はじめに:逆数って何だろう?

「逆数」って聞いたことありますか?
ある数に掛けると1になる、ちょっと不思議な数のことです。
たとえば、5の逆数は1/5。なぜなら、5×(1/5)=1になるから。
簡単そうに見えますよね?でも実は、この逆数という概念、4000年前から人類が使っている、とても重要な数学の道具なんです!
今日は、逆数について楽しく、そして深く学んでいきましょう。きっと「へぇ~!」と思うことがたくさんありますよ。
📐 逆数の定義と基本的な性質
逆数の正確な定義
逆数(ぎゃくすう) = ある数に掛けると1になる数
数学的に書くと:x × (1/x) = 1
記号では、1/x または x⁻¹ と書きます。
「逆」という字が入っているのは、「掛け算を元に戻す数」だからなんです。
覚えておきたい5つの性質
1. 掛けて1になる
- これが逆数の基本!
- 例:3 × 1/3 = 1
2. 逆数の逆数は元の数
- 5の逆数(1/5)の逆数 = 5
- 元に戻るんです!
3. 符号は変わらない
- 正の数の逆数 → 正
- 負の数の逆数 → 負
- 例:-4の逆数は-1/4
4. 1の逆数は1
- 1 × 1 = 1だから
- 特別な数ですね
5. 0には逆数がない!
- これ、超重要
- 理由は後で詳しく説明します
🔢 逆数の求め方:タイプ別ガイド

整数の逆数(一番簡単!)
整数の逆数は、その数を分母にして、分子を1にするだけ。
例:
- 5の逆数 → 1/5
- 8の逆数 → 1/8
- -4の逆数 → -1/4(符号は忘れずに!)
分数の逆数:「ひっくり返す」だけ!
分数の逆数は、分子と分母を入れ替えるだけ。
例:
- 2/3の逆数 → 3/2
- 5/4の逆数 → 4/5
なぜこれで良いの?
(2/3) × (3/2) = 6/6 = 1
ちゃんと1になりますね!
小数の逆数
小数は、まず分数に直してから逆数を求めます。
例:
- 0.25 = 1/4 → 逆数は4
- 0.5 = 1/2 → 逆数は2
- 0.125 = 1/8 → 逆数は8
帯分数の逆数(ちょっと注意!)
帯分数は、まず仮分数に直してから逆数を求めます。
例: 2⅓ → 7/3 → 逆数は3/7
いきなりひっくり返さないように注意!
🤔 なぜ0に逆数がないの?
定義から考えてみよう
逆数の定義:掛けて1になる数
でも、0×何か = 必ず0
0×? = 1になる数は存在しない!
だから、0には逆数がないんです。
身近な例で理解
「10個のりんごを0人で分けると、1人何個?」
分ける人がいないので、この質問自体が意味を持ちませんよね。
これが1/0が定義できない理由です。
極限で考えると…
数を0に近づけると:
- 1/0.1 = 10
- 1/0.01 = 100
- 1/0.001 = 1000
- どんどん大きくなる!
逆に負の方から近づくと:
- 1/(-0.1) = -10
- 1/(-0.01) = -100
- どんどん小さくなる!
つまり、一つの値に決まらないんです。
📚 逆数の歴史:4000年の旅

