「初項」という言葉を聞いて、「なんだか難しそう…」と感じていませんか?
でも実は、**初項は数列の「一番最初の数」**というシンプルな意味なんです。
階段の一段目、マラソンのスタート地点、物語の第一章…すべての始まりがあるように、数列にも「始まりの数」があります。それが初項です。
今回は、この初項について、身近な例を使いながら丁寧に解説していきます。
読み終わる頃には、「初項って意外と簡単じゃん!」と思えるはずです。テストや受験でも頻出の重要ポイントなので、しっかりマスターしていきましょう!
初項の基本:まずはここから理解しよう

初項とは何か?
初項(しょこう)の定義
数列において、一番最初に出てくる数のことを初項といいます。
記号では「a₁」(エーワン)と書くことが多いんです。
身近な例で考えてみよう
例1:階段を上る
1段目 → 2段目 → 3段目 → 4段目 → ...
この場合、初項は「1」です。
例2:お小遣いの貯金
100円 → 200円 → 300円 → 400円 → ...
この場合、初項は「100」です。
例3:バスケの得点
3点 → 6点 → 9点 → 12点 → ...
この場合、初項は「3」です。
どの例でも、一番最初の数が初項になっているのが分かりますね!
なぜ初項が大切なの?
初項は数列の「基準点」になります。
建物でいえば「1階」、カレンダーでいえば「1日」のような存在です。
初項が分かると:
- 数列全体のパターンが見える
- n番目の数を計算できる
- 数列の合計(和)を求められる
等差数列での初項:規則正しく増える数列
等差数列って何?
等差数列とは、隣り合う数の差が一定の数列のことです。
「等しい差」で増えていくから「等差」数列というわけですね。
等差数列の初項を見つけよう
例題1:基本パターン
2, 5, 8, 11, 14, ...
解き方
- 一番最初の数を見る → 2
- これが初項! → a₁ = 2
隣り合う数の差(公差)は3ずつ増えています。
例題2:マイナスから始まる場合
-10, -6, -2, 2, 6, ...
解き方
- 一番最初の数を見る → -10
- これが初項! → a₁ = -10
マイナスでも考え方は同じです!
初項を使った公式
等差数列の一般項の公式
n番目の数 = 初項 + (n-1) × 公差
aₙ = a₁ + (n-1)d
実例で確認
初項が3、公差が4の数列で、5番目の数は?
a₅ = 3 + (5-1) × 4
= 3 + 4 × 4
= 3 + 16
= 19
実際の数列:3, 7, 11, 15, 19, …
ピッタリ合いましたね!
等比数列での初項:倍々で増える数列

等比数列って何?
等比数列とは、隣り合う数の比が一定の数列のことです。
掛け算で増えていく数列といえば分かりやすいでしょう。
等比数列の初項を見つけよう
例題1:2倍ずつ増える
3, 6, 12, 24, 48, ...
解き方
- 一番最初の数を見る → 3
- これが初項! → a₁ = 3
各項は2倍ずつ(公比2)増えています。
例題2:分数になる場合
100, 50, 25, 12.5, ...
解き方
- 一番最初の数を見る → 100
- これが初項! → a₁ = 100
各項は1/2倍ずつ(公比1/2)になっています。
初項を使った公式
等比数列の一般項の公式
n番目の数 = 初項 × 公比^(n-1)
aₙ = a₁ × r^(n-1)
実例で確認
初項が2、公比が3の数列で、4番目の数は?
a₄ = 2 × 3^(4-1)
= 2 × 3³
= 2 × 27
= 54
実際の数列:2, 6, 18, 54, …
これも見事に一致しました!
初項の求め方:逆算テクニック
途中の項から初項を求める
問題:ある等差数列の3番目が11、5番目が19のとき、初項は?
解き方
- 3番目から5番目まで2つ進むと、11→19で8増える
- 1つ進むごとに4増える(公差d = 4)
- 3番目が11なので、逆算すると:
- 2番目:11 – 4 = 7
- 1番目:7 – 4 = 3
- 初項は3!
検証 3, 7, 11, 15, 19, … ✓
和から初項を求める
問題:初項から5番目までの和が55で、公差が3の等差数列の初項は?
解き方
等差数列の和の公式:
和 = 項数 × (初項 + 末項) ÷ 2
- 末項 = 初項 + (5-1) × 3 = 初項 + 12
- 55 = 5 × (初項 + 初項 + 12) ÷ 2
- 55 = 5 × (2×初項 + 12) ÷ 2
- 110 = 5 × (2×初項 + 12)
- 22 = 2×初項 + 12
- 初項 = 5
答え:初項は5
初項に関するよくある間違い
間違い1:0番目と勘違い
よくある誤解
数列:10, 20, 30, ...
「初項は0」と答えてしまう
正解 初項は見えている最初の数「10」です。
0番目という概念は通常使いません。
間違い2:インデックスの混乱
プログラミング経験者の落とし穴
プログラミングでは配列が0から始まりますが、数学の数列は1から始まります。
- プログラミング:a[0], a[1], a[2], …
- 数学の数列:a₁, a₂, a₃, …
間違い3:項数と初項の混同
間違えやすい問題 「1から100までの自然数の和」
- 初項:1(最初の数)
- 項数:100(全部で100個)
- 末項:100(最後の数)
これらを区別することが大切です!
初項が活躍する実生活の例

