「会社のパソコンで共有フォルダを使っているけど、SMBって表示が出てきた」
「自宅のパソコン同士でファイルを共有したいけど、SMBという言葉が出てきてよく分からない」
そんな経験はありませんか?
SMB(エスエムビー)は、実は私たちが普段から使っている「ネットワーク経由でファイルを共有する仕組み」のことなんです。
難しそうに聞こえるかもしれませんが、実はWindowsパソコンで「共有フォルダ」を使ったことがある人なら、知らないうちにSMBを使っています。
この記事では、SMBの基本から実際の使い方、注意点まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます!
SMBの基本:そもそもどんな技術なの?

SMBは「Server Message Block」の略
SMB = Server Message Block(サーバー・メッセージ・ブロック)
名前は難しそうですが、簡単に言うと:
「ネットワークでつながったコンピュータ同士でファイルやプリンタを共有するための通信ルール」
のことです。
身近な例で理解するSMB
こんな場面でSMBが活躍しています:
🏢 オフィスでの活用例
- 社内の共有フォルダにアクセス
- ネットワークプリンタで印刷
- 他の人のパソコンにあるファイルを開く
🏠 家庭での活用例
- リビングのパソコンから寝室のパソコンのファイルを見る
- NAS(ネットワーク対応ハードディスク)の中身を確認
- スマートテレビで、パソコンに保存した動画を再生
なぜSMBが必要なの?
パソコン同士をUSBメモリでデータをやり取りするのは面倒ですよね。
SMBを使えば:
- ケーブルでつなぐ必要なし(Wi-Fiや有線LANでOK)
- リアルタイムで共有(相手が更新したらすぐ反映)
- 複数人で同時アクセス(みんなで同じフォルダを使える)
SMBの仕組み:どうやってファイル共有が実現されるの?
クライアント・サーバー方式
SMBは「お店と客」のような関係で動きます:
📁 サーバー側(ファイルを提供する側)
- 共有したいフォルダやファイルを持っている
- 「このフォルダをみんなに公開します」と設定
💻 クライアント側(ファイルを使う側)
- サーバーにアクセスして、ファイルを見たり編集したり
- 「あのパソコンの共有フォルダを開きたい」とリクエスト
実際の通信の流れ
- 接続の確立
- クライアント「共有フォルダを見せてください」
- サーバー「はい、どうぞ(認証が必要な場合はパスワードを)」
- ファイル操作
- ファイルの一覧表示
- ファイルの読み込み・書き込み
- フォルダの作成・削除
- 接続の終了
- 作業が終わったら接続を切断
SMBのバージョン:古いものから最新版まで
主要なバージョンと特徴
SMBにはいくつかのバージョンがあり、新しいほど高速で安全です:
📌 SMB1(SMB 1.0)
- 登場時期:1990年代
- 特徴:最も古く、基本的な機能のみ
- 注意:セキュリティが弱いので、現在は使用非推奨
- 対応OS:Windows XP、Windows Server 2003など
📌 SMB2(SMB 2.0/2.1)
- 登場時期:2006年(Windows Vista)
- 特徴:高速化、より安定した通信
- 対応OS:Windows Vista、Windows 7、Windows Server 2008
📌 SMB3(SMB 3.0/3.1.1)
- 登場時期:2012年(Windows 8)
- 特徴:暗号化対応、さらなる高速化
- 現在の標準:Windows 10/11はこれを使用
- セキュリティ:通信内容が暗号化されて安全
なぜバージョンが重要なの?
