夜の山道を歩いていて、突然頬に冷たい手が触れたら…あなたはどんな気持ちになるでしょうか?
振り返っても誰もいない。でも確かに、青白い手が頬をそっと撫でていった──そんな不思議で恐ろしい体験をした人が、実際に存在するのです。
この記事では、山梨県道志村を中心に伝わる「頬撫で」という妖怪について詳しく解説していきます。
名前

「頬撫で(ほおなで)」は、夜の暗い小道で青白い手が突然頬を撫でるという怪異として伝わる妖怪です。
山梨県道志村をはじめ、高尾山や宮城・長野などにも似た伝承が見られ、実際に触れられた人の証言もあり、不思議でちょっと背筋が凍る存在です。
基本情報
- 名称:頬撫で(ほおなで)、または顔撫ぜ/顔撫で
- 語源:頬(ほお)を撫でるという行動そのものから
- 記録:山梨・道志村の民俗学者・伊藤堅吉氏の資料『道志七里』に記述あり
姿・見た目
頬撫での最大の特徴は、手以外の姿が見えないことです。
基本的な外見
- 青白い人の手だけが暗闇に浮かび、顔をそっとなでる
- 正体は見えず、突然触れる”気配”が恐怖
- イメージには、すすきの穂先が手のように伸びて描かれることもある
特徴

頬撫での行動には、独特なパターンと特徴があります。
出現条件と行動
- 出現時期:主に夜、特に濡れた霧の立つ谷間や小径
- 行動:歩いている人の頬や顔を冷たい手でなでる
- 影響:物理的被害はないものの、心理的に強い恐怖を引き起こす
本当に人を驚かすだけの存在。
伝承
頬撫でには、具体的な目撃証言を含む興味深い伝承があります。
主要な伝承地域
- 山梨・道志村:道志七里に詳しく記録され、実際に触れられたと証言する人がいた
- 高尾山や長野・宮城にも類似伝承があり、「顔撫で」と呼ばれることもある
- 民俗学的には、夜露で濡れたすすきなどが触れたことを妖怪とした説もありつつ、目撃者は青白い人の手だったと語っている
まとめ
頬撫では、人の頬を冷たい手でそっと触れるという、直接肌に訴える独特の恐怖を伴う妖怪です。
肉体的被害はないが、不意打ちの恐怖を与えてくる妖怪。
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