【美女から鬼女へ】紅葉(もみじ)とは?戸隠山に住んだ悲劇の鬼女をやさしく解説!

神話・歴史・伝承

美しすぎるがゆえに、運命が狂ってしまった女性がいたって知っていますか?

平安時代、京の都でも評判になるほどの美女だった「紅葉(もみじ)」。優しい心を持っていた彼女が、なぜ恐ろしい鬼女になってしまったのでしょうか。

実は紅葉の物語は、能や歌舞伎の「紅葉狩」として今も演じられるほど有名で、長野県の戸隠山や鬼無里には彼女にまつわる場所がたくさん残っているんです。

この記事では、美女から鬼女へと変貌した紅葉について、その姿や特徴、悲劇的な伝承をわかりやすくご紹介します。

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概要

紅葉(もみじ)は、平安時代に長野県の戸隠山に住んでいたとされる鬼女です。

元は京の都でも評判になるほどの美女でしたが、様々な不幸が重なって鬼女と化してしまった、悲劇的な存在なんです。

紅葉の基本情報

  • 本名:呉葉(くれは)、異葉(いよう)とも
  • 別名:更級姫(さらしなひめ)
  • 出身地:会津(福島県)という説が有力
  • 活動場所:戸隠山・鬼無里(長野県)
  • 時代:平安時代(937年生まれという説あり)
  • 種族:人間から鬼女へ変化
  • 退治した人物:平維茂(たいらのこれもち)

紅葉は第六天魔王の加護を受けた存在で、最初は人間でしたが、都から信濃国へ流された後、次第に鬼の本性を現していったとされています。

姿・見た目

紅葉の姿は、時期によって大きく変わります。

人間時代の美しい姿

  • 京の都でも評判の絶世の美女
  • 琴の名手で教養も高い
  • 優雅で気品のある女性

誰もが振り返るほどの美しさで、源経基(みなもとのつねもと)という貴族に寵愛されるほどでした。

鬼女と化した後の恐ろしい姿

  • 額に角が生える
  • 双眸(両目)がらんらんと光る
  • 口は耳元まで裂ける
  • 身長は3メートルほどになったという説も

ただし、紅葉は幻術や変身術に長けていたので、普段は美しい姿を保とうと努力していたようです。

戦いの時だけ、本当の鬼の姿を現したんですね。

特徴

紅葉の最大の特徴は、妖術と統率力を持っていたことです。

紅葉の恐るべき能力

妖術・幻術

  • 火の雨を降らせる
  • 洪水や地震を起こす
  • 一人両身(自分の身代わりを作る術)
  • 地形を変える(一夜で山を築いたとも)
  • 美女に変身して人を惑わす

治癒能力

  • **輪扇(りんせん)**という不思議な扇で病気を治す
  • 村人の病を治して慕われていた時期もある

統率力

  • 多くの盗賊を束ねる首領
  • おまんという8尺(約2.4m)の女盗賊が副頭
  • 鬼武、熊武、猛王、伊賀頭という4人の盗賊も配下に

紅葉は単なる鬼女ではなく、知的で計算高い一面もあったんです。部下の前で人肉を食べたり生き血を飲んだりして、恐怖で支配していたという話も残っています。

伝承と起源

紅葉が鬼女になるまでには、悲しい物語があります。

紅葉の生い立ち

会津の夫婦が第六天魔王に祈願して授かった子が紅葉でした。生まれながらにして美しく、琴の名手として育ちます。

都での栄光と転落

成長した紅葉は京の都へ上り、その美貌で源経基の寵愛を受けました。子どもも宿したんです。

ところが、経基の正妻が原因不明の病に倒れます。実は紅葉が呪詛をかけていたことが発覚!本来なら死罪でしたが、お腹に子がいたため、信濃国戸隠へ流罪となりました。

戸隠での変貌

最初、紅葉は心を入れ替えて村人の世話をしていました。病気を治したり、文字を教えたりして慕われていたんです。

しかし、都の華やかな生活が忘れられず、次第に鬼の本性が現れ始めます。盗賊を集めて旅人から金品を奪い、ついには人を襲うようになってしまいました。

平維茂との決戦

紅葉の悪行が都まで聞こえ、冷泉天皇の命令で平維茂が討伐に向かいます。

紅葉の策略

維茂を毒酒で殺そうとしたり、美女に化けて油断させようとしたり、様々な罠を仕掛けました。

最後の戦い

維茂が北向観音に祈願すると、夢の中で降魔の剣を授かります。神仏の加護を得た維茂の前では、紅葉の妖術も通じません。

最後は維茂の剣によって討ち取られ、紅葉の首は地に落ちました。しかし維茂は紅葉とその部下たちを手厚く弔い、戸隠村に鬼塚を立てたといいます。

地域による異なる伝承

興味深いことに、鬼無里(きなさ)では紅葉は悪い鬼ではなく、村人に恵みを与える「貴女」として語り継がれています。

医薬、手芸、文芸に秀でて、村の発展に貢献したというのです。

この違いは、紅葉が単純な悪役ではなく、複雑な背景を持つ存在だったことを示しているのかもしれません。

まとめ

紅葉は、美しさゆえに運命を狂わされた悲劇の鬼女です。

紅葉の重要ポイント

  • 京の都でも評判の絶世の美女だった
  • 第六天魔王の加護を受けた存在
  • 呪詛の罪で戸隠へ流され、鬼女と化す
  • 妖術を使い、盗賊団を率いて暴れまわる
  • 平維茂に討たれるが、地域によっては恩人として慕われる

美しく優しかった女性が、嫉妬や欲望によって道を踏み外し、最後は鬼女となって滅びる。

紅葉の物語は、人間の心の弱さと悲しさを描いた物語といえるでしょう。

現在も長野県では毎年10月に「鬼女紅葉まつり」が開催され、能の「紅葉狩」は今も上演されています。

美女から鬼女へと変貌した紅葉の物語は、1000年以上たった今でも、私たちに人間の業の深さを教えてくれているのです。

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