Outlookでメールを作成していて、「文字に打消し線を引きたいけど、どうやって設定するの?」と困ったことはありませんか。修正箇所を示したり、変更前の情報を残しながら新しい情報を追加したりする際に、打消し線は非常に便利な機能です。
実は、Outlookには複数の方法で打消し線を設定する機能があります。ショートカットキーを使った素早い操作から、詳細な書式設定まで、用途に応じて最適な方法を選択できるんです。
今回は、Outlookでの打消し線機能について、初心者の方でも簡単に使えるよう、基本的な設定方法から応用テクニックまで分かりやすく解説していきます。ビジネスメールでの効果的な活用法も含めてお伝えしますね。
Outlook打消し線機能の基本

打消し線とは
打消し線とは、文字の中央に水平線を引いて、その文字が削除されたり修正されたりしたことを視覚的に表現する書式設定です。Outlookでは、この機能を使って以下のような用途に活用できます。
主な用途
- 修正前の情報を残しながら新しい情報を追加
- 変更履歴の明確な表示
- 価格変更や条件変更の表示
- 完了済みタスクの表示
- 注意喚起や強調効果
打消し線の表示例
- ~~変更前のテキスト~~ → 変更後のテキスト
- 旧価格:~~50,000円~~ → 新価格:45,000円
- ~~未完了のタスク~~ → 完了済み
打消し線が使える場面
ビジネスメールでの活用
- 契約条件の変更通知
- 価格改定の案内
- スケジュール変更の連絡
- 仕様変更の説明
プロジェクト管理での活用
- タスクの進捗状況表示
- 要件変更の履歴
- 議事録での修正事項
- チェックリストの完了表示
Outlookでの打消し線対応状況
対応バージョン
- Outlook for Microsoft 365
- Outlook 2019/2021
- Outlook 2016
- Outlook on the web(制限あり)
対応メール形式
- HTML形式(完全対応)
- リッチテキスト形式(対応)
- プレーンテキスト形式(非対応)
打消し線を使用するためには、メールの形式がHTML形式またはリッチテキスト形式である必要があります。プレーンテキスト形式では書式設定ができないため、事前に形式を確認しておきましょう。
この基本知識を理解したところで、次の章では具体的な設定方法について詳しく説明していきます。
基本的な打消し線の設定方法
ショートカットキーによる設定
最も簡単な方法
打消し線を設定する最も簡単で効率的な方法は、ショートカットキーを使用することです。
ショートカットキーの手順
- 打消し線を設定したいテキストを選択
Ctrl + Shift + X
を同時に押す- 選択したテキストに打消し線が適用される
ショートカットキーの解除
- 打消し線が設定されたテキストを選択
- 再度
Ctrl + Shift + X
を押す - 打消し線が解除される
覚え方のコツ
- X は「削除」や「バツ」のイメージ
- Shift で「線を引く」動作
- Ctrl で「コントロール(制御)」
リボンメニューからの設定
視覚的な操作方法
ショートカットキーが覚えられない場合は、リボンメニューから設定することもできます。
手順
- 打消し線を設定したいテキストを選択
- 「ホーム」タブをクリック
- 「フォント」グループの小さな矢印をクリック
- 「フォント」ダイアログボックスが開く
- 「効果」セクションの「取り消し線」にチェック
- 「OK」をクリック
ダイアログボックスでの詳細設定
- 一重取り消し線
- 二重取り消し線
- 色の変更
- 他の書式との組み合わせ
書式設定ツールバーの活用
クイックアクセスでの設定
頻繁に打消し線を使用する場合は、書式設定ツールバーにボタンを追加すると便利です。
ツールバーカスタマイズ手順
- リボンを右クリック
- 「リボンのユーザー設定」を選択
- 「コマンドの選択」で「すべてのコマンド」を選択
- 「取り消し線」を見つけて選択
- 追加したいタブ・グループに移動
- 「追加」をクリック
- 「OK」で設定完了
部分的な打消し線の設定
特定の文字や単語のみに適用
文章の一部分のみに打消し線を設定する方法です。
精密な選択方法
- マウスで正確にテキストを選択
- Shift + 矢印キーで文字単位の選択調整
- ダブルクリックで単語単位の選択
- トリプルクリックで行全体の選択
複数箇所への同時適用
- 最初の箇所を選択して打消し線を設定
- Ctrlキーを押しながら次の箇所を選択
