パソコンの動作が重い、エラーが頻発する、ウイルスに感染したかも…
こんな悩みを一気に解決する最終手段が「クリーンインストール」です。
クリーンインストールとは、今あるWindowsを完全に削除して、まっさらな状態から新しくWindowsをインストールすること。工場出荷時よりもきれいな状態にできるんです。
「でも、難しそう…」と思うかもしれませんが、大丈夫!この記事では、大切なデータのバックアップから、インストールメディアの作成、実際のインストール手順まで、画像付きで分かりやすく解説していきます。
Windows 11とWindows 10、両方の手順を説明するので、お使いの環境に合わせて進めてくださいね。
クリーンインストールの基礎知識

クリーンインストールとは?上書きインストールとの違い
クリーンインストール:
- ハードディスクを完全に初期化
- すべてのデータとアプリが削除される
- Windowsを一から新規インストール
- 最もクリーンで安定した状態になる
上書きインストール(アップグレード):
- 個人ファイルやアプリを残したまま更新
- 設定やドライバーも引き継がれる
- 問題も一緒に引き継ぐ可能性がある
- 手軽だが、根本的な解決にならない場合も
メリット:こんな時におすすめ!
✅ パフォーマンスの向上
長年使って遅くなったPCが、新品のような速さに戻ります。
✅ 不具合の完全解決
原因不明のエラーや、しつこいトラブルも一掃できます。
✅ ウイルスの完全除去
マルウェアやウイルスも、データごと完全に削除されます。
✅ 容量の大幅削減
不要なファイルやゴミデータがなくなり、ストレージに余裕が生まれます。
デメリット:注意すべき点
❌ すべてのデータが消える
写真、動画、ドキュメント、すべて削除されます。
❌ アプリの再インストールが必要
Office、ゲーム、ツールなど、すべて入れ直しです。
❌ 設定のやり直し
Wi-Fi設定、プリンター設定など、一から設定し直します。
❌ 時間がかかる
準備から完了まで、半日から1日は見ておきましょう。
事前準備:失敗しないための重要ステップ
STEP1:必要なものをチェック
必須アイテム:
- USBメモリ(8GB以上、できれば16GB)
- プロダクトキー(必要な場合)
- 外付けHDDやクラウドストレージ(バックアップ用)
- 安定したインターネット接続
- 2〜3時間の作業時間
STEP2:プロダクトキーの確認と保存
Windows 10/11のプロダクトキー確認方法:
コマンドプロンプトで確認:
wmic path softwarelicensingservice get OA3xOriginalProductKey
PowerShellで確認:
(Get-WmiObject -query 'select * from SoftwareLicensingService').OA3xOriginalProductKey
デジタルライセンスの場合:
- Microsoftアカウントに紐付いている
- プロダクトキー不要で再認証可能
- 設定 → 更新とセキュリティ → ライセンス認証で確認
STEP3:データのバックアップ(超重要!)
バックアップすべきデータ:
個人ファイル:
- ドキュメント、ピクチャ、ビデオ、ミュージック
- デスクトップのファイル
- ダウンロードフォルダ
アプリケーション関連:
- ブラウザのブックマーク
- メールのデータ(Outlookのpstファイルなど)
- ゲームのセーブデータ
- 各種ソフトの設定ファイル
システム関連:
- ドライバーのインストーラー(特にメーカー製PC)
- Wi-Fiのパスワード
- プリンターの設定情報
バックアップ方法:
- 外付けHDDにコピー
- クラウドストレージ(OneDrive、Google Drive)にアップロード
- 別のPCに転送
STEP4:必要なソフトのリストアップ
再インストールが必要なソフトをメモしておきます。
確認方法:
- 設定 → アプリ → アプリと機能
- インストールされているアプリ一覧を確認
- 必要なものをリストアップ
- ダウンロード先URLも控える
インストールメディアの作成
Windows 11のインストールメディア作成
公式ツールを使う方法:
- Microsoft公式サイトにアクセス
- 「Windows 11 をダウンロードする」ページへ
- 「Windows 11 のインストール メディアを作成する」を選択
- 「今すぐダウンロード」をクリック
- ダウンロードした「MediaCreationToolW11.exe」を実行
- ライセンス条項に同意
- 「別の PC のインストール メディアを作成する」を選択
- 言語、エディション、アーキテクチャを選択
- 通常は「このPCにおすすめのオプションを使う」でOK
- 「USBフラッシュドライブ」を選択
- USBメモリを選択して「次へ」
- ダウンロードとメディア作成が完了するまで待つ
Windows 10のインストールメディア作成
手順はWindows 11とほぼ同じです。
- Microsoft公式サイトの「Windows 10 のダウンロード」ページへ
- 「ツールを今すぐダウンロード」
- 以降の手順はWindows 11と同様
ISOファイルから作成する方法
USBメモリ以外にDVDを使いたい場合の方法です。
- メディア作成ツールで「ISOファイル」を選択
- ISOファイルを保存
- RufusなどのツールでUSBメモリに書き込み
- または、DVDに焼く
クリーンインストールの実行手順
起動順序の変更(BIOS/UEFI設定)
USBから起動するための設定:
- PCの電源を入れる
- メーカーロゴが出たら特定のキーを連打
- Dell: F12
- HP: F9またはEsc
- Lenovo: F12
- ASUS: F8またはEsc
- その他: F2、F10、F11、Deleteなど
- Boot MenuでUSBメモリを選択
- Enterキーで起動
UEFIモードとレガシーモード:
- 新しいPC(2012年以降):UEFIモード推奨
- セキュアブート:有効のままでOK(Windows 11は必須)
Windows 11のインストール手順
