Wordで資料を作っているとき、「このページだけ横向きにしたい」「図表を大きく見せたいから1ページだけ横にしたい」と思ったことはありませんか? 通常の文書は縦向きが基本ですが、ページごとに縦横を切り替えることで、読みやすく・見やすい資料が作れます。
この記事では、Wordで「縦向きと横向きを混在」させる方法を、わかりやすく解説します。ビジネス資料や学術レポートの完成度を上げたい方は必見です。
縦横混在が必要な場面

よくある使用例
ビジネス文書での活用
- 財務報告書:グラフや表を横向きで大きく表示
- 企画書:図解やフローチャートの横向き配置
- 分析資料:データ比較表の横向き表示
- プレゼン資料:重要な図表の強調表示
学術・研究文書での活用
- 論文:実験結果の大きな表やグラフ
- 研究報告書:統計データの詳細表示
- 卒業論文:アンケート結果の一覧表
- 技術文書:回路図や設計図の配置
その他の活用場面
- マニュアル:操作画面の大きな画像
- カタログ:商品画像の横向き配置
- 年報:組織図や体制図の表示
- 教材:図解や地図の見やすい配置
混在レイアウトのメリット
視覚的な効果
読みやすさの向上:
- 情報の適切な配置:内容に応じた最適な向き
- 視覚的なメリハリ:文書構成の明確化
- 注目度の向上:重要な情報への誘導
- 専門性の演出:プロフェッショナルな印象
実用的な利点
作業効率の改善:
- 大きな表の見やすい表示
- 横長のグラフの最適配置
- 画像や図の高解像度表示
- 印刷時の美しい仕上がり
Wordでは縦横混在が可能
セクション区切りの仕組み
Wordでは、**セクション区切り(セクションブレーク)**を使うことで、ページごとに用紙の向きを変えることができます。
セクションとは
基本概念:
- セクション:独立した書式設定を持つ文書の区分
- セクション区切り:セクションを分ける境界線
- 独立性:各セクションで異なる設定が可能
- 継承性:設定を前のセクションから引き継ぐことも可能
設定可能な要素
セクションごとに変更できる項目:
- ページの向き(縦・横)
- 用紙サイズ
- 余白設定
- ヘッダー・フッター
- ページ番号
- 段組みレイアウト
実例:効果的な使い分け
通常の使い分けパターン
推奨構成例:
- 通常の本文:縦向きで読みやすく
- グラフや表:横向きで詳細に表示
- まとめページ:横向きで情報を整理
- 資料ページ:写真を大きく配置
具体的な文書構成
企画書の例:
- 表紙(縦向き)
- 目次(縦向き)
- 概要説明(縦向き)
- 市場分析グラフ(横向き)
- 競合比較表(横向き)
- 実施計画(縦向き)
- 予算表(横向き)
- まとめ(縦向き)
手順:縦向きと横向きを混在させる方法(Windows版)
基本的な設定手順
ステップ①:セクション区切りを挿入する
- 横向きにしたいページの直前にカーソルを置く
- 「レイアウト」タブ →「区切り」→「次のページから開始(セクション区切り)」を選択
- 同様に、横向きの直後にもセクション区切りを入れる
ステップ②:ページの向きを変更する
- 横向きにしたいページの中にカーソルを置く
- 「レイアウト」→「印刷の向き」→「横」を選択
- 「このセクションのみ適用」を選ぶ
これで、指定したページだけが横向きになります。
詳細な操作手順
セクション区切りの挿入
準備段階:
- 横向きにしたい内容(表、グラフなど)を準備
- 文書内での配置場所を決定
- カーソルを適切な位置に配置
区切りの挿入:
- 第1の区切り挿入
- 横向きページの直前の段落末尾にカーソル
- 「レイアウト」タブをクリック
- 「ページ設定」グループの「区切り」ボタン
- 「セクション区切り」→「次のページから開始」
- 横向きコンテンツの配置
- 新しいページに図表などを配置
- レイアウトを調整
- 第2の区切り挿入
- 横向きページの末尾にカーソル
- 同様に「次のページから開始」を挿入
ページ向きの変更
向きの設定:
- 横向きにしたいページ内のどこかにカーソルを配置
- 「レイアウト」タブの「印刷の向き」をクリック
- 「横」を選択
- 適用範囲を「このセクション」に設定
確認作業:
- 前後のページが縦向きのまま変わっていないか確認
- 横向きページのレイアウトが適切か確認
- 印刷プレビューで全体を確認
応用操作
複数ページの一括横向き設定
連続する複数ページを横向きにする場合:
- 最初のページの前にセクション区切り
- 横向きにしたい全ページを1つのセクション内に配置
- 最後のページの後にセクション区切り
- そのセクション全体を横向きに設定
ページ番号の調整
ページ番号の連続性確保:
- 各セクションのヘッダー・フッターを確認
- 「前と同じヘッダー・フッター」設定の調整
- ページ番号の継続設定
- 横向きページでの番号位置調整
Mac版Wordでの操作

基本操作の違い
