共有フォルダを開こうとしたら、突然こんな画面が…
「Windowsセキュリティ – ネットワーク資格情報の入力」
「ユーザー名とパスワードを入力してください」
何を入力すればいいの?パスワードって何のパスワード?
入力しても「ユーザー名またはパスワードが正しくありません」って出る…
こんな経験、ありませんか?
実はこれ、Windows同士でファイルを共有するときの「身分証明」みたいなものなんです。正しく理解すれば、社内ネットワークや家庭内でのファイル共有がスムーズにできるようになります。
この記事では、ネットワーク資格情報について、基本から応用まで、トラブル解決法も含めて分かりやすく解説していきます。
ネットワーク資格情報とは?基本を理解しよう

そもそも資格情報って何?
ネットワーク資格情報は、簡単に言うと「ネットワーク上の他のコンピューターにアクセスするための身分証明書」です。
イメージしやすい例:
- 会社の入館証のようなもの
- 正しいIDとパスワードがないと入れない
- 一度認証されれば、しばらくは自由に出入りできる
なぜ資格情報の入力が必要なの?
セキュリティのため:
- 誰でもアクセスできたら、大切なファイルが危険
- 正しい権限を持つ人だけがアクセスできるように
- 会社の機密情報や個人情報を守る
アクセス管理のため:
- 誰がいつアクセスしたか記録できる
- 部署ごとに見られるフォルダを制限できる
- 読み取り専用、編集可能などの権限設定が可能
資格情報が求められる場面
よくあるシーン:
- 他のPCの共有フォルダにアクセスするとき
- ネットワークプリンターを使うとき
- NAS(ネットワークHDD)にアクセスするとき
- リモートデスクトップ接続するとき
- 社内サーバーにアクセスするとき
正しい入力方法:これで解決!
基本的な入力パターン
パターン1:同じPC内のアカウント(ローカルアカウント)
ユーザー名:コンピューター名\ユーザー名
例:DESKTOP-ABC123\tanaka
パスワード:そのユーザーのWindowsパスワード
パターン2:Microsoftアカウント
ユーザー名:メールアドレス
例:tanaka@outlook.com
パスワード:Microsoftアカウントのパスワード
パターン3:ドメイン環境(会社など)
ユーザー名:ドメイン名\ユーザー名
例:COMPANY\tanaka
パスワード:ドメインのパスワード
コンピューター名の確認方法
相手のコンピューター名が分からない場合の確認方法です。
アクセス先のPCで確認:
- Windows + Pauseキー(またはシステム設定)
- 「デバイス名」または「コンピューター名」を確認
- これをメモする
コマンドで確認:
hostname
このコマンドでコンピューター名が表示されます。
よく使う入力形式まとめ
ローカルアカウントの場合:
.\ユーザー名
(ピリオドとバックスラッシュ)コンピューター名\ユーザー名
- ユーザー名のみ(場合によってはこれでOK)
ポイント:
「.\」(ピリオド・バックスラッシュ)は、アクセス先のローカルアカウントを指定する便利な書き方です。
よくあるエラーと解決方法
エラー1:「ユーザー名またはパスワードが正しくありません」
確認すべきポイント:
- Caps Lockがオンになっていないか
- キーボードのCaps Lockランプを確認
- 大文字小文字は区別される
- NumLockの状態
- テンキーで数字が入力できるか確認
- ユーザー名の形式
.\ユーザー名
を試すコンピューター名\ユーザー名
を試す- ドメイン環境なら
ドメイン名\ユーザー名
- パスワードが設定されているか
- Windowsパスワードが空欄の場合はアクセスできない
- パスワードを設定する必要がある
エラー2:「アクセスが拒否されました」
原因と対策:
共有の設定を確認:
- 共有フォルダの設定を確認
- アクセス許可にユーザーが含まれているか
- 読み取り/書き込み権限が適切か
設定の修正方法:
- フォルダを右クリック→「プロパティ」
- 「共有」タブ→「詳細な共有」
- 「アクセス許可」でユーザーを追加
- 適切な権限を設定
エラー3:「現在、ログオン要求を処理できるログオンサーバーはありません」
解決方法:
- ネットワーク接続を確認
- 両方のPCが同じネットワークにいるか確認
- Windowsファイアウォールの設定確認
- ネットワーク探索が有効か確認
ネットワーク探索の有効化:
コントロールパネル → ネットワークと共有センター
→ 共有の詳細設定の変更
→ ネットワーク探索を有効にする
エラー4:パスワードなしのアカウントでアクセスできない
Windows 10/11の仕様:
パスワードなしのアカウントは、セキュリティ上の理由でネットワーク経由のアクセスが制限されています。
解決策:
- パスワードを設定する
- または、グループポリシーで許可する(非推奨)
グループポリシーでの設定(上級者向け):
gpedit.msc
を実行- コンピューターの構成 → Windowsの設定 → セキュリティの設定
- ローカルポリシー → セキュリティオプション
- 「アカウント:ローカルアカウントの空のパスワードの使用をコンソールログオンのみに制限する」を無効化
資格情報の保存と管理
資格情報を記憶させる方法
入力時に保存:
- 「資格情報を記憶する」にチェック
- 次回から自動でログイン
- パスワード変更時は再入力が必要
資格情報マネージャーで管理
保存された資格情報を確認・編集・削除する方法です。
資格情報マネージャーの開き方:
- コントロールパネル → 「資格情報マネージャー」
- または Windows + R →
control keymgr.dll
Windows資格情報の管理:
- 「Windows資格情報」をクリック
- 保存されている資格情報の一覧が表示
- 編集:項目をクリック→「編集」
- 削除:項目をクリック→「削除」
資格情報を手動で追加
よくアクセスする場所を事前に登録しておく方法です。
