「りんご3個で450円でした。1個いくら?」
この問題、小学生でも解けますよね。450÷3=150円。簡単です。
でも実は、これが一次方程式の考え方そのものなんです。「りんご1個の値段を x 円とすると、3x = 450」これを解いているだけ。
つまり、一次方程式は特別な数学ではなく、私たちが日常的に使っている「分からない数を見つける方法」を、ちょっとカッコよく書いただけなんです。
この記事を読み終わる頃には、「方程式って意外と簡単じゃん!」と思えるはずです。
テストで困ることもなくなりますし、日常生活でも「これ、方程式で解けるな」と気づけるようになります。
第1章:一次方程式って、そもそも何?

一次方程式の正体を暴く
まず、名前を分解してみましょう:
- 一次:xの肩に数字がない(x¹のこと)
- 方程式:「=」で結ばれた式
つまり、「x + 5 = 12」みたいな、xが1個だけ出てくる等式のことです。
〈一次方程式の例〉
- x + 3 = 10(これが一番シンプル)
- 2x – 5 = 7(xに数がかけられてもOK)
- 3x + 2 = x + 8(両側にxがあってもOK)
〈一次方程式じゃない例〉
- x² + 3 = 10(二乗があるから二次方程式)
- xy = 12(文字が2種類)
- x + 3 > 10(不等号だから不等式)
なぜ「一次」って呼ぶの?
グラフで見ると一目瞭然:
一次方程式 y = 2x + 3 のグラフは直線になります。
- 一次 → 直線(まっすぐ)
- 二次 → 放物線(カーブ)
- 三次 → もっと複雑な曲線
だから「一次」は「一番シンプル」という意味でもあるんです。
方程式と式の違い
よく混乱するポイント:
〈式〉
- 2x + 3
- 計算するだけ
- 答えは無限にある
〈方程式〉
- 2x + 3 = 9
- xの値を見つける
- 答えは1つ(または決まった数)
方程式は「クイズ」みたいなもの。「何を入れたら成り立つ?」を探すゲームです。
身近な一次方程式の例
実は毎日使っています:
〈買い物〉
「500円持っていて、120円のジュースを買ったら、おつりはいくら?」 → 120 + x = 500
〈時間〉
「家から駅まで15分。8時の電車に乗るには何時に出る?」 → x + 15分 = 8時
〈料理〉
「4人分作りたいけど、レシピは2人分。材料は何倍?」 → 2 × x = 4
一次方程式は「xが1個だけの等式」で、答えを見つけるクイズのようなもの。
私たちは知らないうちに毎日使っています。
次は、実際の解き方を見ていきましょう。
第2章:一次方程式の解き方【基本編】

天秤のイメージで理解する
方程式を解く基本は「天秤を釣り合わせたまま操作する」こと:
例:x + 3 = 8
天秤の左側:x + 3
天秤の右側:8
両方から3を引けば:
- 左側:x + 3 – 3 = x
- 右側:8 – 3 = 5
- 結果:x = 5
〈黄金ルール〉 両辺に同じことをすれば、釣り合いは保たれる
移項という魔法のテクニック
「移項」を使えば計算が超ラクに:
〈移項のルール〉
- 足し算 → 引き算になって移動
- 引き算 → 足し算になって移動
- かけ算 → 割り算になって移動
- 割り算 → かけ算になって移動
例:x + 5 = 12
- +5を右に移項
- x = 12 – 5
- x = 7
これだけ!
ステップバイステップで解く
実際の問題を解いてみましょう:
〈問題1〉2x + 3 = 11
ステップ1:数字だけを右に集める
- 3を移項
- 2x = 11 – 3
- 2x = 8
ステップ2:xの係数で割る
- 両辺を2で割る
- x = 8 ÷ 2
- x = 4
確認:2×4 + 3 = 11 ✓
よくある間違いと回避法
みんながつまずくポイント:
〈間違い1:符号のミス〉
× 3x – 5 = 10 × 3
x = 10 – 5(間違い!)
○ 3x = 10 + 5(正解)
覚え方:「移項したら符号チェンジ!」
〈間違い2:計算順序〉
× 2x + 6 = 14 × x + 6 = 14 ÷ 2(間違い!)
○ 2x = 14 – 6 → x = 8 ÷ 2(正解)
覚え方:「まず移項、それから割り算」
検算で必ず確認
解けたと思っても、必ず確認:
〈検算の方法〉
- 求めた答えを元の式に代入
- 左辺を計算
- 右辺と一致すればOK
例:3x – 2 = 7 の答えが x = 3
検算:3×3 – 2 = 9 – 2 = 7 ✓
一次方程式は「天秤」のイメージで、両辺に同じ操作をして解きます。
移項を使えばもっと簡単に。必ず検算して確認しましょう。
次は、もう少し複雑な方程式に挑戦!
