Word(ワード)で文章を作成していて、「英語を入力しているのに赤い波線が出る」「メニューが英語になってしまった」「スペルチェックが効かない」といったトラブルはありませんか?
これらの原因は、多くの場合**「言語設定」**が適切にされていないことにあります。
この記事では、Wordの言語設定(入力・校正・表示)を変更する方法を、わかりやすく解説します。
Word言語設定の基本概念

言語設定の重要性
現代のビジネス環境では、多言語での文書作成が必要になることが増えています。
適切な言語設定により、以下のような効果が期待できます。
作業効率の向上
- 正確なスペルチェック:各言語に応じた校正
- 適切な文法チェック:言語特有の文法規則
- 自動修正機能:タイポの自動修正
ユーザー体験の改善
- 理解しやすいインターフェース:母国語でのメニュー表示
- エラーの削減:適切な言語判定による誤警告の防止
- 国際的な文書作成:多言語環境での効率的な作業
Wordで設定できる3種類の言語
Wordでは以下の3種類の言語設定が可能です。
種類 | 概要 | 影響範囲 | 設定の重要度 |
---|---|---|---|
編集・入力言語 | キーボード入力時の言語判定 | 入力文字の認識、IME連携 | ★★★ |
校正言語 | スペル・文法チェック対象言語 | 赤線表示、校正機能 | ★★★ |
表示言語 | メニューやヘルプの表示言語 | UI全体の言語 | ★★☆ |
言語設定の相互関係
理想的な設定例
日本語文書作成時
- 編集言語:日本語
- 校正言語:日本語
- 表示言語:日本語
英語文書作成時
- 編集言語:英語(US)
- 校正言語:英語(US)
- 表示言語:日本語(メニューは日本語で理解しやすく)
編集・入力言語の変更方法
基本的な設定手順
文書入力時の言語判定を設定する方法です。
詳細な操作手順
- Wordを起動
- 「ファイル」タブをクリック
- 「オプション」を選択
- 左側メニューから「言語」をクリック
- 「編集言語の選択」セクションを確認
- 使用したい言語を追加
- 「言語を追加」ボタンをクリック
- 一覧から目的の言語を選択
- 例:English (United States)、中文(简体)など
- 既定言語の設定
- 主に使用する言語を選択
- 「既定に設定」ボタンをクリック
- 「OK」で設定完了
言語パックのインストール
必要な準備
新しい言語を使用するためには、言語パックが必要な場合があります。
自動インストール
- Windows Updateによる自動取得
- Microsoft 365では多くの言語が標準装備
手動インストール
- Microsoft公式サイトから言語パックをダウンロード
- インストーラーを実行
- Wordを再起動
対応言語の確認
主要言語の対応状況
- 西欧言語:英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語等
- 東アジア言語:日本語、中国語(簡体・繁体)、韓国語
- その他:アラビア語、ヘブライ語、ロシア語等
キーボード入力との連携
IME(Input Method Editor)設定
日本語入力
- Microsoft IME
- Google 日本語入力
- ATOK等
多言語入力
- 言語バーの切り替え
- ショートカットキー(Alt + Shift等)
入力方式の最適化
効率的な言語切り替え
- Windowsの言語設定と連携
- ショートカットキーの活用
- 自動判定機能の利用
校正言語(スペルチェック)の設定
校正言語の基本設定
文書の校正に使用される言語を設定する方法です。
文書全体の校正言語設定
- 新規文書で設定する場合
- 「校閲」タブをクリック
- 「言語」グループの「言語」ボタン
- 「校正言語の設定」を選択
- 言語を選択
- 利用可能な言語一覧から選択
- 例:日本語、English (United States)
- 既定に設定
- 「既定に設定」ボタンをクリック
- 今後作成する文書に適用
部分的な校正言語設定
特定の文章のみ変更
- 対象テキストを選択
- 「校閲」→「言語」→「校正言語の設定」
- 該当部分のみに言語を適用
混在文書での活用
- 日本語文書内の英語引用
- 英語文書内の固有名詞
- 多言語プレゼンテーション
スペルチェック機能の詳細
自動スペルチェック
機能の概要
- 入力と同時に校正実行
- 赤い波線でスペルミスを表示
- 緑の波線で文法エラーを表示
設定の確認方法
- 「ファイル」→「オプション」→「文章校正」
- 「入力時にスペルチェックを行う」にチェック
- 「入力時に文法とスタイルをチェックする」にチェック
手動スペルチェック
実行方法
- 「校閲」タブ→「スペルチェックと文章校正」
- F7キーでショートカット実行
- エラー箇所の順次確認と修正
校正言語の注意点
よくある設定ミス
言語の自動判定
- 「言語を自動的に検出する」がオンの場合
- 意図しない言語に変更される可能性
- 必要に応じて無効化
スペルチェックの無効化
- 「スペルチェックをしない」にチェック
- 校正機能が完全に停止
- 設定の確認が重要
表示言語(UI)の変更