- 資格情報マネージャーを開く
- 「Windows資格情報の追加」をクリック
- 以下を入力:
- インターネットまたはネットワークのアドレス:
\\コンピューター名
- ユーザー名:
コンピューター名\ユーザー名
- パスワード:対象のパスワード
- 「OK」で保存
保存された資格情報のリセット
問題が解決しない場合は、一度すべてリセットすることも有効です。
コマンドでの一括削除:
cmdkey /list
cmdkey /delete:ターゲット名
または、すべて削除:
for /f "tokens=1,2 delims= " %G in ('cmdkey /list ^| findstr Target') do cmdkey /delete:%H
共有フォルダの設定方法
基本的な共有設定
フォルダを共有する側の設定方法です。
簡単な共有設定:
- 共有したいフォルダを右クリック
- 「アクセスを許可する」→「特定のユーザー」
- ユーザーを選択または「Everyone」を追加
- アクセス許可レベルを設定(読み取り/読み取り・書き込み)
- 「共有」をクリック
詳細な共有設定
より細かく権限を設定したい場合の方法です。
- フォルダのプロパティ→「共有」タブ
- 「詳細な共有」をクリック
- 「このフォルダーを共有する」にチェック
- 「アクセス許可」で細かく設定:
- フルコントロール
- 変更
- 読み取り
パスワード保護共有の設定
設定の確認と変更:
- ネットワークと共有センター
- 「共有の詳細設定の変更」
- 「すべてのネットワーク」を展開
- 「パスワード保護共有」の設定:
- 有効:パスワードが必要(推奨)
- 無効:パスワードなしでアクセス可能(危険)
トラブルシューティングのコツ
ネットワーク診断ツールの活用
Windows標準のトラブルシューティング:
- 設定→「更新とセキュリティ」→「トラブルシューティング」
- 「追加のトラブルシューティング」
- 「共有フォルダー」を実行
pingでの接続確認
相手のPCと通信できているか確認する方法です。
ping コンピューター名
または
ping IPアドレス
応答があれば、ネットワーク的には接続可能です。
ファイアウォールとウイルス対策ソフト
一時的に無効化して確認:
- Windows Defenderファイアウォールを一時的にオフ
- アクセスできるか確認
- できた場合は、ファイアウォールの例外設定を追加
例外の追加:
- ファイルとプリンターの共有を許可
- ポート445(SMB)を開放
- 特定のプログラムを許可
セキュリティのベストプラクティス
安全な資格情報管理
やってはいけないこと:
- パスワードを付箋でモニターに貼る
- 簡単なパスワード(123456、password等)
- 全員に同じパスワードを教える
- Everyoneにフルコントロールを与える
推奨される方法:
- 複雑なパスワードを使用(大小英数字記号混在、12文字以上)
- 定期的なパスワード変更
- 必要最小限のユーザーにのみアクセス許可
- 読み取り専用と編集可能を適切に使い分け
共有フォルダのセキュリティ設定
基本原則:
- 必要な人にだけアクセス許可
- 最小限の権限を付与
- 定期的なアクセス権限の見直し
- 機密データは別管理
監査とログの確認
イベントビューアーでの確認:
- イベントビューアーを開く
- Windowsログ→セキュリティ
- ログオンイベント(ID 4624)を確認
- 不審なアクセスがないかチェック
よくある質問と回答
Q1:家庭内LANでも資格情報は必要?
回答:
セキュリティのため、基本的には必要です。ただし、完全に信頼できる環境なら、パスワード保護共有を無効にすることも可能です(非推奨)。
簡単な設定方法:
- 同じユーザー名とパスワードを全PCで使用
- または、各PCに共通のユーザーアカウントを作成
Q2:スマホやタブレットからアクセスしたい
対応方法:
- ファイルマネージャーアプリを使用
- SMB対応アプリ(ES File Explorer等)
- ユーザー名は
コンピューター名\ユーザー名
形式で入力
Q3:毎回資格情報を求められる
解決策:
- 資格情報マネージャーで永続的に保存
- ネットワークドライブとして割り当て
- 「資格情報を記憶する」を必ずチェック
ネットワークドライブの割り当て:
net use Z: \\コンピューター名\共有名 /persistent:yes
Q4:Windows 11で共有できない
Windows 11特有の対処:
- SMB 1.0を有効化(古い機器との互換性)
- ネットワーク設定をプライベートに変更
- 新しい共有ウィザードを使用
SMB 1.0の有効化:
Windowsの機能 → SMB 1.0/CIFSファイル共有のサポート
※セキュリティリスクがあるため、必要な場合のみ
まとめ:資格情報をマスターして快適なファイル共有を!
Windowsのネットワーク資格情報について、基本から応用まで解説しました。
重要ポイントのおさらい:
- 資格情報は「ネットワーク上の身分証明書」
- 正しい形式:
コンピューター名\ユーザー名
または.\ユーザー名
- パスワードなしのアカウントはアクセス不可
- 資格情報マネージャーで一元管理
トラブル解決の順番:
- 入力形式を確認(.\ユーザー名を試す)
- Caps Lock/NumLockを確認
- パスワードの有無を確認
- 共有設定を確認
- ファイアウォールを確認
セキュリティの鉄則:
- 必要最小限のアクセス許可
- 強力なパスワードを使用
- 定期的な権限の見直し
- 不要な共有は削除
ネットワーク資格情報は最初は難しく感じるかもしれませんが、仕組みを理解すれば、社内や家庭でのファイル共有がとてもスムーズになります。
この記事を参考に、安全で便利なファイル共有環境を構築してくださいね!
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