「作業中に勝手に再起動された!」 「大事なプレゼン中に更新が始まった…」 「更新のタイミングを自分で決めたい」 「夜中に自動更新してほしいけど、設定方法が分からない」
Windows Updateは重要ですが、タイミングが悪いと作業の妨げになることも。
実は、Windows Updateには詳細なスケジュール設定があり、更新のタイミングを細かくコントロールできるんです。この記事では、基本的なスケジュール設定から、完全な自動更新の制御まで、すべてを分かりやすく解説していきます。
Windows Update の基本的な仕組み

更新プログラムの種類と頻度
定期配信スケジュール:
種類 | 配信日 | 内容 | 重要度 |
---|---|---|---|
月例更新(Patch Tuesday) | 第2火曜日 | セキュリティ更新、バグ修正 | 高 |
プレビュー更新 | 第3または第4火曜日 | 次月の準備版 | 中 |
定例外更新 | 不定期 | 緊急セキュリティ修正 | 最高 |
機能更新 | 年1-2回 | 大型アップデート | 高 |
ドライバー更新 | 随時 | ハードウェアドライバー | 中 |
Windows Updateのフェーズ
更新の流れ:
1. 検出フェーズ → 新しい更新を確認
2. ダウンロードフェーズ → バックグラウンドでダウンロード
3. インストールフェーズ → 更新プログラムの適用
4. 再起動フェーズ → 必要に応じて再起動
アクティブ時間の設定:作業中の更新を防ぐ
基本的なアクティブ時間設定
Windows 11の設定:
- 設定 → Windows Update
- 「詳細オプション」
- 「アクティブ時間」
- 以下から選択:
- 自動(推奨)
- 手動設定
Windows 10の設定:
設定 → 更新とセキュリティ → Windows Update
→ アクティブ時間の変更
手動でアクティブ時間を設定
設定例:
開始時刻:8:00
終了時刻:22:00
(最大18時間まで設定可能)
この時間内は自動再起動されません
自動調整の仕組み
「アクティビティに基づいて自動的に調整」:
- PCの使用パターンを学習
- 最もアクティブな時間を自動検出
- 毎日の習慣に合わせて調整
更新の一時停止:最大35日間停止可能
一時停止の設定
Windows 11:
設定 → Windows Update
→ 「更新の一時停止」
→ 期間を選択(1週間~5週間)
Windows 10:
設定 → 更新とセキュリティ → Windows Update
→ 「更新を7日間一時停止」
→ 詳細オプション → さらに長期間停止
一時停止の制限事項
注意点:
- 最大35日間まで
- セキュリティ更新も停止される
- 期限後は強制的に更新
- 再度停止するには一度更新が必要
詳細なスケジュール設定
再起動のスケジュール
カスタムスケジュール設定:
- Windows Update画面
- 「再起動のスケジュール」
- **「時刻をスケジュール」**をオン
- 日付と時刻を指定
設定例:
日付:明日
時刻:深夜2:00
→ 指定時刻に自動再起動
通知オプション
通知設定:
設定 → Windows Update → 詳細オプション
→ 「追加の通知」
☑ 再起動が必要なときに通知を受け取る
☑ 更新プログラムの準備ができたら通知
グループポリシーで完全制御(Pro版以上)