- ショートカットキーまたはメニューから適用
- 複数箇所に同時に打消し線が設定される
基本的な設定方法をマスターしたところで、次の章では書式設定の詳細オプションについて説明します。
書式設定の詳細オプション
打消し線の種類とスタイル
一重取り消し線と二重取り消し線
Outlookでは、打消し線のスタイルを選択できます。
一重取り消し線
- 標準的な打消し線
- 最も一般的で読みやすい
- 軽微な修正や変更に適している
- ~~通常の打消し線の例~~
二重取り消し線
- より強調された削除表示
- 重要な変更や削除に使用
- 法的文書や正式な修正に適している
設定方法
- テキストを選択
- 「フォント」ダイアログボックスを開く
- 「効果」セクションで「取り消し線」または「二重取り消し線」を選択
- プレビューで確認して「OK」
色とスタイルのカスタマイズ
打消し線の色変更
打消し線の色を変更することで、より効果的な表現が可能です。
色変更の手順
- 打消し線を設定したテキストを選択
- 「ホーム」タブの「フォントの色」の矢印をクリック
- 希望の色を選択
- テキストと打消し線の両方に色が適用される
効果的な色の使い分け
- 赤色:削除や取り消しを強調
- グレー:非アクティブや完了済みを表示
- 青色:情報更新や変更を表示
- 緑色:完了や承認済みを表示
他の書式との組み合わせ
複合的な書式設定
打消し線は他の書式設定と組み合わせて使用できます。
効果的な組み合わせ例
- 太字 + 打消し線:重要な削除事項
- 斜体 + 打消し線:補足的な削除情報
- 下線 + 打消し線:特別な注意が必要な変更
注意点
- 過度な装飾は読みにくさの原因
- 用途に応じた適切なレベルの装飾
- 統一性のある書式ルールの設定
フォントサイズと打消し線の関係
視認性の最適化
フォントサイズによって打消し線の見え方が変わるため、適切な調整が必要です。
サイズ別の推奨設定
- 小さいフォント(9-11pt):一重取り消し線推奨
- 標準フォント(12-14pt):どちらでも良好
- 大きいフォント(16pt以上):二重取り消し線も効果的
印刷時の考慮事項
- 画面表示と印刷時の差異
- モノクロ印刷での視認性
- 解像度による線の太さの変化
スタイルセットの作成
一貫した書式の管理
頻繁に使用する打消し線の書式を保存して再利用できます。
スタイル作成手順
- 希望の書式を設定したテキストを選択
- 「ホーム」タブの「スタイル」グループを確認
- 「新しいスタイル」を選択
- スタイル名を入力(例:「削除項目」「完了タスク」)
- 設定を保存
スタイルの活用
- チーム内での書式統一
- プロジェクト別の書式ルール
- 定型業務での効率化
詳細な書式設定を理解したところで、次の章では実際のビジネス場面での活用例について説明します。
ビジネスメールでの活用例
契約条件変更の通知
変更内容の明確な表示
契約条件や取引条件が変更される場合、変更前後の内容を分かりやすく示すことが重要です。
活用例
【契約条件変更のお知らせ】
納期:~~2024年8月15日~~ → 2024年8月20日
金額:~~500,000円~~ → 480,000円(割引適用)
支払条件:~~30日後~~ → 45日後
変更理由:部材調達の遅延により、納期を5日延長いたします。
お詫びとして金額を4%割引いたします。
効果的な表現のポイント
- 変更前と変更後を明確に対比
- 矢印(→)を使った視覚的な流れ
- 変更理由の明記
- 顧客への配慮を示す表現
価格改定の案内
価格変更の透明性確保
価格改定を行う際は、変更内容を透明性高く伝えることが信頼関係の維持につながります。
価格表での活用例
【価格改定のご案内】
■商品価格一覧(2024年9月1日より)
商品A:~~12,000円~~ → 13,200円(+10%)
商品B:~~8,500円~~ → 8,500円(据え置き)
商品C:~~15,000円~~ → 14,250円(-5%)
※値上げ商品については原材料費高騰によるものです
※値下げ商品については製造効率化による価格還元です
スケジュール変更の連絡
会議や予定変更の明確化
会議やイベントのスケジュール変更では、混乱を避けるため変更点を明確に示す必要があります。
会議変更通知の例
【会議スケジュール変更のお知らせ】
月次会議の件でご連絡いたします。
日時:~~8月10日(木)14:00-15:00~~ → 8月12日(土)10:00-11:00
