Word(ワード)でチラシやポスター、案内状を作っていると、「用紙のはしっこまで文字や写真を入れたい」「まわりの空白をなくして、もっと大きく表示したい」と思うことがありませんか。
ところが、Wordを普通に使うと、ページのまわりに必ず余白(よはく)ができてしまいます。この余白があると、せっかくかっこいいデザインを作っても、なんだか物足りない仕上がりになってしまいます。
でも大丈夫です。この記事では、Wordで余白をゼロにして、用紙いっぱいに文字や画像を配置する方法をていねいに説明します。初めての人でも失敗しないよう、注意点やトラブル解決法も一緒にお教えしますので、安心して読み進めてください。
Wordの余白って何?なぜあるの?

余白とは
余白とは、ページの上下左右にある「何も書かれていない空白の部分」のことです。まるで写真の額縁のように、文字や画像のまわりを囲んでいます。
普通にWordを開くと、A4用紙の場合は上下左右すべてに2.5cmずつ余白が設定されています。つまり、実際に文字を書ける部分は、用紙よりもかなり小さくなっているのです。
なぜ余白があるの?
読みやすさのため
余白があると、文章が読みやすくなります。端から端まで文字がびっしり書いてあると、目が疲れてしまうからです。本や雑誌にも必ず余白がありますよね。
印刷のミスを防ぐため
印刷するとき、用紙が少しずれることがあります。余白があれば、多少ずれても文字が切れる心配がありません。
製本やファイリングのため
レポートや資料をホチキスで止めたり、ファイルに綴じたりするときに、余白部分を使います。
余白なしにしたいのはどんなとき?
チラシやポスターを作るとき
お店の宣伝やイベントの案内では、写真を大きく使ったり、文字をインパクトのあるデザインにしたりしたいものです。余白があると、せっかくの迫力が半減してしまいます。
名刺を作るとき
名刺は小さいので、余白があると情報を入れるスペースが足りなくなってしまいます。端まで使えると、デザインの幅が広がります。
写真やイラストを印刷するとき
思い出の写真や描いた絵を印刷するとき、まわりに白い縁があると、作品の印象が変わってしまうことがあります。
余白なしに設定する基本の方法
手順(WindowsもMacも同じ)
余白をゼロにする操作は、実はとても簡単です。以下の手順で進めてください。
- 「レイアウト」タブをクリックします
- Wordの上にあるタブの中から「レイアウト」を見つけてクリックしてください
- 「余白」ボタンを押します
- 「レイアウト」タブの左側にある「余白」というボタンをクリックします
- 「ユーザー設定の余白」を選びます
- いくつかの選択肢が出てきますが、一番下にある「ユーザー設定の余白」をクリックします
- すべての余白を「0cm」に変えます
- 「上」「下」「左」「右」の数字をすべて「0」にします
- 数字を直接入力するか、横にある矢印ボタンで調整できます
- 「OK」ボタンを押します
- 設定が完了したら「OK」をクリックして、設定を保存します
- 警告メッセージが出たら「無視」を選びます
- 「印刷可能範囲外です」という警告が出ることがありますが、「無視」または「はい」を選んで進みます
設定できたかどうかの確認方法
設定が正しくできているかは、画面で確認できます。
- ルーラーを見る:画面の上と左にある定規(ルーラー)で、余白がゼロになっているか確認できます
- 文字を入力してみる:実際に文字を入力して、ページの端まで文字が入るかテストしてみましょう
- 印刷プレビュー:「ファイル」→「印刷」で、印刷イメージを確認できます
印刷で注意すること
プリンターには限界がある
Wordで余白をゼロに設定できても、実際の印刷では問題が起こることがあります。なぜなら、ほとんどの家庭用プリンターは「用紙の端まで印刷できない」からです。
なぜ端まで印刷できないの?
プリンターは用紙を運ぶために、端っこを少しつかんでいます。そのつかんでいる部分には、インクを付けることができません。また、インクが飛び散らないように、端から少し離れた場所までしか印刷しない設計になっています。
どのくらい印刷できないの?
一般的な家庭用プリンターでは、用紙の端から約3~5mmは印刷できません。機種によって違いますが、上下の方が印刷できない範囲が広いことが多いです。
フチなし印刷対応プリンターを使う
フチなし印刷とは?
