「PowerPoint OnlineでプレゼンをWeb上で作成していたら、使いたい機能が見つからない…」「デスクトップ版とは何が違うの?」
そんな疑問をお持ちの方に向けて、PowerPoint Online(ブラウザ版)の制限事項とデスクトップ版との違いを詳しく解説します。どちらを使うべきかの判断基準も含めて、中学生にもわかりやすく説明していきます。
PowerPoint Onlineとは:基本的な特徴

PowerPoint Onlineの概要
PowerPoint Onlineは、マイクロソフトが提供するWebブラウザ上で動作するプレゼンテーション作成ツールです。インターネットに接続していれば、どこからでもアクセスできる便利なサービスです。
主なメリット
どこからでもアクセス可能:自宅、職場、外出先など、インターネットがあればどこでも利用できます。
ソフトのインストール不要:パソコンにPowerPointをインストールしなくても使えます。
リアルタイム共同編集:複数の人が同時に同じファイルを編集できます。
自動保存機能:作業内容が自動的に保存されるので、データを失う心配がありません。
無料で利用可能:Microsoftアカウントがあれば、基本機能を無料で使えます。
PowerPoint Onlineでできないこと:主な制限事項
マクロ機能の制限
マクロとは
マクロとは、繰り返し作業を自動化するプログラムのことです。デスクトップ版では、複雑な処理を自動で実行できる便利な機能です。
Online版の制限
- マクロの実行ができない:既存のマクロ付きファイル(.pptmファイル)は開けますが、マクロを動かすことはできません
- マクロの編集ができない:新しいマクロを作ったり、既存のマクロを修正したりできません
- マクロ有効ファイルの保存制限:マクロ機能を使ったファイルとして保存できません
アニメーション・画面切り替え効果の制限
デスクトップ版でできること
- 高度なアニメーション効果の設定
- 複雑な画面切り替え(トランジション)効果
- アニメーションのタイミング詳細設定
- 3D効果やモーフィング効果
Online版の制限
- 新しいアニメーション効果の設定が制限される:基本的な効果のみ
- 既存の高度な効果は再生できるが編集不可:デスクトップ版で作った複雑なアニメーションは見ることはできますが、変更できません
- 3D効果や特殊効果が使えない:立体的な演出や特殊な視覚効果は設定できません
図形・描画機能の制限
使えない機能
- 図形の新規挿入ができない:四角形、円、矢印などの基本図形も挿入できません
- WordArtの作成ができない:装飾的な文字デザインを新しく作れません
- フリーハンド描画ができない:ペンツールでの自由な線描きができません
- SmartArtの新規作成ができない:組織図やフローチャートなどの図表を新しく作れません
できること
- 既存図形の移動や表示:デスクトップ版で作った図形は見ることができ、位置を動かすこともできます
- 既存図形の基本的な編集:色の変更や大きさの調整など、限定的な編集は可能
オーディオ・ビデオ機能の制限
音声・動画ファイルの制限
- パソコンからの新規音声・動画挿入ができない:手持ちの音楽ファイルや動画ファイルを直接挿入できません
- 大きなファイルサイズに対応していない:重いメディアファイルは扱えません
- 一部のファイル形式が非対応:古い形式や特殊な形式のメディアファイルは使えない場合があります
代替手段
- オンラインの動画サービス:YouTubeなどの動画は埋め込み可能
- 音声の録音機能:一部のブラウザでは簡単な音声録音ができる場合があります
表示モードの制限
使えない表示モード
- アウトライン表示:文字だけで内容を確認・編集する表示
- マスター表示:スライドのひな型を編集する表示
- プレゼンター表示:発表者用の特別な表示(ノートやタイマーなど)
- ハンドアウトマスター:印刷用レイアウトの詳細設定
使える表示モード
- 標準表示:通常の編集画面
- スライド一覧表示:全スライドを一目で確認
- スライドショー表示:プレゼンテーション再生
プラグイン・アドインの制限
使えない機能
- サードパーティ製プラグイン:他社が作った追加機能は使えません
- カスタムアドイン:会社独自の機能拡張ツールなどは利用できません
- 専門的な分析ツール:統計解析やデータ可視化の専門ツールは連携できません
印刷・出力機能の制限
印刷の制限
- 印刷レイアウトが限定的:スライド1枚ずつの印刷が基本
- ハンドアウト印刷ができない:1ページに複数スライドを配置した印刷ができません
- ノート付き印刷ができない:発表者用のメモと一緒に印刷できません
検索・置換機能の制限
- 文字の検索はできる:特定の文字を探すことは可能
- 一括置換ができない:見つけた文字を別の文字に一度に変更することはできません
PowerPoint Onlineでできること:基本機能

文書作成の基本機能
スライドの作成・編集:新しいスライドを追加し、内容を編集できます
テキストの入力・書式設定:文字の入力、フォント変更、色の設定などが可能
基本的なレイアウト変更:スライドのデザインテンプレートを選択・変更できます
表とグラフの機能
表の挿入・編集:データを整理するための表を作成・編集できます
基本的なグラフ作成:円グラフ、棒グラフなどの簡単なグラフが作れます
