OneDriveの詳細設定を変更したいけれど、レジストリをいじるのは不安ですよね?「OneDriveの動作を細かく制御したい」「エクスプローラーからOneDriveを非表示にしたい」「OneDriveを完全に削除したい」といった要望は、レジストリ操作で実現できます。
この記事では、OneDriveに関するレジストリの場所や設定値を詳しく解説し、初心者でも安全にレジストリ操作を行える方法をご紹介します。
OneDriveレジストリの基本知識

レジストリとは何か
レジストリとは、Microsoft Windows OSのための設定や拡張情報を格納するデータベースです。ハードウェアの情報や、OSの情報、各種アプリケーションの情報が含まれています。これはWindows3.1のINIファイルに代わる仕組みで、Windows95から導入されています。
OneDriveの動作は、このレジストリに保存された設定値によって制御されており、レジストリを変更することで、通常の設定画面では変更できない詳細な動作を制御できます。
レジストリ操作時の重要な注意点
警告:レジストリを正しく変更しないと、深刻な問題が発生することがあります
レジストリ操作を行う前に、以下の点を必ず確認してください:
- バックアップの作成:変更前に復元用レジストリをバックアップします
- 管理者権限:レジストリ編集には管理者権限が必要です
- 正確な入力:キーパスや値は正確に入力する必要があります
- 慎重な操作:間違った変更はシステムの不安定化を招く可能性があります
OneDriveのレジストリ格納場所
主要なレジストリキーの場所
OneDriveの設定情報は、以下のレジストリ場所に格納されています:
個人設定関連
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\OneDrive
システム全体の設定
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\OneDrive
グループポリシー設定
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\OneDrive
エクスプローラー表示制御
HKEY_CLASSES_ROOT\CLSID\{018D5C66-4533-4307-9B53-224DE2ED1FE6}
レジストリエディタの起動方法
レジストリを編集するには、レジストリエディタを起動する必要があります。
基本的な起動方法
- Windowsキー + Rを同時に押します
- 「ファイル名を指定して実行」ダイアログが開きます
- 「regedit」と入力してEnterキーを押します
- 「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」と表示されたら「はい」をクリック
検索からの起動方法
- 画面下の検索ボタンをクリック
- 検索欄に「regedit」と入力
- 「レジストリエディター」をクリック
OneDrive同期設定のレジストリ制御
従量課金制ネットワーク設定
スマートフォンでテザリングする機会が多く、パケットの消費を気にする場合に便利な設定です。
設定場所
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\OneDrive
設定値
- キー名:UserSettingMeteredNetworkEnabled
- 種類:DWORD(32ビット)値
- データ:
- 1:従量課金制ネットワークで同期を自動停止(有効)
- 0:従量課金制ネットワークでも同期継続(無効)
バッテリーセーバーモード設定
バッテリー駆動のPCで、省電力モード時の同期動作を制御できます。
設定場所
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\OneDrive
設定値
- キー名:UserSettingBatterySaverEnabled
- 種類:DWORD(32ビット)値
- データ:
- 1:バッテリーセーバーモード時に同期を自動停止(有効)
- 0:バッテリーセーバーモード時でも同期継続(無効)
ネットワークトラフィック制御
サインイン前のネットワークトラフィックを制御する設定です。
設定場所
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\OneDrive
設定値
- キー名:PreventNetworkTrafficPreUserSignIn
- 種類:DWORD(32ビット)値
- データ:
- 1:サインイン前のネットワークトラフィックを防止
- 0:通常動作
OneDriveの無効化・削除レジストリ設定
OneDriveの完全無効化
組織や個人でOneDriveを完全に無効化したい場合の設定です。
設定場所
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\OneDrive
設定値
- キー名:DisableFileSyncNGSC
- 種類:DWORD(32ビット)値
- データ:
- 1:OneDriveの同期機能を無効化
- 0:OneDriveの同期機能を有効化
設定手順
- レジストリエディタで上記の場所に移動
- 「OneDrive」キーが存在しない場合は新規作成
- 「DisableFileSyncNGSC」DWORD値を作成し、データを「1」に設定
- システムを再起動
エクスプローラーからの非表示設定
ファイル一覧にあるOneDriveを非表示にする設定です。
設定場所
HKEY_CLASSES_ROOT\CLSID\{018D5C66-4533-4307-9B53-224DE2ED1FE6}
設定値
- キー名:System.IsPinnedToNameSpaceTree
- 種類:DWORD(32ビット)値
- データ:
- 1:エクスプローラーに表示(既定)
- 0:エクスプローラーから非表示
コマンドライン操作
reg add "HKEY_CLASSES_ROOT\CLSID\{018D5C66-4533-4307-9B53-224DE2ED1FE6}" /v "System.IsPinnedToNameSpaceTree" /t REG_DWORD /d "0" /f
OneDriveレジストリの削除・修復
OneDriveレジストリキーの削除
OneDriveが起動しない、または動作不良を起こしている場合、レジストリキーの削除が有効です。
削除対象キー
HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\OneDrive
削除手順
- レジストリエディタを管理者権限で起動
- 上記の場所に移動
- 「OneDrive」キーを右クリック
- 「削除」を選択
- 確認画面で「はい」をクリック
- システムを再起動
特定のOneDriveキーの検索と削除
複数のOneDriveエントリが存在する場合の整理方法です。
検索手順
- レジストリエディタで「編集」→「検索」を選択
- 検索ボックスに「{018D5C66-4533-4307-9B53-224DE2ED1FE6}」を入力
- 検索対象を「キー」にチェック
- 「完全に一致するものだけを検索」にチェック
- 「次を検索」をクリック
- 見つかったキーを削除
NameSpaceキーの整理
エクスプローラーに重複したOneDriveが表示される場合の対処法です。
確認場所
HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Desktop\NameSpace
整理手順
- 上記の場所でOneDriveという値のあるフォルダを確認
- 「OneDrive」と「OneDrive Personal」の2つがある場合
- 不要な方(通常は「OneDrive」データのある方)を削除
- システムを再起動
ユーザーフォルダ設定のレジストリ制御
ドキュメントフォルダのリンク修正
OneDriveにリンクされてしまったドキュメントフォルダを元に戻す設定です。
設定場所
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\User Shell Folders
修正対象
- キー名:{f42ee2d3-909f-4907-8871-4c22fc0bf756}
- 種類:REG_EXPAND_SZ
- データ:
C:\Users\ユーザー名\Documents
修正手順
- 上記の場所に移動
- 該当するキーをダブルクリック
- 値のデータを正しいパスに変更
- OKをクリックして保存
プロファイルパスの変更
ユーザーディレクトリ名を変更する場合のレジストリ設定です。
設定場所
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\ProfileList
変更手順
- S-1-5-で始まるフォルダを順番に確認
- 目的のユーザーフォルダを見つける
- 「ProfileImagePath」の値を変更
- 「C:\Users\」の部分は絶対に削除しない
- 変更後はシステムを再起動
OneDriveレジストリ操作の実践例
完全無効化スクリプト
OneDriveを一括で無効化するレジストリ設定のバッチファイル例です。
@echo off
echo OneDriveを無効化します。
echo.
