Excel(エクセル)で資料やデータを作っているとき、「この部分を強調したい」「重要な数字をマーカーで目立たせたい」と思うことはありませんか?
よくある強調表示の悩み
- 重要なデータが表の中に埋もれてしまう
- 注意すべき数値を見落としがちになる
- 会議資料で特定の項目を強調したい
- Wordのような蛍光ペン機能がExcelにはない
- 手動での色付けが面倒で時間がかかる
Wordのように蛍光ペンを引くイメージがExcelには無さそうですが、実はExcelでも簡単にマーカー風に目立たせる方法がいくつもあります。
この記事では、以下の内容を初心者にもわかりやすく解説します:
- 基本的なセル背景色による強調方法
- 条件付き書式を使った自動ハイライト
- 部分的な文字強調テクニック
- 見た目を美しくするデザインのコツ
基本的なマーカー表示方法

セルの塗りつぶしを使う方法
最もシンプルで確実な方法が、セルに背景色をつけることです。
基本的な手順
ステップ1:セルの選択
- 目立たせたいセルをクリック
- 複数セルの場合はドラッグで範囲選択
- 離れたセルはCtrlキーを押しながらクリック
ステップ2:色の適用
- 「ホーム」タブをクリック
- バケツのマーク(塗りつぶしの色)をクリック
- 好みの色を選択
おすすめマーカー色
用途別の色選択
用途 | おすすめ色 | 効果 |
---|---|---|
注意・警告 | 薄い赤、ピンク | 緊急性を表現 |
重要事項 | 薄い黄色、オレンジ | 蛍光ペン風 |
完了・達成 | 薄い緑 | ポジティブな印象 |
情報・参考 | 薄い青 | 冷静で信頼性 |
複数セルの一括色付け
効率的な方法
- 最初のセルに色を適用
- そのセルをコピー(Ctrl+C)
- 他のセルを選択して右クリック
- 「形式を選択して貼り付け」→「書式」を選択
カスタム色で蛍光ペン風に
より自然なマーカー色の作成
手順
- 塗りつぶし色 →「その他の色」をクリック
- 「ユーザー設定」タブを選択
- 以下の設定で蛍光ペン風の色を作成:
蛍光黄色の設定例
赤:255
緑:255
青:200
蛍光ピンクの設定例
赤:255
緑:220
青:255
蛍光グリーンの設定例
赤:220
緑:255
青:220
セルの境界線との組み合わせ
より目立つ強調表示
設定方法
- セルを選択して背景色を設定
- 「ホーム」→「罫線」→「太い外枠」
- 線の色も調整(例:濃い版の背景色)
条件付き書式による自動マーカー
基本的な条件付き書式の設定
条件に合うセルを自動でマーカー表示する強力な機能です。
数値条件での自動ハイライト
例:売上100万円以上を黄色マーカー
手順
- 売上データの範囲を選択
- 「ホーム」→「条件付き書式」→「セルの強調表示ルール」
- 「指定の値より大きい」を選択
- 値に「1000000」を入力
- 書式で「黄色の塗りつぶし」を選択
文字列条件での自動ハイライト
例:「未払い」を含むセルを赤マーカー
手順
- 対象範囲を選択
- 「条件付き書式」→「セルの強調表示ルール」
- 「文字列を含む」を選択
- 「未払い」と入力
- 赤色の書式を設定
より高度な条件付き書式
数式を使ったカスタム条件
例:締切日が近い(3日以内)項目を黄色マーカー
=AND(A1<>"", A1<=TODAY()+3, A1>=TODAY())
例:予算を超過した項目を赤マーカー
=B1>C1
複数条件の組み合わせ
例:売上が目標以上かつ利益率20%以上を緑マーカー
=AND(B1>=D1, C1/B1>=0.2)
アイコンセットとの組み合わせ
視覚的により分かりやすく
設定方法
- データ範囲を選択
- 「条件付き書式」→「アイコンセット」
- 「3つの矢印」などを選択
- 条件を適切に設定
効果
- 緑の上矢印:目標達成
- 黄色の横矢印:ほぼ達成
- 赤の下矢印:要改善
部分的な文字強調テクニック
セル内の一部文字だけを強調
Excelでは1つのセル内の一部の文字だけを強調することができます。
手順
方法1:セル内編集での部分強調
- セルをダブルクリックして編集モードにする
- 強調したい文字を選択
- 「ホーム」→「フォントの色」で色を変更
- 必要に応じて太字(Ctrl+B)も適用
方法2:数式バーでの編集
- セルを選択
- 数式バーで強調したい文字を選択
- 色や太字を適用
効果的な組み合わせ
重要度レベル別の設定
- 最重要:赤色 + 太字 + 下線
- 重要:青色 + 太字
- 注意:オレンジ色
- 参考:グレー色
文字サイズとの組み合わせ
インパクトのある強調
設定例
- 重要な数値を選択
- フォントサイズを14pt→18ptに拡大
- 太字を適用
- 赤色に変更
実用的な活用例
売上管理表でのマーカー活用
状況別色分け
データ例
商品名 売上額 目標額 達成率
商品A 120万 100万 120%
商品B 80万 100万 80%
商品C 150万 100万 150%