グループポリシーエディターでの設定
アクセス方法:
gpedit.msc → コンピューターの構成
→ 管理用テンプレート → Windowsコンポーネント
→ Windows Update
主要なポリシー設定
1. 自動更新の構成:
「自動更新を構成する」→ 有効
オプション:
2 - ダウンロードとインストールを通知
3 - 自動ダウンロードしインストールを通知
4 - 自動ダウンロードしインストール日時を指定
5 - ローカル管理者による設定を許可
2. スケジュール設定:
インストール日:0(毎日)~7(日曜日)
インストール時刻:0~23時
例:毎週日曜日の3:00に自動インストール
3. 再起動の制御:
「スケジュールされた自動更新のインストールで、
ログオンしているユーザーがいる場合は自動再起動しない」
→ 有効
レジストリでの詳細設定(上級者向け)
基本的なレジストリ設定
場所:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\WindowsUpdate
主要な値:
# 自動更新の無効化
"NoAutoUpdate"=dword:00000001
# 自動更新の設定(2-5の値)
"AUOptions"=dword:00000004
# スケジュール日(0-7)
"ScheduledInstallDay"=dword:00000000
# スケジュール時刻(0-23)
"ScheduledInstallTime"=dword:00000003
高度なレジストリ設定
# 再起動の延期時間(分)
[HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\WindowsUpdate\UX\Settings]
"RestartNotificationsAllowed2"=dword:00000001
"RestartNotificationsDeferralInMinutes"=dword:000005a0
# アクティブ時間の手動設定
"ActiveHoursStart"=dword:00000008
"ActiveHoursEnd"=dword:00000016
PowerShellでの管理
更新の確認とインストール
# Windows Updateモジュールのインストール
Install-Module PSWindowsUpdate -Force
# 更新の確認
Get-WindowsUpdate
# 更新のダウンロードとインストール
Install-WindowsUpdate -AcceptAll -AutoReboot
# 特定の更新を除外
Install-WindowsUpdate -NotKBArticleID KB5001234
# スケジュール実行
Register-ScheduledTask -TaskName "WindowsUpdateSchedule" -Trigger (New-ScheduledTaskTrigger -Daily -At 3am) -Action (New-ScheduledTaskAction -Execute "PowerShell.exe" -Argument "-Command Install-WindowsUpdate -AcceptAll -AutoReboot")
更新履歴の確認
# インストール済み更新の確認
Get-HotFix | Sort-Object -Property InstalledOn -Descending | Select-Object -First 10
# 詳細な更新履歴
Get-WindowsUpdateLog
タスクスケジューラでカスタムスケジュール
独自の更新スケジュール作成
手順:
- タスクスケジューラを開く(taskschd.msc)
- 「タスクの作成」
- トリガー設定:
毎週日曜日 3:00 AMまたは毎日深夜2:00 AM
- 操作設定:
プログラム:wuauclt.exe引数:/detectnow /updatenow
バッチファイルで自動化
@echo off
REM update_schedule.bat
REM 更新の確認
wuauclt /detectnow
REM 30分待機
timeout /t 1800
REM 更新のダウンロードとインストール
wuauclt /updatenow
REM ログ記録
echo %date% %time% - Update executed >> C:\update_log.txt
Windows Update for Business(企業向け)

展開リングの設定
リング構成例:
プレビューリング:IT部門(即座に適用)
↓ 3日後
早期導入リング:開発部門
↓ 7日後
広範囲展開リング:全社員
↓ 14日後
重要システム:最終展開
延期設定
グループポリシー:
- 品質更新プログラムの延期:最大30日
- 機能更新プログラムの延期:最大365日
よくあるトラブルと解決法
トラブル1:設定が反映されない
解決法:
# Windows Updateサービスの再起動
net stop wuauserv
net stop bits
net start bits
net start wuauserv
# ポリシーの更新
gpupdate /force
トラブル2:勝手に再起動される
解決法:
- アクティブ時間の再確認
- 「再起動が必要な場合でも…」設定確認
- グループポリシーで強制設定
トラブル3:更新が進まない
解決法:
# Windows Updateトラブルシューティング
msdt.exe /id WindowsUpdateDiagnostic
# 更新コンポーネントのリセット
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
sfc /scannow
更新を完全に制御する設定例
個人ユーザー向け設定
推奨設定:
- アクティブ時間:8:00-23:00
- 再起動:週末の深夜に自動
- 通知:すべて有効
- 一時停止:必要時のみ使用
開発者向け設定
推奨設定:
- グループポリシー:手動更新
- PowerShell:週次スケジュール
- 再起動:手動制御
- テスト環境:先行適用
企業向け設定
推奨設定:
- WSUS/SCCM導入
- 展開リング設定
- 品質更新:7日延期
- 機能更新:60日延期
月例更新日(Patch Tuesday)カレンダー
2024年の更新予定日
1月9日、2月13日、3月12日、4月9日
5月14日、6月11日、7月9日、8月13日
9月10日、10月8日、11月12日、12月10日
※日本時間では翌日(水曜日)の場合あり
便利なツールとスクリプト
更新管理ツール
Windows Update MiniTool(WUMT):
- GUIで更新を細かく制御
- 個別の更新を選択可能
- 更新の非表示設定
WAU Manager(Windows Automatic Updates Manager):
- 自動更新の完全制御
- スケジュール設定
- 通知カスタマイズ
監視スクリプト
# 更新状態を監視してメール通知
$updates = Get-WindowsUpdate
if ($updates.Count -gt 0) {
Send-MailMessage -To "admin@example.com" -Subject "Windows Updates Available" -Body ($updates | Out-String)
}
まとめ:Windows Updateを味方につける
Windows Updateのスケジュール設定を理解すれば、作業を妨げられることなく、安全にPCを最新状態に保てます。
重要ポイント:
- アクティブ時間を設定 – 作業中の再起動を防ぐ
- 再起動をスケジュール – 都合の良い時間に設定
- 一時停止を活用 – 重要な期間は更新停止
- グループポリシー活用 – Pro版なら完全制御
- 定期的な手動確認 – 月例更新日をチェック
今すぐ設定すべきこと:
- アクティブ時間の設定
- 再起動通知の有効化
- 月例更新日の確認
- 必要に応じて一時停止
適切なスケジュール管理で、Windows Updateと上手に付き合いましょう!
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