「y = 2x + 3」という式で、2と3は定数、xとyは変数。
学校でこう習いましたよね。 でも、定数の本当の意味と重要性、 きちんと理解している人は意外と少ないんです。
実は定数には、円周率π、自然対数の底e、黄金比φなど、 宇宙の法則を表す特別な数も含まれています。
この記事では、「変わらない数」に見える定数が持つ 奥深い世界を、初心者にも分かりやすく、 でも本質を逃さずに解説します。
読み終わる頃には、定数への見方が180度変わっているはずです!
定数とは何か?最もシンプルな定義

定数の基本定義
定数(constant)とは: 値が変化しない、固定された数のこと
3つの特徴:
- 値が変わらない – 計算中ずっと同じ値
- 具体的な数値を持つ – 2、-5、3.14など
- 文字で表すこともある – π、e、cなど
変数との決定的な違い
項目 | 定数 | 変数 |
---|---|---|
値の変化 | 変わらない | 変わる |
例 | 2, π, -5 | x, y, t |
役割 | 固定値を表す | 未知数や変化する値 |
方程式での扱い | 既知の値 | 求める値 |
具体例で理解:
y = 3x + 5
- 定数:3(傾き)、5(切片)
- 変数:x、y
定数の種類:実は4つもある!
1. 数値定数(普通の数)
最も基本的な定数:
- 整数:1, -3, 100
- 分数:1/2, 3/4, -2/5
- 小数:0.5, -2.7, 3.14
例: 速度の公式 v = v₀ + at で、 初速度v₀ = 10m/s なら、10が数値定数
2. 文字定数(パラメータ)
固定されているが、値は後で決まる:
y = ax² + bx + c
a, b, c は定数(係数)として扱う
特徴:
- 特定の問題では固定値
- 別の問題では別の値になる
- 一度決めたら変えない
3. 数学定数(特別な定数)
宇宙共通の特別な数:
- π(円周率) = 3.14159…
- e(自然対数の底) = 2.71828…
- φ(黄金比) = 1.61803…
- √2 = 1.41421…
これらはどこでも同じ値!
4. 物理定数(自然定数)
自然界の法則を表す:
- 光速 c = 299,792,458 m/s
- 重力定数 G = 6.67430 × 10⁻¹¹ m³/kg·s²
- プランク定数 h = 6.62607 × 10⁻³⁴ J·s
有名な数学定数とその意味
π(パイ):円周率
定義: 円の周の長さ ÷ 直径 = π
なぜ重要?
- どんな大きさの円でも同じ値
- 円や球の計算に必須
- 三角関数、波動、確率にも登場
覚え方: 「産医師異国に向こう」 3.14159265…
e(イー):自然対数の底
定義:
e = lim(n→∞) (1 + 1/n)^n = 2.71828...
どこで使う?
- 指数関数・対数関数
- 微分積分(e^x を微分しても e^x)
- 複利計算、人口増加
実用例: 100万円を年利100%で預けると、 1年後は 100万 × e ≈ 271万円(連続複利)
φ(ファイ):黄金比
定義:
φ = (1 + √5) / 2 = 1.61803...
特徴:
- 最も美しい比率とされる
- フィボナッチ数列に現れる
- 自然界のあちこちに存在
見つかる場所:
- ひまわりの種の配列
- 巻き貝の形
- パルテノン神殿
その他の重要な定数
√2(ルート2):
- 正方形の対角線の長さ
- A4用紙の縦横比
i(虚数単位):
- i² = -1
- 複素数の基本単位
0と1:
- 加法の単位元(0)
- 乗法の単位元(1)
定数と変数の見分け方(実践編)
方程式での見分け方
例1:一次関数
y = mx + n
- 通常:m, n は定数、x, y は変数
- でも「mを求めよ」なら m が変数に!
