「オンラインゲームで撃ったはずなのに負けた!」 「ビデオ会議で相手の声が遅れて聞こえる…」 「クリックしてもなかなか反応しない!」
こんなイライラ、経験ありませんか?
実は、これらの原因の多くがレイテンシ(遅延)なんです。 ネット回線は速いはずなのに、なぜか反応が遅い…その謎を今日は完全に解明します!
この記事を読めば、レイテンシの正体から改善方法まで、すべて分かるようになりますよ。
レイテンシを5秒で理解!身近な例えで完全理解

レイテンシ = データが往復する時間
超シンプルに言うと:
あなた「おーい!」→ → → → → 相手「はーい!」
この往復にかかる時間がレイテンシ
もっと正確に言うと: あなたのパソコンから、相手のサーバーまでデータが行って帰ってくるまでの時間のこと。
身近な例で理解しよう
1. 会話での例:
【同じ部屋】
あなた:「元気?」
友達:「元気だよ!」(即答)
→ レイテンシ:ほぼ0秒
【国際電話】
あなた:「元気?」
...(1秒待つ)...
友達:「元気だよ!」
→ レイテンシ:1秒
2. 宅配便での例:
速度(帯域幅)= トラックの大きさ(一度に運べる量)
レイテンシ = 配達にかかる時間
大きなトラックでも、遠い場所なら時間がかかる!
ping値 = レイテンシを数値化したもの
ping値の見方:
1ms(ミリ秒)= 0.001秒
・1ms以下:神速!
・1-10ms:超快適
・10-30ms:快適
・30-50ms:普通
・50-100ms:やや遅い
・100ms以上:遅い!
ゲーマーが「ping値」にこだわる理由がこれです!
レイテンシと帯域幅の違い:よくある勘違いを解消
高速道路で例えると一発理解!
帯域幅(回線速度)= 車線の数
レイテンシ = 目的地までの時間
【8車線の高速道路でも...】
東京→大阪:どんなに車線が多くても3時間はかかる
東京→品川:1車線でも15分で着く
【ネットも同じ!】
1Gbps回線でも、アメリカのサーバーなら遅延する
100Mbps回線でも、近くのサーバーなら速い
実際の数値で比較
項目 | 帯域幅重視の人 | レイテンシ重視の人 |
---|---|---|
回線速度 | 1Gbps | 100Mbps |
ping値 | 50ms | 5ms |
動画視聴 | ◎サクサク | ○問題なし |
ファイルDL | ◎超高速 | ○普通 |
オンラインゲーム | △ラグあり | ◎快適 |
ビデオ会議 | △遅延あり | ◎スムーズ |
結論:用途によって重要度が違う!
なぜレイテンシが発生するの?5つの原因
1. 物理的な距離
光の速度 = 秒速30万km(真空中)
光ファイバー内 = 秒速20万km
東京→ニューヨーク(約11,000km)
理論上の最小遅延 = 55ms(片道)
往復 = 110ms
どんなに技術が進歩しても、これ以上速くならない!
2. ルーターやスイッチでの処理
データの旅:
あなたのPC → 家のルーター → プロバイダー →
→ 複数の中継点 → → → 目的のサーバー
各中継点で:0.1~1ms の遅延
中継点が30箇所なら:3~30ms の追加遅延
3. ネットワークの混雑
【空いている時間帯(朝5時)】
ping: 10ms
【混雑時間帯(夜9時)】
ping: 50ms
5倍も違う!
4. Wi-Fi接続
有線LAN:1~2ms の追加遅延
Wi-Fi 6:2~5ms の追加遅延
Wi-Fi 5:5~10ms の追加遅延
古いWi-Fi:10~30ms の追加遅延
5. 機器の性能
高性能ルーター:処理時間 0.1ms
安いルーター:処理時間 2ms
古いルーター:処理時間 5ms以上
用途別:どれくらいのレイテンシなら大丈夫?

オンラインゲーム
ジャンル別の推奨ping値:
ゲームジャンル | 推奨ping | 限界ping | 影響 |
---|---|---|---|
FPS/TPS | 1-15ms | 30ms | 撃ち負ける |
格闘ゲーム | 1-10ms | 20ms | コンボが繋がらない |
MOBA | 1-30ms | 50ms | スキルが当たらない |
MMORPG | 1-50ms | 100ms | 多少のラグはOK |
カードゲーム | 1-100ms | 200ms | ほぼ影響なし |
プロゲーマーの環境:
- ping値:1-5ms
- 有線接続必須
- ゲーミングルーター使用
ビデオ会議・オンライン授業
快適レベル:
~30ms:リアルタイム会話OK
30-70ms:少し間が空くが許容範囲
70-150ms:会話がかぶりやすい
150ms~:ストレスフル
国際会議の現実:
日本⇔アメリカ:100-150ms
日本⇔ヨーロッパ:200-280ms
→ どうしても遅延は発生する
動画配信・ストリーミング
YouTube/Netflix視聴:
・バッファリングがあるので影響小
・ping値100ms以上でも問題なし
・重要なのは帯域幅
ライブ配信:
配信者側:10-30ms推奨
視聴者側:影響なし(数秒遅れは普通)
Web閲覧・SNS
体感速度:
~50ms:サクサク
50-100ms:普通
100-200ms:ややもっさり
200ms~:イライラする
1ページ読み込みで50回通信すると...
ping 20ms:1秒
ping 100ms:5秒
→ 5倍の差!
