「Windows Updateが失敗する」 「システムファイルが破損しているらしい」 「パソコンの動作が不安定になってきた」
こんな症状に悩まされていませんか?
そんなときに頼りになるのが**DISM(ディズム)**という修復ツールです。
DISMは、Windowsに最初から入っている無料の修復機能。追加ソフトのインストールも不要で、コマンドを入力するだけでシステムの問題を解決してくれます。
この記事では、DISMの基本から実際の使い方、よくあるエラーの対処法まで、初心者の方でも安心して使えるよう丁寧に解説していきます。
DISMって何?基本を理解しよう

DISMは「Windowsの修理屋さん」
DISM(Deployment Image Servicing and Management)を簡単に説明すると、Windowsシステムの画像ファイル(イメージ)を修復するツールです。
パソコンを人間に例えるなら、DISMは「専門医」のような存在。体の内部(システムファイル)に問題がないかチェックして、異常があれば治療(修復)してくれるんです。
DISMが解決できる問題
主な修復対象:
1. Windows Updateの不具合
- 更新プログラムがインストールできない
- エラーコードが表示される
- 更新が途中で止まる
2. システムファイルの破損
- ブルースクリーンが発生する
- アプリが正常に動作しない
- Windowsの機能が使えない
3. コンポーネントストアの問題
- ディスク容量が異常に圧迫される
- システムの復元ポイントが作成できない
- Windowsの機能追加・削除ができない
DISMとSFCの違い
よく一緒に使われる**SFC(System File Checker)**との違いを理解しておきましょう。
SFC:
- 個別のシステムファイルをチェック・修復
- ローカルのキャッシュから修復
- 比較的軽い問題に対応
DISM:
- システムイメージ全体を修復
- Windows Updateやインストールメディアから修復
- より深刻な問題に対応
医者に例えるなら、SFCが「かかりつけ医」、DISMが「総合病院」といったイメージです。
DISMの基本的な使い方:3つのステップ
ステップ1:管理者権限でコマンドプロンプトを開く
DISMを使うには、まず管理者権限が必要です。
開き方:
方法1(Windows 10/11):
- スタートボタンを右クリック
- 「Windows Terminal(管理者)」または「コマンドプロンプト(管理者)」を選択
- 「はい」をクリック
方法2(検索から):
- Windowsキー + S で検索を開く
- 「cmd」と入力
- 「コマンドプロンプト」を右クリック
- 「管理者として実行」を選択
黒い画面(コマンドプロンプト)が開けばOKです。
ステップ2:基本コマンドを実行
最もよく使う基本コマンドがこちら:
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
このコマンドをコピーして、黒い画面に貼り付けてEnterキーを押すだけ。
処理時間の目安:
- 通常:10~20分
- 問題が多い場合:30分~1時間
進行状況がパーセントで表示されるので、完了まで待ちましょう。
ステップ3:結果を確認
処理が完了すると、以下のいずれかのメッセージが表示されます:
成功した場合: 「復元操作は正常に完了しました」
エラーが見つからなかった場合: 「コンポーネント ストアの破損は検出されませんでした」
修復できなかった場合: エラーメッセージとエラーコードが表示される
よく使うDISMコマンド一覧
1. システムチェック(修復なし)
DISM /Online /Cleanup-Image /CheckHealth
用途: 破損があるかどうかだけを確認したいとき 所要時間: 数秒~1分
2. 詳細スキャン
DISM /Online /Cleanup-Image /ScanHealth
用途: 破損の詳細を調べたいとき 所要時間: 5~10分
3. 完全修復(基本)
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
用途: 問題を見つけて自動修復したいとき 所要時間: 10~30分
4. クリーンアップ
DISM /Online /Cleanup-Image /StartComponentCleanup
用途: 不要なコンポーネントを削除してディスク容量を確保 所要時間: 5~15分
5. Windows Updateのリセット
DISM /Online /Cleanup-Image /ResetBase
用途: Windows Updateの基本コンポーネントをリセット 注意: アンインストールできなくなる更新があります
インストールメディアを使った修復方法
Windows Updateから修復できない場合は、インストールメディアを使います。
準備するもの
- Windows インストールメディア
- USBメモリ(8GB以上)
- DVDディスク
- ISOファイル
- メディア作成ツール Microsoftの公式サイトからダウンロード可能
修復手順
1. インストールメディアをマウント
