パラメーターの基本理解と重要性
Midjourneyのパラメーターは、AI画像生成における「魔法の呪文」のような存在です。
プロンプト(指示文)の最後に「–」で始まる特別なコマンドを追加することで、画像のサイズ、スタイル、品質、ランダム性など、あらゆる側面をコントロールできます。
2024-2025年のアップデートにより、Omni Reference(–oref)やV7の新機能など、革新的なパラメーターが追加され、より精密な制御が可能になりました。
パラメーターを使いこなすことで、単なる「お任せ」の画像生成から、意図通りの作品創造へとステップアップできます。
例えば、写真のようなリアルな画像が欲しければ--stylize 25 --style raw
を使い、芸術的な表現を求めるなら--stylize 750 --chaos 50
といった組み合わせが効果的です。
基本パラメーター詳細解説

アスペクト比(–aspect または –ar)で画像の形を決める
アスペクト比は画像の縦横比を指定する最も基本的なパラメーターです。
デフォルトは1:1
の正方形ですが、用途に応じて自由に変更できます。
主要な設定値と用途
--ar 1:1
:InstagramやTwitterなどSNS投稿用の正方形--ar 16:9
:YouTubeサムネイルや映画のような横長構図--ar 9:16
:TikTokやInstagramストーリーズ用の縦長--ar 2:3
:ポートレート写真の標準的な縦構図--ar 4:5
:Instagramの縦長投稿に最適
最大値は各モデルバージョンで異なりますが、V7では極端な比率も対応可能です。
例えば、パノラマ風景なら--ar 21:9
、縦長のポスターなら--ar 1:3
といった設定も可能です。
カオス(–chaos または –c)で創造性をコントロール
Chaosパラメーターは、生成される4枚の画像がどれだけ異なるかを制御します。
デフォルト値は0で、値域は0から100です。
効果的な使い分け
- 0-10:ほぼ同一の構図で、細部のみが異なる安定した結果
- 20-50:適度なバリエーションで、同じテーマの異なる解釈
- 70-100:予測不可能で大胆な違い、探索的な制作に最適
例えば「かわいいドラゴン –chaos 25」では、4枚とも愛らしいドラゴンですが、ポーズや色、表情が異なります。
一方「–chaos 100」では、全く異なるスタイルのドラゴンが生成され、思いがけない発見につながることがあります。
クオリティ(–quality または –q)で処理時間と詳細度を調整
Qualityパラメーターは、画像の処理時間と詳細度のバランスを制御します。
V7における設定
V7では1、2、4の値が使用可能で、デフォルトは1です。
--q 1
:標準品質、バランスの良い選択--q 2
:2倍のGPU時間で詳細度向上--q 4
:4倍のGPU時間で最高詳細度(Omni Referenceとは非互換)
V6以前の設定
--q 0.25
:最速処理、探索段階に最適--q 0.5
:やや低品質だが高速--q 1
:デフォルトのバランス設定
低い値はクレジット節約に有効で、アイデア探索時に活用できます。
最終作品には高い値を使うことで、細部まで精緻な画像を生成できます。
スタイライズ(–stylize または –s)で芸術性を調整
Stylizeは、Midjourneyの「芸術的解釈」の強さを制御する重要なパラメーターです。
値域は0から1000で、デフォルトは100です。
段階的な効果
- 0-50:プロンプトに忠実、写実的な表現
- 55-100:バランスの取れた解釈(推奨範囲)
- 250-500:芸術的な解釈が強まる
- 750-1000:高度に様式化された芸術作品
--s 25 --style raw
の組み合わせは写真のようなリアリズムを実現します。
--s 750
は印象派絵画のような芸術性を生み出します。
初心者は100から始めて、徐々に調整することをお勧めします。
モデルバージョンパラメーターの選択と特徴
V7(2025年4月リリース、現在のデフォルト)
V7は2025年6月17日から新しいデフォルトモデルとなり、25%の高速化と向上したプロンプト理解を実現しています。
主な特徴として、Draft Mode対応、内蔵パーソナライゼーション、そして革新的なOmni Reference(–oref)機能があります。
V7独自の機能
- –expパラメーター:0から100の値で視覚的ダイナミクスを強化
- –oref:人物、物体、車両など、あらゆる対象の一貫性を保持
- Draft Mode:低GPU消費での高速生成
V6.1とV6の特徴
V6.1(2024年7月30日リリース)は、V6より25%高速で、より一貫性のある画像を生成します。
テキストレンダリングが改善され、商業デザインに適しています。
V6(2023年12月リリース)は、プロンプトの正確性が大幅に向上し、より詳細な指示に対応可能になりました。
Nijiモード(アニメ・イラスト特化)