第3章:一次方程式の解き方【応用編】

カッコがある方程式
カッコは「先に計算する」の合図:
〈例題〉2(x + 3) = 14
解き方:
- カッコを展開 2x + 6 = 14
- 移項 2x = 14 – 6 2x = 8
- 割り算 x = 4
〈別解:展開しない方法〉
- 両辺を2で割る x + 3 = 7
- 移項 x = 4
どっちでもOK!やりやすい方で。
分数が出てくる方程式
分数は「通分」で消せる:
〈例題〉x/2 + 3 = 5
解き方1:移項してから処理
- 移項:x/2 = 2
- 両辺に2をかける:x = 4
解き方2:最初に分母を消す
- 全体に2をかける:x + 6 = 10
- 移項:x = 4
ポイント:分母の最小公倍数をかけると楽!
小数が出てくる方程式
小数は10倍、100倍して整数に:
〈例題〉0.3x + 1.2 = 2.1
解き方:
- 全体を10倍 3x + 12 = 21
- 移項 3x = 9
- 割り算 x = 3
コツ:小数点以下の桁数分だけ10倍する!
文字が両辺にある方程式
xを片側に集める:
〈例題〉3x + 5 = x + 13
解き方:
- xを左に集める(右のxを移項) 3x – x + 5 = 13 2x + 5 = 13
- 数字を右に(5を移項) 2x = 8
- 割り算 x = 4
覚え方:「文字は左、数字は右」が基本形!
複雑な方程式を解くコツ
どんなに複雑でも、基本は同じ:
〈手順〉
- カッコがあれば展開
- 分数・小数があれば消す
- 文字を左、数字を右に集める
- 係数で割る
- 検算する
〈超重要〉 焦らず、1つずつ処理すれば必ず解ける!
カッコ、分数、小数が出てきても、基本の考え方は同じです。
順番に処理していけば、どんな方程式も解けます。次は、文章題への応用を見ていきましょう。
第4章:文章題を方程式で解く
文章題を式に変換する魔法
文章題のコツは「分からない数をxと置く」こと:
〈変換の手順〉
- 何を求めるか確認
- それをxと置く
- 文章の条件を式にする
- 方程式を解く
- 答えを確認
買い物の問題
〈問題〉
「りんご3個とみかん5個で710円。りんご1個はみかんより30円高い。りんごの値段は?」
解き方:
- みかん1個をx円とする
- りんご1個は(x + 30)円
- 式を作る:3(x + 30) + 5x = 710
- 展開:3x + 90 + 5x = 710
- まとめる:8x + 90 = 710
- 解く:8x = 620、x = 77.5
- 答え:りんごは107.5円
あれ?半端な数…でも計算は合ってる!
速さの問題
〈問題〉
「家から学校まで、行きは分速80mで歩き、帰りは分速60mで歩いたら、帰りは行きより5分多くかかった。家から学校までの距離は?」
解き方:
- 距離をxメートルとする
- 行きの時間:x/80 分
- 帰りの時間:x/60 分
- 式を作る:x/60 – x/80 = 5
- 通分(最小公倍数240):4x/240 – 3x/240 = 5
- 計算:x/240 = 5
- 答え:x = 1200メートル
年齢の問題
〈問題〉
「父は38歳、子は10歳。父の年齢が子の年齢の2倍になるのは何年後?」
解き方:
- x年後とする
- x年後の父:38 + x 歳
- x年後の子:10 + x 歳
- 式を作る:38 + x = 2(10 + x)
- 展開:38 + x = 20 + 2x
- 解く:38 – 20 = 2x – x
- 答え:18年後
文章題を解くコツ
失敗しないためのポイント:
〈図を描く〉
- 線分図
- 表
- イラスト 何でもいいから視覚化!
〈単位に注意〉
- 時間と分
- mとkm
- 円と個 混ぜるな危険!
〈現実的か確認〉
- りんご1個1000円?
- 歩く速度が時速100km? おかしいと思ったら計算見直し!
