「線形代数(せんけいだいすう)」って聞くと、うわっ、難しそう…って思うよね。
でも実は、きみが毎日遊んでるゲーム、TikTokやインスタの顔フィルター、それにGoogleマップ。これらぜんぶ、線形代数という数学のおかげで動いているんだ。
たとえば、ピザを1枚300円で買ったら、2枚だと600円になるよね。こんな「まっすぐな関係」を理解することが、線形代数の第一歩なんだよ。
3000年前から続く数学の冒険

昔の人も同じことを考えていた!
今から3000年以上も前、エジプトでは毎年ナイル川があふれて、みんなの畑の境界線が分からなくなっちゃうことがあったんだ。
そこで農民たちは「みんなに公平に土地を分けるにはどうしたらいい?」って考えて、今でいう方程式みたいなものを使い始めたんだよ。
中国では、約2000年前に「算木(さんぎ)」っていう計算棒を使って、今の私たちがコンピュータでやるような計算をしていたんだ。すごいよね!
日本にもすごい数学者がいた
江戸時代の日本にも、関孝和(せき たかかず)という天才数学者がいたんだ。
ヨーロッパの数学者たちとまったく交流がなかったのに、同じような発見をしていたんだよ。
数学って、世界中の人が同じことを考えるんだね。
そして現代へ
畑を測ったり、税金を計算したりするための道具だったものが、今ではYouTubeの動画、スマホゲーム、AIの頭脳になっているんだ。
基本をマスターしよう!

ベクトル:向きと大きさがある矢印
ベクトルって、かんたんに言うと「矢印」のこと。
たとえば、友達の家に行くとき「東に3ブロック、北に4ブロック歩いて」って言われたら、それがベクトルだよ。
- 「3ブロック」「4ブロック」が大きさ
- 「東」「北」が向き
ポケモンGOで遊ぶとき、きみのキャラが動く方向と距離も、実はベクトルなんだ。
行列:数字のマス目
**行列(ぎょうれつ)**は、数字をきれいに並べたマス目のこと。
身近な例:
- 教室の座席表(5列×6行とか)
- スマホの画面(たくさんの小さな点の集まり)
- エクセルの表
インスタのフィルターって知ってる?あれは、きみの顔の写真(数字のマス目)に、別の数字のマス目をかけ算して、新しい見た目を作っているんだよ。
変換:形を変える魔法
線形変換は、ものの形を変える魔法みたいなもの。
でも大切なルールがあるんだ:
- まっすぐな線は、まっすぐなまま
- 平行な線は、平行なまま
スマホで写真を拡大したり、ゲームでキャラを回転させたりするのが、まさにこれ!
特別な方向(固有ベクトル)
地球儀を回してみよう。
ほとんどの場所は動くけど、北極と南極だけは同じ場所にいるよね?この「動かない特別な方向」を固有ベクトル(こゆうベクトル)っていうんだ。
Googleの検索順位も、この考え方を使って「どのサイトが一番大事か」を決めているんだよ。
きみも使ってる!線形代数の活躍

TikTokのフィルターのひみつ
TikTokで犬の耳がつくフィルター、使ったことある?
アプリはきみの顔の68個のポイント(目の端っこ、鼻の先、口の角とか)を見つけて、そこに耳をぴったり合わせているんだ。
これを1秒間に30回以上も計算してるから、動いても耳がちゃんとついてくるんだよ。
ゲームの中の数学
マリオがジャンプするとき、実はこんな計算をしているんだ:
- ジャンプの速さ:上に3、右に1
- 重力:下に1ずつ引っ張る
- この2つを足し算して、マリオの位置を決める
フォートナイトやマインクラフトも、キャラクターが動くたびに、何千回もこんな計算をしているんだよ。
Netflixがおすすめを選ぶ方法
「きみはこれも好きかも」って出てくるよね?
Netflixは、きみが何を見たか、どこでやめたか、何点つけたかを全部覚えていて、同じような好みの人が見ている作品を教えてくれるんだ。
これも線形代数の計算のおかげ。この仕組みで、Netflixは年間1500億円も節約できているんだって!
いろんな場所で大活躍

