【家事を手伝う小さな同居人】ホブゴブリンとは?ゴブリンとの違い・特徴をやさしく解説!

神話・歴史・伝承

夜中に台所から物音がして、朝起きたらピカピカに掃除されていた…そんな不思議な経験はありませんか?

イギリスの古い家には、人間が寝ている間に家事を手伝ってくれる小さな妖精が住んでいると言われています。その名も「ホブゴブリン」。名前に「ゴブリン」と付いていますが、実は悪いゴブリンとは正反対の性格なんですよ。

シェイクスピアの『真夏の夜の夢』に登場する妖精パックも、実はホブゴブリンの一種。いたずら好きだけど憎めない、そんな愛嬌たっぷりの存在として親しまれてきました。

この記事では、イギリス生まれの家事妖精「ホブゴブリン」について、その正体と特徴をわかりやすくご紹介します。

スポンサーリンク

ホブゴブリンってどんな妖精なの?

ホブゴブリンは、イギリスの民間伝承に登場する家の守護妖精です。

名前の「ホブ(Hob)」は親愛の情を表す接頭辞で、「親しみやすい」という意味が込められています。つまり、「親切なゴブリン」という意味なんですね。ロブゴブリンとも呼ばれます。

1530年頃から文献に登場し始め、キリスト教が広まる前は完全に善良な存在でしたが、その後はいたずら好きな一面も強調されるようになりました。

ゴブリンとの決定的な違い

  • ゴブリン:人間に害を与える邪悪な妖精
  • ホブゴブリン:人間を助ける親切な妖精(でもいたずら好き)

実は「ホブゴブリン」という言葉は、特定の種類というより、家に住んで人間と関わる妖精たちの総称としても使われるんです。

姿・見た目

ホブゴブリンの姿は、地域や伝承によって様々です。

ホブゴブリンの外見

  • 体の大きさ:小さな子供ぐらい(ブラウニーと同じくらい)
  • 体つき:ずんぐりと背が低い
  • 毛並み:毛むくじゃらで醜い姿
  • 特殊な姿:半分人間の子供、半分ヤギの姿をしているものも
  • 持ち物:しばしば箒(ほうき)を抱えている

イングランドの伝承では「小さくて毛深い男」として描かれることが多く、普段は人間の目には見えないとされています。

特徴

ホブゴブリンの最大の特徴は、夜中に家事を手伝ってくれることです。

ホブゴブリンの行動パターン

得意な家事

  • 台所の掃除、皿洗い
  • 洗濯、アイロンがけ
  • 馬の世話、農作業の手伝い
  • 脱穀(だっこく)などの重労働も

活動時間

  • 基本的に夜間、人間が寝ている間に活動
  • 昼間は姿を見せない

お礼の方法

  • コップ一杯のミルクを暖炉のそばに置く
  • パン一切れやバター、お粥でも喜ぶ
  • クリスマスイブには特別にお粥を供える地域も

いたずら好きな一面

親切なホブゴブリンですが、実はかなりのいたずら好きなんです。

よくあるいたずら

  • ミルクのクリームを掬い取る
  • ビールの酵母を立たなくする
  • 旅人を道に迷わせる
  • 三脚椅子に化けて子供を転ばせる
  • 寝ている人の布団を引っ張る

でも、これらは悪意からではなく、茶目っ気からくるもの。いたずらが成功すると、他の妖精たちと一緒に笑い転げるそうですよ。

機嫌を損ねると…

ホブゴブリンは感情豊かで、扱いを間違えると大変なことになります。

怒らせてしまうNG行為

  • お礼を忘れる、ないがしろにする
  • 服をプレゼントする(プライドを傷つけ、永遠に去ってしまう)
  • 勝手な名前で呼ぶ
  • 家を汚したままにする

怒ったホブゴブリンは、片付けたものをメチャメチャにしたり、物を隠したり、時には危険ないたずらをすることも。最悪の場合、家から出て行ってしまいます。

伝承と有名なホブゴブリン

各地のホブゴブリン

ビリー・ブラインド イギリスの民謡に登場する賢いホブゴブリン。人間が困った時に貴重な助言をくれる親切な存在。

ロビン・ラウンドキャップ ヨークシャーのスポルディントン・ホールに住んでいた家事妖精。脱穀を手伝ってくれるが、機嫌が悪いと小麦と籾殻(もみがら)を混ぜ直してしまう。

ブルー・バーチェス サマセットの靴屋に住んでいた変身能力を持つホブゴブリン。普段は青いだぶだぶのズボンをはいた老人の姿だが、白い馬、黒い豚、青い煙にも変身できた。

シェイクスピアのパック

『真夏の夜の夢』に登場する妖精パックは、最も有名なホブゴブリンです。変身能力を持ち、人間にいたずらをしかけますが、根は憎めない愛すべきキャラクターとして描かれています。

各国の親戚たち

  • ブラウニー(スコットランド):より平和的で善良
  • ドービー(ランカシャー、ヨークシャー):執拗ないたずら者
  • ボハン(スコットランド):いたずら好きだが困った時は助けてくれる
  • ブバッハ(ウェールズ):聖職者と禁酒主義者が大嫌い
  • ニッセ(ノルウェー):納屋に住み、家畜の世話もしてくれる

まとめ

ホブゴブリンは、人間と共に暮らす愛すべき家事妖精です。

重要なポイント

  • ゴブリンの親切版(「ホブ」は親愛を表す接頭辞)
  • 夜中に家事を手伝う守護妖精
  • お礼はミルク一杯で十分
  • いたずら好きだが悪意はない茶目っ気
  • 服を与えると去ってしまうという弱点
  • シェイクスピアのパックも有名なホブゴブリン
  • イギリス全土に様々な種類が存在

悪いゴブリンとは正反対で、きちんとお礼をすれば家を守ってくれる心強い味方。
でも、いたずら好きな性格は変わらないので、上手に付き合うことが大切なんですね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました