Word(ワード)で作った資料を、Excel(エクセル)で使いたいと思ったことはありませんか。例えば、アンケートの結果をWordでまとめたけれど、グラフを作るためにExcelで計算したい。または、Word に作った住所録をExcelで整理して並び替えたい、といった場面です。
でも、「WordとExcelって、そもそも別のソフトでしょ?移せるの?」と疑問に思う人も多いはずです。実は、WordとExcelは同じマイクロソフト社のソフトなので、データを移すための便利な機能がたくさん用意されています。
この記事では、Word文書をExcelに変換する方法を、初心者の方でもわかるように説明します。表がある場合、文章だけの場合、複雑な文書の場合など、状況に応じた最適な方法をお教えします。
WordとExcelの良いところを組み合わせて、もっと効率的に作業ができるようになりましょう。
WordからExcelに変換する理由

Excelの得意なこと
まず、なぜWordのデータをExcelに移したいのか、理由を整理してみましょう。
計算機能が優秀
Excelは「表計算ソフト」なので、数字の計算がとても得意です。合計、平均、パーセントなどの計算が簡単にできます。
データの並び替えができる
住所録や成績表など、データを五十音順や点数順に並び替えることができます。
グラフが簡単に作れる
数字のデータから、棒グラフや円グラフなどを自動的に作ることができます。
データの検索・抽出ができる
大量のデータの中から、条件に合うものだけを探し出すことができます。
どんなときに変換すると便利?
学校での活用例
成績管理
- Wordで作った成績表をExcelに移して平均点を計算
- 科目別、生徒別の集計が簡単
アンケート集計
- Wordでまとめたアンケート結果をExcelでグラフ化
- 回答の傾向が一目でわかる
名簿管理
- Wordの名簿をExcelに移してクラス別に並び替え
- 連絡先の管理が便利
仕事での活用例
売上管理
- Word の報告書からExcelで売上データを分析
- 月別、商品別の比較が可能
顧客管理
- Wordの顧客リストをExcelでデータベース化
- 条件検索で効率的な管理
プロジェクト管理
- Wordの計画書をExcelでスケジュール管理
- 進捗状況の可視化
表をそのままExcelにコピーする方法
一番簡単で確実な方法
Wordに表が入っている場合、この方法が最も簡単で確実です。表の構造がそのまま保たれるので、見た目もほとんど変わりません。
基本の手順
表をコピーする
- Word文書を開きます
- 変換したい表が入っているWordファイルを開いてください
- 表全体を選択します
- 表の左上の角にマウスを持っていくと、十字マークが表示されます
- その十字マークをクリックすると、表全体が選択されます
- 表をコピーします
- 選択された状態で「Ctrl + C」を押します
- または右クリックして「コピー」を選択します
Excelに貼り付ける
- Excelを開きます
- 新しいExcelファイルを開くか、既存のファイルを開きます
- 貼り付けたいセルをクリックします
- 通常は「A1」セル(左上の角)に貼り付けます
- 表を貼り付けます
- 「Ctrl + V」を押します
- または右クリックして「貼り付け」を選択します
- 結果を確認します
- 表がExcelのセルに正しく配置されているか確認してください
貼り付けオプションの活用
Excelに貼り付けるとき、いくつかのオプションを選ぶことができます。
「元の書式を保持」
- Wordの表の見た目をそのまま保ちます
- 色、フォント、罫線などがそのまま移ります
「貼り付け先の書式に合わせる」
- Excel の標準的な表の見た目に変更されます
- Excelで統一感のある表にしたい場合に便利
「値のみ貼り付け」
- 文字と数字だけを貼り付け、書式は移りません
- 後からExcelで自由に書式を設定したい場合に便利
よくある問題と解決法
表の幅が合わない
Wordの表をExcelに貼り付けると、列の幅が変になることがあります。
解決方法:
- 列幅を自動調整します
- 表全体を選択します
- 「ホーム」タブの「書式」→「列の幅の自動調整」をクリック
- 手動で調整します
- 列の境界線をドラッグして、適切な幅に調整します
罫線が正しく表示されない
Wordの複雑な罫線がExcelで正しく表示されないことがあります。
解決方法:
- Excelで罫線を設定し直します
- 表を選択して「ホーム」タブの「罫線」から適切な罫線を選択
- 表のスタイルを適用します
- 「ホーム」タブの「テーブルとして書式設定」から好きなスタイルを選択
数字が文字として扱われる
Wordから移した数字が、Excelで計算に使えない場合があります。
解決方法:
- データ型を確認します
- セルの左上に緑の三角マークがあれば、数字として認識されていません
- 数値に変換します
- 該当セルを選択して、表示される警告アイコンをクリック
- 「数値に変換」を選択します
テキストをExcelで整理する方法
箇条書きや文章をExcelの表にする
Wordに書いた箇条書きや文章を、Excelの表として整理することができます。これにより、並び替えや検索などの機能が使えるようになります。
基本の変換手順
Wordのテキストをコピー
- 変換したいテキストを選択します
- 箇条書きや段落をドラッグして選択してください
- テキストをコピーします
- 「Ctrl + C」でコピーします
Excelに貼り付けて整理
- Excelに貼り付けます
- 「Ctrl + V」でとりあえず貼り付けます
- データを整理します
- 多くの場合、一つのセルにまとめて入ってしまいます
- 「区切り位置」機能を使います
- 「データ」タブの「区切り位置」をクリックします
- 区切り文字を指定します
- タブ、カンマ、スペースなど、適切な区切り文字を選択します
- プレビューで確認します
- どのように分割されるかプレビューで確認できます
- 「完了」をクリックします
- データが適切にセルに分割されます
具体的な活用例
住所録の整理
Wordの箇条書き:
田中太郎 東京都新宿区 03-1234-5678
佐藤花子 大阪府大阪市 06-9876-5432
Excelでの整理後:
- A列:名前(田中太郎、佐藤花子)
- B列:住所(東京都新宿区、大阪府大阪市)
- C列:電話番号(03-1234-5678、06-9876-5432)
アンケート結果の整理
Word の文章:
Q1. 好きな色は? 回答:青
Q2. 年齢は? 回答:25歳
Excel での整理後:
- A列:質問番号(Q1、Q2)
- B列:質問内容(好きな色は?、年齢は?)
