さっき見た商品の広告がどこのサイトでも表示される、一度検索しただけなのに関連広告が延々と出てくる、まるで誰かに監視されているような気持ち悪さ。
これはクロスサイトトラッキング(サイト越えトラッキング)と呼ばれる仕組みによるものです。
でも安心してください。Safariには「サイト越えトラッキングを防ぐ」という強力な機能があり、あなたのプライバシーを守ってくれます。この記事を読めば、追跡される不快感から解放され、安心してWebを楽しめるようになりますよ。
そもそも「サイト越えトラッキング」って何?

追跡の仕組みを簡単に説明
想像してみてください。あなたが街を歩いていると、見えない誰かがずっと後をつけてきて、どの店に入ったか、何を見たか、すべて記録している…
ネット上でも同じことが起きています:
- ショッピングサイトで靴を見る
- 「この人は靴に興味がある」と記録される
- ニュースサイトに移動
- さっきの記録を元に靴の広告が表示される
- SNSを開く
- またしても靴の広告が…
- 別の日にYouTubeを見る
- まだ靴の広告が追いかけてくる!
なぜこんなことが可能なの?
主な追跡方法:
- Cookie(クッキー)
- あなたを識別する小さなファイル
- サイトを訪問すると自動で保存される
- フィンガープリンティング
- ブラウザやデバイスの特徴から個人を特定
- 画面サイズ、フォント、プラグインなどの組み合わせ
- ピクセルトラッキング
- 見えない1×1ピクセルの画像
- メールやWebページに埋め込まれている
- ソーシャルメディアボタン
- 「いいね!」ボタンなども追跡ツール
- クリックしなくても情報を送信
Safariの「サイト越えトラッキングを防ぐ」の実力
ITP(Intelligent Tracking Prevention)の仕組み
SafariはITPという独自技術で、あなたを守ります。
ITPがやってくれること:
- サードパーティCookieを自動ブロック
- 広告会社のCookieを遮断
- 訪問したサイト自体のCookieは許可
- 機械学習で追跡を検出
- 怪しい動きを自動で判断
- 新しい追跡手法にも対応
- 追跡用Cookieを自動削除
- 30日間アクセスがないCookieは削除
- 7日後にはさらに制限を強化
- フィンガープリンティング対策
- デバイス情報を簡略化
- 個人を特定しにくくする
他のブラウザとの違い
Safari vs Chrome:
- Safari:デフォルトで追跡防止が有効
- Chrome:2024年まで制限が緩い
Safari vs Firefox:
- 両方とも強力な追跡防止機能
- Safariの方が使いやすい設定
Safari vs Edge:
- Edgeも追跡防止あり(3段階設定)
- Safariの方がシンプルで効果的
今すぐ設定!デバイス別の有効化方法
iPhone・iPadでの設定
たった30秒で設定完了します。
設定手順:
- 設定アプリを開く
- ホーム画面の歯車アイコン
- Safariをタップ
- 下にスクロールして見つける
- プライバシーとセキュリティセクション
- 「サイト越えトラッキングを防ぐ」をオン(緑色)
- 「IPアドレスを非公開」もオン
- 「プライバシー保護広告測定」もオン
- 追加の推奨設定
- 「すべてのCookieをブロック」はオフのまま(重要!)
- 「詐欺Webサイトの警告」をオン
確認方法:
スイッチが緑色になっていればOK!
Macでの設定
Mac版も簡単に設定できます。
設定手順:
- Safariを起動
- 環境設定を開く
- Safari → 環境設定
- または Command + ,(カンマ)
- プライバシータブをクリック
- 以下の項目にチェック
- ✅ サイト越えトラッキングを防ぐ
- ✅ IPアドレスを隠す(トラッカーから)
- ✅ プライバシー保護広告測定を許可
- 詳細設定(任意)
- 「Webサイトトラッキング」で個別設定も可能
設定後の確認方法
ちゃんと機能しているか確認しましょう。
プライバシーレポートで確認:
- Safariのスタートページを開く
- 下部の「プライバシーレポート」をタップ/クリック
- 確認できる情報:
- ブロックしたトラッカーの数
- トラッカーが多いWebサイト
- 最もブロックしたトラッカー
設定したらどう変わる?具体的な効果
メリット:プライバシーが守られる
実感できる変化:
- 追跡型広告が減る
- 同じ広告に追い回されなくなる
- より一般的な広告が表示される
- プライバシーが保護される
- 閲覧履歴が企業に収集されない
- 個人情報の流出リスクが減る
- ページ読み込みが速くなる
- 追跡スクリプトがブロックされる
- データ通信量も削減
- バッテリー持ちが改善
- 無駄な処理が減る
- 特にモバイルで効果的
デメリット:一部サイトで不具合も
正直に言うと、いくつかの制限もあります。
起こりうる問題:
- ログイン状態が保持されない
- 一部のサイトで再ログインが必要
- 特に複数ドメインをまたぐサービス
- ショッピングカートが空になる
- サイトによってはカートが保存されない
- 決済途中でリセットされることも
- 動画が再生されない
- 埋め込み動画が表示されない場合
- 特にSNSの埋め込みコンテンツ
- コメント機能が使えない
- Disqusなどの外部コメントシステム
- FacebookコメントやTwitter連携
トラブルシューティング:困った時の対処法
特定のサイトだけ除外する
信頼できるサイトや、機能しないサイトは個別に設定できます。
サイト別設定の方法:
- 問題のあるサイトを開く
- Safari設定メニューを開く
- iPhone:「ぁあ」→「Webサイトの設定」
- Mac:Safari → このWebサイトでの設定
