長年使ってきたOutlookのアドレス帳には、仕事やプライベートの大切な連絡先がたくさん保存されていますよね。「新しいパソコンに移行するときや、バックアップを取りたいけど、どうやってアドレス帳をエクスポートすればいいの?」と悩んだことはありませんか。
実は、Outlookには連絡先データを簡単にエクスポートできる機能が搭載されています。正しい手順で行えば、すべての連絡先情報を失うことなく、安全に移行やバックアップができるんです。
今回は、Outlookアドレス帳のエクスポートについて、初心者の方でも迷わず実行できるよう、詳しい手順から注意点まで分かりやすく解説していきます。様々な形式でのエクスポート方法や、エクスポート後のデータ活用法も含めてお伝えしますね。
Outlookアドレス帳エクスポートの基本

エクスポート可能なデータの種類
Outlookのアドレス帳から出力できる連絡先情報には、以下のようなものがあります。
基本的な連絡先情報
- 氏名(姓名、ふりがな、敬称)
- 会社名と部署名
- 電話番号(自宅、携帯、会社、FAX)
- メールアドレス(複数対応)
- 住所(自宅、会社)
詳細情報
- 誕生日と記念日
- WebサイトのURL
- 役職と所属部署
- メモ欄の内容
- カテゴリ分類
カスタムフィールド
- ユーザーが追加した独自項目
- 会社固有の情報フィールド
- タグやラベル情報
エクスポート形式の種類と特徴
CSV形式(推奨) CSV(Comma Separated Values)形式は最も汎用性が高く、他のソフトウェアでも読み込みやすい形式です。
CSV形式の利点
- ExcelやGoogleスプレッドシートで編集可能
- 他のメールソフトでも読み込み可能
- データの確認と修正が容易
- ファイルサイズが小さい
vCard形式(.vcf) vCard形式は、電子名刺の標準フォーマットです。
vCard形式の特徴
- スマートフォンで直接読み込み可能
- 他のメールクライアントとの互換性が高い
- 1件ずつまたは複数件まとめてエクスポート可能
- 写真やロゴも含めて保存可能
PST形式 PST(Personal Storage Table)形式は、Outlookの標準データ形式です。
PST形式の用途
- Outlook間での完全なデータ移行
- フォルダー構造も含めた保存
- メールと連絡先の一括エクスポート
- 最も確実なバックアップ方法
エクスポート前の準備
データの整理と確認
エクスポートを実行する前に、アドレス帳の内容を整理しておくことが重要です。
重複連絡先の確認
- 「連絡先」フォルダーを開く
- 「ホーム」タブの「重複アイテムの削除」を使用
- 手動で重複をチェック
- 必要に応じて統合や削除を実行
古い情報の更新
- 使用していない連絡先の削除
- 古い電話番号やメールアドレスの更新
- カテゴリ分類の見直し
- 重要度の設定確認
この基本知識を理解したところで、次の章では具体的なエクスポート手順について詳しく説明していきます。
CSV形式でのエクスポート手順
エクスポートウィザードの起動
基本的なエクスポート手順
CSV形式は最も汎用性が高いため、まずこの方法をマスターしましょう。
- Outlookを起動し「ファイル」メニューをクリック
- 「開く・エクスポート」を選択
- 「インポート/エクスポート」をクリック
- 「ファイルにエクスポート」を選択して「次へ」
- 「カンマ区切りの値」を選択して「次へ」
エクスポートするフォルダーの選択
連絡先フォルダーの指定
- フォルダー一覧から「連絡先」を選択
- サブフォルダーも含める場合は「サブフォルダーを含む」にチェック
- 「次へ」をクリック
複数フォルダーがある場合
- メインの連絡先フォルダー
- カテゴリ別に分けた連絡先フォルダー
- 共有連絡先フォルダー
それぞれ個別にエクスポートするか、すべてを含めるかを選択できます。
ファイル保存設定
保存場所とファイル名の設定
- 保存先フォルダーを選択
- ファイル名を入力(例:「連絡先_2024年8月」)
- 「次へ」をクリック
推奨ファイル名の付け方
- 日付を含める:連絡先_20240802
- 用途を明記:連絡先_転職用_20240802
- バージョン管理:連絡先_v1.0_20240802
フィールドマッピングの設定
データ項目の対応関係設定
- 「フィールドの一致」をクリック
- Outlookの項目とCSVの列を対応付け
- 不要な項目のチェックを外す
- 「OK」→「完了」でエクスポート開始
重要なフィールドの確認
- 姓、名、表示名
- 会社名、部署
- 電話番号(各種)
- メールアドレス
- 住所情報
エクスポート結果の確認
データの整合性チェック
エクスポートが完了したら、必ず内容を確認しましょう。
確認方法
- 保存されたCSVファイルをExcelで開く
- データの欠損がないかチェック
- 文字化けがないか確認
