Word(ワード)でファイルを開いたとき、「読み取り専用」と表示されていて編集できない…そんな経験はありませんか?
特に他人から送られてきた文書や、ネットからダウンロードしたファイルでよく起こります。
この記事では、「読み取り専用」の状態になる原因と、その解除方法を具体的にご紹介します。この方法を覚えると、どんな文書でも安心して編集できるようになります。
読み取り専用とは何か

基本的な仕組み
読み取り専用とは、文書の内容を見ることはできるが、編集や変更ができない状態のことです。これは、大切な文書を間違って変更してしまうことを防ぐための安全機能です。
なぜ読み取り専用になるのか
セキュリティ保護
- 重要文書の保護:契約書や公式文書の改ざん防止
- テンプレート保護:ひな形の維持
- 共有文書の管理:複数人での同時編集防止
システム的な理由
- ファイル属性:システムレベルでの制限
- 権限不足:ユーザーのアクセス権限による制限
- ネットワーク制限:共有フォルダやクラウドでの制約
安全機能
- ダウンロードファイル:ウイルス対策のための一時制限
- 保護ビュー:信頼できないファイルからの保護
- 編集制限:作成者が意図的に設定した制限
読み取り専用になる5つの主な原因
1. インターネットからのダウンロードファイル
なぜ起こるのか
インターネットからダウンロードしたファイルは、セキュリティ上の理由で自動的に「保護ビュー」または「読み取り専用」で開かれます。これは、悪意のあるコードが含まれている可能性を考慮した安全対策です。
見分け方
- 画面上部に黄色いバーが表示
- **「保護ビュー」または「編集を有効にする」**のメッセージ
- ファイルの内容は見えるが編集ボタンが無効
よくある状況
- メールの添付ファイル
- ウェブサイトからのダウンロード
- USBメモリからのコピー
- クラウドストレージからの取得
2. ファイル属性の読み取り専用設定
どういう状態か
ファイル自体のプロパティで「読み取り専用」属性が設定されている状態です。これは、ファイルシステムレベルでの制限のため、Wordだけでなく他のアプリでも編集できません。
確認方法
- ファイルを右クリック
- **「プロパティ」**を選択
- **「属性」欄で「読み取り専用」**にチェックが入っているか確認
よくある原因
- CD-ROMやDVDからのコピー
- 他のユーザーが意図的に設定
- システム管理者による制限
- ファイル復旧ソフトでの復元時
3. パスワードや編集制限による保護
保護の種類
文書の保護:
- パスワードによる開封制限
- 編集内容の制限(コメントのみ、書式変更のみ等)
- セクション別の編集制限
ワークシート保護:
- 特定のセルや範囲の編集禁止
- 数式や書式の保護
- 構造変更の禁止
見分け方
- 「校閲」タブに**「編集の制限」**ボタンが有効
- 文書下部に**「この文書は保護されています」**と表示
- 編集時にパスワードを要求される
4. 他のユーザーによる同時使用
共有環境での制限
同じネットワークフォルダやクラウドストレージで、他のユーザーが同じファイルを開いている場合、後から開いたユーザーは自動的に読み取り専用になります。
確認方法
- 画面上部に**「他のユーザーが編集中」**のメッセージ
- ファイル名に**「[読み取り専用]」**と表示
- 保存ボタンが無効になっている
よくある環境
- 会社の共有フォルダ
- OneDriveやGoogleドライブ
- SharePointやTeams
- ネットワークドライブ
5. Wordの設定による強制読み取り専用
設定による制限
Wordのオプション設定で、特定の条件下で自動的に読み取り専用で開くように設定されている場合があります。
確認すべき設定
- **「信頼できる場所」**以外からのファイル
- **「マクロを含む文書」**の制限
- **「インターネット一時ファイル」**からの制限
状況別の解除方法
方法1:保護ビューの解除(最も一般的)
基本的な解除手順
- Wordでファイルを開く
- 画面上部の黄色いバーを確認
- **「編集を有効にする」**ボタンをクリック
- 即座に編集可能になる
詳細な操作
「保護ビュー」と表示される場合:
- **「編集を有効にする」**をクリック
- 必要に応じて**「コンテンツを有効にする」**もクリック
- マクロがある場合は別途確認メッセージ
メッセージが表示されない場合:
- 「ファイル」タブをクリック
- **「編集を有効にする」**ボタンを探す
- クリックして編集モードに変更
注意点
- ウイルススキャン:信頼できるファイルか確認
- 送信元の確認:怪しいファイルは注意
- バックアップ:重要な場合は元ファイルを保持
方法2:ファイル属性の変更
Windowsでの操作手順
- ファイルを右クリック
- **「プロパティ」**を選択
- 「全般」タブの**「属性」**欄を確認
- **「読み取り専用」**のチェックを外す
- 「適用」→**「OK」**をクリック
複数ファイルの一括変更
- 複数ファイルを選択(Ctrl+クリック)
- 右クリック→「プロパティ」
- **「読み取り専用」**のチェックを外す
- **「適用」**で一括変更
フォルダ全体の変更
- フォルダを右クリック→「プロパティ」
- **「読み取り専用」**のチェックを外す
- **「サブフォルダーとファイルに変更を適用する」**を選択
- **「OK」**で全体に適用
コマンドプロンプトでの変更(上級者向け)