場所:~~会議室A~~ → オンライン(Teams)
議題:変更なし
変更理由:急遽の出張により、オンライン開催に変更いたします。
プロジェクト仕様変更
要件変更の履歴管理
プロジェクトの仕様変更では、変更履歴を明確に記録することが重要です。
仕様変更書の例
【システム仕様変更書 v2.1】
■変更内容
機能A:~~5画面構成~~ → 3画面構成(簡素化)
機能B:~~データベース連携なし~~ → MySQL連携対応
納期:~~3ヶ月~~ → 2.5ヶ月(短縮)
■影響範囲
工数:~~120時間~~ → 100時間
費用:~~変更なし~~ → 10%削減
タスク管理と進捗報告
完了状況の視覚的表示
チームでのタスク管理において、完了したタスクを打消し線で表示することで進捗が一目で分かります。
進捗報告書の例
【週次進捗報告】
■今週の完了タスク
~~要件定義書の作成~~ ✓
~~顧客ヒアリングの実施~~ ✓
~~基本設計の検討~~ ✓
■継続中のタスク
詳細設計の作成(進捗率:60%)
テスト仕様書の作成(進捗率:30%)
■来週の予定
~~詳細設計の作成~~ → プログラミング開始
ビジネスでの活用例を理解したところで、次の章では効率的な操作テクニックについて説明します。
効率的な操作テクニック

キーボードショートカットの活用
高速操作のためのキー組み合わせ
打消し線を頻繁に使用する場合、ショートカットキーをマスターすることで作業効率が大幅に向上します。
基本ショートカット
Ctrl + Shift + X
:打消し線のオン・オフ切り替えCtrl + Z
:直前の操作を取り消しCtrl + Y
:操作をやり直しF4
:直前の書式設定を繰り返し
書式設定関連のショートカット
Ctrl + B
:太字Ctrl + I
:斜体Ctrl + U
:下線Ctrl + Shift + F
:フォントダイアログを開く
テンプレート化による効率化
定型フォーマットの作成
よく使用する打消し線パターンをテンプレート化することで、一貫性と効率性を両立できます。
変更通知テンプレート
【○○変更のお知らせ】
変更項目:~~変更前内容~~ → 変更後内容
変更日時:年月日
変更理由:
影響範囲:
お問い合わせ:
進捗報告テンプレート
【進捗報告:年月日】
■完了済み
~~タスク1~~ ✓
~~タスク2~~ ✓
■進行中
タスク3(進捗:%)
タスク4(進捗:%)
■予定
タスク5
タスク6
クイックパーツの活用
定型文の登録と呼び出し
Outlookのクイックパーツ機能を使って、打消し線を含む定型文を登録できます。
クイックパーツ作成手順
- 定型文となるテキストを作成(打消し線を含む)
- テキストを選択
- 「挿入」タブ→「テキスト」グループ→「クイックパーツ」
- 「選択範囲をクイックパーツギャラリーに保存」
- 名前と説明を入力して保存
呼び出し方法
- 「挿入」タブからクイックパーツを選択
- または登録した名前を入力してF3キーを押す
自動置換機能の設定
入力の自動化
AutoCorrect機能を使って、特定の文字列を打消し線付きテキストに自動変換できます。
設定例
- 「–完了–」→「~~完了~~」
- 「–削除–」→「~~削除~~」
- 「–変更–」→「~~変更前~~」
設定手順
- 「ファイル」→「オプション」→「メール」
- 「エディターオプション」→「文章校正」
- 「オートコレクトのオプション」
- 置換前と置換後の文字列を登録
マクロによる高度な自動化
繰り返し作業の完全自動化
VBAマクロを使用して、複雑な打消し線操作を自動化できます。
簡単なマクロ例
Sub ApplyStrikethroughToSelection()
If Selection.Type = wdSelectionNormal Then
Selection.Font.StrikeThrough = Not Selection.Font.StrikeThrough
End If
End Sub
マクロの利点
- 複雑な書式設定の一括適用
- 条件に応じた自動判定
- ユーザー定義のショートカット作成
- 大量データの一括処理
効率的な操作方法を理解したところで、次の章では注意点とベストプラクティスについて説明します。
注意点とベストプラクティス
可読性への配慮
読みやすさを損なわない使用
打消し線は効果的な表現手段ですが、使いすぎると読みにくくなる可能性があります。
適切な使用量の目安
- 1つのメールで打消し線は3-5箇所まで
- 連続する文章での多用は避ける
