Word(ワード)を使っていると、なぜか入力した文字が「→」や「⇒」のような矢印に変わってしまうことがあります。
普段の文書作成ではあまり使わないのに、勝手に出てきて困った…という経験はありませんか?
この記事では、その**「矢印が勝手に出る原因」と「消し方・止め方」**をわかりやすく解説します。
矢印が勝手に表示される原因

主要な原因:オートコレクト機能
まず結論から言うと、矢印が自動で変換されるのは、Wordの**「オートコレクト」機能**が働いているためです。
たとえば「->」と入力すると、自動で「→」に変換されるように設定されています。
オートコレクト機能とは
オートコレクトは、入力ミスの修正や記号の自動変換を行うWord標準機能です。
便利な面
- よくある誤字の自動修正:「teh」→「the」
- 記号の簡単入力:「(c)」→「©」
- 分数の自動変換:「1/2」→「½」
- 引用符の統一:「”」→「”」
問題となる面
- 意図しない変換:技術文書での記号変換
- 専門用語の変換:業界特有の表記
- プログラムコード:矢印記号の誤変換
その他の原因
矢印が表示される原因は、オートコレクト以外にもあります。
箇条書きの設定
- 箇条書きスタイル:矢印マークが設定されている
- 段落書式:特殊な記号が適用されている
- テンプレート:デフォルト設定に矢印が含まれている
フィールドコードの表示
- 自動更新フィールド:日付や相互参照
- 数式フィールド:計算式の表示
- ハイパーリンク:リンク情報の表示
フォントの問題
- 記号フォント:Wingdingsなどの特殊フォント
- 文字化け:エンコードの問題
- 互換性問題:異なるOfficeバージョン間
よくある矢印の自動変換パターン
基本的な矢印変換
Wordで自動変換される代表的なパターンを紹介します。
入力文字 | 変換結果 | 用途 |
---|---|---|
-> | → | 右向き矢印 |
<- | ← | 左向き矢印 |
<-> | ↔ | 双方向矢印 |
=> | ⇒ | 太い右向き矢印 |
<= | ⇐ | 太い左向き矢印 |
<=> | ⇔ | 太い双方向矢印 |
複合的な変換パターン
数学・論理記号
- -> を含む数式:関数の表記
- <= を含む不等式:比較演算子
- <=> を含む論理式:等価記号
プログラミング関連
- -> :ポインタ演算子(C言語など)
- => :ラムダ演算子(現代の言語)
- <- :代入演算子(R言語など)
矢印の自動変換を止める方法
方法①:オートコレクト設定の変更
最も根本的な解決方法です。
詳細な操作手順
- 「ファイル」タブをクリック
- 「オプション」を選択
- 左側メニューから「文章校正」をクリック
- 「オートコレクトのオプション」ボタンをクリック
- 「オートコレクト」タブを選択
- 不要な変換ルールを削除または修正
具体的な設定変更
個別の変換ルールを削除
- 一覧から「->」を探す
- 該当行を選択
- 「削除」ボタンをクリック
すべての自動変換を無効化
- 「入力中に自動修正する」のチェックを外す
- 「OK」をクリック
方法②:入力直後の取り消し
変換された直後に素早く対処する方法です。
操作手順
- 矢印に変換された直後に「Ctrl + Z」
- または「BackSpace」キーで一文字削除
- 元の文字列に戻る
タイミングのコツ
- 変換された瞬間に操作する
- 他の文字を入力する前に実行
- スペースキーを押す前が有効
方法③:代替入力方法
自動変換を避けて矢印を入力する方法です。
記号の直接挿入
- 「挿入」タブ→「記号と特殊文字」
- 「その他の記号」をクリック
- 矢印記号を直接選択
Unicode文字の使用
- Alt + 8594:→(右矢印)
- Alt + 8592:←(左矢印)
- Alt + 8596:↔(双方向矢印)
箇条書きの矢印を変更・削除する方法