病院で命を救う
MRIっていう体の中を見る機械、知ってる?
あれは、体をいろんな角度から撮った写真(2D)を、線形代数を使って立体(3D)に組み立てているんだ。お医者さんが病気を見つけられるのも、この数学のおかげなんだよ。
スポーツをもっとおもしろく
プロ野球やサッカーでは、選手の動きを1秒に25回も記録して、どこを強化すればいいか分析しているんだ。
「この選手は左に動くのが苦手」とか「4回戦で疲れが出る」とか、全部数字でわかっちゃう。
きみがやってるスポーツゲームも、実際の選手のデータを使って、リアルな動きを再現しているんだよ。
日本のロボット技術
日本には35万台以上の産業用ロボットが働いているんだ。
車を作ったり、お弁当を詰めたり。これらのロボットは、線形代数を使って「手をどう動かせば目的の場所に届くか」を計算しているんだよ。
ソニーのゲームAI「グランツーリスモSophy」は、線形代数を使ってプロのレーサーより速く走れるようになったんだ!
明日の天気がわかる理由
天気予報って、なんで明日の天気がわかるんだろう?
実は、空を立体のマス目に区切って、それぞれの場所の温度、湿度、風の強さを数字にして、スーパーコンピュータで計算しているんだ。
この計算も、ぜんぶ線形代数!
なぜ今、線形代数を学ぶといいの?
身につく特別な力
線形代数を学ぶと、こんな力が身につくよ:
- 立体的に考える力:2Dから3D、そしてもっと複雑な世界を想像できる
- パターンを見つける力:たくさんのデータから規則を発見できる
- 論理的に考える力:順序立てて問題を解決できる
これらの力は、どんな仕事でも役に立つんだ。
将来の仕事につながる
線形代数を使う仕事はたくさんあるよ:
- ゲームクリエイター:かっこいいグラフィックを作る
- データサイエンティスト:ビッグデータを分析する
- AIエンジニア:賢いロボットを作る
- 映画のCGクリエイター:すごい特殊効果を作る
- スポーツアナリスト:選手の能力を分析する
日常生活でも役に立つ
線形代数の考え方は、普段の生活でも使えるよ:
- お小遣いの使い方を計画する
- 部活の練習メニューを考える
- 効率的な勉強計画を立てる
- ゲームの攻略法を見つける
楽しく学ぶ方法

まずは見て理解しよう
YouTubeの「3Blue1Brown」っていうチャンネル(日本語字幕あり)がすごくわかりやすいよ。
数字の計算より先に、「これってどういう意味?」を動画で見せてくれるんだ。
使えるツール
GeoGebra(ジオジェブラ) 無料のアプリで、ベクトルや図形を自分で動かして実験できる。
Scratch(スクラッチ) プログラミングしながら、座標やベクトルの考え方が身につく。
エクセルやGoogleスプレッドシート 行列の計算を実際にやってみることができる。
体を動かして学ぼう
「ベクトルウォーク」っていう遊びがおすすめ。
「東に3歩、北に4歩」みたいな指示を出し合って、実際に歩いてみる。最短距離はどこか、体で感じることができるよ。
最新技術と線形代数
AIの中身は線形代数だらけ
ChatGPTって使ったことある?
あのAIは、何十億回も行列の計算をして、人間みたいな文章を作っているんだ。絵を描くAIも、線形代数で色や形を計算している。
量子コンピュータ
普通のコンピュータの何億倍も速い「量子コンピュータ」。
日本の理化学研究所も開発していて、これも線形代数の計算が基本になっているんだ。
VRとAR
VRゴーグルをつけると、別の世界にいるみたいになるよね。
きみの頭の動きを追いかけて、見える景色を計算するのも、全部線形代数なんだ。
つまずきやすいところと解決法

「目に見えないものを想像するのが難しい」
3次元までは想像できても、4次元以上は難しいよね。
解決法:プロの数学者も、4次元以上は「想像」じゃなくて「計算」で理解しているんだ。無理に頭の中で見ようとしなくていいんだよ。
「同じものなのに、いろんな見方がある」
行列って、「数字の表」でもあり「変換の道具」でもある。
解決法:料理のレシピと同じ。「材料リスト」でもあり「作り方の説明」でもあるよね。いろんな見方ができることが、実は便利なんだ。
「計算はできるけど、意味がわからない」
公式を覚えて計算はできても、「で、これって何?」ってなることがある。
解決法:必ず「これは現実の何に使えるの?」って考えてみよう。ゲーム、スポーツ、音楽…きみの好きなものと関連付けると、急に面白くなるよ。
きみの冒険が始まる!
線形代数は、最初は難しく感じるかもしれない。
でも、きみの周りにあるすべての技術―ゲーム、SNS、動画、AI―の裏側で働いている、本当にすごい数学なんだ。
まずは身近なところから始めてみよう:
- ゲームでキャラが動く仕組みを考えてみる
- 写真アプリのフィルターがどう動くか観察する
- 影の長さが時間で変わることに注目する
覚えておいて。今は難しく感じても、一歩ずつ進めば必ず理解できる。世界中の数学者も、みんな最初は初心者だったんだから。
きみが線形代数を学ぶことで、ゲームを作ったり、AIを開発したり、宇宙開発に関わったり…どんな夢でも実現できる力が身につくんだ。
3000年前のエジプトの農民から、現代のプログラマーまで。みんな同じ数学でつながっている。
さあ、きみも 数学の冒険に出発しよう!
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