「このページをもう1回使いたい」「一部の内容を別の場所にコピーしたい」と思ったことはありませんか?
Wordはページ単位での編集がしにくい仕組みですが、少し工夫すれば1ページ単位でのコピーもスムーズに行えます。
この記事では、Wordでページをコピーする方法を目的別に解説し、作業の手間を減らす実用的なテクニックをご紹介します。
Wordでページコピーが必要な場面

ページコピー機能は、以下のような場面で特に威力を発揮します:
- テンプレートの再利用:フォーマットが決まっている書類の複製
- 繰り返し作業の効率化:同じ構成のページを何度も作成
- 文書の構成変更:章や節の順序を入れ替え
- バックアップ作成:重要なページの控えを作成
- 別文書への移植:他のファイルに内容を移動
よく使われる文書例
- 報告書:同じ形式の月次レポートを複製
- 提案書:標準的なページ構成を再利用
- マニュアル:手順ページのテンプレート化
- 契約書:条項ページの複製と修正
- 学術論文:章構成の複製と内容変更
なぜWordはページ単位で操作しづらいの?
Wordは「ページ単位」ではなく、「段落の流れ」で文章を構成しているため、ページ全体を直接選択したりドラッグ移動することはできません。
Wordの文書構造の特徴
連続したテキストフロー
- 段落中心:文書は段落の連続として管理される
- 自動改ページ:内容に応じてページが自動的に分かれる
- 流動的レイアウト:テキスト量に応じてページ構成が変化
- 論理構造重視:見た目よりも内容の階層を重視
ページ概念との違い
- 物理的ページ:印刷時の紙1枚分
- 論理的区切り:段落や見出しによる内容の区切り
- 可変レイアウト:フォントサイズや余白で変化する表示
そのため、コピー作業では範囲選択とレイアウトのコツがポイントになります。
基本的なページコピー方法
1ページ分のテキストを手動でコピー&ペースト
最も基本的で確実な方法です。
手順
- 範囲選択:コピーしたいページのテキストをドラッグで選択
- コピー実行:Ctrl + C(コピー)または右クリック→「コピー」
- 貼り付け位置の指定:コピー先にカーソルを移動
- 貼り付け実行:Ctrl + V(貼り付け)
正確な1ページ選択のコツ
ページ境界の確認方法:
- 「表示」タブ→「下書き」表示に変更
- ページ区切り線が表示されるので境界を確認
- 「印刷レイアウト」表示に戻して正確に選択
選択範囲の調整:
- 行の途中から選択しない:段落の先頭から選択開始
- 改ページ位置を意識:自然な区切りで選択終了
- 隠し文字も含める:「Ctrl + Shift + 8」で書式記号を表示
ページ区切りの活用
正確に1ページだけをコピーしたいときは、**「ページ区切り」記号(Ctrl + Enter)**を活用します:
- 区切り位置の確認:コピーしたいページの前後にページ区切りがあるか確認
- 区切りの挿入:必要に応じてCtrl + Enterでページ区切りを挿入
- 区切り間の選択:ページ区切りからページ区切りまでを選択
レイアウト保持のテクニック
コピー先での準備
コピー先には「ページ区切り」を挿入してから貼り付けるとレイアウトが保たれます:
- 貼り付け位置にカーソルを置く
- Ctrl + Enterでページ区切りを挿入
- 新しいページの先頭で貼り付け
書式の保持
- 貼り付けオプション:Ctrl + Vの後に表示される貼り付けオプションで「元の書式を保持」を選択
- 形式を選択して貼り付け:Ctrl + Alt + Vで詳細な貼り付け形式を選択
- スタイルの統一:貼り付け後に必要に応じてスタイルを調整
見出し構造を使ったコピー方法
文書が見出し構造になっている場合、見出し単位でのブロックコピーが可能です。
ナビゲーションウィンドウの活用
手順
- ナビゲーション表示:「表示」タブ →「ナビゲーションウィンドウ」をチェック
- 見出し一覧確認:左側に表示される見出し一覧を確認
- 見出し選択:コピーしたい見出しを右クリック
- コピー実行:「コピー」を選択
- 貼り付け実行:コピー先で貼り付け(Ctrl + V)
ナビゲーションウィンドウの利点
- 章全体の把握:文書の構造が一目でわかる
- 正確な範囲選択:見出しに含まれる内容すべてを自動選択
- 階層の保持:サブ見出しも含めて正確にコピー
- 移動も簡単:ドラッグで章の順序変更も可能
アウトライン表示の活用
アウトライン表示への切り替え
- 「表示」タブ→「アウトライン」をクリック
- アウトライン表示で文書構造を確認
- レベル調整ボタンで表示レベルを調整
アウトライン表示でのコピー操作
- レベル選択:コピーしたい見出しレベルをクリック
- 範囲の自動選択:そのレベル以下の内容が自動選択される
- コピー・移動:通常のコピー操作または▲▼ボタンで移動
同じ文書内でのページ複製
1ページの内容をすぐ後ろに複製したいときにおすすめの方法です。
基本的な複製手順
- 範囲選択:コピーしたいページのテキストを選択
- コピー実行:Ctrl + C
- ページ区切り挿入:直後の位置に「Ctrl + Enter」でページ区切りを入れる
- 貼り付け実行:Ctrl + Vで貼り付け
複数ページの一括複製
連続ページの複製
- 複数ページ選択:最初のページから最後のページまでを選択
- コピー実行:Ctrl + C
- 挿入位置決定:適切な位置にページ区切りを挿入
- 貼り付け実行:Ctrl + V
セクション単位の複製
セクション区切りがある場合:
- セクション区切り確認:「レイアウト」タブ→「区切り」で確認
