もし夜道で真っ赤な顔をした化け物に出会ったら…想像しただけでも身の毛がよだちますよね。
東北地方には、そんな悪夢のような妖怪の話が古くから語り継がれています。
それが「朱の盆(しゅのぼん)」です。
朱の盆は、その恐ろしい赤い顔で人を恐怖に陥れ、時には死に至らせることもあるという、日本の妖怪の中でも特に危険とされる存在です。
一度その姿を見た者は、二度と忘れることができないほど強烈な恐怖を味わうでしょう。
この記事では、見る者を極度の恐怖に陥れる妖怪「朱の盆」について、その恐ろしい姿から逃れることのできない恐怖の体験談まで、詳しくご紹介します。
朱の盆ってどんな妖怪?

朱の盆とは、東北地方に伝わる赤い顔をした恐ろしい妖怪です。
見た者を極度の恐怖に陥れ、時には死に至らせることもあるという、日本でも危険な妖怪の一つとされています。
- 正式名称:朱の盤(しゅのばん)
- 別名:朱の盆(しゅのぼん)、首の番
姿・見た目
朱の盆の見た目は、まさに「悪夢」という言葉がぴったりの恐ろしさです。その姿を一度見た人は、二度と忘れることができないほど強烈な印象を残します。
基本的な外見の特徴
- 赤い顔
- 針のような髪の毛
- 一本角
- 皿のような目
- 耳まで裂けた口
伝承

朱の盆にまつわる伝承は、どれも身の毛もよだつ恐ろしい話ばかりです。
旅人が出会った2人の妖怪
山道での出会い
江戸時代のこと、越後の国から江戸に向かう二人の男が、険しい山道で日が暮れてしまいました。
道に迷った二人は、山奥でぽつんと明かりの灯る古い家を見つけました。戸を叩くと、しわだらけの老婆が現れ、「旅のお方でしたら、どうぞお泊まりください」と親切に家に招き入れてくれました。
最初の恐怖
その夜、片方の男は、隣で寝ている相棒の様子がおかしいことに気づきました。よく見ると、老婆が相棒の体をぺろぺろと舐め回しているのです。
男が驚いて声を上げようとしたその時、老婆の横に真っ赤な顔をした坊主が現れました。
皿のように大きな目、耳まで裂けた口、額には短い角。男は恐怖のあまり思わず坊主に切り掛かりました。
すると、坊主の姿は消えてしまい、老婆は相棒を抱えて飛び出していき、家はいつの間にか消えていました。
日が昇り、男があたりを見回すと、相棒の真っ白な白骨が残されていたのです。
朱の盆からは逃げられない
会津の諏訪神社に「朱の盤」という化け物が出るという噂を聞いた武士が、その正体を確かめようと夜中に出かけました。
神社で別の若い男に出会った武士は、世間話のついでに「ここには朱の盤という化け物が出ると聞きますが、ご存知ですか?」と尋ねました。
すると相手の武士は「それはこのような姿でしょうか」と言いながら顔を変えました。
その顔は真っ赤で血を流したようで、髪の毛は針のように立ち、額には一本の角が生え、目は星のように光り、口は耳まで大きく裂けていました。歯をガチガチと鳴らす音は雷のように響きました。
武士はあまりの恐ろしさに気を失ってしまいました。
しばらくして目を覚ますと、急いで夜道を歩いて一軒の家に飛び込みました。そこには女性が一人で留守番をしていました。
安心した武士は、先ほど化け物に出会った話をしました。
すると女性は「それは大変でしたね。その化け物はこんな顔でしたか?」と言って、またさっきと同じ恐ろしい化け物の顔に変わりました。
武士は慌てて家を飛び出し、なんとか自宅まで逃げ帰りましたが、恐怖のあまり100日間寝込んだ末に亡くなってしまったそうです。
まとめ
朱の盆は、日本の妖怪の中でも特に「恐怖そのもの」を体現した存在といえるでしょう。
その最も恐ろしい特徴は、一度出会ってしまえば逃れることができないという点です。どこに逃げても現れ、見た者を極限の恐怖に陥れ、ついには死に至らせてしまうのです。
重要なポイント
- 真っ赤な顔と針のような髪、一本角の恐ろしい外見
- 東北地方(会津・越後)に伝わる危険な妖怪
- 一度出会えば逃れることができない
- 見た者を極度の恐怖で死に至らせる
- どこまでも追いかけてくる執念深さ
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