「Macはウイルスに感染しないから大丈夫」
「Appleが守ってくれるからセキュリティソフトは不要」
「Windowsと違って安全でしょ?」
こんな風に思っていませんか?
確かに、Macは比較的安全です。でも「完全に安全」ではありません。実際、Mac向けのマルウェアは年々増加していて、2023年には前年比50%以上も増えているんです。
特に最近は、偽のFlash Playerアップデート、怪しい最適化ツール、暗号通貨マイニングマルウェアなど、Mac特有の脅威も登場しています。
この記事では、Macの内蔵セキュリティ機能の確認方法から、無料でできるウイルスチェック、おすすめのセキュリティソフト、感染の兆候まで、Mac を安全に使うための全知識を分かりやすく解説します。
Macのセキュリティの現状を理解しよう

なぜMacも狙われるようになった?
Macユーザーが増えた理由:
- MacBookの人気上昇
- クリエイターやエンジニアの利用増加
- 企業での採用拡大
- iPhone/iPadとの連携
ユーザーが増えれば、狙う価値も上がるというわけです。
Mac特有の脅威
よくあるMacのマルウェア:
- アドウェア:Safari に勝手に広告を表示
- 偽セキュリティソフト:「Macが感染しています!」と脅す
- 暗号通貨マイナー:CPUを勝手に使って仮想通貨を採掘
- トロイの木馬:正規アプリに偽装
- ランサムウェア:ファイルを暗号化して身代金要求
感染経路
主な感染ルート:
- 偽のソフトウェアアップデート
- Adobe Flash Player(もう終了したのに!)
- 偽のmacOSアップデート
- 海賊版ソフト
- クラック版のPhotoshop
- 無料でダウンロードできる有料アプリ
- フィッシングメール
- Apple IDの確認を装う
- 配送業者を装う
- 悪意のあるWebサイト
- ポップアップ広告
- 偽の動画プレーヤー
macOS標準のセキュリティ機能
XProtect(内蔵アンチウイルス)
実は、MacにはXProtectという見えないウイルス対策が入っています。
XProtectの特徴:
- バックグラウンドで自動動作
- 既知のマルウェアを検出
- 定義ファイルは自動更新
- ユーザーの操作不要
確認方法:
- Finderで Shift + Command + G
/System/Library/CoreServices/XProtect.bundle/Contents/Resources/
を入力- XProtect.plistで定義を確認(見るだけでOK)
Gatekeeper
ダウンロードしたアプリの安全性をチェックする機能です。
確認と設定:
- システム設定(歯車アイコン)を開く
- プライバシーとセキュリティをクリック
- 「セキュリティ」セクションを確認
- 「ダウンロードしたアプリの実行許可」を確認
推奨設定:
- 「App StoreとApple認証開発元」を選択
- より安全にしたい場合は「App Store」のみ
マルウェア削除ツール(MRT)
macOSに内蔵されている、特定のマルウェアを削除するツールです。
手動実行方法:
- ターミナルを開く(Launchpad → その他)
- 以下のコマンドを入力:
sudo /System/Library/CoreServices/MRT.app/Contents/MacOS/MRT -a
- パスワードを入力
- スキャンが始まる(時間がかかります)
FileVault(ディスク暗号化)
データを暗号化して、盗難時も安心な機能です。
有効化の確認:
- システム設定 → プライバシーとセキュリティ
- 「FileVault」セクション
- 「オン」になっているか確認
- オフなら「オンにする」をクリック
今すぐできる!無料のウイルスチェック方法
方法1:Activity Monitor(アクティビティモニタ)で確認
怪しいプロセスが動いていないかチェックします。
手順:
- Command + Space でSpotlight検索
- 「アクティビティモニタ」と入力
- CPUタブを開く
- CPU使用率が異常に高いプロセスを確認
怪しいサイン:
- 知らないプロセス名
- CPU使用率が常に高い(50%以上)
- メモリを大量消費
- 見覚えのない開発元
方法2:Malwarebytes(無料版)でスキャン
最も信頼できる無料スキャンツールです。
使い方:
- Malwarebytes公式サイトからダウンロード
- インストール(無料版を選択)
- 「Scan」をクリック
- 検出されたら「Quarantine」で隔離
- 再起動して完了
メリット:
- Mac専用マルウェアに強い
- アドウェア除去が得意
- 日本語対応
- 無料版でも十分な検出力
方法3:ターミナルコマンドでチェック
不審なログイン項目の確認:
ls -la ~/Library/LaunchAgents/
ls -la /Library/LaunchAgents/
ls -la /Library/LaunchDaemons/
見慣れないplistファイルがあれば要注意!
ネットワーク接続の確認:
netstat -an | grep ESTABLISHED
不審な接続先がないか確認します。
方法4:Safari拡張機能のチェック
確認手順:
- Safari → 設定(Command + ,)
- 「拡張機能」タブ
- 不要な拡張機能を削除
- 特に広告ブロッカーの偽物に注意
おすすめウイルス対策ソフト
無料ソフト
1. Avast Security for Mac
- リアルタイム保護
- Wi-Fiセキュリティチェック
- 基本機能は永久無料
- 日本語対応
2. AVG AntiVirus for Mac
- Avastと同じエンジン
- シンプルなインターフェース
- 自動アップデート
3. Sophos Home Free
- 最大3台まで無料
- Webフィルタリング機能
- リモート管理可能
有料ソフト(無料版より高機能)
1. Intego Mac Internet Security
- Mac専門メーカー
- 最高の検出率
- ファイアウォール付き
- 年額約6,000円〜
2. Norton 360 for Mac
- 総合セキュリティスイート
- VPN機能付き
- パスワードマネージャー
- 年額約4,000円〜
3. Bitdefender Antivirus for Mac
- 軽量で高速
- Time Machine保護
- Safari保護機能
- 年額約3,000円〜
選び方のポイント
無料版で十分な人:
- 基本的なWebブラウジングのみ
- App Storeのアプリのみ使用
- 定期的に手動スキャン可能
有料版が必要な人:
- 仕事でMacを使用
- オンラインバンキング利用
- 子供も使う
- 常時保護が必要
感染の兆候と対処法
こんな症状は要注意!