- USBメモリ:差し込むだけ
- ISOファイル:右クリック→「マウント」
2. ドライブレターを確認 エクスプローラーでドライブレター(D:やE:など)を確認
3. コマンドを実行
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth /Source:D:\Sources\install.wim /LimitAccess
※D:の部分は実際のドライブレターに変更してください
4. 完了を待つ 通常より時間がかかりますが、確実性が高い方法です。
よくあるエラーと解決方法

エラー:0x800F081F
原因: 修復用のソースファイルが見つからない
解決方法:
- Windows Updateを最新にする
- インストールメディアを使って修復
- グループポリシーでWindows Updateの設定を確認
エラー:0x800F0906
原因: インターネット接続の問題
解決方法:
- インターネット接続を確認
- プロキシ設定を一時的に無効化
- Windows Updateサービスを再起動
エラー:0x800F0907
原因: グループポリシーの制限
解決方法:
- gpedit.mscを実行
- 「コンピューターの構成」→「管理用テンプレート」→「システム」
- 「Windows UpdateからでなくWSUSから修復コンテンツをダウンロード」を無効に
エラー:アクセスが拒否されました
原因: 管理者権限がない
解決方法: コマンドプロンプトを必ず「管理者として実行」で開く
DISMとSFCを組み合わせた完全修復
推奨される実行順序
最も効果的な修復方法は、DISMとSFCを順番に実行することです。
1. まずDISMで修復
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
2. 次にSFCでスキャン
sfc /scannow
3. 再起動 両方完了したら、パソコンを再起動
この順序が重要な理由は、DISMがシステムイメージを修復してから、SFCが個別ファイルをチェックする方が効率的だからです。
バッチファイルで自動化
毎回コマンドを入力するのが面倒な場合は、バッチファイルを作成しましょう。
作成方法:
- メモ帳を開く
- 以下をコピー&ペースト:
@echo off
echo DISMによる修復を開始します...
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
echo.
echo SFCによるスキャンを開始します...
sfc /scannow
echo.
echo 修復が完了しました。
pause
- 「repair.bat」という名前で保存
- 右クリック→「管理者として実行」
実行前の注意点とベストプラクティス
実行前のチェックリスト
1. バックアップを取る 重要なデータは必ずバックアップ
2. 時間に余裕を持つ 最低1時間は確保
3. 電源を確保 ノートPCは電源アダプターを接続
4. ウイルス対策ソフトを一時停止 処理が妨げられる場合があるため
定期メンテナンスのすすめ
月1回の実行を推奨:
- CheckHealthで簡易チェック
- 問題があればRestoreHealth
3ヶ月に1回:
- StartComponentCleanupでクリーンアップ
- ディスク容量の確保
DISMが効かないときの最終手段
1. Windowsの上書きインストール
データを残したままWindowsを修復する方法です。
手順:
- インストールメディアから setup.exe を実行
- 「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」を選択
- 指示に従ってインストール
2. システムの復元
過去の復元ポイントに戻す方法。
手順:
- 「システムの復元」を検索
- 復元ポイントを選択
- 復元を実行
3. リセット(初期状態に戻す)
最終手段として、Windowsをリセット。
設定 → 更新とセキュリティ → 回復 → このPCを初期状態に戻す
まとめ:DISMでWindowsを健康に保とう
DISMは、Windowsの不具合を解決する強力な修復ツールです。
この記事のポイント:
✅ DISMはWindowsシステムイメージを修復する無料ツール
✅ 管理者権限のコマンドプロンプトから実行
✅ 基本コマンドは「DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth」
✅ SFCと組み合わせると効果的
✅ エラーが出ても、インストールメディアで対処可能
✅ 定期的な実行でトラブルを予防
✅ 修復できない場合は、上書きインストールやリセットを検討
最初はコマンド操作に戸惑うかもしれませんが、基本的にはコピー&ペーストで実行できます。
Windowsの調子が悪いと感じたら、まずはDISMとSFCを試してみてください。多くの問題はこれで解決できるはずです。
定期的なメンテナンスで、快適なWindows環境を維持していきましょう!
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