イベント案内や資料の中に「QRコードを入れたいけど、どうやって作るの?」と思ったことはありませんか?
実は、WordだけでもQRコードを簡単に生成できます。この記事では、初心者でも迷わずできるWordでのQRコード作成手順と活用アイデアを、わかりやすく紹介します。
QRコードとは?基本知識を理解しよう

QRコード(Quick Response Code)は、1994年に株式会社デンソーウェーブが開発した二次元バーコードです。スマートフォンのカメラで読み取るだけで、URLやテキスト情報に瞬時にアクセスできる便利なツールです。
QRコードの特徴
技術的な特徴
- 高速読み取り:360度どの角度からでも読み取り可能
- 大容量データ:最大7,089文字の数字を格納可能
- エラー訂正機能:一部が汚れても正常に読み取れる
- 国際標準:ISO/IEC 18004として国際規格化
実用的なメリット
- URL短縮効果:長いWebアドレスを簡単に共有
- 入力ミス防止:手動入力による誤字脱字を回避
- マルチ言語対応:日本語、英語、中国語など多言語に対応
- コスト効率:印刷費用の増加なしで付加価値を提供
QRコードの種類と用途
格納できる情報の種類
- URL:ウェブサイトやオンラインサービスへのリンク
- テキスト:メッセージや説明文
- メールアドレス:宛先と件名を設定した新規メール作成
- 電話番号:ワンタッチでの通話開始
- WiFi情報:ネットワーク名とパスワードでの自動接続
- 地理情報:GPS座標での地図表示
- 連絡先情報:vCard形式での電話帳登録
なぜWordでQRコードを作るべき?
Wordで作成するメリット
- 専用ソフト不要:追加のソフトウェアを購入・インストールする必要がない
- シームレスな統合:作成したQRコードをそのまま文書に配置
- デザイン統一性:企業ロゴや資料のデザインと一体感を演出
- 印刷品質:高解像度での印刷に対応
- 編集の自由度:サイズや位置を自由に調整可能
- セキュリティ:社内でのデータ処理により情報漏洩リスクを軽減
ビジネスでの活用価値
マーケティング効果
- トラッキング可能:QRコードアクセス数の測定
- 顧客体験向上:簡単なアクセスでストレス軽減
- コンバージョン率向上:スムーズな誘導で成約率アップ
- コスト削減:印刷物での詳細情報省略によるコスト削減
業務効率化
- 情報更新の柔軟性:リンク先を変更すれば内容更新が完了
- 多言語対応:QRコード先でユーザーの言語に応じて表示切り替え
- データ収集:アンケートや申込フォームへの誘導
- 在庫管理:商品情報や仕様書への直接アクセス
WordでQRコードを生成する方法
方法1:Wordの「開発」タブ + ActiveXコントロール機能
この方法は、Word内でQRコードを直接生成できる最も統合された方法です。
事前準備:開発タブの表示
- ファイルメニューを開く:Wordの「ファイル」タブをクリック
- オプション設定:「オプション」を選択
- リボンカスタマイズ:左側メニューから「リボンのユーザー設定」をクリック
- 開発タブ有効化:右側のリストで「開発」にチェックを入れる
- 設定確定:「OK」ボタンをクリック
QRコード作成手順
- 開発タブを選択:リボンの「開発」タブをクリック
- コントロール挿入:「挿入」グループの「ActiveX コントロール」をクリック
- バーコードコントロール選択:「Microsoft Barcode Control」を選択
- 表示されない場合は「その他のコントロール」から検索
- コントロール配置:文書内でドラッグしてコントロールを配置
- プロパティ設定:配置したコントロールを右クリック→「プロパティ」
- QRコード指定:プロパティウィンドウで以下を設定:
- Style:「qrCode」を選択
- Value:QRコードに含めたいURL、テキストを入力
- デザインモード終了:「開発」タブの「デザインモード」をクリックしてオフ
ActiveX方式の利点と制限
利点:
- Word内で完結する作業
- リアルタイムでの内容変更が可能
- 高品質な印刷出力
- ファイル内にすべてが含まれる
制限:
- Windows版Wordでのみ利用可能
- 一部のOfficeバージョンでは対応していない