- 件数が元のアドレス帳と一致するか確認
よくある問題と対処法
- 文字化け:UTF-8エンコードで再保存
- データ欠損:フィールドマッピングを見直し
- 不要なデータ:Excelで編集・削除
CSV形式でのエクスポートをマスターしたところで、次の章では他の形式でのエクスポート方法について説明します。
その他の形式でのエクスポート
vCard形式でのエクスポート
個別連絡先のvCard出力
vCard形式は、特定の連絡先を個別に共有したい場合に便利です。
単一連絡先の出力手順
- 連絡先フォルダーを開く
- エクスポートしたい連絡先を選択
- 右クリックして「vCardファイルとして転送」を選択
- 保存場所を指定してファイル名を入力
- 保存を実行
複数連絡先の一括vCard出力
- 複数の連絡先をCtrlキーを押しながら選択
- 「ファイル」→「名前を付けて保存」
- ファイルの種類で「vCard Files」を選択
- 保存を実行
PST形式での完全バックアップ
Outlookデータファイル全体のエクスポート
PST形式は、連絡先だけでなくメールやカレンダーも含めて保存できます。
PSTエクスポート手順
- 「ファイル」→「開く・エクスポート」→「インポート/エクスポート」
- 「ファイルにエクスポート」を選択
- 「Outlookデータファイル(.pst)」を選択
- エクスポートするフォルダーを選択(連絡先のみまたは全体)
- 保存場所とファイル名を指定
- パスワード設定(推奨)
- エクスポート開始
PST形式の利点
- フォルダー構造の完全保持
- カテゴリや分類情報も保存
- Outlookでの完全復元が可能
- 大容量データにも対応
Excel形式での直接出力
スプレッドシートファイルとしての保存
連絡先データを直接Excel形式で出力することも可能です。
Excel出力の手順
- CSV形式でエクスポート
- ExcelでCSVファイルを開く
- データの整形と修正
- Excel形式(.xlsx)で保存
Excel形式の活用法
- データの並び替えと絞り込み
- 重複データの除去
- グラフや統計の作成
- 印刷用のレポート作成
Googleコンタクト用の出力
Google連絡先への移行準備
GoogleコンタクトやGmailで使用するための最適化された出力方法です。
Google向け最適化
- CSV形式でエクスポート
- Googleコンタクトで推奨されるフィールド名に変更
- UTF-8エンコーディングで保存
- Googleコンタクトでインポートテスト
フィールド名の対応表
- Name → Given Name, Family Name
- Email → E-mail 1 – Value
- Phone → Phone 1 – Value
- Company → Organization 1 – Name
様々な形式でのエクスポート方法を理解したところで、次の章ではトラブルシューティングについて説明します。
トラブルシューティング

よくあるエクスポートエラー
「アクセスが拒否されました」エラー
このエラーは権限やファイルロックが原因で発生します。
対処方法
- Outlookを管理者権限で実行
- 保存先フォルダーの書き込み権限を確認
- ウイルス対策ソフトの一時無効化
- 他のアプリケーションで同じファイルが開かれていないか確認
「データが破損しています」エラー
アドレス帳のデータに問題がある場合に発生します。
修復手順
- Outlookの受信トレイ修復ツール(scanpst.exe)を実行
- アドレス帳の再インデックス
- プロファイルの修復
- 必要に応じてアカウントの再作成
文字化け問題の解決
日本語文字化けの対処
CSV出力時に日本語が文字化けする場合があります。
文字化け解決方法
- エクスポート時に「Unicode」形式を選択
- CSV保存時にUTF-8エンコーディングを指定
- Excelで開く際に「データ」→「テキストファイル」から適切なエンコーディングを選択
- メモ帳で開いて「名前を付けて保存」でUTF-8を選択
データ欠損の問題
一部の連絡先が出力されない場合
原因の特定と対策
- フィルター設定の確認:アドレス帳にフィルターが適用されていないか確認
- 権限の確認:共有連絡先フォルダーのアクセス権限を確認
- 破損データの特定:特定の連絡先に問題がないか個別チェック
- 段階的エクスポート:少数ずつに分けてエクスポートを実行
大容量データの処理
大量の連絡先がある場合の対策
分割エクスポートの実施
- アルファベット順に分割(A-G、H-N、O-Z等)
- カテゴリ別に分割
- 作成日時や更新日時で分割
- 各分割ファイルの整合性を確認
メモリ不足への対応
- 他のアプリケーションを終了
- 仮想メモリの増設
- 64bit版Outlookの使用
- 段階的な処理の実施
インポート先での問題
他のソフトウェアでの読み込みエラー
互換性の確保
