【姫路城の守り神か恐ろしい妖怪か…】長壁姫(おさかべひめ)とは?その姿・特徴・伝承をやさしく解説!

神話・歴史・伝承

もしあなたが夜の姫路城の天守閣に登ったとしたら、どんな気持ちになるでしょうか?

江戸時代の人々にとって、そこは単なる高い建物ではありませんでした。

それは美しくも恐ろしい女性の妖怪が住む、神秘的な場所だったのです。

この記事では、姫路城に古くから伝わる妖怪「長壁姫(おさかべひめ)」について詳しくご紹介します。

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基本情報

長壁姫(おさかべひめ) は、兵庫県姫路市の姫路城に住むとされる女性の妖怪です。

江戸時代の有名な随筆『甲子夜話』や『耳嚢』、怪談集『諸国百物語』など、多くの古い文献に登場する有名な妖怪なんです。

長壁姫の基本情報

  • 分類:妖怪・城の守り神
  • 出現場所:姫路城の天守閣上層部
  • 主な出典:『甲子夜話』『耳嚢』『諸国百物語』など
  • 別名:刑部姫(おさかべひめ)、小刑部姫、小坂部姫
  • 地方での呼び名:ハッテンドウ(姫路の地元)

長壁姫は、恐ろしい妖怪でありながら、同時に姫路城を守る神様のような存在としても語られています。

この不思議な二面性が、長壁姫の最大の特徴と言えるでしょう。

それでは、この神秘的な妖怪の姿について詳しく見ていきましょう。

姿・見た目

長壁姫の姿は、文献によって大きく異なる描写がされています。

これは時代や語り手によって、いろいろな姿で目撃されたからなんです。

長壁姫の様々な姿

老婆の姿

  • 年に一度、城主と対面するときの姿
  • 『甲子夜話』に記録された最も有名な姿
  • 穏やかで威厳のある老女として描かれる

美しい女性の姿

  • 30歳前後の美しい女性
  • 十二単(じゅうにひとえ)という豪華な着物を着用
  • 気高く神々しい雰囲気を持つ

巨大な鬼神の姿

  • 身長2丈(約6メートル)の巨大な姿
  • 怒ったときや侵入者を追い払うときの姿
  • 恐ろしい力を持つ化け物として現れる

従える生き物

長壁姫は一人で現れるだけでなく、時には動物を従えることもあります。

  • コウモリ:鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』では、コウモリを従えた老姫として描かれている
  • 800匹の眷属:『西鶴諸国ばなし』では、800匹もの従者を操ると記されている

このように変幻自在な姿こそが、長壁姫の最大の特徴なんですね。

次に、長壁姫がどのような行動を取るのか、その特徴について詳しく見ていきます。

特徴

長壁姫には、他の妖怪とは違う独特な行動パターンがあります。

天守閣への強いこだわり

住処へのこだわり

  • 常に姫路城の天守閣上層部に住んでいる
  • 人が勝手に入ってくることを非常に嫌う
  • 天守閣は長壁姫にとって神聖な場所

年に一度の城主との対面

長壁姫の最も特徴的な行動が、年に一度だけ城主と会う ことです。

対面の特徴

  • 老婆の姿で現れる
  • 城の未来について予言を行う
  • 城主以外の人は恐れて近づかない
  • 地元の守り神としての役割を果たす

人の心を読む超能力

『西鶴諸国ばなし』によると、長壁姫には驚くべき能力があります。

超自然的な能力

  • 人の心を自在に読みすかす
  • 人の心をもてあそぶことができる
  • 800匹の眷属を操る力を持つ

侵入者への厳しい対応

天守閣に無断で入った人には、容赦ない対応を取ります。

警告と攻撃

  • まず美しい女性の姿で警告する
  • それでも立ち去らない場合は巨大な鬼神に変身
  • 時には命を奪うこともある

ただし、純粋な気持ちで来た人には親切にすることもあるんです。

これらの特徴を踏まえて、長壁姫にまつわる様々な伝承を見ていきましょう。

伝承

長壁姫には数多くの興味深い伝承が残されています。

松浦静山の調査記録

江戸時代の大名・松浦静山は、長壁姫について詳しく調査しました。

『甲子夜話』の記録

  1. 姫路城主・酒井忠以に直接質問
  2. 「世間では噂されているが、天守は特に変わったところはない」という回答
  3. 地元では「ハッテンドウ」という名前で呼ばれていることを発見

宮本武蔵との出会い伝説

剣豪・宮本武蔵と長壁姫の出会いは、特に有名な物語です。

武蔵の肝試し

  1. 武蔵が夜の天守閣に一人で登る
  2. 明け方まで過ごしていると、美しい女性が現れる
  3. 女性は小刑部明神の神霊を名乗る
  4. 武蔵の勇気に感動し、名刀・郷義弘を授ける

しかし、この話には続きがあります。

実はこの女性は悪い狐の化身で、武蔵に罪をなすりつけようとしていたのです。

森田図書の肝試し

『老媼茶話』に記録された有名な話です。

肝試しの経緯

  1. 姫路城主・松平義俊の小姓である森田図書
  2. 肝試しで夜の天守閣に登る
  3. 30代の十二単を着た気高い女性と出会う
  4. 「何をしに来た」と問われ「肝試しです」と正直に答える
  5. 女性は度胸と率直さに感心し、証拠品として錣(しころ)をくれる

この話は、正直で勇気ある人には長壁姫が親切にしてくれることを示しています。

これらの伝承から、長壁姫の複雑な性格が見えてきますね。

まとめ

長壁姫は、日本の妖怪の中でも特に複雑で魅力的な存在です。

長壁姫の重要ポイント

基本情報

  • 姫路城天守閣に住む女性の妖怪
  • 江戸時代の多数の文献に登場
  • 刑部明神という神様との深い関係

姿と能力

  • 老婆、美女、巨大な鬼神など様々な姿に変身
  • 人の心を読む超自然的な能力
  • 年に一度だけ城主と対面する

性格の二面性

  • 侵入者には厳しく、時には命を奪う
  • 純粋で勇気ある人には親切で褒美をくれる
  • 姫路城を守る神様のような役割も果たす

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