- セキュリティ設定によっては動作しない場合がある
- Mac版では利用不可
方法2:オンラインQRコード生成サイトの活用
最も汎用性が高く、確実に動作する方法です。
おすすめQRコード生成サイト
無料サイト:
- QRコードメーカー:シンプルで使いやすいインターフェース
- QRのススメ:詳細なカスタマイズオプション
- QR Code Generator:多言語対応
- QRFY:デザインカスタマイズ機能
有料・企業向けサイト:
- QR Code Pro:アクセス解析機能付き
- Bitly QR Generator:短縮URLとの連携
- Adobe QR Generator:デザインツールとの統合
詳細な作成手順
- サイトアクセス:選択したQRコード生成サイトを開く
- コンテンツ入力:
- URL:「https://」を含む完全なアドレスを入力
- テキスト:表示したいメッセージを入力
- WiFi:ネットワーク名、パスワード、暗号化方式を入力
- デザイン設定:
- サイズ:200×200ピクセル以上を推奨
- エラー訂正レベル:L(約7%)、M(約15%)、Q(約25%)、H(約30%)から選択
- 色設定:前景色(コード部分)と背景色を指定
- 生成実行:「生成」または「Generate」ボタンをクリック
- ダウンロード:以下の形式から選択してダウンロード:
- PNG:一般的な画像形式、印刷に適している
- SVG:ベクター形式、拡大縮小に強い
- EPS:印刷業界標準、高品質印刷用
- PDF:文書統合に便利
WordへのQRコード挿入
- 画像挿入:「挿入」タブ→「画像」→「このデバイス」
- ファイル選択:ダウンロードしたQRコード画像を選択
- サイズ調整:
- 正方形を維持しながらリサイズ
- Shiftキーを押しながらドラッグで比率固定
- 最低2×2cm以上のサイズを確保
- 位置調整:
- 「レイアウト」→「位置」で配置を調整
- 「文字列の折り返し」で周囲の文字との関係を設定
方法3:Wordアドイン(プラグイン)の活用
専用アドインを使用することで、Wordの機能を拡張してQRコード作成を効率化できます。
アドインのインストール手順
- アドインストアへアクセス:「挿入」タブ→「アドイン」→「アドインを取得」
- QRコードアドイン検索:検索ボックスに「QR code」と入力
- アドイン選択:以下から適切なものを選択:
- QR4Office:基本的なQRコード生成機能
- Barcode Generator:多様なバーコード形式に対応
- Quick QR Code:シンプルなインターフェース
- インストール実行:「追加」または「インストール」をクリック
- 使用許可:必要に応じて権限の許可を行う
アドインを使った生成手順
- アドインパネル表示:インストールしたアドインをクリック
- コンテンツ入力:
- URL:リンク先のウェブアドレス
- テキスト:表示したいメッセージ
- サイズ:出力サイズの指定
- オプション設定:
- エラー訂正レベル:読み取り精度の設定
- カラー:前景色と背景色の指定
- フォーマット:出力形式の選択
- 生成・挿入:「生成」または「挿入」ボタンをクリック
アドイン方式の特徴
メリット:
- Word内での一貫した操作
- 複数のQRコードを効率的に作成
- アップデートによる機能追加
- 一度設定すれば継続利用可能
注意点:
- インターネット接続が必要
- セキュリティポリシーにより制限される場合がある
- 企業環境では管理者の許可が必要な場合がある
QRコードのデザインと品質の最適化
読み取りやすさの確保
サイズの最適化
最小サイズ:
- 印刷物:2×2cm以上
- ディスプレイ表示:200×200ピクセル以上
- 大型印刷:観察距離に応じてサイズを拡大
推奨サイズ:
- 名刺:1.5×1.5cm
- チラシ・パンフレット:2.5×2.5cm
- ポスター:5×5cm以上
- 看板:読み取り距離の1/10のサイズ
色設定の最適化
理想的な組み合わせ:
- 背景色:白または明るい色
- 前景色:黒または濃い色
- コントラスト比:3:1以上(WCAG基準)
避けるべき組み合わせ:
- 黄色の背景に白いコード
- 赤い背景に緑のコード
- グラデーションや模様のある背景
- 蛍光色や原色の組み合わせ
エラー訂正レベルの選択
レベル | 復元能力 | 使用場面 | データ容量 |
---|---|---|---|
L | 約7% | 清潔な環境、デジタル表示 | 最大 |
M | 約15% | 一般的な印刷物 | 標準 |
Q | 約25% | 屋外掲示、取り扱いが多い | やや少ない |
H | 約30% | ロゴ埋め込み、過酷な環境 | 最小 |
余白(クワイエットゾーン)の重要性
余白の目的
- 読み取り精度向上:周囲の情報との混同を防止
- 境界の明確化:QRコードの領域を明確に定義
- エラー軽減:誤読や読み取り失敗の削減
余白の設定基準
- 最小余白:QRコードの1モジュール分
- 推奨余白:QRコードの4モジュール分
- 印刷時の注意:トリミングマージンを考慮して追加余白を設定
実践的な活用アイデア

ビジネス文書での活用
提案書・報告書
- 詳細資料へのリンク:補足情報やデータシートへの誘導
- プレゼンテーション動画:説明動画やデモンストレーションへのアクセス
- 追加リソース:関連記事や参考文献へのリンク
- フィードバック収集:アンケートフォームや評価シートへの誘導
マーケティング資料
- 商品詳細ページ:ECサイトや商品情報ページへの直接リンク
- キャンペーン参加:特別オファーや限定キャンペーンへの誘導
- SNSフォロー:Facebook、Twitter、InstagramなどのSNSページ
- ダウンロード特典:カタログ、価格表、技術仕様書のダウンロード
教育・研修資料
- オンライン教材:e-learning プラットフォームへのアクセス
- 補助動画:解説動画や実演映像へのリンク
- 課題提出:オンライン提出フォームへの誘導
- 参考資料:追加の学習リソースや文献へのアクセス
イベント・会議での活用
受付・案内
- 会場WiFi情報:ネットワーク名とパスワードの自動設定
- タイムスケジュール:最新のプログラムやスケジュール変更
- 会場マップ:インタラクティブな会場案内
- 緊急連絡先:主催者連絡先や緊急時の対応窓口
参加者エンゲージメント
- ライブアンケート:リアルタイムでの意見収集
- 質問受付:匿名での質問投稿システム
- 資料ダウンロード:講演資料やレジュメの配布
- ネットワーキング:参加者同士の連絡先交換支援
営業・顧客対応での活用
名刺・営業資料
- デジタル名刺:vCard形式での連絡先情報
- 会社紹介動画:企業PVや事業内容の紹介映像
- ポートフォリオ:過去の実績や事例紹介ページ
- お客様の声:推薦文や導入事例の詳細
アフターサービス
- 製品登録:購入商品の保証登録フォーム
- サポート窓口:技術サポートやカスタマーサービス
- 利用マニュアル:詳細な取扱説明書やFAQ
- メンテナンス予約:定期点検や修理の予約システム
よくある問題と解決法
QRコードが読み取れない場合
一般的な原因と対策
問題1:印刷品質が低い
- 原因:解像度不足、プリンターの設定問題
- 対策:
- 300dpi以上での印刷を実行
- SVG形式での生成と印刷
- プリンターの設定を「高品質」に変更
- 専門印刷業者への依頼を検討
問題2:サイズが小さすぎる
- 原因:読み取り距離に対して不適切なサイズ
- 対策:
- 最低2×2cm以上のサイズに拡大
- 想定読み取り距離の1/10サイズを目安に設定
- テスト印刷での事前確認
問題3:色のコントラストが不十分
- 原因:背景と前景の色差が少ない
- 対策:
- 白背景に黒コードの標準組み合わせを使用
- カラー印刷では色の濃淡を十分に確保
- WCAG基準(コントラスト比3:1以上)の遵守
問題4:余白(クワイエットゾーン)不足
- 原因:QRコード周辺の余白が不十分
- 対策:
- QRコードの4辺すべてに十分な余白を確保
- 他の図形やテキストとの適切な距離を維持
- トリミング時の余白残しを意識
生成したQRコードの内容変更
ActiveXコントロール使用時
- デザインモードを有効:「開発」タブの「デザインモード」をクリック
- プロパティアクセス:QRコードコントロールを右クリック→「プロパティ」
- 値の変更:「Value」フィールドで新しいURL、テキストに変更
- デザインモード無効:再度「デザインモード」をクリックして終了
画像として挿入した場合
