「このMicrosoftからのメール、本物?」
「会社のメールアドレスをOutlookで使いたい」
「@outlook.comと@hotmail.comって何が違うの?」
実は、Microsoftのドメイン名を正しく理解することで、 フィッシング詐欺から身を守り、 ビジネスメールをプロフェッショナルにできるんです。
ドメイン名とは、メールアドレスの「@」より後ろの部分。 例えば「tanaka@microsoft.com」なら「microsoft.com」がドメイン名です。
この記事では、Microsoftの正規ドメイン名一覧から、 独自ドメインの設定方法まで、 すべて分かりやすく解説します。
読み終わる頃には、怪しいメールを一瞬で見抜き、 プロフェッショナルなメール環境を構築できるようになりますよ!
Microsoftの正規ドメイン名一覧:これを知れば詐欺メールは怖くない

主要なMicrosoftドメイン
メールサービス関連
個人用メールドメイン:
- @outlook.com – 現在の標準(2013年〜)
- @outlook.jp – 日本向けドメイン
- @hotmail.com – 旧サービス(現在も使用可能)
- @hotmail.co.jp – 日本向け旧ドメイン
- @live.com – Windows Live時代のドメイン
- @live.jp – 日本向けLiveドメイン
- @msn.com – 最古参のドメイン
これらはすべて現在も有効で、 同じMicrosoftアカウントとして使えます。
公式サービスドメイン
Microsoftからの通知で使われる正規ドメイン:
microsoft.com - メインドメイン
office.com - Office 365関連
office365.com - 旧Office 365ドメイン
microsoftonline.com - 認証・ログイン用
azure.com - Azure関連
windows.com - Windows関連
xbox.com - Xboxサービス
skype.com - Skype関連
linkedin.com - LinkedIn(Microsoft傘下)
github.com - GitHub(Microsoft傘下)
セキュリティ通知で使われるドメイン
本物のセキュリティ通知はこれらのドメインから:
- account@microsoft.com
- noreply@microsoft.com
- account-security-noreply@accountprotection.microsoft.com
- msa@communication.microsoft.com
- microsoft@e.microsoft.com
重要: これらのドメインでも、 メール内のリンク先は必ず確認してください。
偽物を見抜くポイント
よくある偽ドメインの特徴:
❌ 文字の置き換え
- microsoftt.com(tが2つ)
- microsoft.com(fが全角)
- micr0soft.com(oがゼロ)
❌ 似たドメイン
- microsoft-security.com
- microsoft.verification.com
- microsoft-account.net
❌ サブドメインの悪用
- microsoft.fake-site.com
- account.microsoft.suspicious.com
見分け方のコツ: 正規ドメインは必ず「.microsoft.com」で終わるか、 上記リストのドメインです。 ハイフンや余計な文字が入っていたら要注意!
Microsoft 365でカスタムドメインを設定する方法
なぜカスタムドメインが必要?
メリット:
- tanaka@yourcompany.com のような独自メールアドレス
- プロフェッショナルな印象
- ブランドの統一性
- 信頼性の向上
必要な準備
用意するもの:
- 独自ドメイン
- お名前.com、ムームードメインなどで取得
- 年間1,000円〜3,000円程度
- Microsoft 365ライセンス
- Business Basic以上のプラン
- 月額650円〜
- 管理者権限
- Microsoft 365管理センターへのアクセス
設定手順:5ステップで完了
ステップ1:Microsoft 365管理センターにアクセス
- admin.microsoft.comにサインイン
- 管理者アカウントでログイン
- 左メニューから「設定」を選択
- 「ドメイン」をクリック
- 「ドメインの追加」ボタンをクリック
ステップ2:ドメイン名を入力
- 取得済みのドメイン名を入力
- 例:yourcompany.com
- 「このドメインを使用する」をクリック
- 所有権の確認方法を選択
- TXTレコード(推奨)
- MXレコード
- HTMLファイルアップロード
ステップ3:ドメインの所有権を確認
TXTレコードでの確認方法:
- 表示されたTXT値をコピー
MS=ms12345678
- ドメイン管理画面にログイン
- お名前.comなどのレジストラ
- DNS設定でTXTレコードを追加