🔒 セキュリティの問題
SMB1には深刻な脆弱性(セキュリティの穴)があります。2017年に世界中で被害が出た「WannaCry」というランサムウェアは、SMB1の弱点を狙ったものでした。
WindowsでSMBを使う:実践的な設定方法
共有フォルダを作る(サーバー側)
手順:
- 共有したいフォルダを右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「共有」タブを開く
- 「詳細な共有」をクリック
- 「このフォルダーを共有する」にチェック
- 共有名を設定(他の人に見える名前)
- アクセス許可を設定
- 「アクセス許可」ボタンで、誰に何を許可するか決める
共有フォルダにアクセスする(クライアント側)
方法1:エクスプローラーから直接アクセス
- エクスプローラーのアドレスバーに入力:
\\コンピュータ名\共有フォルダ名
または\\IPアドレス\共有フォルダ名
- 必要に応じてユーザー名とパスワードを入力
方法2:ネットワークドライブとして割り当て
- エクスプローラーで「PC」を右クリック
- 「ネットワークドライブの割り当て」を選択
- ドライブ文字(Z:など)を選択
- フォルダーのパスを入力
SMB設定でよくあるトラブルと解決方法
「ネットワークパスが見つかりません」エラー
原因と対策:
✅ ファイアウォールがブロックしている
- Windowsファイアウォールで「ファイルとプリンターの共有」を許可
✅ SMBが無効になっている
- Windows 10/11の場合、「Windowsの機能」でSMBを有効化
✅ ネットワーク探索がオフ
- ネットワーク設定で「ネットワーク探索を有効にする」を選択
アクセスできるけど遅い
高速化のポイント:
- SMBのバージョンを確認
- 古いSMB1は無効にして、SMB2以上を使用
- ネットワーク環境の改善
- 有線LANの使用(Wi-Fiより高速)
- ルーターやハブの性能確認
- 大量のファイルは圧縮
- 小さいファイルが多い場合は、ZIPにまとめてから転送
セキュリティが心配
安全に使うための設定:
🔐 SMB1を無効化する
- コントロールパネル → プログラム → Windowsの機能
- 「SMB 1.0」のチェックを外す
🔐 強力なパスワードを設定
- 共有フォルダには必ずパスワード保護を
🔐 必要最小限のアクセス権限
- 「Everyone」への共有は避ける
- 特定のユーザーだけに許可
MacやLinuxでもSMBは使える?
macOSでの使用
Macでも問題なくSMBが使えます:
接続方法:
- Finderを開く
- 「移動」メニュー → 「サーバへ接続」
smb://コンピュータ名
またはsmb://IPアドレス
を入力- 認証情報を入力
Linuxでの使用
Sambaというソフトウェアを使用:
- LinuxでSMBを実装したもの
- WindowsともMacとも共有可能
- コマンドラインやGUIツールで設定
NAS(ナス)とSMBの関係
NASってなに?
NAS = Network Attached Storage(ネットワーク接続ストレージ)
家庭や会社で使うネットワーク対応のハードディスクです。
NASの多くがSMBに対応:
- BuffaloやSynology、QNAPなどの製品
- 設定すればWindowsの共有フォルダと同じように使える
- スマホアプリからもアクセス可能
スマートフォンからSMBを使う
便利なアプリ
iOS(iPhone/iPad):
- 「Files」アプリ(標準搭載)でSMB接続可能
- 「Documents by Readdle」なども対応
Android:
- 「Solid Explorer」
- 「X-plore File Manager」
- 「CX File Explorer」
これらのアプリを使えば、スマホから会社や自宅の共有フォルダにアクセスできます。
SMBの代替技術:他の選択肢も知っておこう
クラウドストレージ
Google Drive、Dropbox、OneDriveなど:
- インターネット経由でどこからでもアクセス
- 自動同期機能
- SMBより設定が簡単
FTP/SFTP
File Transfer Protocol:
- Webサーバーなどでよく使われる
- 大量のファイル転送に向いている
- SMBより設定が複雑
まとめ:SMBは身近で便利なファイル共有の仕組み
ここまでSMBについて詳しく解説してきました。
📌 押さえておくべきポイント:
- SMBはネットワーク経由でファイル共有する仕組み
- Windowsの共有フォルダの裏で動いている技術
- SMB1は危険なので必ず無効化する
- SMB3が現在の主流で安全性も高い
- MacやLinux、スマホからも利用可能
- 設定は少し手間だが、一度設定すれば便利
会社でも家庭でも、複数のデバイス間でファイルを共有したいときに、SMBは強力な味方になります。
セキュリティに注意しながら、適切に設定すれば、USBメモリを使わなくても簡単にファイルのやり取りができるようになります。
まずは家庭内の2台のパソコンで試してみると、その便利さがよく分かるはずです。設定でつまずいたら、この記事を参考に一つずつ確認してみてくださいね!
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