- 新しいQRコード生成:元の方法で新しい内容のQRコードを作成
- 既存画像の置換:
- 既存のQRコード画像を選択
- 右クリック→「図の変更」→「ファイルから」
- 新しいQRコード画像を選択
- サイズ調整:必要に応じて元のサイズに調整
スマートフォンでの読み取り最適化
iOS(iPhone)での読み取り改善
- 標準カメラアプリ:iOS 11以降では標準カメラでQRコード読み取り可能
- コントロールセンター:QRコードスキャナーをコントロールセンターに追加
- 照明条件:十分な明るさの確保、フラッシュライトの活用
Android端末での読み取り改善
- Google Lens:Android標準のQRコード読み取り機能
- 専用アプリ:高精度読み取りのための専用QRコードリーダーアプリ
- 距離調整:端末を前後に動かして最適な読み取り距離を発見
セキュリティとプライバシーの考慮
QRコードのセキュリティリスク
悪意あるQRコードの脅威
- フィッシング攻撃:偽のWebサイトへの誘導
- マルウェア配布:悪意あるアプリのダウンロード誘導
- 個人情報収集:不正な情報収集フォームへの誘導
- 料金詐欺:有料サービスへの無断登録
安全なQRコード作成のガイドライン
信頼できるドメインの使用:
- 自社ドメインまたは信頼できるサービスのみ使用
- 短縮URLサービス使用時は評判の良いサービスを選択
- HTTPSプロトコルの使用を徹底
アクセス先の明示:
- QRコード近くにアクセス先の説明を併記
- 「当社ホームページへのリンク」などの明確な表示
- 怪しいリンクでないことの明示
定期的な確認:
- QRコードのリンク先が正常に動作するかの定期チェック
- セキュリティ証明書の有効性確認
- コンテンツの最新性維持
プライバシー保護の配慮
個人情報の取り扱い
- 最小限の情報収集:必要最小限の個人情報のみ収集
- 明確な利用目的:情報の使用目的を明示
- 同意取得:個人情報収集前の明確な同意取得
- 適切な管理:収集した情報の安全な管理と保護
アクセス ログの管理
- アクセス解析:適切な範囲でのアクセス状況把握
- 個人特定回避:個人を特定できる情報の収集回避
- データ保持期間:適切な期間でのデータ削除
- 第三者提供制限:不要な第三者へのデータ提供回避
応用テクニック
デザインカスタマイズ
ロゴの埋め込み
- エラー訂正レベル設定:Hレベル(30%)に設定
- ロゴサイズ制限:QRコード全体の20%以下に収める
- 中央配置:QRコードの中央部分にロゴを配置
- 読み取りテスト:複数のデバイスでテスト実行
カラーカスタマイズ
- ブランドカラー:企業やブランドのイメージカラーを活用
- グラデーション:控えめなグラデーション効果の追加
- 透明度調整:背景との調和を図る透明度設定
動的QRコード
URLリダイレクト活用
- 短縮URL作成:bit.ly、tinyurl.com などのサービス利用
- QRコード生成:短縮URLでQRコードを作成
- リンク先変更:短縮URLサービスでリンク先を随時変更
アクセス解析連携
- Google Analytics:QRコードアクセスの詳細分析
- UTMパラメータ:流入経路の特定と効果測定
- A/Bテスト:複数バージョンでの効果比較
まとめ
WordでQRコードを作成する方法は、用途や環境に応じて使い分けることが重要です。
方法別おすすめ用途
- ActiveXコントロール:Windows環境でのWord完結型作業
- オンライン生成サイト:確実性と汎用性を重視する場合
- アドイン:頻繁にQRコードを作成する場合
- 専用ソフト連携:高度なカスタマイズが必要な場合
品質確保のポイント
- 適切なサイズ設定:読み取り環境に応じたサイズ選択
- 十分なコントラスト:背景と前景の明確な色分け
- 余白の確保:クワイエットゾーンの適切な設定
- エラー訂正レベル:使用環境に応じた適切なレベル選択
セキュリティ配慮
- 信頼できるドメイン:自社管理下のURLの使用
- アクセス先明示:QRコードの内容を明確に表示
- 定期的な確認:リンク先の正常性とセキュリティ確認
- プライバシー保護:個人情報の適切な取り扱い
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