「ドライバーを更新してくださいって言われたけど、どうすればいい?」 「.sysファイルや.infファイルって何?」 「ドライバーファイルってどこに保存されてるの?」
PCを使っていると必ず出会うドライバーという言葉。でも、その実体であるドライバーファイルについて、詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。
実は、ドライバーファイルはWindowsとハードウェアをつなぐ架け橋となる重要なファイルです。正しく管理できれば、PCのパフォーマンス向上やトラブル解決に大きく役立ちます。
今回は、ドライバーファイルの基本から、保存場所、更新方法、さらにはトラブル時の対処法まで、初心者にも分かりやすく解説していきます!
ドライバーファイルとは?基本を理解しよう

ハードウェアとOSをつなぐ通訳者
ドライバー(デバイスドライバー)は、Windowsとハードウェアがコミュニケーションするためのソフトウェアです。
分かりやすく例えると:
- Windows = 日本語を話す人
- ハードウェア = 英語を話す人
- ドライバー = 通訳者
ドライバーがなければ、いくら高性能なグラフィックボードやプリンターを接続しても、Windowsは使い方が分からないのです。
ドライバーファイルの種類と拡張子
主要なドライバーファイル:
拡張子 | 種類 | 役割 |
---|---|---|
.sys | システムドライバー | 実際の動作を制御するメインファイル |
.inf | セットアップ情報 | インストール方法を記述 |
.dll | ダイナミックリンクライブラリ | 共有機能を提供 |
.cat | カタログファイル | デジタル署名情報 |
.exe | 実行ファイル | インストーラー |
例:NVIDIAグラフィックドライバー
nvlddmkm.sys - カーネルモードドライバー
nv_disp.inf - インストール情報
nvapi64.dll - API関数
nvidia.cat - 署名カタログ
ドライバーが必要なハードウェア
ドライバーが必須のデバイス:
- グラフィックボード(GPU)
- サウンドカード
- ネットワークアダプター(LAN/WiFi)
- プリンター・スキャナー
- マザーボード(チップセット)
- ストレージ(SSD/HDD)
- USB機器
- Bluetooth機器
ドライバーファイルの保存場所
Windows標準ドライバーの場所
システムドライバーの保存先:
C:\Windows\System32\drivers\
ここには**.sysファイル**が格納されています。
ドライバーストア:
C:\Windows\System32\DriverStore\FileRepository\
インストール済みドライバーの完全なパッケージが保存されています。
INFファイルの場所:
C:\Windows\INF\
セットアップ情報ファイルが格納されています。
メーカー製ドライバーの場所
一般的な保存先:
NVIDIA:
C:\Program Files\NVIDIA Corporation\
C:\ProgramData\NVIDIA Corporation\
AMD:
C:\AMD\
C:\Program Files\AMD\
Intel:
C:\Program Files\Intel\
C:\Intel\
Realtek(サウンド):
C:\Program Files\Realtek\
C:\Windows\System32\Realtek\
ダウンロードドライバーの一時保存場所
Windows Updateのキャッシュ:
C:\Windows\SoftwareDistribution\Download\
メーカーインストーラーの展開先:
C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Local\Temp\
C:\NVIDIA\DisplayDriver\[バージョン]\
C:\AMD\[製品名]\
ドライバーファイルの確認方法
デバイスマネージャーで確認
現在のドライバー情報を見る:
- デバイスマネージャーを開く(Win+X → M)
- 確認したいデバイスを右クリック
- **「プロパティ」**を選択
- 「ドライバー」タブで以下を確認:
- ドライバーのバージョン
- ドライバーの日付
- デジタル署名者
コマンドプロンプトで詳細確認
driverqueryコマンド:
# すべてのドライバーを一覧表示
driverquery
# 詳細情報付きで表示
driverquery /v
# 署名情報も含めて表示
driverquery /si
# CSVファイルに出力
driverquery /fo csv > drivers.csv
PowerShellで高度な確認
より詳しい情報取得:
# インストール済みドライバーの一覧
Get-WindowsDriver -Online
# 特定のドライバーの詳細
Get-WindowsDriver -Online -Driver "nvlddmkm.inf"
# サードパーティドライバーのみ表示
Get-WindowsDriver -Online | Where-Object {$_.ProviderName -ne "Microsoft"}
ドライバーファイルの更新方法
方法1:Windows Update経由
最も安全な更新方法:
- 設定→「更新とセキュリティ」
- 「詳細オプション」
- 「オプションの更新プログラム」
- 「ドライバー更新プログラム」
- 必要なドライバーにチェック
- 「ダウンロードしてインストール」
メリット:
- Microsoft検証済み
- 自動でバックアップ作成
- 問題時はロールバック可能
方法2:デバイスマネージャーから更新
個別デバイスの更新:
- デバイスマネージャーを開く
- 対象デバイスを右クリック
- 「ドライバーの更新」
- 「ドライバーを自動的に検索」
手動インストール:
- 「コンピューターを参照してドライバーを検索」
- ダウンロードしたドライバーフォルダを指定
- INFファイルを選択
方法3:メーカー公式サイトから
最新版を確実に入手:
グラフィックボード:
- NVIDIA: GeForce Experience経由
- AMD: Radeon Software
