパスワード
iCloud
- SMTPサーバー: smtp.mail.me.com
- ポート: 587
- 接続の保護: STARTTLS
- 認証: 必要
- ユーザー名: フルのメールアドレス
- パスワード: App用パスワード
パスワードを安全に管理するコツ
1. マスターパスワードを設定する
Thunderbirdには、すべてのパスワードを保護するマスターパスワード機能があります。
設定方法:
- 設定から「プライバシーとセキュリティ」を開く
- 「マスターパスワードを使用する」にチェック
- 任意のパスワードを設定
メリット:
- Thunderbird起動時にパスワードを入力しないと使えない
- 他人に勝手に使われる心配がない
- 保存されているすべてのパスワードが保護される
2. 定期的にパスワードを変更する
セキュリティを高めるため、定期的な変更をおすすめします。
推奨頻度:
- 3〜6ヶ月に1回
- 不審なアクセスを検知した場合はすぐに変更
3. 強力なパスワードを使う
良いパスワードの条件:
- 8文字以上
- 大文字・小文字・数字・記号を組み合わせる
- 辞書に載っている単語は避ける
- 誕生日や電話番号は使わない
例:
- 悪い例:
password123
、tanaka1990
- 良い例:
Tk9#mL2$pQ7w
4. パスワード管理ツールの活用
複雑なパスワードを覚えるのは大変です。パスワード管理ツールの使用を検討しましょう。
主なパスワード管理ツール:
- 1Password
- LastPass
- Bitwarden
- KeePass(無料)
よくある質問と回答
Q1. パスワードを確認したら、メモしてもいいですか?
A. 紙にメモする場合は、安全な場所に保管してください。
ただし、以下の点に注意:
- パソコンの画面やキーボードに貼らない
- 誰でも見られる場所に置かない
- デジタルメモは暗号化する
Q2. SMTPパスワードと受信パスワードは同じですか?
A. 多くの場合、同じです。
メールアカウントのパスワードが、送信(SMTP)と受信(POP/IMAP)の両方で使われます。ただし、一部のサービスでは別々のパスワードを設定する場合もあります。
Q3. パスワードが何度も間違いと言われます
A. 以下を確認してください:
- 全角・半角の間違い
- 大文字・小文字の間違い
- スペースの有無
- アプリパスワードが必要かどうか
- パスワードの有効期限切れ
Q4. マスターパスワードも忘れてしまいました
A. 残念ながら、リセットするとすべてのパスワードが削除されます。
手順:
- Thunderbirdを終了
- プロファイルフォルダを開く
key4.db
とlogins.json
を削除- Thunderbirdを再起動
- すべてのパスワードを再入力
セキュリティ上の注意点
共用パソコンでの使用
会社や学校など、複数人が使うパソコンでThunderbirdを使う場合は要注意です。
対策:
- パスワードを保存しない設定にする
- 使用後は必ずログアウト
- マスターパスワードを設定する
公共Wi-Fiでの使用
カフェや空港などの公共Wi-Fiは、セキュリティリスクがあります。
対策:
- SSL/TLS接続を必ず使用する
- VPNを使用する
- 重要なメールの送受信は避ける
不審なパスワード要求
突然パスワードを求められた場合は、慎重に対応しましょう。
チェックポイント:
- 正規のThunderbirdの画面か確認
- フィッシング詐欺の可能性はないか
- サーバーアドレスが正しいか確認
トラブルシューティング
パスワードを入力しても保存されない
原因:
- 「パスワードマネージャーにパスワードを保存する」のチェックが外れている
- プロファイルが破損している
解決方法:
- アカウント設定を確認
- パスワード入力時に「パスワードマネージャーを使用してパスワードを保存する」にチェック
- それでもダメなら、プロファイルの修復を検討
送信だけができない
原因:
- SMTPサーバーの設定ミス
- ポート番号の間違い
- プロバイダーによる制限
解決方法:
- SMTP設定を再確認
- ポート587と465の両方を試す
- プロバイダーのサポートに問い合わせ
まとめ:パスワード管理は慎重に
ThunderbirdのSMTPパスワードは、設定画面から簡単に確認できます。
この記事のポイント:
✅ 保存されているパスワードの確認方法
設定 → プライバシーとセキュリティ → 保存されているパスワード
✅ パスワードを忘れた場合
メールプロバイダーのサイトでリセット
✅ アプリパスワードが必要な場合も
Gmail、Yahoo!などでは専用パスワードを生成
✅ セキュリティ対策が重要
マスターパスワードの設定、定期的な変更
✅ 正しいサーバー設定を確認
ポート番号、接続の保護方式をチェック
最後に:
パスワードは、あなたのメールを守る大切な鍵です。忘れないように安全に管理し、定期的に変更することをおすすめします。
もし送信エラーが続く場合は、パスワードだけでなく、サーバー設定全体を見直してみましょう。この記事の手順に従えば、ほとんどの問題は解決できるはずです!
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