例2:二次方程式
ax² + bx + c = 0
- a, b, c:係数(定数)
- x:変数(未知数)
文脈による判断
物理の公式:
F = ma
- 「力Fを求める」→ m, a は定数、F は変数
- 「質量mを求める」→ F, a は定数、m は変数
ポイント: 何を求めるかによって、定数と変数の役割が変わる!
プログラミングでの定数
プログラムでの定数の役割
なぜ定数を使う?
- マジックナンバーを避ける
# 悪い例 area = 3.14159 * r * r # 良い例 PI = 3.14159 area = PI * r * r
- 変更を一箇所に集約
TAX_RATE = 0.10 # 消費税率
- 可読性の向上
MAX_USERS = 1000 # 何の数字かすぐ分かる
定数の命名規則
一般的なルール:
- 全て大文字(CONSTANT_NAME)
- 単語はアンダースコアで区切る
- 意味の分かる名前にする
例:
SPEED_OF_LIGHT = 299792458
DAYS_IN_WEEK = 7
DEFAULT_COLOR = "blue"
定数が作る美しい数式

オイラーの等式
世界一美しい数式:
e^(iπ) + 1 = 0
含まれる定数:
- e:自然対数の底
- i:虚数単位
- π:円周率
- 1:乗法の単位元
- 0:加法の単位元
5つの重要な定数が1つの式に!
正規分布の式
f(x) = (1/√(2π)) × e^(-x²/2)
登場する定数:
- π:円周率
- e:自然対数の底
- 2:基本的な整数
統計学の基礎となる美しい式
定数にまつわる興味深い事実
円周率πの記録
暗記の世界記録:
- 日本人が7万桁以上暗記
- コンピュータは100兆桁以上計算
πの日: 3月14日(3.14)は円周率の日
自然界の定数
フィボナッチ数列:
1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21...
隣り合う数の比 → 黄金比φに収束
雪の結晶: 必ず6角形(角度60°、これも定数)
定数の不思議
なぜこの値?
- なぜπは3.14…なのか
- なぜeは2.71…なのか
- 宇宙の根本的な謎
よくある間違いと注意点
間違い1:定数は数字だけ
誤解: 定数 = 具体的な数値のみ
真実:
- 文字で表される定数もある(π、e)
- パラメータも定数扱い(a、b、c)
間違い2:定数は絶対に変わらない
誤解: 一度決めたら永遠に同じ
真実:
- 問題設定によって値は変わる
- プログラムでは実行時に決まることも
間違い3:0は定数じゃない
誤解: 0は特別だから定数じゃない
真実:
- 0も立派な定数
- 加法の単位元として超重要
定数を使った問題解決
例題1:関数の問題
問題: y = ax + 3 が点(2, 7)を通るとき、aの値は?
解法:
- x = 2, y = 7 を代入
- 7 = 2a + 3
- a = 2
ここでaは求める対象だが、一度決まれば定数
例題2:物理の問題
問題: 自由落下で3秒後の速度は?(g = 9.8 m/s²)
解法:
- v = gt
- v = 9.8 × 3 = 29.4 m/s
- g は重力加速度(定数)
例題3:確率の問題
問題: サイコロを振って1が出る確率は?
解法:
- P = 1/6
- 6(面の数)は定数
- この確率も定数
まとめ:定数は数学の土台
定数について、深く理解できましたね!
覚えておくべき5つのポイント:
- 定数は変わらない数
- でも文脈で役割は変わる
- 文字で表すこともある
- 4種類の定数が存在
- 数値定数、文字定数
- 数学定数、物理定数
- 特別な定数は宇宙の法則
- π、e、φは普遍的
- 自然界の美しさを表現
- 定数と変数は表裏一体
- 何を求めるかで立場が変わる
- 柔軟な理解が大切
- プログラミングでも重要
- コードの品質を上げる
- 保守性を高める
定数という「変わらないもの」があるからこそ、 「変わるもの」を扱える。
この深い関係性を理解することが、 数学を本当に理解することにつながります!
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