貯金計画
毎月の積立貯金
初月に10,000円、毎月1,000円ずつ増やす場合:
- 初項:10,000円
- 公差:1,000円
- 12ヶ月目:10,000 + (12-1) × 1,000 = 21,000円
ローンの返済
住宅ローンの元金返済
最初の返済額が50,000円で、毎月100円ずつ増える場合:
- 初項:50,000円
- 公差:100円
- 返済計画が立てやすくなる
成長の記録
子どもの身長記録
10歳で130cm、毎年5cmずつ成長する場合:
- 初項:130cm
- 公差:5cm
- 15歳の予想身長:130 + (6-1) × 5 = 155cm
応用問題にチャレンジ!
問題1:階差数列の初項
階差数列とは?
数列の隣り合う項の差を並べた新しい数列のことです。
問題
元の数列:2, 5, 10, 17, 26, ...
階差数列:?, ?, ?, ?, ...
解答
- 5-2 = 3
- 10-5 = 5
- 17-10 = 7
- 26-17 = 9
階差数列:3, 5, 7, 9, … 階差数列の初項は3です!
問題2:フィボナッチ数列
フィボナッチ数列の特徴
1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, ...
前の2つの数を足すと次の数になる数列です。
- 初項:1
- 第2項:1
- この2つの初期値から全体が決まる
問題3:複利計算
年利5%の複利で100万円を預けた場合
- 初項(元金):100万円
- 公比:1.05
- n年後:100 × 1.05^(n-1)万円
テストに出る!初項の重要ポイント

覚えておくべき公式集
等差数列
- 一般項:aₙ = a₁ + (n-1)d
- 和:Sₙ = n(a₁ + aₙ)/2
等比数列
- 一般項:aₙ = a₁ × r^(n-1)
- 和:Sₙ = a₁(1-r^n)/(1-r) ※r≠1
初項を求める問題のパターン
- 直接与えられる:そのまま読み取る
- 途中の項から逆算:公差・公比を使って戻る
- 和から逆算:和の公式を使って求める
- 条件から推測:複数の条件を組み合わせる
間違えやすいポイント
- 初項は必ず1番目(0番目ではない)
- マイナスの初項もある
- 分数・小数の初項もある
- 初項が0の場合もある
よくある質問と回答
Q1. 初項が2つある数列ってあるの?
A. いいえ、初項は必ず1つです。
ただし、漸化式(ぜんかしき)で定義される数列では、初期条件として複数の値を指定することがあります。
Q2. 初項が分からない数列は解けない?
A. 他の情報があれば解けます!
例えば:
- 2番目と3番目が分かれば初項を逆算できる
- 和と項数が分かれば初項を計算できる
Q3. 無限数列にも初項はある?
A. はい、あります!
無限に続く数列でも、始まりの数(初項)は存在します。
終わりがないだけで、始まりはあるんです。
まとめ:初項は数列の出発点!
今回は、数列の初項について詳しく解説しました。
押さえておきたいポイント
📌 初項の基本
- 数列の一番最初の数
- 記号は a₁
- すべての数列計算の基準点
📌 初項の見つけ方
- 与えられた数列の最初を見る
- 途中の項から逆算する
- 和や条件から計算する
📌 初項を使った計算
- 等差数列:aₙ = a₁ + (n-1)d
- 等比数列:aₙ = a₁ × r^(n-1)
- どちらも初項が計算の要
📌 実生活での応用
- 貯金計画の立案
- ローン返済の計算
- 成長や変化の予測
初項は「たった一つの数」ですが、数列全体を決める大切な要素です。
マラソンもスタート地点が決まらないと走れないように、数列も初項が決まらないと先に進めません。
この記事で初項の重要性と使い方を理解できたら、ぜひ実際の問題で練習してみてください。
数列の問題が「なんだ、簡単じゃん!」と思えるようになるはずです!
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