attrib -r "ファイルパス"
または
attrib -r *.docx /s
(現在フォルダ内のすべてのWordファイル)
方法3:別名保存による回避
基本的な手順
- 読み取り専用ファイルを開く
- 「ファイル」タブをクリック
- **「名前を付けて保存」**を選択
- 新しいファイル名を入力
- **「保存」**をクリック
効果的な命名法
- 元ファイル名_編集用.docx
- 元ファイル名_YYYYMMDD.docx(日付付き)
- 元ファイル名_修正版.docx
保存場所の選択
推奨保存先:
- デスクトップ(一時的な編集)
- ドキュメントフォルダ
- 作業用フォルダ
避けるべき場所:
- 元ファイルと同じフォルダ(上書きリスク)
- システムフォルダ
- 一時フォルダ
方法4:編集制限・パスワード保護の解除
パスワード保護の確認
- 「校閲」タブをクリック
- **「編集の制限」**ボタンを確認
- 右側に制限パネルが表示されるかチェック
制限解除の手順
パスワードがわかる場合:
- 「編集の制限」パネルで「保護の解除」
- パスワードを入力
- **「OK」**で解除完了
パスワードがわからない場合:
- 別名保存で編集可能なコピーを作成
- 元ファイル作成者に確認
- 管理者権限での解除(企業環境)
制限の種類別対応
コメントのみ許可:
- 本文編集は不可
- コメント追加のみ可能
- 制限解除が必要
変更履歴のみ許可:
- 変更は記録される
- 承認なしでは確定されない
- レビュー用の設定
フォーム入力のみ許可:
- 指定フィールドのみ編集可
- フォーム以外は保護
- データ入力用の設定
方法5:共有ファイルの編集権取得
状況の確認
- ファイル名に**「[読み取り専用]」**表示があるかチェック
- **「他のユーザーが編集中」**メッセージの確認
- ネットワーク共有またはクラウド環境かの確認
基本的な対処法
他ユーザーの編集終了を待つ:
- 数分間待機してからファイルを閉じる
- 再度開くと編集可能になることがある
- 通信環境を確認
編集権の要求:
- **「編集権限の要求」**メッセージがあればクリック
- 他ユーザーに通知が送信される
- 承認されれば編集可能
OneDrive・SharePointでの対処
OneDriveの場合:
- ブラウザでOneDriveを開く
- **「Wordオンライン」**で編集を試行
- **「デスクトップアプリで編集」**で切り替え
SharePointの場合:
- **「チェックアウト」**機能を使用
- 編集権限を明確にしてから編集
- 編集完了後に「チェックイン」
予防策と最適化

読み取り専用を避ける方法
ファイル取得時の注意
- 信頼できる送信元からのファイルのみ開く
- ダウンロード後すぐに属性を確認
- 作業用フォルダにコピーしてから開く
共有環境での工夫
- 編集予定を事前連絡
- チェックアウト機能の活用
- バージョン管理システムの利用
セキュリティを保持した編集
安全な編集方法
- ウイルススキャンを実行してから編集
- 信頼できる場所に保存
- 定期的なバックアップ
権限管理の最適化
- 最小権限の原則:必要最小限の権限で作業
- 定期的な権限見直し
- ログの確認:誰がいつ編集したかの記録
トラブルシューティング
よくあるエラーと対処法
「アクセスが拒否されました」
原因:ファイル権限の不足 対処法:
- 管理者権限でWordを起動
- ファイル所有者に権限変更を依頼
- 別の場所にコピーしてから編集
「ファイルが使用中です」
原因:他のプロセスがファイルを使用 対処法:
- タスクマネージャーでWordプロセスを確認
- 他のWordウィンドウを閉じる
- パソコンを再起動
「破損したファイル」メッセージ
原因:ファイルの破損 対処法:
- **「開いて修復」**オプションを試行
- 自動回復ファイルを確認
- バックアップファイルから復元
高度なトラブル対応
レジストリの確認(上級者向け)
注意:レジストリ編集は慎重に
- regeditを管理者権限で起動
- Word関連の設定を確認
- 必要に応じて修正
グループポリシーの影響
企業環境での制限:
- システム管理者に確認
- ポリシー例外の申請
- 代替手段の相談
まとめ
Wordで「読み取り専用」になるのは、セキュリティや誤操作防止のための仕様です。状況に応じて以下の方法を試しましょう。
即効性のある対処法
- 画面上部の「編集を有効にする」をクリック
- ファイルプロパティから「読み取り専用」属性を外す
- 「名前を付けて保存」で編集可能なコピーを作成
根本的な解決方法
- パスワード保護の解除(パスワードが必要)
- 共有ファイルの編集権取得
- ファイル権限の適切な設定
予防策
- 信頼できるファイルのみ開く
- 作業前にファイル属性を確認
- 共有環境では事前連絡を心がける
- 定期的なバックアップの実施
トラブル時の対応
- 複数の方法を順番に試行
- エラーメッセージを正確に確認
- 必要に応じて管理者やIT部門に相談
ちょっとした工夫で編集可能に戻せるので、焦らず段階的に対処してみてください。
この知識を身につけることで、どんな環境でもWordファイルを確実に編集できるようになります。セキュリティを保ちながら効率的に作業を進めるために、状況に応じて最適な方法を選択してください。
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