条件付き書式設定
- 目標達成(120%以上)→ 濃い緑
=D2>=1.2
- 目標ほぼ達成(90%以上)→ 薄い緑
=AND(D2>=0.9, D2<1.2)
- 要注意(90%未満)→ 薄い赤
=D2<0.9
プロジェクト管理表でのマーカー活用
進捗状況の視覚化
ステータス別色分け
- 完了:緑色マーカー
- 進行中:黄色マーカー
- 遅延:赤色マーカー
- 保留:グレーマーカー
設定方法
=SWITCH(C2, "完了", "緑", "進行中", "黄色", "遅延", "赤", "保留", "グレー")
在庫管理表でのマーカー活用
在庫レベル別の警告表示
在庫数による自動色分け
- 在庫切れ(0個)→ 赤
=B2=0
- 在庫少(10個以下)→ 黄色
=AND(B2>0, B2<=10)
- 在庫十分(11個以上)→ 緑
=B2>10
印刷を考慮したマーカー設定
印刷に適した色選択
モノクロ印刷対応
推奨設定
- 重要:濃いグレー背景 + 白文字
- 注意:薄いグレー背景 + 黒文字
- 普通:白背景 + 黒文字
カラー印刷での最適化
印刷映えする色
- 黄色系:少し濃いめに設定
- 赤色系:彩度を下げて上品に
- 青色系:明度を上げて読みやすく
印刷プレビューでの確認
チェックポイント
- 「ファイル」→「印刷」でプレビュー確認
- 文字の読みやすさをチェック
- 色の濃淡が適切かを確認
- 必要に応じて色を調整
デザインのプロなコツ

統一感のある色選択
色の組み合わせルール
補色の活用
- 青色 × オレンジ色
- 緑色 × 赤色
- 紫色 × 黄色
同系色でのグラデーション
- 薄い青 → 濃い青
- 薄い緑 → 濃い緑
- 薄い赤 → 濃い赤
アクセシビリティへの配慮
色覚多様性への対応
推奨事項
- 色だけでなく形や記号でも区別
- 明度差を大きくする
- 赤と緑の組み合わせを避ける
代替手段
- アイコンセットの併用
- 罫線の太さでの区別
- フォントスタイルでの区別
ブランドカラーとの統一
企業資料での活用
設定方法
- 会社のブランドカラーを「ユーザー設定色」に登録
- マーカー色もブランドカラーの薄い版を使用
- 統一感のある資料に仕上げる
よくある問題と解決方法
マーカーが印刷されない
原因と対処法
原因1:プリンターの設定
- 解決法:プリンタープロパティで「背景色を印刷」を有効
原因2:Excelの印刷設定
- 解決法:「ページ設定」→「シート」→「白黒印刷」のチェックを外す
条件付き書式が効かない
よくある原因
原因1:範囲選択のミス
- 解決法:「条件付き書式」→「ルールの管理」で範囲を確認
原因2:数式の間違い
- 解決法:相対参照と絶対参照($マーク)を適切に使用
原因3:データ型の不一致
- 解決法:数値と文字列の区別を確認
色が多すぎて見づらい
整理のコツ
色数の制限
- 基本色:3〜4色以内
- アクセント色:1〜2色
- 背景色:白または薄いグレー
優先順位の明確化
- 最重要:赤色
- 重要:黄色
- 注意:オレンジ色
- 参考:青色
高度なテクニック
VBAを使った自動マーカー
特定条件での自動実行
Sub AutoHighlight()
Dim cell As Range
For Each cell In Selection
If cell.Value > 1000000 Then
cell.Interior.Color = RGB(255, 255, 0) ' 黄色
End If
Next cell
End Sub
動的な条件変更
スライダーコントロールとの連携
設定方法
- 「開発」タブ →「挿入」→「スクロールバー」
- 条件付き書式でスライダーの値を参照
- リアルタイムで条件を変更可能
他のOfficeアプリとの連携
PowerPointでの活用
Excelからのコピー
- マーカー設定済みの表をコピー
- PowerPointに「形式を選択して貼り付け」
- 「Excelワークシートオブジェクト」で貼り付け
まとめ
Excelでマーカーのように目立たせる方法は、用途と状況に応じて使い分けることが重要です:
基本的なアプローチ
- 手動設定:セルの塗りつぶし色で即座に強調
- 自動設定:条件付き書式で効率的な管理
- 部分強調:セル内の重要文字のみをピンポイント強調
効果的な使い分け
- 緊急度の高い情報:赤色系マーカー
- 重要な成果や達成:緑色系マーカー
- 注意が必要な項目:黄色・オレンジ系マーカー
- 参考情報:青色系マーカー
デザインのポイント
- 色数を制限して見やすさを重視
- 印刷時の見え方も考慮
- アクセシビリティへの配慮
- ブランドカラーとの統一
業務効率化の効果
- 重要情報の見落とし防止
- データの分析効率向上
- 会議や報告の説得力アップ
- チーム内での情報共有円滑化
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