レイテンシを測定する方法:今すぐチェック!
方法1:コマンドプロンプト/ターミナル
Windows の場合:
# Googleまでのping測定
ping google.com
# 詳細な測定(10回)
ping -n 10 google.com
# 経路を調べる
tracert google.com
Mac/Linux の場合:
# Googleまでのping測定
ping google.com
# 10回だけ測定
ping -c 10 google.com
# 経路を調べる
traceroute google.com
結果の見方:
Reply from 142.250.xxx.xxx: bytes=32 time=15ms TTL=117
↑ これがレイテンシ!
方法2:オンライン測定サイト
おすすめサイト:
- Fast.com(Netflix提供)
- シンプルで使いやすい
- 「詳細を表示」でping値確認
- Speedtest.net
- 世界中のサーバーで測定可能
- ping、ダウンロード、アップロードを一括測定
- みんなのネット回線速度
- 日本のプロバイダー別統計
- 時間帯別の傾向が分かる
方法3:ゲーム内表示
多くのオンラインゲームで確認可能:
・設定 → ネットワーク → ping表示ON
・画面端に「ping: 〇〇ms」と表示
・色で状態を示すことも(緑=良好、赤=悪い)
レイテンシを劇的に改善する15の方法

すぐできる改善法(効果:大)
1. 有線LANに変更する
改善度:★★★★★
Wi-Fi → 有線で 5-30ms 改善!
必要なもの:
・LANケーブル(CAT6以上推奨)
・約1,000円で購入可能
2. ルーターを再起動
改善度:★★★★☆
月1回の再起動で安定化
手順:
1. 電源を切る
2. 30秒待つ
3. 電源を入れる
3. 近いサーバーを選ぶ
改善度:★★★★☆
ゲーム:アジアサーバーを選択
動画:CDNが効いているか確認
VPN:日本のサーバーを選択
ネットワーク設定の最適化(効果:中)
4. DNSサーバーを変更
改善度:★★★☆☆
高速DNS:
・Cloudflare:1.1.1.1
・Google:8.8.8.8
・Quad9:9.9.9.9
設定場所:
ネットワーク設定 → IPv4 → DNSサーバー
5. MTUサイズの最適化
改善度:★★★☆☆
最適値の見つけ方:
ping -f -l 1472 google.com
エラーが出なければOK
エラーなら数値を下げて再試行
6. QoS設定
改善度:★★★☆☆
ルーター管理画面で:
・ゲーム機に優先度設定
・帯域幅の確保
・他デバイスの制限
ハードウェアのアップグレード(効果:中~大)
7. ルーターを買い替える
改善度:★★★★☆
推奨スペック:
・Wi-Fi 6対応
・ゲーミングルーター
・予算:1-3万円
8. LANケーブルをアップグレード
改善度:★★☆☆☆
CAT5e → CAT6A
古い/損傷ケーブルの交換
9. ネットワークカードの交換
改善度:★★★☆☆
古いPCの場合:
・1Gbps対応カード
・Intel製が安定
プロバイダー・回線の見直し(効果:大)
10. プロバイダーを変更
改善度:★★★★★
低レイテンシで有名:
・NURO光
・auひかり
・地域限定の電力系
IPv6 IPoE対応は必須!
11. 回線種別の変更
改善度:★★★★★
ADSL → 光回線:50ms以上改善
CATV → 光回線:20-30ms改善
ソフトウェア最適化(効果:小~中)
12. 不要なアプリを閉じる
改善度:★★☆☆☆
特に注意:
・アップデート
・クラウドストレージ同期
・動画ストリーミング
13. Windowsのゲームモード
改善度:★★☆☆☆
設定 → ゲーム → ゲームモードON
ネットワーク優先度が上がる
14. ファイアウォール/セキュリティソフトの見直し
改善度:★★☆☆☆
ゲームを例外設定に追加
リアルタイムスキャンの除外
15. VPNを切る
改善度:★★★★☆
VPN使用時:+20-100ms
必要な時だけ使用する
地域・プロバイダー別レイテンシの実態
日本国内の平均ping値
主要都市から東京のサーバーまで:
東京都内:2-5ms
関東圏:5-10ms
名古屋:10-15ms
大阪:15-20ms
福岡:25-30ms
札幌:30-35ms
沖縄:40-50ms
プロバイダー別の傾向
プロバイダー | 平均ping | 安定性 | 特徴 |
---|---|---|---|
NURO光 | 5-10ms | ◎ | 独自回線で高速 |
auひかり | 8-15ms | ◎ | 独自回線 |
ソフトバンク光 | 10-20ms | ○ | IPv6必須 |
ドコモ光 | 10-25ms | ○ | プロバイダー次第 |
フレッツ光 | 15-30ms | △ | 混雑しやすい |
時間帯による変動
【平日】
早朝(5-7時):最速!基準値
午前(9-12時):+5ms
午後(14-17時):+5ms
夜(19-23時):+20ms(最混雑)
深夜(0-4時):+10ms
【休日】
朝から晩まで混雑気味
深夜が狙い目
トラブルシューティング:症状別対処法

症状1:急にping値が跳ね上がった
確認手順:
1. 他のデバイスでも遅い?