文章題は「xと置く」ことから始まります。図を描いて、単位に注意して、現実的な答えか確認。
練習すれば必ずできるようになります。次は、日常生活での活用例を見ていきましょう。
第5章:一次方程式の日常生活での活用

家計簿で使う方程式
お小遣いの管理に便利:
〈例:今月の予算計画〉
「お小遣い3000円。マンガ2冊とゲーム1個買いたい。マンガ1冊500円、ゲームはマンガの3倍。買える?」
式:2×500 + 3×500 = 2500円 答え:買える!500円余る!
〈貯金計画〉
「1万円貯めたい。毎月x円ずつ貯金して6ヶ月で達成するには?」
式:6x = 10000 答え:x = 1667円(月1700円貯金すれば確実)
料理で使う方程式
レシピの人数調整:
〈例:カレーの材料〉 「4人分のレシピで肉200g。7人分作るには?」
式:4:200 = 7:x 答え:x = 350g
〈調味料の配分〉 「めんつゆを水で3倍に薄める。200ml作るには?」
めんつゆをx mlとすると: x + 3x = 200 4x = 200 x = 50ml(めんつゆ50ml、水150ml)
スポーツ・ゲームでの活用
勝率や得点の計算:
〈野球の打率〉 「30打数で打率3割にするには、あと何本ヒット必要?今は7本」
式:(7 + x)/30 = 0.3 答え:x = 2本
〈ゲームのレベル上げ〉 「1回で経験値50。レベルアップに800必要。今300。あと何回?」
式:300 + 50x = 800 答え:x = 10回
時間管理での活用
効率的なスケジュール作り:
〈宿題の時間配分〉 「宿題3つで合計2時間。数学は英語の2倍時間がかかり、国語は30分。それぞれ何分?」
英語をx分とすると: x + 2x + 30 = 120 3x = 90 x = 30
答え:英語30分、数学60分、国語30分
DIY・工作での活用
材料の計算:
〈本棚作り〉 「板1枚2000円。釘1箱500円。予算8000円で板を最大何枚買える?釘は1箱必要」
式:2000x + 500 = 8000 答え:x = 3.75 → 3枚買える
この章のまとめ
一次方程式は、買い物、料理、スポーツ、時間管理など、生活のあらゆる場面で使えます。「これ、方程式で解けるかも」と考える習慣をつけると、問題解決力が上がります。
第6章:よくある質問と間違い克服法
Q1:なぜ両辺に同じことをするの?
天秤の例えで完全理解:
想像してください。天秤の両側に同じ重さのおもりを乗せたら? → 釣り合いは保たれる
両側から同じ重さを取ったら? → やっぱり釣り合う
これが方程式も同じ。「=」は「釣り合っている」という意味だから。
Q2:移項って何でできるの?
実は「両辺に同じことをする」の省略形:
〈詳しい説明〉 x + 5 = 12 両辺から5を引く:x + 5 – 5 = 12 – 5 左辺が簡単に:x = 12 – 5
これを短く書いたのが「移項」!
Q3:答えが分数や小数になったら間違い?
いいえ、それで正解のことも多い:
〈現実では普通〉
- ピザを3人で分ける → 1/3ずつ
- 消費税の計算 → 小数
- 平均を出す → たいてい小数
ただし、文章題では現実的か確認! (人数が2.5人はおかしい)
Q4:検算しても合わない時は?
チェックポイント:
- 計算ミス
- 符号(プラスマイナス)
- かけ算わり算
- 移項ミス
- 符号を変え忘れ
- 移項し忘れ
- 式の作り方
- 問題文の読み間違い
- xの置き方
一つずつ確認すれば必ず見つかる!
Q5:どうしても文章題が苦手
克服する3ステップ:
ステップ1:音読 問題文を声に出して読む → 理解度が上がる
ステップ2:図解 絵でも表でも何でも描く → 状況が見える
ステップ3:簡単な数で試す 複雑な数を簡単にして考える → 式の作り方が分かる
よくある計算ミスベスト5
- マイナス×マイナス=プラスを忘れる
- 分数の通分ミス
- 移項時の符号変更忘れ
- カッコの展開ミス
- 最後の割り算忘れ
対策:とにかく丁寧に、急がない!
この章のまとめ
間違いは誰でもするもの。
大切なのは、なぜ間違えたかを理解すること。検算を習慣にすれば、ミスは必ず減ります。
まとめ:一次方程式マスターへの道
ここまで読んでくれて、本当にありがとうございます!一次方程式、もう怖くないですよね?
〈この記事で学んだこと〉
- 一次方程式は「xが1個の等式」
- 天秤のイメージで両辺に同じ操作
- 移項を使えば計算が楽に
- カッコ・分数・小数も基本は同じ
- 文章題は「xと置く」から始める
- 日常生活でも大活躍
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