- Intel: Intel Driver & Support Assistant
手動ダウンロード手順:
- デバイスの正確な型番を確認
- メーカーサイトのサポートページへ
- OSとビット数(64bit/32bit)を選択
- ダウンロード→インストール
方法4:ドライバー更新ツール
自動検出・更新ツール:
ツール名 | 特徴 | 価格 |
---|---|---|
Driver Booster | 豊富なドライバーDB | 無料版あり |
Driver Easy | 使いやすいUI | 無料版あり |
Snappy Driver Installer | 完全無料・オープンソース | 無料 |
Dell SupportAssist | Dellデバイス専用 | 無料 |
注意: サードパーティツールは慎重に選択してください。
ドライバーファイルのバックアップ
手動バックアップ方法
DriverStoreフォルダのコピー:
- 以下のフォルダを別ドライブにコピー:
C:\Windows\System32\DriverStore\FileRepository\
- 約2-5GBの容量が必要
DISMコマンドでバックアップ
コマンドプロンプト(管理者):
# ドライバーのエクスポート
dism /online /export-driver /destination:D:\DriverBackup
# 特定のドライバーのみエクスポート
pnputil /export-driver "oem1.inf" D:\DriverBackup
サードパーティツールでバックアップ
Double Driver(無料):
- ソフトを起動
- **「Backup」**を選択
- バックアップしたいドライバーにチェック
- 保存先を指定して実行
バックアップ推奨タイミング:
- Windows大型アップデート前
- ドライバー更新前
- クリーンインストール前
ドライバーファイルのインストール
INFファイルからの手動インストール
右クリックインストール:
- INFファイルを右クリック
- **「インストール」**を選択
- 管理者権限で実行
デバイスマネージャー経由:
- デバイスマネージャーでデバイスを選択
- 「ドライバーの更新」
- 「コンピューターを参照」
- 「コンピューター上の利用可能なドライバーの一覧から選択」
- **「ディスク使用」**でINFファイルを指定
PnPUtilコマンドでインストール
コマンドプロンプト(管理者):
# ドライバーの追加
pnputil /add-driver C:\Drivers\mydriver.inf
# インストールも同時に実行
pnputil /add-driver C:\Drivers\mydriver.inf /install
# フォルダ内の全ドライバーを追加
pnputil /add-driver C:\Drivers\*.inf /subdirs /install
トラブルシューティング
ドライバーファイルが見つからない
対処法:
- Windows Updateを実行
- メーカーサイトから再ダウンロード
- システムファイルチェッカー実行:
sfc /scannow
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
ドライバー署名エラー
署名のないドライバーをインストール:
- テストモードを有効化:
bcdedit /set testsigning on
- PC再起動
- ドライバーインストール
- 完了後はテストモード無効化
一時的に署名を無効化:
- 起動時にF8 → 「ドライバー署名の強制を無効にする」
ドライバーの競合
古いドライバーの完全削除:
- デバイスマネージャーで**「デバイスのアンインストール」**
- **「このデバイスのドライバーソフトウェアを削除する」**にチェック
- PC再起動
- 新しいドライバーをインストール
ドライバー更新後の不具合
ロールバック方法:
- デバイスマネージャー
- 問題のデバイス→プロパティ
- 「ドライバー」タブ
- 「ドライバーを元に戻す」
システムの復元:
- 復元ポイントから復元
- 更新前の状態に戻る
ドライバーファイルの削除
不要ドライバーのクリーンアップ
DriverStore Explorerを使用:
- 管理者権限で起動
- **「Old Drivers」**にチェック
- 削除したいドライバーを選択
- 「Delete Driver(s)」
手動削除:
# インストール済みドライバーの一覧
pnputil /enum-drivers
# 特定ドライバーの削除
pnputil /delete-driver oem1.inf
ディスククリーンアップ
古いドライバーパッケージの削除:
- ディスククリーンアップを起動
- 「システムファイルのクリーンアップ」
- **「デバイスドライバーパッケージ」**にチェック
- 実行
よくある質問と回答
Q1:ドライバーは常に最新にすべき?
A:必ずしもそうではありません
「動いているものは触らない」が基本。問題がなければ更新不要です。ただし、セキュリティ更新は例外。
Q2:Generic Driverって何?
A:Windows標準の汎用ドライバー
基本機能のみ。メーカー製ドライバーの方が高機能・高性能です。
Q3:ドライバーファイルを直接編集できる?
A:推奨しません
デジタル署名が無効になり、動作しなくなります。設定変更はレジストリやツールから。
Q4:32bitと64bitのドライバーは互換性ある?
A:ありません
必ずOSのビット数と一致するドライバーが必要です。
まとめ
ドライバーファイルは、PCとハードウェアをつなぐ重要な架け橋です。
押さえておくべきポイント:
- 主要ファイルはC:\Windows\System32\driversに保存
- 更新はWindows Update優先、次にメーカー公式
- トラブル前にバックアップを作成
- 問題があればロールバックで対処
- 不要なドライバーは定期的にクリーンアップ
正しいドライバー管理で、PCのパフォーマンスを最大限に引き出し、安定した動作を実現できます。
まずは、デバイスマネージャーで現在のドライバー状況を確認することから始めてみてください!
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