- 「サイト越えトラッキングを防ぐ」をオフ
- そのサイトだけ追跡を許可
- 設定を保存
- 「完了」をタップ/クリック
ログインできない時の対処法
解決策1:Cookieの確認
- 設定 → Safari
- 「すべてのCookieをブロック」がオフか確認
- オンの場合はオフにする
解決策2:プライベートブラウジングを使わない
- 通常モードでログインする
- プライベートモードはCookieを保存しない
解決策3:サイトデータをクリア
- 設定 → Safari → 詳細
- Webサイトデータ
- 該当サイトを削除
- 再度ログイン
カートが消える問題
ショッピングサイトで買い物ができない場合の対処法です。
推奨対応:
- そのサイトだけ追跡を許可
- 買い物が終わったら元に戻す
- または別のブラウザを一時的に使用
さらに強化!追加のプライバシー設定
プライベートリレーを使う(iCloud+)
有料ですが、最強のプライバシー保護です。
プライベートリレーとは:
- IPアドレスを完全に隠す
- Appleさえもあなたの閲覧を知らない
- VPNのような機能
設定方法:
- 設定 → Apple ID → iCloud
- プライベートリレー(ベータ版)
- オンにする(iCloud+加入が必要)
DNSを変更する
無料でプライバシーを強化できます。
プライバシー重視のDNS:
- Cloudflare DNS(1.1.1.1)
- 設定 → Wi-Fi → ネットワーク情報
- DNSを構成 → 手動
- 1.1.1.1 と 1.0.0.1 を追加
- Quad9(9.9.9.9)
- 同様に 9.9.9.9 を設定
- マルウェアもブロック
コンテンツブロッカーを併用
さらに強力な保護が可能です。
おすすめの組み合わせ:
- サイト越えトラッキングを防ぐ:オン
- + AdGuard:プライバシーフィルター
- + NextDNS:DNS レベルでブロック
プライバシーレポートの読み方
レポートの見方を理解しよう
Safariが何をブロックしているか確認できます。
レポートの項目:
- 「過去30日間」のサマリー
- ブロックしたトラッカーの総数
- 最も多くブロックしたトラッカー
- 「Webサイト」タブ
- どのサイトがトラッカーを使っているか
- サイトごとのトラッカー数
- 「トラッカー」タブ
- どの企業が追跡しようとしたか
- Google、Facebook、Amazonなどが表示される
数字の目安
ブロック数の解釈:
- 100個/日以下:通常の閲覧
- 100-500個/日:ニュースサイトをよく見る
- 500個以上/日:かなりアクティブ
数が多くても心配不要。しっかりブロックされている証拠です。
よくある質問と誤解
Q:広告が完全に消えるの?
A:いいえ、広告は表示されます。
追跡型広告が一般的な広告に変わるだけで、広告自体は残ります。広告を完全に消したい場合は、コンテンツブロッカーが必要です。
Q:サイト運営者に迷惑?
A:正当なサイトには影響ありません。
サイト訪問数などの基本的な統計は取得可能。過度な個人追跡だけがブロックされます。
Q:VPNは不要になる?
A:用途が違います。
- トラッキング防止:広告追跡を防ぐ
- VPN:通信全体を暗号化、IPを隠す
両方使うとより安全です。
Q:他のブラウザでも有効?
A:Safari限定の機能です。
ChromeやFirefoxを使う時は、それぞれの設定が必要です。
Q:子供のiPhoneでも設定すべき?
A:はい、特に重要です。
子供は特にターゲット広告から守る必要があります。スクリーンタイムと併用がおすすめ。
設定のベストプラクティス
基本設定(全員におすすめ)
最低限これだけは設定しましょう。
必須設定:
- ✅ サイト越えトラッキングを防ぐ:オン
- ✅ IPアドレスを非公開:オン
- ✅ 詐欺Webサイトの警告:オン
- ❌ すべてのCookieをブロック:オフ(重要)
中級設定(プライバシー重視)
もう一歩踏み込んだ設定です。
追加設定:
- コンテンツブロッカーをインストール
- プライベートブラウジングを活用
- 定期的にWebサイトデータをクリア
上級設定(最大限の保護)
プライバシーを最優先する場合の設定です。
最強設定:
- iCloud+でプライベートリレー
- DNSをCloudflareに変更
- 複数のコンテンツブロッカー併用
- JavaScriptを選択的に無効化
今後の展望:プライバシーはどこへ向かう?
業界の動向
プライバシー保護は世界的なトレンドです。
最新の動き:
- Googleも2024年にCookie廃止予定(延期中)
- EUのGDPRなど法規制が強化
- Appleがプライバシーで差別化
Safariの今後
Appleはさらに強化していく方針です。
期待される機能:
- より高度なフィンガープリンティング対策
- メールトラッキングの防止強化
- アプリ間トラッキングの制限拡大
まとめ:今すぐプライバシーを取り戻そう
「サイト越えトラッキングを防ぐ」は、あなたのプライバシーを守る第一歩です。
今すぐやるべき3つのアクション:
✅ 設定を有効化(たった30秒)
- 設定 → Safari → サイト越えトラッキングを防ぐ
✅ プライバシーレポートを確認
- どれだけブロックされているか見てみる
✅ 問題があるサイトだけ個別設定
- 必要に応じて除外設定
重要なメッセージ:
プライバシーは基本的な権利です。あなたがどのWebサイトを見たか、何に興味があるかは、あなただけの情報であるべき。
Safariの「サイト越えトラッキングを防ぐ」機能は、その権利を守る強力な味方です。設定は簡単、効果は絶大。
今この瞬間から、追跡される不快感から解放されて、自由にWebを楽しめるようになります。
さあ、設定アプリを開いて、あなたのプライバシーを取り戻しましょう!
コメント