- C列:回答(青、25歳)
区切り位置機能の詳細設定
区切り文字の種類
タブ
- Word で表のような形式で書かれている場合
カンマ(,)
- 「名前,住所,電話番号」のような形式
スペース
- 「名前 住所 電話番号」のような形式
その他
- 「|」や「:」など、独自の区切り文字
高度な設定
連続する区切り文字は1文字として扱う
- スペースが複数続いている場合に便利
文字列修飾子
- ダブルクォーテーション(”)で囲まれた部分を一つの項目として扱う
データ型の指定
- 各列のデータ型(文字列、数値、日付など)を指定
テキスト形式を経由する方法

より確実にデータを移す方法
複雑な書式が邪魔になる場合や、大量のデータを確実に移したい場合は、一度テキスト形式(.txt)に変換してからExcelに読み込む方法が有効です。
手順の詳細
Wordをテキストファイルに保存
- Wordファイルを開きます
- 「ファイル」→「名前を付けて保存」をクリックします
- 保存場所を選択します
- デスクトップなど、わかりやすい場所を選んでください
- ファイルの種類を変更します
- 「ファイルの種類」で「プレーンテキスト(*.txt)」を選択します
- 「保存」をクリックします
- 変換オプションを設定します
- 文字コードは「UTF-8」または「Shift_JIS」を選択
- 改行コードは「Windows(CR+LF)」を選択
Excelでテキストファイルを読み込み
- Excelを開きます
- 「データ」タブをクリックします
- 「外部データの取り込み」→「テキストファイル」を選択します
- または「ファイル」→「開く」でテキストファイルを選択
- テキストインポートウィザードが起動します
- 元のデータの形式を選択します
- 「区切り文字」:データが特定の文字で区切られている場合
- 「固定長」:データが決まった文字数で整列している場合
- 区切り文字を指定します
- タブ、カンマ、スペースなど、適切な区切り文字を選択
- データのプレビューを確認します
- 正しく分割されているか確認してください
- 「完了」をクリックします
この方法のメリット
書式の問題を回避
- フォントや色などの書式情報が除かれるため、データの移行が確実
大量データの処理
- メモリ使用量が少なく、大量のデータでも安定して処理可能
文字化けの回避
- 文字コードを指定できるため、特殊文字の問題を回避しやすい
他のソフトとの連携
- テキスト形式は多くのソフトで読み込み可能
PDFを経由した変換方法
より複雑な文書の変換
WordからExcelへの直接変換が難しい場合、PDF形式を経由する方法があります。特に、画像や複雑なレイアウトを含む文書に有効です。
変換の手順
WordをPDFに変換
- Wordファイルを開きます
- 「ファイル」→「エクスポート」をクリックします
- 「PDF/XPS形式で発行」を選択します
- 保存場所とファイル名を指定します
- 「発行」をクリックします
PDFをExcelに変換
方法1:Adobe Acrobat を使用
- Adobe Acrobat でPDFを開きます
- 「ファイル」→「その他の形式で保存」→「Microsoft Excel」を選択
- 変換設定を確認して実行
方法2:オンライン変換ツールを使用
人気のある無料オンラインツール:
- SmallPDF
- ILovePDF
- PDF24
使用手順:
- 変換サイトにアクセス
- PDFファイルをアップロード
- 「PDF to Excel」を選択
- 変換後のファイルをダウンロード
方法3:Excelの読み込み機能を使用
- Excelを開きます
- 「データ」タブ→「データの取得」→「ファイルから」→「PDF から」
- PDFファイルを選択
- 取り込みたい表やデータを指定
注意点と対処法
変換精度の問題
- 複雑なレイアウトは正確に変換されない場合があります
- 変換後は必ず内容を確認してください
文字認識の問題
- 画像化された文字は正しく認識されない場合があります
- OCR(文字認識)機能の性能に依存します
データの順序
- 元の文書とは異なる順序でデータが配置される場合があります
- 変換後に手動で並び替えが必要な場合があります
変換時のトラブルシューティング
よくある問題と解決策
問題1:文字化けが発生する
原因:
- 文字コードの違い
- 特殊文字の使用
解決策:
- 保存時の文字コードを変更
- UTF-8 または Shift_JIS を試す
- 特殊文字を普通の文字に置き換え
- 変換前にWordで検索・置換を実行
問題2:表の構造が崩れる
原因:
- 結合されたセルがある
- 複雑な表の構造
解決策:
- Word で表を簡素化
- セルの結合を解除
- ネストした表を分離
- Excel で再構築
- 基本的な表として貼り付け後、Excel で再編集
問題3:数値が正しく計算できない
原因:
- 数値が文字列として認識されている
- 不要な文字が含まれている
解決策:
- データ型を確認
- セルの書式設定で「数値」に変更
- 不要な文字を削除
- 検索・置換機能で余分な文字を削除
- 値貼り付けを使用
- 「形式を選択して貼り付け」→「値」
問題4:日付の形式が変わってしまう
原因:
- WordとExcelの日付形式の違い
- 地域設定の影響
解決策:
- Excelで日付形式を設定
- セルの書式設定で適切な日付形式を選択
- 文字列として保持
- 変換時に「文字列」として指定
効率的な変換のコツ

事前準備で変換をスムーズに
Wordファイルの整理
不要な要素を削除
- 変換に不要な画像や図形を削除
- 複雑な書式をシンプルに変更
データの統一
- 表記ゆれを統一(例:「株式会社」と「(株)」)
- 数値の単位を統一
構造の簡素化
- 複雑にネストした表を分離
- 見出しと内容を明確に分離
変換後の活用を考えた準備
列タイトルの設定
- Excel で使いやすい列タイトルに変更
- 検索・並び替えしやすい名前に統一
データの分類
- カテゴリ別に分けて変換
- 後で結合しやすい形式に整理
バックアップと確認の重要性
元ファイルの保護
必ずバックアップを取る
- 変換作業前に元のWordファイルをコピー
- 複数のバージョンを保存
段階的な保存
- 変換の各段階でファイルを保存
- 問題が発生したときに戻れるポイントを作成
変換結果の確認
データの完全性チェック
- 行数・列数が正しいか確認
- 重要なデータが欠落していないか確認
計算結果の検証
- 数値データが正しく変換されているか確認
- 必要に応じて元データと照合
応用テクニック
複数のWord文書をまとめてExcelに変換
バッチ処理の活用
複数のWord文書を効率的にExcelに変換する方法:
- PowerQueryを使用
- Excel の「データ」タブ→「データの取得」
- フォルダ全体を指定して一括変換
- VBAマクロを活用
- 繰り返し処理を自動化
- 大量のファイルを一度に処理
統合シートの作成
- マスターシートを作成
- 全てのデータを統合するシートを用意
- データの正規化
- 各ファイルのデータ形式を統一
- 共通の列構造を作成
- データの結合
- VLOOKUP や XLOOKUP 関数を活用
- 重複データの除去
定期的な更新作業の自動化
テンプレートの活用
- 変換用テンプレートを作成
- よく使う変換パターンをテンプレート化
- 書式設定やデータ検証ルールを事前設定
- マクロの記録と活用
- 変換作業をマクロで記録
- ワンクリックで同じ処理を実行
クラウドサービスの活用
- OneDrive の活用
- Word と Excel の同期
- バージョン履歴の管理
- Power Automate の活用
- ファイル更新時の自動変換
- メール通知などの連携
まとめ
WordからExcelへの変換は、目的と文書の内容に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。それぞれの方法には特徴があり、状況に応じて使い分けることで効率的な作業ができます。
変換方法の選び方:
表を含む文書の場合
- コピー&貼り付けが最も簡単で確実
- 書式も含めて移行可能
リストや箇条書きの場合
- 区切り位置機能を活用
- データベース形式での整理が可能
大量のテキストデータの場合
- テキスト形式経由が安全
- 文字化けや書式の問題を回避
複雑なレイアウトの場合
- PDF経由の変換を検討
- オンラインツールの活用も有効
変換成功のポイント:
- 事前にWordファイルを整理・簡素化する
- 変換方法を試行錯誤して最適解を見つける
- 必ずバックアップを取ってから作業する
- 変換後のデータを十分に確認する
- 目的に応じてExcelで再整理する
コメント