【踊りが大好きな小さな妖精】ピクシーとは?その姿・特徴・伝承をやさしく解説!

神話・歴史・伝承

森の中で不思議な輪を見つけたり、道に迷って同じ場所をぐるぐる回ったりしたことはありませんか?

それは、イギリスの小さな妖精「ピクシー」のしわざかもしれません。

この記事では、イングランド南西部に伝わる陽気でいたずら好きな妖精「ピクシー」について詳しくご紹介します。

スポンサーリンク

概要

ピクシーは、イギリスのイングランド南西部、特にコーンウォール、デヴォン、サマセット地方に伝わる妖精です。

普段は人間の目には見えない透明な存在ですが、頭に四葉のクローバーを載せると姿が見えるようになるんです。性格は基本的に陽気で親切ですが、いたずら好きな一面もあります。

善人には手助けをして、怠け者には懲らしめを与える。そんな勧善懲悪の精神を持った、人間と共生関係にある不思議な存在なんですよ。

姿・見た目

ピクシーの姿は、地域によって少し違いがありますが、共通する特徴があります。

ピクシーの外見

  • 体の大きさ:20センチから子供くらい(手のひらサイズが多い)
  • 髪の色:赤い髪
  • 顔の特徴:上に反った鼻、大きな口、尖った耳
  • 服装:緑色の服、緑のナイトキャップ(とんがり帽子)
  • :やぶにらみで、暗闇でも光る
  • 肌の色:青白い顔

地域によっては老人の姿で現れることもあり、体の大きさを自由に変えられるとも言われています。ヴィクトリア朝時代の妖精画では、背中に羽が生えた美しい姿で描かれることもありますが、これは後の時代の創作なんです。

特徴

ピクシーには、他の妖精とは違う独特な習性があります。

ピクシーの行動パターン

住む場所

  • 古代の塚、ストーンサークル
  • 洞窟、森の中
  • 時には人間の家(家事妖精として)

好きなこと

  • 夜中に集まって踊る(フェアリー・リングを作る)
  • 馬に乗って輪を描くように走り回る
  • 歌を歌う

いたずら

  • 旅人を道に迷わせる(ピクシー・レッドと呼ばれる)
  • ろうそくの火を消す
  • 馬のたてがみを結んでしまう
  • 取り替え子(チェンジリング)を行う

善と悪の両面性

ピクシーの最大の特徴は、相手によって態度を変えることです。

善人に対して

  • 農作業を手伝う
  • 脱穀を夜中にやってくれる
  • 豊かな鉱脈を教える

悪人や怠け者に対して

  • つねって懲らしめる
  • ポルターガイスト現象を起こす
  • 泥沼に誘い込む

お礼に服を贈ると喜び、水を用意してあげると子供を行水させるなど、人間との関係を大切にする妖精なんですね。

伝承

ピクシーにまつわる伝説は、イングランド南西部に数多く残っています。

ピクシー・デー(妖精の日)

デヴォン州のオタリー・セント・メアリーという町では、毎年6月に「ピクシー・デー」という祭りが開かれます。

昔、教会の鐘を設置しようとした司教と修道士たちを、ピクシーが魔法で崖に誘導しようとしました。しかし、一人の修道士が石につまずいて「神よ、我が魂を祝福したまえ」と言った瞬間、魔法が解けたんです。

鐘は無事設置されましたが、毎年6月になるとピクシーたちが鐘つき職人を捕まえて「ピクシーの客間」に閉じ込めてしまうという伝説が残っています。

ピクシー化かし(道に迷わせる)

旅人が夜道を歩いていると、突然道に迷ってしまうことがあります。これを「ピクシー・レッド(ピクシー化かし)」と呼びます。

森の出口が見えているのに出られない、同じ場所をぐるぐる回ってしまう。そんな不思議な現象が起きるんです。でも、上着を裏返しに着ると魔法が解けて、正しい道に戻れるという対処法も伝わっています。

ダートムアの伝説

ダートムア地方では、ピクシーがぼろきれの束に化けて子供を誘うという話があります。でも基本的には人間に親切で、困っている未亡人の家事を手伝ったりするそうです。

起源

ピクシーの起源には、いくつかの説があります。

語源と由来

名前の由来説

  • スウェーデン語の「pyske」(小さな妖精)から
  • ケルト語の「bɨx」(小さい)から
  • 妖精パックに愛称語尾「sy」がついた「パクシー」から

語源は不確定ですが、キリスト教以前から存在していた古い信仰だと考えられています。

正体についての説

洗礼を受けずに死んだ子供の魂説 これが最も有力な説です。キリスト教が広まる前は単なる自然の精霊でしたが、キリスト教の影響で「洗礼前に亡くなった子供の魂」という解釈が加わりました。

古代ケルト人の記憶説 ヴィクトリア朝時代には、ピクシーは古代のピクト人(スコットランドの先住民)の民間記憶だという説もありましたが、現在では否定されています。

ローマ・ブリテン時代の精霊説 頭巾をかぶったローマ・ブリテン時代の精霊「ゲニウス・ククラティ」が祖先という説もあります。

まとめ

ピクシーは、人間と共に暮らす不思議な妖精です。

重要なポイント

  • イングランド南西部の陽気な妖精
  • 20センチから子供サイズ、赤い髪と緑の服
  • 四葉のクローバーを頭に載せると見える
  • 踊りが大好きでフェアリー・リングを作る
  • 善人には親切悪人には厳しい
  • 旅人を迷わせる「ピクシー・レッド」が有名
  • 洗礼前に死んだ子供の魂という説が有力
  • 上着を裏返しに着ると魔法が解ける

いたずら好きだけど根は優しい、そんなピクシーは人間との共生を大切にする存在。もし森で不思議な輪を見つけたら、それはピクシーたちが踊った跡かもしれませんね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました