Wordで文書を作っていると、突然英語でスペルチェックがかかったり、漢字がうまく変換されなかったりして「設定がおかしい?」と感じたことはありませんか? 実は、それはWordの「言語設定」が原因かもしれません。
この記事では、Wordの言語設定を正しく変更・管理する方法を初心者にもわかりやすく解説します。スムーズな文書作成とミス防止のために、ぜひ設定を見直してみましょう。
言語設定が重要な理由

よくある問題
入力・変換の問題
- 日本語入力ができない:IMEが認識されない
- 漢字変換がおかしい:適切な変換候補が出ない
- 英語が自動修正される:意図しない単語に変換
- 文字化け:特殊文字や記号が正しく表示されない
校正機能の問題
- 不要な赤線:正しい日本語に誤りの指摘
- スペルチェックが効かない:英語の間違いを見逃す
- 文法チェックの誤動作:日本語文に英語の文法を適用
- 辞書機能の不具合:適切な候補が表示されない
言語設定の影響範囲
文書作成への影響
- 作業効率:適切な設定で入力速度向上
- 品質管理:自動校正による誤字脱字の防止
- 国際対応:多言語文書の正確な作成
- プロフェッショナル性:完成度の高い文書の実現
Wordの言語設定の種類
3つの言語設定
Wordの言語設定には、主に3つの種類があります。
①表示言語(UI言語)
概要:メニューやリボンの表示言語 影響範囲:
- メニュー項目の表示
- ツールチップや説明文
- ダイアログボックスの内容
- ヘルプシステムの言語
②編集言語
概要:文字入力時の言語設定 影響範囲:
- キーボード入力の解釈
- IME(入力メソッド)の動作
- 文字の方向性(左から右、右から左)
- 日付や数値の表示形式
③校正言語
概要:スペルチェックや文法チェックの言語 影響範囲:
- スペルチェック機能
- 文法チェック機能
- 類義語辞典
- 翻訳機能
設定の相互関係
統一性の重要性
理想的な設定:
- 日本語文書:すべて日本語に統一
- 英語文書:すべて英語に統一
- 多言語文書:部分ごとに適切に設定
問題のある設定例:
- 表示:日本語、編集:英語、校正:中国語
- 編集言語と校正言語が異なる
- 表示言語が理解できない言語
方法①:編集・校正言語を設定する
基本設定手順(Windows版)
全体設定の変更
- Wordを開く
- 「ファイル」→「オプション」→「言語」
- 「編集言語の選択」で「日本語」を選択して「既定に設定」
- 「校正ツール」が利用可能かを確認(利用不可ならインストール)
- 必要に応じて英語や中国語なども追加可能
詳細な設定手順
ステップ1:言語オプションを開く
- Wordのメイン画面で「ファイル」タブをクリック
- 左側メニューの「オプション」を選択
- 「Word のオプション」ダイアログが開く
- 左側の「言語」をクリック
ステップ2:編集言語の設定
- 「編集言語の選択」セクションを確認
- 「言語を追加」ドロップダウンから「日本語」を選択
- 「追加」ボタンをクリック
- 日本語を選択して「既定に設定」をクリック
ステップ3:校正ツールの確認
- 追加した言語の右側の状態を確認
- 「校正ツール」が「利用可能」になっているか確認
- 「利用不可」の場合は「リンクを取得」で追加インストール
言語パックのインストール
必要な場合
インストールが必要な状況:
- 新しい言語を追加する場合
- 校正ツールが利用できない場合
- 特定言語の辞書が不足している場合
インストール手順
Microsoft 365の場合:
- 「ファイル」→「アカウント」
- 「Officeの更新プログラム」→「今すぐ更新」
- または Microsoft ストアから言語パックを検索
- 必要な言語パックをダウンロード・インストール
永続版Officeの場合:
- Microsoftの公式サイトから言語パックをダウンロード
- ダウンロードしたファイルを実行してインストール
- Wordを再起動して設定を確認
設定のポイント
効果的な設定
日本語環境での推奨設定:
- 主言語:日本語(既定に設定)
- 副言語:英語(US)を追加
- その他:必要に応じて中国語(簡体字・繁体字)など
校正ツールの活用:
- 各言語で校正ツールが「利用可能」であることを確認
- 不要な言語は削除してメニューをすっきりさせる
- 頻繁に使う言語は上位に配置
方法②:表示言語(UI言語)を変更する
表示言語変更の手順
基本操作
- 「ファイル」→「オプション」→「言語」
- 「表示言語の選択」で希望の言語を追加・優先に設定
- Wordを再起動して反映される
詳細手順
言語の追加:
- 「表示言語の選択」セクションを確認
- 希望の言語が一覧にない場合は「言語を追加」
- ドロップダウンから目的の言語を選択
- 「追加」ボタンをクリック
優先順位の設定:
- 追加された言語を選択
- 「優先に設定」ボタンをクリック
- 一覧の最上位に移動することを確認
注意事項と影響範囲
システム全体への影響
重要な注意点:
- Office製品全体に影響:Word、Excel、PowerPoint等
- 他のユーザーへの影響:共用PCでは他の利用者に影響
- 習熟度への影響:慣れない言語では操作効率が低下
推奨する使用場面
表示言語変更が有効な場合:
- 海外での長期滞在・勤務
- 多言語環境での業務
- 言語学習や国際的なプロジェクト
- 特定言語での操作マニュアル作成
変更を避けるべき場合:
- 短期間の使用
- 操作に慣れていない初心者
- 緊急時の文書作成
- チームでの共同作業時
方法③:文書内で一部の言語を切り替える

部分的言語設定の方法
基本手順
- 該当のテキストを選択
- 「校閲」タブ →「言語」→「校正言語の設定」
- 該当言語を選択してOK
これにより、その範囲だけ別言語で校正されます。
詳細な操作方法
選択範囲での設定:
- 言語を変更したいテキストをマウスでドラッグ選択
- 選択したテキストが青くハイライトされることを確認
- 「校閲」タブのリボンをクリック
- 「言語」グループの「言語」ボタンをクリック
- 「校正言語の設定」を選択
言語の選択と適用:
- 「言語」ダイアログボックスが表示される
- 一覧から適切な言語を選択
- 「OK」ボタンをクリックして適用
- 選択したテキストの言語設定が変更される
実用的な活用例
多言語文書での使い分け
日英混在文書の例:
この製品の特徴は以下の通りです:
- High Performance Computing(高性能計算)
- Artificial Intelligence(人工知能)
- Machine Learning(機械学習)
設定方法:
- 日本語部分:校正言語を「日本語」
- 英語部分:校正言語を「英語(米国)」
- 各部分で適切なスペルチェックが動作
専門用語や固有名詞への対応
医学・法律文書での応用:
- ラテン語の医学用語
- 英語の法律用語
- 固有名詞や商標名
設定のコツ:
- 専門用語は該当言語に設定
- 固有名詞は「校正しない」に設定
- 頻出用語は辞書に追加
高度な言語設定
IME(Input Method Editor)の連携
日本語入力システムとの連携
Microsoft IMEの設定:
- タスクバーの「あ」または「A」アイコンを右クリック
- 「プロパティ」または「設定」を選択
- Wordとの連携設定を確認
- 自動言語切り替えの設定
サードパーティIMEとの連携:
- Google日本語入力
- ATOK(ジャストシステム)
- Baidu IME
地域設定との連携
Windows地域設定の影響
確認すべき設定:
- 「設定」→「時刻と言語」→「地域」
- 「国または地域」の設定
- 「地域形式」の設定
- これらがWordの言語設定と整合するか確認
日付・数値形式への影響
地域設定による違い:
- 日本:2024/12/21、1,234.56
- 米国:12/21/2024、1,234.56
- EU:21/12/2024、1.234,56
トラブルシューティング
よくある問題と解決法
日本語入力ができない
症状:
- キーボードで日本語が入力できない
- 英数字しか入力されない
- IMEが起動しない
解決手順:
- 編集言語に日本語が追加されているか確認
- IMEが正しく設定されているか確認
- キーボードレイアウトを確認
- Windows再起動で解決する場合もある
スペルチェックが正常に動作しない
症状:
- 明らかな誤字に赤線が表示されない
- 正しい単語に赤線が表示される
- 校正機能が全く働かない
解決手順:
- 校正言語が正しく設定されているか確認
- 該当言語の校正ツールがインストールされているか確認
- 「校閲」→「スペルチェックと文章校正」で手動実行
- ユーザー辞書の確認・クリア
言語設定が保存されない
症状:
- 設定してもWordを再起動すると元に戻る
- 新規文書で設定が反映されない
- 既存文書で設定が異なる
解決手順:
- 「既定に設定」ボタンを確実にクリック
- Normal.dotmテンプレートの確認
- 管理者権限での実行
- Office修復インストールの実行
複雑な問題への対応
多言語環境での競合
企業環境での問題:
- 複数言語のOfficeが混在
- ネットワーク経由の設定配信
- グループポリシーとの競合
解決アプローチ:
- IT管理者との連携
- 標準設定の確立
- ユーザー教育の実施
- 定期的な設定監査
プラットフォーム別の設定
Mac版Wordの言語設定
基本操作の違い
Mac版での手順:
- 「Word」メニュー→「環境設定」
- 「編集と校正」→「全般」
- 言語設定の項目を確認・変更
- システム環境設定との連携も確認
macOS特有の注意点
システムとの統合:
- macOSの言語設定との関係
- キーボード入力ソースの設定
- 音声入力機能との連携
オンライン版(Word Online)
制限事項
Web版での制限:
- 言語設定のオプションが限定的
- ブラウザの言語設定に依存
- 一部の校正機能が制限される
対処方法:
- ブラウザの言語設定を確認
- Microsoftアカウントの地域設定
- デスクトップ版での詳細設定
モバイル版Wordの設定
スマートフォン・タブレット
モバイル特有の課題:
- 画面サイズによる設定項目の制限
- タッチ操作での設定変更
- OS(iOS/Android)との連携
基本的な設定方法:
- アプリの「設定」または「オプション」
- 「言語」または「キーボード」設定
- デバイスの言語設定との同期確認
組織での言語設定管理

企業環境での標準化
統一設定のメリット
組織レベルでの利点:
- サポート業務の効率化
- 文書品質の標準化
- 国際的なチーム協業の促進
- トレーニングコストの削減
配布・管理方法
IT管理者向けの方法:
- グループポリシーでの一括設定
- Office 365管理センターでの制御
- 標準テンプレートでの配布
- ユーザー研修での周知
多言語チームでの運用
国際的プロジェクトでの配慮
推奨アプローチ:
- 共通言語の設定(通常は英語)
- 地域固有文書の言語設定
- 翻訳作業での言語管理
- 文化的な差異への配慮
まとめ
言語設定の重要性
Wordの言語設定を正しく行うことで、以下のようなメリットがあります:
直接的な効果:
- スペルミスや文法ミスの自動チェックが正しく働く
- 不要な赤線・青線の表示を防げる
- 複数言語での文書作成がスムーズに
- 入力効率の大幅な向上
間接的な効果:
- 文書品質の向上
- 作業ストレスの軽減
- プロフェッショナルな印象の向上
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