ホスト名:@(または空欄) 種別:TXT 値:MS=ms12345678 TTL:3600
- Microsoft 365に戻って「確認」
- 反映まで最大72時間(通常は30分以内)
ステップ4:必要なDNSレコードを追加
追加するレコード:
- MXレコード(メール配送用)
優先度:0 ホスト名:@ ポイント先:yourcompany-com.mail.protection.outlook.com
- CNAMEレコード(自動検出用)
autodiscover → autodiscover.outlook.com
- SPFレコード(なりすまし防止)
TXTレコード:v=spf1 include:spf.protection.outlook.com -all
- DKIM設定(オプション)
- セキュリティ強化のため推奨
ステップ5:ユーザーにメールアドレスを割り当て
- 「ユーザー」→「アクティブなユーザー」
- ユーザーを選択
- 「メールアドレスの管理」
- 新しいドメインでエイリアスを追加
- tanaka@yourcompany.com
- プライマリに設定(必要に応じて)
ドメインの種類と使い分け
プライマリドメインとは
組織の主要ドメイン:
- すべての新規ユーザーのデフォルト
- SharePointのURLに使用
- 組織の顔となるドメイン
変更方法:
- 管理センター → 設定 → ドメイン
- 該当ドメインを選択
- 「既定として設定」をクリック
追加ドメインの活用
複数ドメインを使う理由:
- 部署別のアドレス
- sales@company.com(営業部)
- support@company.com(サポート)
- info@company.com(総合窓口)
- ブランド別の運用
- @brand-a.com
- @brand-b.com
- 地域別の展開
- @company.jp(日本)
- @company.us(アメリカ)
サブドメインの設定
サブドメインとは: mail.company.com のように、 メインドメインの前に文字を追加したもの。
使用例:
- blog.company.com(ブログ用)
- shop.company.com(ECサイト用)
- event.company.com(イベント用)
設定方法:
- DNSでCNAMEレコードを作成
- Microsoft 365で追加ドメインとして登録
- 必要なサービスに割り当て
Azure Active Directoryでのドメイン管理

カスタムドメインの追加
Azure ADでの設定手順:
- Azure Portalにサインイン
- portal.azure.com
- Azure Active Directoryを選択
- カスタムドメイン名をクリック
- 「カスタムドメインの追加」
- ドメイン名を入力して追加
- DNSレコードで確認
- TXTまたはMXレコード
フェデレーションドメインの設定
シングルサインオン(SSO)実現:
- AD FSサーバーの準備
- Azure AD Connectの設定
- ドメインのフェデレーション化
Convert-MsolDomainToFederated -DomainName "company.com"
- ユーザーのテスト
メリット:
- 社内ADのパスワードでMicrosoft 365にログイン
- パスワード管理の一元化
- セキュリティポリシーの統一
トラブルシューティング:よくある問題と解決法
問題1:ドメインの確認が完了しない
原因と解決策:
- DNS反映待ち
- 最大72時間待つ
- nslookupコマンドで確認
nslookup -type=TXT yourcompany.com
- TXTレコードの設定ミス
- 値の前後のスペースを削除
- ダブルクォーテーションを確認
- TTL値が長すぎる
- 300〜3600秒に設定
問題2:メールが届かない
チェックポイント:
- MXレコードの優先度
- 最も低い数値(0または10)に設定
- SPFレコードの確認
正しい:v=spf1 include:spf.protection.outlook.com -all 間違い:v=spf1 include:spf.protection.outlook.com ~all
- メールフローの確認
- Exchange管理センターでメールトレース実行
問題3:ドメインを削除できない
原因:
- ユーザーが使用中
- プライマリドメインとして設定
- SharePointサイトで使用中
解決手順:
- すべてのユーザーから削除
- 別のドメインをプライマリに変更
- SharePointのURLを変更
- 24時間待ってから削除
問題4:SSL証明書の警告
対処法:
- 証明書の確認
- *.outlook.comの証明書は正常
- カスタムドメインは自動で処理
- CNAME設定の確認
- autodiscoverレコードが正しいか
- 時間をおいて再試行
- 証明書の発行に時間がかかる場合あり
セキュリティベストプラクティス
DMARC設定で偽装メールを防ぐ
DMARC(Domain-based Message Authentication)とは: なりすましメールを防ぐ仕組み。