–niji 6は最新のアニメモデルで、2024年6月7日にリリースされました。
日本語テキストのレンダリングが改善され、キャラクターの一貫性が向上しています。
Niji 5のスタイルオプション
--style cute
:パステルカラーの愛らしいキャラクター--style expressive
:洗練された3Dアニメ風の表現--style scenic
:映画的な背景と環境描写--style original
:オリジナルNiji 5のデフォルトスタイル
高度なパラメーターと最新機能

Omni Reference(–oref)- V7の革命的機能
2025年に導入されたOmni Referenceは、画像生成における一貫性の問題を解決する画期的な機能です。
従来のCharacter Reference(–cref)を置き換え、人物、物体、車両、生物など、あらゆる対象に対応します。
使用方法と重み調整
プロンプト --oref [画像URL] --ow 100
Omni Weight(–ow)の効果
- 25-200:スタイル転送、緩やかな参照
- 400-1000:厳密なコピー、高い一貫性
ただし、2倍のGPU時間を消費し、Draft ModeやFast Modeとの初期互換性はありません。
ネガティブプロンプティング(–no)で不要な要素を除外
–noパラメーターは、画像から特定の要素を除外する際に使用します。
複数の要素を指定する場合は、スペースで区切ります。
美しい風景 --no 人物 建物 車
ただし、AIの限界により100%の除外は保証されません。
より確実に除外するには、プロンプト自体で「人のいない」「建物のない」といった表現を併用することが効果的です。
タイルパラメーター(–tile)でシームレスパターン作成
–tileは、壁紙やテクスチャなど、継ぎ目のない繰り返しパターンを作成する特殊なパラメーターです。
ファブリックデザイン、ゲームアセット、建築表面パターンなどに活用できます。
V5以降で利用可能で、シンプルな幾何学パターンで最も効果的です。
ビデオ生成機能の進化
2025年のV1ビデオモデルにより、静止画からの動画生成が可能になりました。
従来の--video
パラメーターは生成過程のタイムラプスを作成しますが、新機能では実際のアニメーションを生成します。
動画生成の設定
--motion low
:穏やかな動き--motion high
:ダイナミックな動き- 解像度:480p(標準)または720p(Pro/Megaプラン)
ビデオ生成は通常の画像生成の約8倍のGPU時間を消費するため、計画的な使用が重要です。
パラメーターの効果的な組み合わせ方
写実的な表現を求める場合
フォトリアリスティック設定:
プロフェッショナルヘッドショット --style raw --ar 2:3 --q 2 --s 50 --v 6
この組み合わせでは、--style raw
でMidjourneyのデフォルト装飾を除去し、低い--s
値で写実性を保ち、高い--q
値で詳細度を確保します。
芸術的な表現を追求する場合
印象派スタイル:
花咲く庭園、印象派絵画スタイル --stylize 750 --chaos 30 --ar 4:3 --v 7
高い--stylize
値で芸術的解釈を強め、適度な--chaos
で変化を加えることで、絵画的な表現を実現します。
キャラクター一貫性の維持
キャラクター設定ワークフロー:
- 初期キャラクター作成:
キャラクター詳細 --niji 6 --ar 2:3 --s 500
- 一貫性維持:
新しいシーン --cref [URL] --cw 100 --niji 6
- 微調整:
--cw 50
で服装やポーズの変更を許容
探索から完成までのワークフロー
段階的アプローチ:
- 探索段階:
コンセプト --ar 16:9 --s 100 --chaos 50 --q 0.25
- 洗練段階:
改良コンセプト --ar 16:9 --s 250 --chaos 25 --q 1
- 最終段階:
最終コンセプト --ar 16:9 --s 500 --chaos 10 --q 2 --style raw
実践的な使用例とプロンプト

ポートレート写真の極意
プロフェッショナルポートレート:
スタジオポートレート、エレガントな黒いドレスの女性、繊細なレース、
ドラマチックな照明と柔らかい影、豪華なベルベットのドレープ背景
--stylize 80 --style raw --ar 16:9 --v 6.0
レンブラント照明効果:
男性モデルの顔にレンブラント照明、劇的な影、
頬に特徴的な光の三角形、暗い背景、強烈でムーディーな雰囲気
--stylize 80 --style raw --ar 3:4 --v 6.0
風景画の創造
映画的な風景:
砂漠の風景、溶けた時計が不毛の木に垂れ下がる、
サルバドール・ダリの夢のようなシュルレアリスム
--ar 4:3 --stylize 750 --v 6.0