感染の可能性がある症状:
- Macが異常に遅い
- 起動に時間がかかる
- アプリの動作が重い
- レインボーカーソルが頻繁
- 勝手にポップアップが出る
- 「ウイルスが検出されました」
- 「Macをクリーンアップ」
- 怪しい広告
- ブラウザの異常
- ホームページが変わった
- 検索エンジンが変更された
- 知らないツールバー
- ファンが常に回る
- CPUが常に高負荷
- 発熱がひどい
- 通信量の異常
- データ使用量が急増
- 知らない通信
感染してしまったら?緊急対処法
STEP1:ネットワークを切断
- Wi-Fiをオフ
- LANケーブルを抜く
- 被害の拡大を防ぐ
STEP2:セーフモードで起動
- Macを再起動
- 起動音が鳴ったら Shift キーを押し続ける
- Appleロゴが表示されたら離す
STEP3:マルウェアを削除
- Malwarebytesでフルスキャン
- 検出されたものをすべて削除
- 怪しいアプリをアンインストール
STEP4:設定をリセット
- Safariをリセット
- ログイン項目を確認
- 拡張機能を削除
STEP5:パスワード変更
- Apple ID
- 銀行・クレジットカード
- SNSアカウント
- メールアカウント
予防策:感染しないための10の習慣
基本的な予防策
- macOSを最新に保つ
- 自動アップデートをオン
- セキュリティアップデートは即座に
- App Store優先
- 可能な限りApp Storeから
- 開発元不明は避ける
- バックアップを取る
- Time Machine設定
- 重要データはクラウドにも
- 2段階認証を有効化
- Apple ID必須
- 可能なサービスすべて
- Java/Flashを削除
- もう不要な技術
- セキュリティホールの温床
上級予防策
- 別アカウントで作業
- 管理者権限は最小限に
- 日常作業は標準ユーザーで
- ファイアウォールを有効化
- システム設定 → ネットワーク → ファイアウォール
- 「ファイアウォールをオン」
- Little Snitchでネットワーク監視
- アプリの通信を管理
- 不審な通信をブロック
- DNSを変更
- CloudFlare(1.1.1.1)
- Quad9(9.9.9.9)
- 定期的なクリーンインストール
- 年1回程度
- 完全にリフレッシュ
よくある質問と回答
Q1:App Storeのアプリなら100%安全?
回答:
基本的には安全ですが、100%ではありません。まれに悪意のあるアプリが紛れ込むことも。レビューを確認し、権限要求に注意しましょう。
Q2:無料のウイルス対策ソフトで十分?
回答:
個人利用で基本的な用途なら十分です。ただし、仕事利用やオンラインバンキングをする場合は有料版の検討を。
Q3:iPhoneのバックアップからも感染する?
回答:
直接的な感染はありませんが、悪意のあるプロファイルや設定が同期される可能性があります。
Q4:M1/M2 Macは安全性が違う?
回答:
アーキテクチャは違いますが、マルウェアの脅威は同じです。むしろ新しいチップ向けのマルウェアも登場しているので油断は禁物。
定期メンテナンスチェックリスト
週1回のチェック
- [ ] アクティビティモニタで異常なプロセス確認
- [ ] Safari拡張機能の確認
- [ ] ダウンロードフォルダの整理
月1回のチェック
- [ ] Malwarebytesでフルスキャン
- [ ] ログイン項目の確認
- [ ] ストレージの空き容量確認
- [ ] Time Machineバックアップ確認
3ヶ月に1回のチェック
- [ ] macOSのクリーンアップ
- [ ] 不要アプリのアンインストール
- [ ] パスワードの変更
- [ ] セキュリティ設定の見直し
まとめ:Macも油断せずしっかり対策を!
Macのウイルスチェックについて、内蔵機能から対策ソフトまで解説しました。
重要ポイントのおさらい:
- Macも100%安全ではない
- 内蔵のXProtectとGatekeeperがある
- Malwarebytes無料版でも基本的なチェック可能
- 感染の兆候を見逃さない
最低限やるべきこと:
- macOSを最新に保つ
- 月1回はMalwarebytesでスキャン
- 怪しいポップアップは無視
- App Store優先でアプリ入手
覚えておきたいコマンド:
# MRTでスキャン
sudo /System/Library/CoreServices/MRT.app/Contents/MacOS/MRT -a
# ログイン項目確認
ls -la ~/Library/LaunchAgents/
「Macだから大丈夫」という過信は禁物です。でも、過度に心配する必要もありません。基本的な対策を習慣化すれば、安全にMacを使い続けられます。
この記事を参考に、定期的なチェックを習慣にして、快適で安全なMacライフを送ってくださいね!
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