Mac版での手順: 手順はほぼ同じですが、「レイアウト」タブが「ページレイアウト」と表記されていることがあります。
具体的な操作
メニューの違い:
- 「ページレイアウト」タブまたは「レイアウト」タブ
- 「区切り」→「次のページから開始」を選択
- 「ページの向き」を「このセクションにのみ適用」で設定
Mac特有の注意点
操作環境の違い:
- ショートカットキー:Cmd+Enterで改ページ
- 表示方法:ツールバーの配置が異なる場合
- フォント表示:システムフォントとの連携
- 印刷設定:macOSの印刷ダイアログとの連携
macOS統合機能の活用
他のアプリとの連携
Mac環境での利点:
- プレビュー:PDFでの最終確認
- Pages:互換性のある代替アプリ
- Keynote:プレゼン資料への展開
- Numbers:表計算データとの連携
注意点とベストプラクティス
よくあるミスと対策
セクション区切りの管理
重要な注意点:
- セクション区切りを入れ忘れると全体が横向きになるので注意
- 区切りの位置を正確に配置
- 不要な空白ページの発生を防ぐ
- セクション数の管理(多すぎると混乱)
ヘッダー・フッターの処理
設定の調整:
- ヘッダーやフッターもセクションごとに分かれるため、必要に応じて「前と同じ」設定をオフに
- ページ番号の連続性確保
- 会社ロゴやタイトルの統一
- 日付情報の一貫性
レイアウトの最適化
効果的な配置:
- 複数の横向きページを挿入する場合は、まとめて1つのセクションにすると管理が楽
- 図表のサイズ調整
- 余白設定の最適化
- 印刷時の確認
品質管理のポイント
事前チェック項目
設定前の確認:
- [ ] 横向きにする必要性の確認
- [ ] コンテンツのサイズ測定
- [ ] 全体構成での位置確認
- [ ] 印刷仕様との整合性
完成後のチェック
最終確認項目:
- [ ] 各ページの向きが正しい
- [ ] ページ番号が連続している
- [ ] ヘッダー・フッターが適切
- [ ] 印刷プレビューで問題なし
- [ ] PDFでの表示確認
高度な活用テクニック
複雑なレイアウトの構築
見開きページの作成
見開き設定の手順:
- 「レイアウト」→「ページ設定」ダイアログ
- 「複数ページ」で「見開きページ」を選択
- 左右のページで異なる余白設定
- 横向きページとの組み合わせ
段組みとの組み合わせ
混合レイアウト:
- 縦向きページ:2段組みでの文章
- 横向きページ:1段組みでの図表
- セクションごとの段組み設定
- 文字列の折り返し調整
自動化と効率化
スタイルとテンプレート
標準化の方法:
- よく使うレイアウトをテンプレート化
- セクション設定を含むスタイルの作成
- 組織内での標準書式の確立
- 品質チェックリストの活用
マクロでの自動処理
繰り返し作業の自動化:
Sub InsertLandscapeSection()
' セクション区切りと横向き設定の自動化
Selection.InsertBreak Type:=wdSectionBreakNextPage
With ActiveDocument.Range.Sections.Last.PageSetup
.Orientation = wdOrientLandscape
End With
End Sub
トラブルシューティング
よくある問題と解決法
ページ番号の乱れ
問題の症状:
- ページ番号が重複する
- 番号が飛ぶ
- 横向きページで位置がずれる
解決方法:
- 各セクションのページ番号設定を確認
- 「前のセクションから継続」設定の調整
- ヘッダー・フッターの「前と同じ」設定の見直し
- 必要に応じて手動でページ番号を調整
印刷時の問題
よくあるトラブル:
- 横向きページが正しく印刷されない
- 余白が適切でない
- 図表が切れる
対策方法:
- 印刷プレビューでの事前確認
- プリンター設定の確認
- 用紙サイズとの整合性確認
- 余白設定の微調整
セクション管理の混乱
管理の問題:
- セクション数が多すぎる
- どこにセクション区切りがあるか分からない
- 削除時の影響が不明
整理方法:
- 「表示」→「下書き」でセクション区切りを可視化
- ナビゲーションペインでのセクション確認
- 不要なセクション区切りの統合
- 文書構造の再設計
まとめ
縦横混在の効果
Wordでは、「セクション区切り」を使うことでページ単位で縦横を切り替えることが可能です。
主要なメリット:
- 図表や画像を見やすく配置できる
- 文書の構成にメリハリが生まれる
- ビジネスや学術用途での活用度が高い
実装のポイント
成功のための要点:
- 計画的なセクション設計:事前の構成検討
- 適切な区切り配置:必要最小限のセクション数
- 一貫したスタイル管理:ヘッダー・フッターの統一
- 品質チェック:印刷前の総合確認
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