「全員に同じ質問をする必要ってあるの?」 「関係ない質問をスキップできたら時間短縮になるのに…」 「回答によって違う質問を表示したい!」
そんな願いを叶えてくれるのが、Microsoft Forms(マイクロソフト フォームズ)の条件分岐機能です。
この機能を使えば、回答者の答えに応じて次の質問を自動的に変更できます。まるで対話しているような、インテリジェントなアンケートが作れるんです。
今回は、条件分岐の設定方法から活用例まで、画面の流れに沿って詳しく解説していきます。読み終わる頃には、プロ級のフォームが作れるようになりますよ!
Microsoft Formsの条件分岐とは? – 賢いアンケートの仕組み

基本的な説明
条件分岐(じょうけんぶんき)とは、回答者の選択によって、次に表示する質問を自動的に切り替える機能のことです。
英語では「Branching(ブランチング)」とも呼ばれ、木の枝が分かれるように、質問の流れが分岐していくイメージですね。
通常のフォーム:
質問1 → 質問2 → 質問3 → 質問4 → 終了
(全員が同じ順番で回答)
条件分岐を使ったフォーム:
質問1 → 「はい」なら → 質問2A → 質問3A → 終了
→ 「いいえ」なら → 質問2B → 終了
(回答によって異なるルート)
条件分岐でできること
1. 質問のスキップ
- 該当しない質問を自動的に飛ばす
- 回答時間の短縮
2. 詳細質問への誘導
- 特定の回答をした人だけに追加質問
- より深い情報収集が可能
3. カスタマイズされた体験
- 回答者に合わせた質問フロー
- 満足度の向上
条件分岐が使える質問タイプ
対応している質問形式
Microsoft Formsで条件分岐を設定できるのは、以下の質問タイプです:
1. 選択肢(単一選択) ✅
- ラジオボタンで1つだけ選択
- 最も使いやすい分岐タイプ
2. ドロップダウンリスト ✅
- プルダウンメニューから選択
- 選択肢が多い場合に便利
3. 評価(星やハート) ✅
- 5段階評価など
- 満足度によって質問を変更可能
対応していない質問形式
以下の質問タイプでは、条件分岐は設定できません:
1. テキスト(記述式) ❌
- 自由記述のため、条件判定が困難
2. 複数選択(チェックボックス) ❌
- 複数の組み合わせがあるため非対応
3. 日付 ❌
- 日付による分岐は不可
4. ランキング ❌
- 順位付けによる分岐は不可
条件分岐の設定方法 – ステップバイステップ解説
準備:フォームと質問を作成
まず、基本となるフォームを準備しましょう。
手順:
- Microsoft Formsにアクセス
- 「新しいフォーム」をクリック
- タイトルと説明を入力
- 質問を追加(条件分岐可能なタイプで)
設定手順:条件分岐を追加する
ステップ1:分岐の起点となる質問を作成
例:「当社の製品を使用したことがありますか?」
- 選択肢1:はい
- 選択肢2:いいえ
ステップ2:分岐ボタンをクリック
- 画面右上の「・・・」(その他のオプション)をクリック
- 「分岐」を選択
- 分岐設定画面が開く
ステップ3:条件を設定
分岐設定画面で:
- 「質問」のドロップダウンから分岐元の質問を選択
- 各選択肢に対して「移動先」を設定
- 「はい」→「質問2(使用感について)」
- 「いいえ」→「質問3(使用しない理由)」
ステップ4:確認と保存
- 「プレビュー」で動作確認
- 問題なければ保存
複雑な分岐の作り方
多段階分岐の例:
Q1: 年齢層は?
├─ 20代以下 → Q2: 学生ですか?
│ ├─ はい → Q3: 専攻は?
│ └─ いいえ → Q4: 職業は?
├─ 30-40代 → Q5: お子様はいますか?
└─ 50代以上 → Q6: 退職されていますか?
このような複雑な分岐も、一つずつ設定していけば実現可能です。
実践的な活用例
例1:イベント参加申込フォーム
シナリオ: セミナーの参加申込で、オンラインと会場参加で必要な情報が異なる場合
質問の流れ:
Q1: 参加方法を選択してください
├─ オンライン参加 → Q2: メールアドレス
│ → Q3: 使用デバイス
│ → 終了
└─ 会場参加 → Q2: メールアドレス
→ Q3: 交通手段
→ Q4: 駐車場の要否
→ Q5: 食事制限の有無
→ 終了
メリット:
- オンライン参加者は不要な質問(駐車場など)をスキップ
- 必要な情報だけを効率的に収集
例2:顧客満足度調査
シナリオ: 満足度によって詳細を聞く内容を変える
質問の流れ:
Q1: 総合満足度は?(5段階評価)
├─ 5(非常に満足)→ Q2: 特に良かった点は?
│ → Q3: 他の人に勧めますか?
├─ 3-4(普通〜満足)→ Q2: 改善してほしい点は?
└─ 1-2(不満)→ Q2: 具体的な問題点は?
→ Q3: どのような対応を希望しますか?
→ Q4: 連絡先(フォローアップ用)
メリット:
- 不満を持つ顧客から詳細情報を収集
- 満足している顧客には簡潔なアンケート
例3:社内研修の申込フォーム
シナリオ: 部署や役職によって受講可能な研修が異なる
質問の流れ:
Q1: 所属部署は?
├─ 営業部 → Q2: 営業研修コースを選択
│ → Q3: 希望日程
├─ 技術部 → Q2: 技術研修コースを選択
│ → Q3: 現在のスキルレベル
│ → Q4: 希望日程
└─ 管理部 → Q2: 管理部門研修コースを選択
→ Q3: 希望日程
メリット:
- 部署に関係ない研修を表示しない
- 申込ミスを防止
条件分岐を使う際のベストプラクティス

設計のコツ
1. フローチャートを先に作る
紙やホワイトボードで質問の流れを図式化してから、Formsで作成すると効率的です。
2. シンプルに保つ
あまり複雑にしすぎると:
- 設定ミスが起きやすい
- 管理が大変
- 回答者も混乱する
3. 各ルートをテストする
すべての分岐パターンを実際に回答してテストしましょう。
よくある設定ミス
1. 無限ループ
Q1 → Q2 → Q3 → Q1(最初に戻ってしまう)
→ 必ず終点を設定する
2. 行き止まり
Q1 → Q2 → ?(次の質問が設定されていない)
→ すべての選択肢に移動先を設定
3. 矛盾する分岐
年齢20代 → 「定年退職について」の質問
→ 論理的な流れを確認
トラブルシューティング
よくある問題と解決方法
Q: 分岐ボタンが表示されない
A: 以下を確認してください:
- Microsoft 365のアカウントでログインしているか
- 個人用Microsoftアカウントでは一部機能制限あり
- ブラウザのキャッシュをクリア
Q: 分岐が正しく動作しない
A: チェックポイント:
- プレビューモードで確認
- 各質問の「必須」設定を確認
- 分岐設定画面で移動先を再確認
Q: 複数選択で分岐させたい
A: 残念ながら非対応です。代替案:
- 単一選択に変更
- 「最も当てはまるもの」として単一選択にする
- 複数のはい/いいえ質問に分割
分岐設定のリセット方法
間違えて複雑になりすぎた場合:
- 分岐設定画面を開く
- すべての移動先を「次の質問」にリセット
- 必要な分岐だけ再設定
応用テクニック
セクション機能との併用
Microsoft Formsの「セクション」機能と組み合わせると、より整理されたフォームが作れます。
セクションとは:
- 質問をグループ化する機能
- ページを分けて表示
活用例:
セクション1:基本情報
└─ 分岐 → セクション2A:経験者向け詳細
→ セクション2B:初心者向け説明
回答の再利用
条件分岐で収集した回答は:
- Excelに自動保存
- Power Automateで自動処理
- 部署別に自動振り分け
条件分岐のメリット・デメリット
メリット
回答者にとって:
- 回答時間の短縮
- 関係ない質問を見なくて済む
- ストレスフリーな回答体験
作成者にとって:
- 質の高いデータ収集
- 回答率の向上
- 効率的な情報整理
デメリット
作成時の負担:
- 設定に時間がかかる
- テストが必要
- 修正が複雑
制限事項:
- 一部の質問タイプで使用不可
- あまりに複雑だと管理困難
まとめ – スマートなフォームで効率アップ
Microsoft Formsの条件分岐機能について、理解が深まりましたか?
押さえておきたいポイント
✅ 条件分岐 = 回答によって質問を自動で切り替える機能
✅ 選択肢・ドロップダウン・評価の質問で利用可能
✅ フローチャートを作ってから設定すると効率的
✅ すべてのルートをテストすることが重要
条件分岐を使いこなせば、回答者に優しく、かつ必要な情報を効率的に集められるフォームが作成できます。
最初は簡単な分岐から始めて、徐々に複雑な設定にチャレンジしてみてください。イベント申込、アンケート、社内申請など、様々な場面で活用できるはずです。
「全員に同じ質問」という固定観念から脱却して、よりスマートなフォーム作成を楽しんでくださいね!
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