夜の山道を歩いていて、急に目の前が真っ暗になった経験はありませんか?
それはもしかすると野鉄砲(のでっぽう)という妖怪の仕業かもしれません。
今回は、江戸時代から語り継がれる「視界を奪う妖怪」野鉄砲について、その正体から対処法まで詳しくご紹介します。
野鉄砲ってどんな妖怪?

「野鉄砲(のでっぽう)」は、江戸時代の有名な妖怪図鑑『絵本百物語』に記録されている妖怪です。
基本情報
- 名称:野鉄砲(のでっぽう)
- 初出:江戸時代『絵本百物語』
- 正体:猯(まみ)、タヌキ、ムササビ、コウモリなどが長い年月をかけて妖怪化した存在
- 活動場所:山奥、森林地帯
- 活動時間:夕暮れから夜間
では、野鉄砲はどんな姿をしているのでしょうか?
野鉄砲の見た目と正体
野鉄砲の姿は、その正体となった動物によって少しずつ変わります。しかし、共通する特徴があります。
外見の特徴
- タヌキ、リス、ムササビに似た獣のような姿
- 森や山の木の上にひそんでいる
- 口から黒い影やコウモリのような形を吐き出す
- その影が人の視界を完全に覆ってしまう
多くの絵では、木の上から口を大きく開けて、煙のようなものを吐き出している姿が描かれています。
正体となる動物たち
- 猯(まみ):タヌキの仲間で、昔は山でよく見かけられた
- ムササビ:夜行性で木から木へ滑空する動物
- コウモリ:暗闇を飛び回る翼を持つ哺乳類
野鉄砲に出会うと、どんな恐ろしいことが起こるのでしょうか?
野鉄砲の攻撃方法
野鉄砲の特徴は、人の視界を完全に奪ってしまうことです。
その攻撃方法を詳しく見てみましょう。
攻撃の流れ
- 夕暮れや夜、山道で人を待ち伏せする
- 口からコウモリを吹き出す
- コウモリが人の目に覆い被さって視界を奪う
- 視界が奪われた隙に、生き血を吸う
- 気がつくと、野鉄砲の姿は消えている
昔から伝わる対策
幸い、野鉄砲には対策があります:
「巻耳(オナモミ)という植物を懐に入れておく」
これだけです。
野鉄砲について、他にどんな話が残っているのでしょうか?
古典文献での記録
『絵本百物語』の記述 江戸時代の妖怪図鑑『絵本百物語』には、「猯が長年生きて妖怪化したもの」として野鉄砲が紹介されています。
この書物は、当時の妖怪についての貴重な記録となっています。
まとめ
野鉄砲は、視界を奪って人間に襲いかかる妖怪です。
この記事のポイント
- 野鉄砲は動物が妖怪化した存在
- 人の視界を奪って生き血を吸う恐ろしい妖怪
- 巻耳(オナモミ)という植物で対策できる
- 江戸時代から語り継がれる伝統的な妖怪
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