→ YES:回線/ルーターの問題
→ NO:そのデバイスの問題
2. 特定のサービスだけ?
→ YES:サーバー側の問題
→ NO:自分側の問題
3. Wi-Fi接続?
→ 有線で試す
4. ルーター再起動で改善?
→ YES:一時的な問題
→ NO:根本的な対策必要
症状2:特定の時間だけ遅い
原因と対策:
プロバイダーの混雑
→ IPv6 IPoE接続に変更
→ プロバイダー変更検討
家族の利用と重なる
→ QoS設定で優先度調整
→ 利用時間の調整
症状3:ゲームだけping値が高い
チェックポイント:
□ ゲーム内サーバー選択は適切?
□ ポート開放は正しい?
□ セキュリティソフトの例外設定済み?
□ ゲームモードON?
□ グラフィック設定が高すぎない?
未来のレイテンシ:新技術で何が変わる?
5Gでレイテンシは改善する?
4G LTE:30-50ms
5G:1-10ms(理論値)
現実:
・エリア限定
・建物内は厳しい
・有線には勝てない
エッジコンピューティング
従来:自宅 → → → 遠いデータセンター
エッジ:自宅 → 近くの基地局(処理)
期待される効果:
・レイテンシ1/10に
・2025年頃から本格化
衛星インターネット(Starlink)
メリット:
・どこでも使える
・災害に強い
デメリット:
・レイテンシ20-40ms(改善中)
・天候に左右される
・まだ高価
ゲーマー向け:競技レベルの低レイテンシ環境構築
プロゲーマーの環境例
【ハードウェア】
回線:NURO光 2Gbps
ルーター:ASUS ROG Rapture
LANケーブル:CAT7
マウス:有線接続(1000Hz)
【設定】
Windows:ゲームモード、不要サービス停止
ルーター:ゲーム機最優先、UPnP無効
DNS:1.1.1.1
【結果】
ping値:1-3ms(国内サーバー)
パケットロス:0%
大会での対策
オフライン大会:
・LAN環境で0.1ms以下
・最高の環境
オンライン大会:
・有線接続必須
・バックアップ回線準備
・前日に回線テスト
よくある質問(FAQ)
Q1. ping値とfps値の違いは?
ping値:ネットワークの遅延(ms)
fps値:画面の滑らかさ(フレーム/秒)
両方重要だが別物!
ping低い+fps高い = 最高の環境
Q2. IPv6にしたら速くなる?
IPv6 IPoE接続:
・混雑回避でレイテンシ改善
・平均10-20ms改善の報告多数
注意:
・対応ルーター必要
・すべてのサービスで使えない
Q3. ゲーミングルーターは効果ある?
効果あり!特に:
・QoS機能で優先制御
・高速CPU で処理遅延減
・DDoS対策機能
ただし:
・回線が遅いと意味なし
・設定が重要
Q4. VPNでping改善することもある?
稀にある!
・プロバイダーの経路が悪い時
・ゲームVPN(WTFast等)
通常は遅くなる:
・暗号化処理で遅延
・経由地が増える
まとめ:レイテンシと上手に付き合う方法
レイテンシは完全にゼロにはできません。 でも、理解して対策すれば、劇的に改善できます!
覚えておきたい基本:
- レイテンシ ≠ 回線速度
- 物理的距離は超えられない
- 有線 > 無線は絶対
用途別の目安:
- ゲーム:10ms以下を目指す
- ビデオ会議:50ms以下でOK
- 動画視聴:100ms以下で問題なし
今すぐできる3つの改善:
- Wi-Fi → 有線LANに変更
- ルーターを再起動
- 近いサーバーを選ぶ
投資する価値があるもの:
- 良いルーター(1-3万円)
- CAT6A ケーブル(1,000円)
- 光回線(月額4,000-6,000円)
レイテンシを理解すれば、快適なネット生活が待っています! 特にゲーマーの方は、この知識が勝率に直結しますよ。
さあ、まずはpingコマンドで現状を測定してみましょう!
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