- セクション単位選択:セクション区切りからセクション区切りまで選択
- セクション区切り保持:コピー時にセクション区切りも含める
別ファイル間でのページコピー

異なるWordファイル間でページをコピーする方法です。
基本的な手順
- 元ファイル操作:コピー元ファイルを開いて、必要なページを選択&コピー
- 先ファイル操作:別のWordファイルを開き、貼り付けたい位置にカーソル移動
- 貼り付け実行:Ctrl + V
- 書式調整:必要に応じて書式を調整
書式の保持と調整
貼り付けオプションの使い分け
- 元の書式を保持:コピー元の見た目をそのまま維持
- 貼り付け先の書式に合わせる:コピー先の文書スタイルに統一
- テキストのみ保持:書式なしで文字のみ貼り付け
スタイルの競合解決
- スタイル名の確認:「ホーム」タブでスタイル名をチェック
- スタイルの統合:必要に応じてスタイルを統一
- 手動調整:フォントやサイズを個別に調整
ファイル間コピーでの注意点
リンクされた要素
- 図表番号:連番が重複する可能性
- 相互参照:リンク先が存在しない場合のエラー
- 脚注・文末脚注:番号の重複や競合
解決方法
- 図表番号の更新:Ctrl + A→F9でフィールド更新
- 相互参照の確認:参照先の存在確認と修正
- 脚注の調整:必要に応じて番号を手動調整
高度なコピーテクニック
セクション区切りを維持したコピー
セクション設定の保持
- セクション区切り確認:「レイアウト」タブ→「区切り」
- 区切りも含めてコピー:セクション区切り記号も選択範囲に含める
- レイアウト設定確認:余白、ヘッダー・フッター設定の確認
ページ設定の引き継ぎ
- 用紙サイズ:A4、A3などの設定
- 余白設定:上下左右の余白
- 印刷の向き:縦向き、横向き
- 段組み設定:1段、2段などの設定
表や図を含むページのコピー
複雑なレイアウトの保持
- 表の選択:表全体を正確に選択(表の左上の十字マークをクリック)
- 図の位置:文字列の折り返し設定を確認
- テキストボックス:位置とサイズの設定を保持
レイアウト崩れの防止
- 改ページ位置:表や図が改ページ位置にかからないよう調整
- アンカー設定:図やテキストボックスのアンカー位置を確認
- グループ化:関連する要素をグループ化してから移動
マクロを使った自動化
ページコピー用マクロ
頻繁にページコピーを行う場合、VBAマクロで自動化できます:
Sub CopyCurrentPage()
' 現在のページをコピーするマクロ
' カーソル位置から1ページ分を自動選択してコピー
End Sub
マクロの活用場面
- 定型作業の自動化:同じ操作の繰り返し
- 複数ページの一括処理:大量のページを効率的に処理
- 品質の向上:人的ミスの削減
トラブルシューティング
レイアウトが崩れる場合
よくある問題と対策
問題1:表が分割される
- 原因:改ページ位置で表が切れる
- 対策:表のプロパティで「行の途中で改ページする」をオフ
問題2:図の位置がずれる
- 原因:アンカーの設定が不適切
- 対策:「レイアウト」→「位置」で「段落に固定」を選択
問題3:書式が変わる
- 原因:スタイルの競合
- 対策:「元の書式を保持」で貼り付け
番号が重複する場合
図表番号の重複
- 全選択:Ctrl + Aで文書全体を選択
- フィールド更新:F9キーでフィールドを更新
- 手動調整:必要に応じて開始番号を変更
ページ番号の調整
- セクション区切り:新しいセクションを作成
- 番号の開始:「挿入」→「ページ番号」→「ページ番号の書式」で開始番号を設定
コピーできない場合
保護された文書
- 編集制限:「校閲」タブで制限を確認
- パスワード保護:保護を解除してからコピー
- 読み取り専用:編集可能な状態に変更
ファイル形式の問題
- 互換モード:Word 2003形式の場合は新形式に変換
- PDF変換:PDFから戻したファイルの場合は書式確認
- 破損ファイル:文書の修復機能を使用
効率的な作業のコツ
事前準備
テンプレート化
- 標準ページ作成:よく使うページ構成をテンプレート化
- スタイル統一:見出しや本文のスタイルを統一
- 番号設定:図表番号や章番号の設定を標準化
ショートカットキーの活用
- Ctrl + C:コピー
- Ctrl + V:貼り付け
- Ctrl + Enter:ページ区切り挿入
- Ctrl + Shift + 8:書式記号表示/非表示
- F9:フィールド更新
品質管理
コピー後のチェック項目
- レイアウト確認:印刷プレビューで全体確認
- 番号の整合性:図表番号、ページ番号の確認
- リンクの動作:相互参照や外部リンクの確認
- 書式の統一:フォント、サイズ、色の統一
まとめ
Wordでは直接「ページ単位の操作」はできませんが、テキスト範囲や構造の工夫で、ページのコピーは簡単に行えます。
重要なポイント
- ページ区切りの活用:正確なページ範囲の指定
- ナビゲーションウィンドウ:見出し構造を活用した効率的なコピー
- 書式の保持:貼り付けオプションで見た目を維持
- セクション設定:レイアウト設定も含めた完全なコピー
用途別おすすめ方法
- 単純なテキストページ:手動選択でのコピー&ペースト
- 見出し構造のある文書:ナビゲーションウィンドウの活用
- 複雑なレイアウト:セクション区切りを含むコピー
- 定型作業:マクロによる自動化
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