【大きな耳で飛ぶ不気味な生首】チョンチョンとは?その姿・特徴・伝承をやさしく解説!

神話・歴史・伝承

夜中に「チュエ、チュエ、チュエ」という不気味な鳴き声を聞いたことはありますか?

それは南米チリに伝わる、耳を翼のように羽ばたかせて飛ぶ人間の頭「チョンチョン」かもしれません。

病人の血を吸い、死を予告する恐ろしい魔物として恐れられているんです。

この記事では、南米の夜空を飛び回る吸血生首「チョンチョン」について、その不気味な姿や特徴、興味深い伝承を分かりやすくご紹介します。

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概要

Fpini – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4315335による

チョンチョンは、南米チリのマプチェ族に伝わる恐ろしい魔物です。

人間の頭だけの姿をしており、巨大な耳を翼のように羽ばたかせて夜空を飛び回るという、とても奇妙な存在なんですね。アラウカノ族の伝承としても知られ、チリやアルゼンチンで語り継がれています。

この空飛ぶ生首は、実は魔法使い(カルク)が変身した姿だといわれています。特に女性が魔術師と契約して、首だけが体から離れて飛ぶ秘術を身につけたものだとか。

南米版のヴァンパイアとも呼ばれ、病人の血を吸う恐ろしい存在として恐れられているんです。

姿・見た目

チョンチョンの姿は、まさに悪夢のような異形です。

チョンチョンの外見的特徴

  • 頭部:人間の頭そのもの(体はない)
  • :異常に巨大で、翼として機能する
  • 羽毛:頭部に羽毛が生えていることもある
  • :鋭い鉤爪を持つ場合もある
  • 大きさ:人間の頭と同じくらい

その姿は本当に奇怪で、人間の生首が大きな耳を羽ばたかせて飛ぶ光景を想像すると、ぞっとしますよね。まるで悪夢から抜け出してきたような存在です。

面白いことに、普通の人には姿が見えず、魔術師や魔力を求める者だけがその恐ろしい姿を目撃できるといわれています。

特徴

チョンチョンには、他の妖怪にはない独特な特徴があります。

主な能力と習性

  • 飛行能力:巨大な耳を翼のように使って飛ぶ
  • 不気味な鳴き声:「チュエ、チュエ、チュエ」と鳴く
  • 吸血:病人や眠っている人の血を吸う
  • 姿を隠す:普通の人には見えない
  • 夜行性:月のない夜に活動する
  • 死の予告:鳴き声は愛する人の死の前兆

チョンチョンになる方法

マプチェ族の伝承によると、チョンチョンになるには特別な手順があります。魔術師(カルク)が喉に魔法のクリームを塗ることで、首が体から離れて飛べるようになるんだとか。

特に強力な魔術師だけがこの変身術を使えるといわれ、夜になると地下にあるレニという秘密の集会所に飛んでいき、他の魔術師たちと宴を開くそうです。

伝承

チョンチョンにまつわる伝説は、恐怖に満ちています。

病人を襲う死の使者

チョンチョンは病人のいる家の周りを飛び回り、その魂と戦うといわれています。

現地の人々は、病人の周りでチョンチョンの鳴き声が聞こえると、それは病人が死ぬ前兆だと信じているんです。

チョンチョンが病人の魂との戦いに勝つと、家に入り込んで血を吸い尽くしてしまうとか。

夫が目撃した恐怖

ある男性が夜中にふと目を覚ますと、隣で寝ているはずの妻の首がなくなっていた、という話があります。妻の首はチョンチョンとなって飛び回っていたというんです。

退治の方法

チョンチョンを退治する秘密の方法も伝えられています。

チョンチョン退治法

  • 地面にソロモンの印(六芒星)を描く
  • 秘密の呪文を唱える
  • 特定の方法で衣服を並べる

ある村では、秘密の呪文を知る者がチョンチョンを撃ち落とし、巨大な鳥のような生き物が空から落ちてきたそうです。村人たちは首を切り落として犬に与え、体は屋根の上に放り投げました。翌日、村の墓掘り人は首のない死体を埋葬したと報告したといいます。

起源

チョンチョン伝説の起源は、マプチェ族の古い信仰にあります。

マプチェ族の魔術信仰

マプチェ族では、カルクと呼ばれる邪悪な魔術師が、悪霊(ウェクフェ)と契約を結ぶと信じられていました。カルクは様々な使い魔を操り、その中にチョンチョンも含まれていたんです。

世界の類似伝承

首が体から離れて飛ぶという伝承は、実は世界中にあります。

  • 東南アジアの飛頭蛮(ひとうばん)
  • 中国の飛頭蛮
  • 日本の轆轤首(ろくろくび)や抜け首

これらの共通点から、人間の根源的な恐怖が生み出した普遍的な怪物像なのかもしれません。

文献への記録

チョンチョンが広く知られるようになったのは、チリの民俗学者ビクトリア・シフエンテスがアラウカノ族の伝承を採集し、本にまとめたことがきっかけです。その後、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの『幻獣辞典』にも収録され、世界的に知られるようになりました。

まとめ

チョンチョンは、南米チリの夜を支配する恐怖の吸血魔物です。

重要なポイント

  • 南米チリ・マプチェ族の伝承に登場する魔物
  • 人間の頭に巨大な耳が生えた姿
  • 耳を翼のように使って飛ぶ
  • 「チュエ、チュエ」という不気味な鳴き声
  • 病人の血を吸う吸血鬼
  • 魔術師(カルク)が変身した姿
  • 鳴き声は死の前兆とされる
  • ソロモンの印で退治できる
  • 普通の人には姿が見えない

もし夜中に「チュエ、チュエ」という声が聞こえたら、それはチョンチョンかもしれません。

でも安心してください。
日本には飛んでこないはずですから。

ただ、世界には私たちの想像を超える恐ろしい伝承があることを、改めて実感させられますね。

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