ユーザーインターフェース言語の設定
Wordのメニューやダイアログの表示言語を変更する方法です。
基本的な変更手順
- 「ファイル」→「オプション」→「言語」
- 「表示言語の選択」セクションを確認
- 希望する言語を追加
- 利用可能な言語から選択
- 「既定に設定」をクリック
- Wordを再起動
- 変更を有効にするため必須
- Office全体に反映される場合もある
対応表示言語
主要な表示言語
- 日本語:標準設定
- English:国際的な使用
- 中文:中国語(簡体・繁体)
- 한국어:韓国語
- Français:フランス語
- Deutsch:ドイツ語
Office全体の言語設定
Microsoft 365での統合設定
アカウント設定からの変更
- Microsoft 365アカウントにサインイン
- 「設定」→「言語とタイムゾーン」
- Office言語設定を変更
- すべてのOfficeアプリに反映
個別アプリケーション設定
Word単体での設定
- Word専用の表示言語設定
- 他のOfficeアプリには影響しない
- 混在環境での柔軟な対応
言語別の特殊設定
東アジア言語の設定
日本語特有の設定
縦書き機能
- 日本語フォント設定
- 文字方向の制御
- ルビ(ふりがな)機能
文字種の処理
- ひらがな・カタカナ・漢字
- 半角・全角の自動変換
- 句読点の自動調整
中国語・韓国語の設定
中国語(簡体・繁体)
- ピンイン入力対応
- 簡体字・繁体字の相互変換
- 地域別フォント設定
韓国語
- ハングル入力対応
- 漢字変換機能
- 韓国語特有の文法チェック
欧米言語の設定
英語バリエーション
地域別設定
- US English:アメリカ英語
- UK English:イギリス英語
- Australian English:オーストラリア英語
スペルチェックの違い
- color / colour
- organize / organise
- center / centre
その他欧州言語
フランス語
- アクセント記号の自動補完
- 男性・女性名詞の確認
- フランス語特有の文法ルール
ドイツ語
- ウムラウトの処理
- 大文字・小文字の規則
- 複合語の校正
実践的な活用シーン
国際ビジネスでの活用
多言語文書の作成
企画書の英語版作成
- 日本語で原案作成
- 校正言語を英語に変更
- 翻訳・校正作業
- 最終チェック
プレゼンテーション資料
- スライドごとの言語設定
- 図表内テキストの校正
- 配布資料の多言語対応
海外クライアント対応
メール文書の作成
- 英語での正式文書
- 文法チェック機能活用
- 文化的配慮の確認
契約書・提案書
- 法的文書の正確性
- 専門用語の適切な使用
- 翻訳精度の向上
教育現場での活用
語学教育
英語教材の作成
- 学習者レベルに応じた校正
- エラー箇所の明確化
- 段階的な難易度調整
多言語教育
- 第二外国語文書作成
- 比較言語学習
- 文化的背景の理解
研究活動
学術論文の執筆
- 国際ジャーナル投稿
- 引用文献の多言語対応
- 査読対応の効率化
個人利用での活用
日常的な文書作成
履歴書・職務経歴書
- 英語版履歴書の作成
- スペルミスの防止
- プロフェッショナルな仕上がり
個人ブログ・SNS
- 多言語での情報発信
- 文章品質の向上
- 読者層の拡大
トラブルシューティング

よくある問題と解決方法
赤い波線が消えない問題
原因の特定
- 校正言語の不一致
- 入力言語と校正言語が異なる
- 解決:校正言語を入力言語に合わせる
- カスタム辞書の影響
- 登録単語との競合
- 解決:辞書設定の見直し
- 言語の自動判定
- 不適切な言語の自動選択
- 解決:自動判定を無効化
スペルチェックが動作しない
設定確認のチェックポイント
- 「スペルチェックをしない」設定
- 校正言語設定で確認
- チェックを外す
- 文章校正オプション
- 「ファイル」→「オプション」→「文章校正」
- 各種チェック機能を有効化
- 言語パックの不備
- 必要な言語パックのインストール
- Microsoft Updateでの更新
表示言語が変わらない
段階的な確認
- Wordの再起動
- 設定変更後の必須作業
- Office全体の再起動
- 他のOfficeアプリも含めて終了・再起動
- 言語パックの確認
- インストール状況の確認
- 必要に応じて再インストール
- システム再起動
- Windows全体の言語設定影響
パフォーマンスの最適化
多言語環境でのメモリ管理
効率的な設定
- 不要な言語パックの削除
- 使用頻度の高い言語を優先
- 自動更新の調整
大量文書での処理速度
処理速度向上のコツ
- 文書サイズの分割
- 校正機能の段階的実行
- バックグラウンド処理の活用
セキュリティとプライバシー
言語設定とデータ保護
クラウド同期での注意点
Microsoft 365環境
- アカウント設定の同期範囲
- 地域法規制の考慮
- データ保存場所の確認
企業環境での管理
組織ポリシーとの連携
- IT部門による一括設定
- セキュリティポリシーの遵守
- 監査ログの管理
多言語環境でのベストプラクティス
設定の標準化
チーム内での統一
- 言語設定のドキュメント化
- 新メンバーへの教育
- 定期的な設定確認
バックアップと復元
設定の保存
- Wordオプションのエクスポート
- レジストリ設定のバックアップ
- 復元手順の文書化
まとめ
Wordの言語設定を適切に行うことで、多言語環境での文書作成が格段に効率化されます。
3つの言語設定の使い分け
- 編集・入力言語:文字入力時の言語判定
- 校正言語:スペル・文法チェックの対象言語
- 表示言語:メニュー・UI の表示言語
効果的な設定のポイント
- 作業内容に応じた言語選択
- 文書種別による使い分け
- チーム環境での統一
トラブル回避のために
- 設定後の動作確認
- 定期的な設定見直し
- 言語パックの適切な管理
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