朝起きたとき、寝る前と枕の位置が変わっていたり、向きが逆になっていたりした経験はありませんか?
現代では「寝返りで動いたのかな?」と思うかもしれませんが、昔の人々にとって、これは決して軽く考えられる現象ではありませんでした。
「枕返し」は、人が最も無防備な睡眠中に現れ、魂の宿り場とされる枕を密かに動かす妖怪として、古くから恐れられてきました。
この記事では、眠りを脅かす不気味な妖怪「枕返し」についてご紹介します。
枕返しとはどんな妖怪なの?
「枕返し」はその名前の通り、人が寝ている間に枕をひっくり返す妖怪なんです。
姿・見た目
枕返しの詳細な姿についてはあまり語られていません。
しかし、一部では怖い顔の妖怪として描かれています。
特徴
枕返しの特徴は、なんといっても「人が寝ている間にこっそり枕を返す」ことなんです。
枕返しの行動パターン
- 夜中にこっそり部屋に入り込む
- 枕の位置や向きを変える
- 時に金縛りにあわせる
- 時に命を脅かすこともある
枕を返すというのは、現代ではちょっとした悪戯感覚ですが、昔は違います。
昔の人は寝ている時は魂が離れ、その魂が枕に宿ると考えていました。
魂の宿った枕を移動するわけですから、不吉なこととして関連づけられました。
伝承
枕返しの話は、特に昔の宿屋(やどや)でよく語られました。
代表的な伝承としては、宿で殺された人の話があります。
- 大金を持った旅人が宿に泊まる
- 宿の主人が旅人を殺し、金を奪う
- 旅人は霊となり、毎夜、宿に泊まった客の枕を返す
正体
先ほどの伝承のように、枕返しはその部屋で死んだ人の霊が正体だとされています。
また、東北地方では、枕が返されるのは部屋に現れてイタズラをする座敷童のせいだとしています。
まとめ
枕返しは、一見すると単純な悪戯のように見えながら、実は深い精神的・文化的意味を持つ妖怪です。
重要なポイント
- 睡眠中の無防備な状態を狙う妖怪
- 枕に宿る魂への信仰が背景にある
- 宿屋での殺人事件と関連した恐ろしい伝承
- 死者の霊や座敷童など複数の正体説が存在
- 現代の軽い悪戯と昔の深刻な不吉さの違い
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