- 重要な変更点のみに限定
- 全体のバランスを考慮
視認性の確保
- 十分なフォントサイズの使用(最低11pt推奨)
- 適切な行間の設定
- 背景色とのコントラスト確認
- 印刷時の視認性チェック
メール形式の制限
受信者環境への配慮
メールの形式によって打消し線が表示されない場合があります。
形式別の対応状況
- HTML形式:完全対応
- リッチテキスト形式:対応
- プレーンテキスト形式:非対応
代替表現の準備 プレーンテキスト環境の受信者への配慮として、代替表現を用意しておきます。
代替表現例
- ~~削除~~ → [削除]または(削除)
- ~~変更前~~ → 「変更前」→「変更後」
- 完了~~済み~~ → 完了済み(チェック済み)
法的文書での使用注意
正式文書での慎重な使用
契約書や正式な文書では、打消し線の使用に注意が必要です。
注意すべき場面
- 法的効力を持つ文書
- 監査対象となる記録
- 公式な報告書
- 証拠として使用される可能性がある文書
推奨する代替方法
- 版数管理による文書改訂
- 変更履歴機能の使用
- 別途変更記録の作成
- 正式な修正手続きの実施
アクセシビリティへの配慮
多様な環境への対応
視覚に障害のある方や、スクリーンリーダーを使用する方への配慮も重要です。
アクセシブルな表現方法
- 打消し線だけでなく文字での説明も併記
- 変更理由の明記
- 構造化された文書形式の使用
- 代替テキストの提供
スクリーンリーダー対応 多くのスクリーンリーダーは打消し線を「削除」として読み上げますが、すべての環境で同じとは限りません。
バージョン管理との併用
文書管理の最適化
打消し線による変更表示と、正式なバージョン管理を併用することで、より確実な文書管理が可能です。
併用のメリット
- 変更点の即座の視認
- 完全な変更履歴の保持
- 必要に応じた元データの復元
- チーム内での情報共有
推奨する管理方法
- SharePointやOneDriveでのバージョン管理
- メール内での打消し線による変更表示
- 重要な変更は別途変更管理表で記録
- 定期的な文書の整理と統合
国際的なコミュニケーション
文化的な違いへの配慮
国際的なビジネスにおいては、打消し線の解釈が文化によって異なる場合があります。
文化的配慮のポイント
- 変更の理由を明確に説明
- 敬意を示す表現の追加
- 必要に応じて事前の説明
- 相手方の慣習の確認
多言語環境での注意
- フォントによる表示の違い
- 右から左に書く言語での表示
- 文字エンコーディングの問題
- 翻訳ソフトでの処理
注意点を理解したところで、最後に全体をまとめていきます。
まとめ
Outlookでの打消し線機能について、基本的な使用方法から高度な活用テクニックまで詳しくご説明しました。最後に、重要なポイントをもう一度確認しておきましょう。
基本操作のマスター
- ショートカットキー
Ctrl + Shift + X
での素早い設定 - リボンメニューからの詳細な書式設定
- 一重・二重取り消し線の使い分け
- 他の書式との効果的な組み合わせ
ビジネス活用の要点
- 契約条件変更での透明性確保
- 価格改定案内での分かりやすい表示
- スケジュール変更での混乱防止
- プロジェクト管理での進捗の視覚化
効率化のテクニック
- テンプレート化による作業の標準化
- クイックパーツでの定型文活用
- 自動置換機能での入力省力化
- マクロによる高度な自動化
使用時の注意点
- 可読性を損なわない適度な使用
- メール形式による制限の理解
- 法的文書での慎重な判断
- アクセシビリティへの配慮
品質向上のポイント
- 受信者環境への配慮
- 代替表現の準備
- バージョン管理との併用
- 国際的コミュニケーションでの文化的配慮
継続的な改善のために
- チーム内でのルール統一
- 定期的な使用方法の見直し
- 新機能への対応
- フィードバックの収集と反映
Outlookの打消し線機能は、適切に使用することで、メールコミュニケーションの質を大幅に向上させることができます。変更内容の明確な表示により、受信者の理解促進と信頼関係の維持につながるでしょう。
今回ご紹介した方法を参考に、あなたのビジネスシーンに最適な打消し線活用法を見つけてくださいね。効果的な文書作成により、より円滑で正確なコミュニケーションを実現していきましょう。
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