古代バビロニア(紀元前2000年頃)
なんと4000年前!バビロニア人は粘土板に逆数表を作っていました。
60進法を使っていて、「7では割り切れない」なんて注記も。すごい!
古代エジプト
ピラミッド建設で、勾配の逆数「セケド」を使って角度を計算。
現代の建築でも同じ考え方を使っています。
日本の江戸時代
「和算」という独自の数学文化があり、逆数を使った問題を神社に奉納していました(算額)。
西洋より100年以上早い発見もあったんです!
🏠 実生活での逆数の応用
料理での活用
レシピの調整:
- 4人分を6人分に → 6/4 = 3/2倍
- 4人分を2人分に → 2/4 = 1/2倍
単位の変換:
- 大さじ1 = 15ml
- 1ml = 1/15大さじ(逆数!)
速度と時間の関係
120kmの距離を移動するとき:
- 時速40km → 3時間
- 時速60km → 2時間
- 時速80km → 1.5時間
速度が2倍になると、時間は1/2倍に!
電気回路
並列回路の合成抵抗:
1/R合成 = 1/R₁ + 1/R₂
10Ωの抵抗2個を並列につなぐと: 1/R = 1/10 + 1/10 = 2/10 R = 5Ω
家のコンセントは全部並列接続。だから同じ電圧で使えるんです!
確率の世界
- サイコロで6が出る確率:1/6
- 「6回に1回」という表現も逆数の考え方
- 野球の打率3割 = 約3.33回に1回ヒット
💡 計算のコツと便利な性質

暗記しておくと便利な逆数
分数 | 小数 |
---|---|
1/2 | 0.5 |
1/4 | 0.25 |
1/5 | 0.2 |
1/8 | 0.125 |
1/10 | 0.1 |
これらを覚えておくと、計算がグッと速くなります!
分数の割り算:「ひっくり返してかける」
なぜこのルールが成り立つの?
(2/3) ÷ (4/5) = (2/3) × (5/4) = 10/12 = 5/6
割り算を掛け算に変えられるから、計算が簡単になるんです。
パーセントと逆数
- 25% = 1/4
- 20% = 1/5
- 10% = 1/10
「ある数の25%が8なら、元の数は?」 → 8 × 4 = 32(逆数思考!)
⚠️ よくある間違いと注意点
間違い①:逆数と反数を混同
❌ 2の逆数は-2 ⭕ 2の逆数は1/2
逆数は「掛けて1」、反数は「足して0」です!
間違い②:負の数で符号を忘れる
❌ -5の逆数は1/5 ⭕ -5の逆数は-1/5
符号は変わりません!
間違い③:帯分数をそのまま逆数に
❌ 2½の逆数は½2(?) ⭕ 2½ = 5/2 → 逆数は2/5
必ず仮分数に直してから!
対策:必ず検算しよう
計算後は、元の数×逆数=1になるか確認。これで間違いを防げます!
🔗 逆数と関連する概念
逆元(ぎゃくげん)
もっと広い概念で:
- 加法の逆元 = 反数(足して0)
- 乗法の逆元 = 逆数(掛けて1)
反比例
y = k/x の関係。xが2倍になると、yは1/2倍に。
例:
- 速度と時間
- 人数と1人分の量
- 圧力と体積(ボイルの法則)
負の指数
x⁻¹ = 1/x
これにより、x⁻² = 1/x²、x⁻³ = 1/x³…と統一的に理解できます。
🎓 効果的な学習法
視覚的に理解
分数タイルを使って、2/3を物理的にひっくり返して3/2にする体験。
数直線で、2と1/2、3と1/3が1を中心に対称になることを確認。
覚え方のコツ
「ひっくり返して仲良し1」
「フリップして1になる友達」
リズムで覚えると忘れにくい!
段階的に学ぶ
- 整数の逆数から始める(5→1/5)
- 簡単な分数(2/3→3/2)
- 小数や帯分数へ
一歩ずつ確実に!
まとめ:逆数が開く数学の扉
逆数は「掛けて1になる数」という簡単な定義ですが、実はとても奥が深い概念です。
逆数を理解すると:
- 分数の割り算が簡単になる
- 方程式が解けるようになる
- 物理や化学の計算も理解できる
- 日常生活の問題も解決できる
4000年前から使われてきた逆数は、今でも私たちの生活を支えています。
料理のレシピ調整から、スマホの電気回路まで、逆数は身近なところで大活躍!
0に逆数がない理由を考えることで、数学の厳密さも学べます。
これから高校、大学と進むにつれて、逆数の概念はさらに重要になっていきます。
今日学んだことを基礎に、数学の世界をもっと探検してみませんか?
きっと、新しい発見が待っているはずです!
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