- 言語とキーボードの選択
- 日本語、日本語キーボードを選択
- 「次へ」をクリック
- 「今すぐインストール」をクリック
- プロダクトキーの入力
- キーがある場合:入力
- デジタルライセンス:「プロダクトキーがありません」
- エディションの選択
- Windows 11 Home
- Windows 11 Pro
- 元のエディションと同じものを選択
- ライセンス条項に同意
- インストールの種類を選択
- 「カスタム:Windowsのみをインストールする」を選択
- ※上の選択肢はアップグレード用
- インストール先の選択
- すべてのパーティションを削除(データ完全消去)
- 「新規」で新しいパーティション作成
- または「未割り当て領域」を選択して「次へ」
- インストール開始
- ファイルのコピー
- 機能のインストール
- 更新プログラムのインストール
- 自動で数回再起動
- 初期設定(OOBE)
- 地域:日本
- キーボードレイアウト:Microsoft IME
- ネットワーク接続(スキップ可能な場合も)
- Microsoftアカウントでサインイン(またはローカルアカウント)
Windows 10の場合の違い
基本的な流れは同じですが、以下の点が異なります:
- システム要件が緩い(TPM 2.0不要)
- ローカルアカウントの作成が簡単
- 初期設定の項目が少ない
- Cortanaの音声ガイダンスあり
パーティション管理のコツ
推奨パーティション構成:
- Cドライブ:150GB以上(OS用)
- Dドライブ:残り容量(データ用)
作成方法:
- インストール時に「新規」でCドライブ分を作成
- 残りは「未割り当て」のまま
- Windows起動後にディスク管理で作成
インストール後の設定
必須!最初にやるべき設定
1. Windows Update
設定 → Windows Update → 更新プログラムのチェック
すべての更新が完了するまで繰り返します。
2. ドライバーのインストール
- グラフィックドライバー(NVIDIA、AMD、Intel)
- チップセットドライバー
- LANドライバー
- サウンドドライバー
3. セキュリティソフトの導入
- Windows Defenderで十分な場合も
- 必要に応じて市販ソフトをインストール
基本アプリのインストール
まず入れたいソフト:
- Webブラウザ(Chrome、Firefox、Edge)
- 圧縮解凍ソフト(7-Zip)
- PDFリーダー(Adobe Reader)
- オフィスソフト(Microsoft Office、LibreOffice)
便利な一括インストールツール:
- Ninite:複数のソフトをまとめてインストール
- チェックを入れて一括ダウンロード&インストール
システムの最適化設定
高速化設定:
- 不要なスタートアップを無効化
- 視覚効果を調整してパフォーマンス優先に
- 電源プランを「高パフォーマンス」に
プライバシー設定:
- 設定 → プライバシーとセキュリティ
- 不要な情報送信をオフに
- 広告識別子をオフ
バックアップの設定
クリーンインストール直後の状態を保存しておきます。
システムイメージの作成:
- コントロールパネル → バックアップと復元
- 「システムイメージの作成」
- 外付けHDDを選択
- バックアップ開始
復元ポイントの作成:
システムのプロパティ → システムの保護 → 作成
よくあるトラブルと解決方法
Q1:USBから起動できない
解決方法:
- セキュアブートを一時的に無効化
- USBメモリをUSB 2.0ポートに挿す
- 別のUSBメモリで作り直す
- UEFIとレガシーモードを切り替える
Q2:「このPCではWindows 11を実行できません」
原因と対策:
- TPM 2.0が無効:BIOSで有効化
- セキュアブート無効:BIOSで有効化
- CPU非対応:レジストリ編集で回避可能(非推奨)
回避方法(自己責任):
- インストール中に「Shift + F10」
- 「regedit」と入力
- レジストリで制限を回避
Q3:プロダクトキーが認証されない
対処法:
- インターネットに接続して再試行
- 電話認証を試す
- Microsoftアカウントでサインイン
- 以前のデジタルライセンスを確認
Q4:ドライバーが見つからない
解決策:
- メーカーサイトから直接ダウンロード
- デバイスマネージャーで自動検索
- Windows Updateで取得
- 別のPCでダウンロードしてUSBで転送
クリーンインストール vs その他の選択肢
リフレッシュ(このPCを初期状態に戻す)
メリット:
- 個人ファイルを残せる
- 手軽で時間が短い
デメリット:
- 完全にクリーンにはならない
- 一部の問題が残る可能性
システムの復元
使いどころ:
- 特定の時点に戻したい
- 最近発生した問題の解決
修復インストール
特徴:
- アプリと設定を維持
- Windowsファイルのみ更新
- 中間的な解決策
まとめ:クリーンインストールで新品同様のPCに!
Windowsのクリーンインストールについて、準備から実行、設定まで詳しく解説しました。
成功のポイント:
- バックアップは必須:データ消失を防ぐ最重要事項
- インストールメディアは公式ツールで:確実で安全
- ドライバーは事前に準備:スムーズな環境構築
- 初期設定後にバックアップ:きれいな状態を保存
クリーンインストールがおすすめな人:
- PCの動作が重くて困っている
- 原因不明のエラーが頻発する
- ウイルス感染の疑いがある
- 他人に譲渡・売却する前
所要時間の目安:
- 準備:1〜2時間
- インストール:30分〜1時間
- 初期設定:1〜2時間
- アプリ再インストール:2〜3時間
最初は大変に感じるかもしれませんが、一度やってみると意外と簡単です。PCが見違えるように速くなり、快適な環境が手に入ります。
この記事を参考に、ぜひチャレンジしてみてください。新品のようなサクサクPCで、快適なデジタルライフを楽しみましょう!
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