「フチなし印刷」とは、用紙の端まできれいに印刷できる機能のことです。写真印刷用のプリンターには、この機能が付いていることが多いです。
主なメーカーと機種
Canon(キヤノン)
- PIXUSシリーズの多くの機種
- 特に写真印刷に特化したモデル
EPSON(エプソン)
- カラリオシリーズ
- 写真印刷用の機種
HP(ヒューレット・パッカード)
- DeskJetシリーズの一部
- OfficeJetシリーズの一部
フチなし印刷の設定方法
- プリンターの設定を開きます
- 「印刷」画面で「プリンターのプロパティ」をクリックします
- 用紙設定を確認します
- 用紙サイズが正しく設定されているか確認します
- フチなし印刷を選択します
- 「フチなし印刷」「境界線なし」「フルブリード」などの項目を探してチェックを入れます
- 印刷品質を調整します
- 写真品質や高品質に設定すると、よりきれいに印刷できます
コンビニプリントを活用する
自宅のプリンターがフチなし印刷に対応していない場合は、コンビニのマルチコピー機を使う方法があります。
主なコンビニチェーンのサービス
セブン-イレブン(netprint)
- A4からA3まで対応
- PDFファイルの印刷が可能
- 一部店舗でフチなし印刷対応
ファミリーマート・ローソン(PrintSmash)
- スマートフォンから直接印刷
- 写真印刷でフチなし対応
利用方法
- データをアップロードします
- 各サービスのアプリやWebサイトでファイルをアップロード
- 印刷設定を確認します
- 用紙サイズやフチなし設定を選択
- コンビニで印刷します
- 予約番号を入力して印刷
よくあるトラブルと解決方法

文字や画像が切れてしまう
原因
プリンターの印刷可能範囲を超えて、文字や画像を配置している場合に起こります。
解決方法
重要な部分は内側に配置する
- 切れては困る文字や画像は、端から5mm以上内側に配置しましょう
- 背景色や模様は端まで配置しても大丈夫です
セーフエリアを意識する
- デザインする際に、「切れても大丈夫な部分」と「絶対に切れてはいけない部分」を分けて考えましょう
印刷サイズが合わない
原因
Wordの用紙設定とプリンターの用紙設定が違っている場合に起こります。
解決方法
用紙サイズを確認する
- Wordの「レイアウト」→「サイズ」で用紙サイズを確認
- プリンターの設定で同じサイズを選択
- 両方ともA4ならA4、A3ならA3に合わせる
倍率を確認する
- 印刷設定で「100%」になっているか確認
- 「用紙に合わせて印刷」などの設定があると、サイズが変わってしまいます
印刷プレビューと実際の印刷が違う
原因
画面で見ているものと、実際の印刷では色や大きさが変わることがあります。
解決方法
テスト印刷をする
- 本番の印刷前に、1枚だけテスト印刷をしてみましょう
- 問題があれば、設定を調整してから本格的に印刷します
プリンタードライバーを更新する
- 古いプリンタードライバーを使っていると、正しく印刷できないことがあります
- メーカーのWebサイトから最新版をダウンロードしましょう
応用テクニック
背景色や画像を端まで配置する
背景色の設定
- 「デザイン」タブをクリックします
- 「ページの色」を選びます
- 好きな色を選択します
- 色が端まで表示されます
背景画像の設定
- 「デザイン」タブをクリックします
- 「ページの色」→「塗りつぶし効果」を選びます
- 「図」タブで画像を選択します
- 画像が端まで表示されます
図形や画像を端まで配置する
手順
- 画像や図形を挿入します
- 画像を右クリックして「レイアウトオプション」を選びます
- 「前面」または「背面」を選択します
- 画像をドラッグして端まで移動します
- サイズを調整して、はみ出すくらいに大きくします
注意点
- 画像を少しはみ出すくらいに大きくすると、印刷時の微妙なズレをカバーできます
- 重要な部分(顔や文字など)は、端から離して配置しましょう
複数ページで統一したデザイン
マスターページの活用
長い文書で、すべてのページを同じフチなしデザインにしたい場合:
- 最初のページで余白ゼロ設定をします
- 背景や共通デザインを設定します
- 「レイアウト」→「区切り」→「次のページから開始」で新しいページを追加します
- 設定が引き継がれて、同じデザインになります
プロっぽく仕上げるコツ
カラー印刷を活用する
カラーモードの選択
RGBとCMYKの違い
- RGB:画面表示用(鮮やかな色)
- CMYK:印刷用(実際の印刷に近い色)
Wordでの色選択
- 「ホーム」タブの「フォントの色」をクリック
- 「その他の色」を選択
- 「ユーザー設定」タブでRGB値を指定
- 印刷したい色に近い値を設定
フォント選びのポイント
端まで印刷する場合の注意点
太いフォントを選ぶ
- 細いフォントは印刷時にかすれることがあります
- ゴシック体など、しっかりした線のフォントがおすすめです
サイズは大きめに
- 文字が小さいと、印刷時に読みにくくなることがあります
- 特に端の方に配置する文字は、普段より大きめにしましょう
仕上がりチェックの方法
印刷前の最終確認
- 印刷プレビューで全体を確認
- 重要な文字が切れていないかチェック
- 色の濃さや明るさを確認
- 用紙の向き(縦・横)が正しいかチェック
テスト印刷のすすめ
安い用紙でテスト
- 本番前に、安い用紙で1枚印刷してみましょう
- 位置やサイズに問題がないか確認します
色見本で確認
- カラー印刷の場合は、色が思った通りになっているか確認しましょう
まとめ
Wordで余白なしの文書を作るのは、思っているよりも簡単です。「レイアウト」タブから「ユーザー設定の余白」で数値をゼロにするだけで、基本的な設定は完了します。
重要なポイントをおさらいすると:
- 余白ゼロの設定は「レイアウト」→「余白」→「ユーザー設定の余白」から
- プリンターによっては端まで印刷できないので、フチなし印刷対応機種を使うか、重要な部分は少し内側に配置する
- 印刷前にはプレビューで確認し、できればテスト印刷をする
- 背景色や画像を活用すると、プロっぽい仕上がりになる
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