ゴッホ風の星空:
静かな村の上に広がるゴッホ風の星月夜、
渦巻く筆致、鮮やかな色彩
--ar 16:9 --stylize 800 --v 6.0
商品撮影のテクニック
サイバーパンクヘッドフォン:
サイバーパンクヘッドフォンの商業写真、
パステルネオン背景、32k uhd、トライアディックカラーグレーディング
--s 75 --v 5.2 --ar 4:3
スチーミングカプチーノ:
テーブルの上の湯気立つカプチーノカップ、クローズアップショット、
コーヒー豆、プロフェッショナルカメラで撮影、
ソフトで暖かい照明、フラッシュなし
--v 5.2 --ar 16:9
よくある間違いと解決方法
構文エラーの回避
よくある間違い:
- ❌
ドラゴン--ar 16:9
(–の前にスペースがない) - ❌
ドラゴン - - ar 16:9
(ダッシュ間に余分なスペース) - ❌
ドラゴン --ar 16:9,
(パラメーターに句読点) - ✅
ドラゴン --ar 16:9
(正しい形式)
パラメーターは必ずプロンプトの最後に配置し、テキストの後にパラメーターを追加しないよう注意が必要です。
互換性のない組み合わせ
いくつかのパラメーターは同時使用できません:
--relax
と--turbo
(速度モードの競合)--q 4
と--oref
(V7での制限)--tile
と極端なアスペクト比(タイリングは正方形で最適)
パラメーター効果の誤解
–chaosは画像の品質ではなく、4枚の多様性を制御します。
–stylize 0は「壊れている」のではなく、最も写実的な結果を生成します。
–noパラメーターはAIの限界により、100%の効果は保証されません。
最新アップデートと新パラメーター(2024-2025)

実験的美学パラメーター(–exp)
V7で導入された**–exp**は、視覚的ダイナミクスを強化する実験的パラメーターです。
値は0、5、10、25、50、100から選択でき、ディテール、ダイナミズム、トーンマッピング効果を追加します。
Turboモード(–turbo)
2024年にリリースされたTurboモードは、通常のFastモードの3.5倍の速度で画像を生成します。
約10秒で生成が完了しますが、2倍のGPU時間を消費します。
リピートパラメーター(–repeat または –r)
同じプロンプトで複数のバリエーションを一度に生成できます:
- 基本プラン:最大4回
- スタンダード:最大10回
- Pro/Mega:最大40回
--chaos
と組み合わせることで、効率的な探索が可能になります。
初心者向けおすすめ設定と学習順序
第1週:基礎固め
まずはパラメーターなしで基本的なプロンプティングを練習します。
その後--ar
だけを追加して画像の形を変える練習をします。
1:1
、16:9
、9:16
、3:4
など、異なるアスペクト比を試してみましょう。
第2週:スタイル制御
--stylize
の値を0、50、100、250、500と変えて、**写実的(低い値)から芸術的(高い値)**への変化を理解します。
--style raw
を追加して、より写真的な結果も試してみましょう。
第3週:品質と多様性
--chaos
を追加して4枚の画像に変化を持たせます。
--no
で不要な要素を除外する練習をします。
--quality
設定も実験して、速度と品質のバランスを学びます。
第4週:高度なテクニック
--seed
で一貫性を保ち、--sref
や--cref
などの参照パラメーターを学習します。
複数のパラメーターを効果的に組み合わせる練習も行います。
推奨デフォルト設定
汎用アートワーク:
--ar 1:1 --s 100 --q 1 --v 7
写真スタイル:
--ar 3:2 --s 25 --quality 1 --v 6 --style raw
イラストレーション:
--ar 4:5 --s 250 --chaos 25 --v 7
まとめ:パラメーター習得への道
Midjourneyのパラメーターは、単なる技術的な設定以上の意味を持ちます。
それらは創造的なビジョンを現実化するための強力なツールです。
2024-2025年の革新的なアップデート、特にOmni ReferenceやV7の新機能により、これまで以上に精密で創造的な制御が可能になりました。
学習のポイント
初心者の方は、まず2-3個のパラメーターから始めて、徐々に複雑な組み合わせに挑戦していくことが重要です。
「シンプルなプロンプト + 2-3個のパラメーター = 素晴らしい結果」という原則を忘れずに、実験を楽しみながら学習を進めてください。
パラメーターは魔法の呪文ではなく、あなたのビジョンに近づくための道具です。
最適なパラメーターの組み合わせは、求める結果を得られる組み合わせです。
恐れずに実験し、間違いから学び、独自のスタイルを確立していきましょう。
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