- 標準的なフィールド名の使用
- 特殊文字の削除または置換
- 日付形式の統一
- 空白行の削除
データ形式の調整
- 電話番号形式の統一
- メールアドレスの形式確認
- 住所データの構造化
- カスタムフィールドの標準化
トラブル対処法を理解したところで、次の章ではエクスポート後のデータ活用について説明します。
エクスポート後のデータ活用
データの編集と整理
Excelでの高度な編集
エクスポートしたCSVファイルをExcelで開くことで、より高度なデータ処理が可能になります。
効率的な編集作業
- 重複データの除去
- 「データ」タブ→「重複の削除」機能を使用
- 氏名とメールアドレスを基準にした重複チェック
- 手動での最終確認
- データの統合
- 複数のCSVファイルを一つにまとめる
- VLOOKUP関数での情報補完
- 不完全な情報の補完作業
- カテゴリ分類の追加
- 会社名による分類
- 地域による分類
- 重要度による分類
他のアプリケーションでの活用
スマートフォンアドレス帳への移行
iPhone(iCloud)での活用
- iCloud.comにサインイン
- 「連絡先」アプリを開く
- 設定メニューから「vCardを読み込む」
- エクスポートしたvCardファイルを選択
Android(Googleコンタクト)での活用
- Googleコンタクトにアクセス
- 「インポート」機能を選択
- CSV形式またはvCard形式のファイルを選択
- フィールドマッピングを確認して実行
CRM・営業管理システムでの活用
顧客管理システムへの移行
主要CRMシステムでの読み込み
- Salesforce:CSV形式でのデータローダー機能
- Microsoft Dynamics:Excel形式での一括インポート
- Zoho CRM:CSV/vCard形式での直接インポート
- kintone:CSVテンプレートに合わせた形式変換
データクレンジングの実施
- 不要な情報の削除
- 標準形式への統一
- 必須項目の補完
- 重複の最終確認
バックアップ戦略の構築
定期的なバックアップ計画
バックアップの頻度設定
- 毎月1回の定期エクスポート
- 重要な変更後の即座バックアップ
- 年末年始の完全バックアップ
- プロジェクト終了時の保存
複数保存場所での管理
- ローカルハードドライブ
- 外付けストレージ
- クラウドストレージ
- ネットワークドライブ
セキュリティとプライバシー
エクスポートデータの保護
ファイル暗号化の実施
- パスワード付きZIPファイルでの圧縮
- Excel/Wordのパスワード保護機能
- 専用暗号化ソフトの使用
- クラウド保存時の暗号化確認
アクセス制御の設定
- ファイル権限の適切な設定
- 共有フォルダーでの制限
- 定期的なアクセス権限見直し
- 不要ファイルの安全な削除
データ活用方法を理解したところで、最後に全体をまとめていきます。
まとめ
Outlookアドレス帳のエクスポートについて、基本的な手順から高度な活用方法まで詳しくご説明しました。最後に、重要なポイントをもう一度確認しておきましょう。
エクスポートの基本手順
- CSV形式が最も汎用性が高く推奨
- エクスポート前のデータ整理が重要
- フィールドマッピングで必要な情報を確実に出力
- 必ずエクスポート結果の確認を実施
用途別の形式選択
- CSV形式:他のソフトウェアでの活用、データ編集
- vCard形式:スマートフォンや他のメールクライアントでの使用
- PST形式:Outlook間での完全なデータ移行
- Excel形式:高度なデータ分析や印刷用レポート
トラブル予防のコツ
- 事前のデータ整理と重複削除
- 適切な保存場所と権限設定
- 文字エンコーディングへの注意
- 段階的なエクスポート実行
データ活用の最大化
- 目的に応じた最適な形式選択
- 他のアプリケーションとの連携活用
- 定期的なバックアップ計画の実施
- セキュリティとプライバシーの確保
長期的な管理のポイント
- 定期的なアドレス帳メンテナンス
- 複数の保存場所でのリスク分散
- 技術進歩に応じた形式更新
- アクセス権限の定期見直し
セキュリティ対策の重要性
- エクスポートファイルの暗号化
- 適切なアクセス制御設定
- 不要データの安全な削除
- プライバシー保護の徹底
Outlookアドレス帳のエクスポートは、正しい手順と注意点を理解すれば、誰でも安全確実に実行できます。大切な連絡先データを失わないよう、計画的にエクスポート作業を進めてくださいね。
今回ご紹介した方法を参考に、あなたの用途に最適なエクスポート戦略を構築し、貴重な連絡先データを適切に保護・活用していきましょう。定期的なバックアップと適切な管理により、安心してOutlookを使い続けることができるはずです。
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