REM OneDriveプロセスの終了
taskkill /f /im OneDrive.exe
REM OneDriveの無効化
reg add "HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\OneDrive" /v "DisableFileSyncNGSC" /t REG_DWORD /d "1" /f
REM エクスプローラーから非表示
reg add "HKEY_CLASSES_ROOT\CLSID\{018D5C66-4533-4307-9B53-224DE2ED1FE6}" /v "System.IsPinnedToNameSpaceTree" /t REG_DWORD /d "0" /f
echo 設定完了。再起動してください。
pause
設定復元スクリプト
無効化したOneDriveを再度有効化するスクリプト例です。
@echo off
echo OneDriveを有効化します。
echo.
REM OneDriveの有効化
reg add "HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\OneDrive" /v "DisableFileSyncNGSC" /t REG_DWORD /d "0" /f
REM エクスプローラーに表示
reg add "HKEY_CLASSES_ROOT\CLSID\{018D5C66-4533-4307-9B53-224DE2ED1FE6}" /v "System.IsPinnedToNameSpaceTree" /t REG_DWORD /d "1" /f
echo 設定完了。再起動してください。
pause
レジストリ操作時のトラブルシューティング
一般的な問題と解決方法
「アクセスが拒否されました」エラー
- 原因:管理者権限不足
- 解決方法:レジストリエディタを「管理者として実行」で起動
「キーが見つかりません」エラー
- 原因:指定したレジストリパスが存在しない
- 解決方法:必要に応じて新しいキーを作成
「操作を実行できません」エラー
- 原因:OneDriveプロセスが実行中
- 解決方法:タスクマネージャーでOneDriveプロセスを終了
レジストリバックアップと復元
バックアップの作成方法
- レジストリエディタで「ファイル」→「エクスポート」を選択
- 保存場所と名前を指定
- エクスポート範囲を「すべて」または「選択された分岐」に設定
- 「保存」をクリック
復元方法
- レジストリエディタで「ファイル」→「インポート」を選択
- バックアップファイルを選択
- 「開く」をクリック
- 確認メッセージで「はい」をクリック
OneDriveリセット後のレジストリ確認
OneDriveをリセットした後、レジストリがどのように変化するかを確認する方法です。
確認ポイント
- OneDriveが再起動すると、レジストリを確認してリセットが行われたことを確認
- 設定を読み込んでDATファイルを再ビルド
- 個人設定キー配下の値が初期化される
安全なレジストリ操作のベストプラクティス
操作前の準備
システム復元ポイントの作成
- 「設定」→「更新とセキュリティ」→「回復」を開く
- 「システムの復元を開く」をクリック
- 「作成」ボタンで復元ポイントを作成
重要なレジストリのエクスポート 操作対象のレジストリキーを事前にエクスポートしておくことで、問題が発生した場合に素早く復元できます。
段階的な変更
一度に複数の変更を行わない レジストリ変更は一つずつ行い、それぞれの変更後にシステムの動作を確認しましょう。
テスト環境での確認 可能であれば、本番環境ではないPCでレジストリ変更をテストしてから実施します。
変更後の確認作業
動作確認のチェックリスト
- OneDriveアプリの起動・停止
- ファイル同期の動作
- エクスプローラーでの表示状態
- システム全体の安定性
まとめ
OneDriveのレジストリ操作は、正しく行えば強力な設定制御手段となります。通常の設定画面では変更できない詳細な動作制御が可能になり、組織や個人のニーズに合わせたカスタマイズができます。
この記事の重要ポイント
安全第一でレジストリ操作を行いましょう。必ずバックアップを取り、段階的に変更を加えることで、万が一の問題にも対応できます。
主要なレジストリ場所を覚えておくと便利です。HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\OneDriveキーに並ぶDWORD値で、従量課金制ネットワークやバッテリーセーバーモードの設定ができます。
システム全体への影響を理解しておくことが大切です。HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\OneDriveでDisableFileSyncNGSCを1に設定すると、OneDriveが完全に無効化されます。
レジストリ操作は強力な機能ですが、慎重に行えばOneDriveを思い通りに制御できる優れた手段です。この記事で紹介した方法を参考に、安全で効果的なレジストリ操作を実践してください。
不明な点や不安がある場合は、重要なシステムでの操作は避け、専門家に相談することをおすすめします。
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