画像・リンク機能
画像の挿入:写真や画像をスライドに追加できます
画像の基本加工:トリミング(切り抜き)や明るさ調整など
ハイパーリンクの設定:他のWebサイトや同じプレゼンテーション内の別スライドへのリンク
共同作業機能
リアルタイム共同編集:複数の人が同時に編集作業ができます
コメント機能:スライドに意見や質問を書き込めます
履歴管理:変更の記録を確認できます
共有設定:他の人にファイルを共有する権限を細かく設定できます
用途別:どちらを選ぶべきか
PowerPoint Onlineが適している場面
簡単なプレゼンテーション作成
- 社内報告用の簡単な資料
- 学校の発表用スライド
- アイデアの共有や議論のたたき台
共同作業が必要な場合
- チームでの資料作成
- リモートワークでの協力作業
- リアルタイムでの意見交換
外出先での緊急対応
- 出張先での資料確認・修正
- 急な会議での内容変更
- 移動中での簡単な編集作業
予算を抑えたい場合
- 個人利用での無料範囲内での作業
- PowerPoint購入前のお試し利用
- 学生や個人事業主の方
デスクトップ版が必要な場面
高品質なプレゼンテーション作成
- 重要な商談用資料
- 学会発表や論文発表
- 製品発表会やイベント用資料
複雑な視覚効果が必要な場合
- アニメーション豊富なプレゼンテーション
- 3D効果や特殊効果を使った演出
- インタラクティブな要素を含む資料
専門的な機能が必要な場合
- マクロを使った自動化処理
- 専門的なプラグインとの連携
- 高度なデータ分析結果の可視化
印刷品質にこだわる場合
- 高品質なハンドアウト作成
- ポスターサイズでの印刷
- 専門的なレイアウト調整
効果的な使い分け方法
併用のススメ
多くのビジネスパーソンや学生の方には、両方を使い分ける方法をおすすめします。
作業段階での使い分け
企画・初期段階:PowerPoint Online
- アイデア出しやラフな構成作り
- チームメンバーとの共同ブレインストーミング
- 基本的な構造やコンテンツの整理
制作・仕上げ段階:デスクトップ版
- 詳細なデザイン調整
- 高度な視覚効果の追加
- 最終的な品質チェックと微調整
場所による使い分け
オフィス・自宅:デスクトップ版
- 集中して作業できる環境では高機能版を活用
- 大画面での詳細作業
- 印刷やファイル管理などの周辺作業
外出先・移動中:PowerPoint Online
- 簡単な修正や確認作業
- 急な変更への対応
- クライアントとの打ち合わせ中の修正
ファイル管理のコツ
クラウド保存の活用:OneDriveやSharePointを使って、両方の環境からアクセスできるようにしておく
バージョン管理:重要な節目でファイルを複製して、作業履歴を残しておく
フォルダ整理:「作業中」「確認待ち」「完成版」などのフォルダで整理
トラブル対応と解決方法
よくある問題と対策
「デスクトップ版で作ったファイルが正しく表示されない」
原因:デスクトップ版の高度な機能がOnline版で再現できない
対策:
- 重要な部分だけデスクトップ版で確認
- 「デスクトップアプリで開く」機能を活用
- シンプルな要素に置き換えて調整
「共同編集中に競合が発生する」
原因:複数人が同じ部分を同時に編集している
対策:
- 編集範囲を事前に分担
- コメント機能で作業状況を共有
- 定期的な中間確認とすり合わせ
「インターネット接続が不安定で作業が中断される」
原因:Online版はネット環境に依存している
対策:
- 安定したWi-Fi環境での作業を心がける
- 重要な作業はデスクトップ版で実施
- 自動保存機能を信頼しつつ、適宜手動保存も
機能比較表
機能カテゴリ | PowerPoint Online | デスクトップ版 | 備考 |
---|---|---|---|
基本編集 | ○ | ○ | テキスト入力、基本書式設定 |
スライド作成 | ○ | ○ | 新規スライド追加、レイアウト変更 |
画像挿入 | ○ | ○ | Online版は基本的な加工のみ |
表・グラフ | △ | ○ | Online版は機能が限定的 |
図形描画 | × | ○ | Online版では新規作成不可 |
アニメーション | △ | ○ | Online版は基本効果のみ |
マクロ | × | ○ | Online版では実行・編集不可 |
共同編集 | ○ | △ | Online版の方が優秀 |
プラグイン | × | ○ | Online版では利用不可 |
印刷機能 | △ | ○ | Online版は機能が限定的 |
まとめ
PowerPoint Onlineは「ブラウザから手軽に編集・共有・共同作業をしたい」用途にはとても便利なツールです。リアルタイム共同編集や自動保存などの機能は、デスクトップ版より優れている面もあります。
選択の基準
PowerPoint Onlineを選ぶべき場合:
- 簡単な資料作成で十分
- チームでの共同作業が必要
- 外出先での作業が多い
- 予算を抑えたい
デスクトップ版を選ぶべき場合:
- 高品質なプレゼンテーションが必要
- 複雑な視覚効果や専門機能を使いたい
- 印刷品質にこだわりたい
- マクロや自動化機能が必要
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