設定方法:
- DNSにTXTレコード追加
_dmarc.yourcompany.com v=DMARC1; p=quarantine; rua=mailto:dmarc@yourcompany.com
- ポリシーの段階的強化
- p=none(監視のみ)→ 開始時
- p=quarantine(隔離)→ 1ヶ月後
- p=reject(拒否)→ 3ヶ月後
DKIMの有効化
手順:
- Exchange管理センターにアクセス
- 保護 → dkim
- ドメインを選択して有効化
- DNSにCNAMEレコード追加
selector1._domainkey → selector1-yourcompany-com._domainkey.yourcompany.onmicrosoft.com selector2._domainkey → selector2-yourcompany-com._domainkey.yourcompany.onmicrosoft.com
定期的な監査
月次チェック項目:
- 不要なドメインの削除
- DNSレコードの確認
- ユーザーアクセスの見直し
- セキュリティレポートの確認
便利なツールとコマンド

ドメイン確認ツール
オンラインツール:
- MXToolbox
- mxtoolbox.com
- MX、SPF、DKIMを一括チェック
- Microsoft Remote Connectivity Analyzer
- testconnectivity.microsoft.com
- Outlook接続をテスト
- DNSChecker
- dnschecker.org
- 世界中のDNS反映状況を確認
PowerShellコマンド
よく使うコマンド:
# ドメイン一覧表示
Get-MsolDomain
# ドメイン追加
New-MsolDomain -Name "newdomain.com"
# ドメイン確認
Confirm-MsolDomain -DomainName "newdomain.com"
# プライマリドメイン変更
Set-MsolDomain -Name "newdomain.com" -IsDefault
nslookupでDNS確認
Windows/Macで使える:
# MXレコード確認
nslookup -type=MX yourcompany.com
# TXTレコード確認
nslookup -type=TXT yourcompany.com
# CNAMEレコード確認
nslookup autodiscover.yourcompany.com
よくある質問(FAQ)
Q1:無料でカスタムドメインは使える?
A:ドメイン取得費用は必要です。
Microsoft 365の有料プラン+ドメイン代(年間1,000円〜)が最低限必要。 無料のOutlook.comではカスタムドメイン不可。
Q2:既存のメールアドレスはどうなる?
A:そのまま使い続けられます。
@outlook.comなどの既存アドレスと 新しいカスタムドメインアドレスの両方が使えます。
Q3:ドメインを他社に移管できる?
A:いつでも可能です。
- Microsoft 365からドメインを削除
- DNSレコードを変更
- 新しいサービスで設定
Q4:サブドメインは何個まで作れる?
A:Microsoft 365では900個まで。
ただし、管理の複雑さを考えると、 必要最小限にすることをおすすめします。
Q5:ドメイン変更の影響は?
A:慎重な計画が必要です。
影響範囲:
- メールアドレスの変更
- SharePoint URLの変更
- Teams、OneDriveへの影響
移行期間を設けて段階的に実施しましょう。
まとめ:ドメイン名を理解して、安全で professional な環境を
Microsoftのドメイン名を正しく理解することで、 セキュリティと信頼性の両方を手に入れられます。
重要ポイントのおさらい:
✅ 正規ドメインリストを把握
- microsoft.com、office.com など
- 偽ドメインの特徴を知る
✅ カスタムドメインのメリット
- professional なメールアドレス
- ブランドイメージの向上
✅ 設定は5ステップ
- ドメイン取得
- Microsoft 365に追加
- DNS設定
- 所有権確認
- ユーザー割り当て
✅ セキュリティ設定を忘れずに
- SPF、DKIM、DMARC
- 定期的な監査
✅ トラブル時は落ち着いて
- DNS反映には時間がかかる
- 設定ミスは修正可能
今すぐやるべきこと:
- 受信メールのドメインをチェック
- 怪しいドメインは削除
- カスタムドメインの検討
- セキュリティ設定の確認
ドメイン名は、デジタル時代の「住所」です。 正しい住所(ドメイン)を持ち、 偽の住所を見抜く力を身につければ、 安全で信頼されるオンライン活動ができます。
この記事を参考に、 あなたも Microsoft ドメインマスターになってください!
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