箇条書きスタイルの変更
箇条書きで矢印が表示される場合の対処法です。
基本的な変更手順
- 矢印が表示されている段落を選択
- 「ホーム」タブの「段落」グループ
- 「箇条書き」ボタンの▼をクリック
- 「箇条書きと段落番号」を選択
- 「箇条書き」タブで別のスタイルを選択
箇条書きの完全解除
- 対象の段落を選択
- 「箇条書き」ボタンをクリック
- または「Ctrl + Shift + L」
- 箇条書き形式が解除される
カスタム箇条書きスタイル
独自の箇条書きスタイルを作成する方法です。
新しいスタイル作成
- 「箇条書きと段落番号」ダイアログを開く
- 「新しい行頭文字の定義」をクリック
- 好みの記号を選択
- 黒丸(●)
- 白丸(○)
- 四角(■)
- ハイフン(-)
- 「OK」で設定完了
フィールドコードによる矢印の対処
フィールドコードの確認
文書内にフィールドコードが表示されている場合の対処法です。
フィールドコード表示の切り替え
- 「Alt + F9」キーで表示/非表示を切り替え
- または「ファイル」→「オプション」→「詳細設定」
- 「フィールドコードを表示する」のチェックを確認
不要なフィールドの削除
- フィールド部分を選択
- 「Delete」キーで削除
- または「Ctrl + Shift + F9」でフィールドを解除
段落記号による矢印の対処
段落記号の表示/非表示
編集記号が矢印のように見える場合の対処法です。
編集記号の切り替え
- 「ホーム」タブの「段落」グループ
- 「編集記号の表示/非表示」ボタン(¶)をクリック
- 段落記号などが非表示になる
表示される編集記号の種類
- 段落記号:¶
- タブ記号:→
- スペース記号:・
- 改行記号:↓
特殊なケースの対処法
図形として挿入された矢印
図形ツールで作成された矢印オブジェクトの削除方法です。
図形矢印の削除
- 矢印をクリックして選択
- 選択ハンドルが表示されることを確認
- 「Delete」キーで削除
複数の図形矢印
- 「Ctrl」キーを押しながら複数選択
- すべて選択された状態で「Delete」
SmartArtの矢印
SmartArtグラフィックに含まれる矢印の場合です。
SmartArt内の要素編集
- SmartArtを選択
- 「SmartArtツール」→「デザイン」タブ
- レイアウトを変更または要素を削除
テキストボックス内の矢印
テキストボックス内での矢印に関する問題です。
テキストボックス個別設定
- テキストボックスを選択
- 右クリック→「図形の書式設定」
- テキスト設定でオートコレクトを確認
バージョン別の設定方法
Word 2019/2021/Microsoft 365
最新バージョンでの設定方法です。
新しいインターフェース
- **「ファイル」→「オプション」**の基本操作は同じ
- 「文章校正」→「オートコレクトのオプション」
- UI の見た目が若干異なる場合がある
Word 2016
やや古いバージョンでの注意点です。
設定場所の違い
- 基本的な流れは同じ
- 「校閲」タブからもアクセス可能
- 一部の機能制限がある場合
Word Online(Web版)
ブラウザ版での制限事項です。
利用可能な機能
- 基本的なオートコレクト設定は利用可能
- 詳細設定は制限される場合がある
- デスクトップ版での設定が推奨
予防策と効率的な設定

文書種別による設定の使い分け
技術文書・プログラミング関連
- オートコレクトを完全無効
- 等幅フォントの使用
- プレーンテキスト貼り付けの活用
一般的なビジネス文書
- 基本的なオートコレクトは有効
- 不要な変換ルールのみ削除
- 箇条書きスタイルの統一
学術論文・レポート
- 数式記号の自動変換に注意
- 引用符の統一設定
- 脚注・文末脚注との兼ね合い
テンプレートでの事前設定
カスタムテンプレート作成
- 理想的な設定で新規文書を作成
- オートコレクト設定を最適化
- 「名前を付けて保存」→「Wordテンプレート」
- 今後はこのテンプレートを使用
組織での設定統一
- 標準テンプレートの配布
- IT部門による一括設定
- ユーザー教育の実施
トラブルシューティング
設定変更が反映されない
原因の確認
- Word の再起動が必要な場合
- 文書固有の設定が優先されている
- アドインの干渉がある
解決方法
- Wordを完全に終了
- 再起動後に設定を確認
- 新規文書で動作テスト
一部の変換だけが残る
複数の機能の重複
- オートコレクトとオートフォーマット
- スマートタグ機能
- 入力ヘルパー機能
包括的な確認
- すべての自動機能を確認
- 「オートフォーマット」設定も確認
- 段階的に機能を無効化
他の自動変換への影響
バランスの取れた設定
- 便利な機能は残す
- 問題のある変換のみ削除
- 定期的な見直し
まとめ
Word文書で勝手に表示される矢印の問題は、原因を正しく理解すれば確実に解決できます。
主な原因と対策
- オートコレクト機能:設定でルールを削除または無効化
- 箇条書き設定:スタイルの変更または解除
- フィールドコード:表示設定の変更または削除
- 図形オブジェクト:選択して削除
効果的な対処のポイント
- 根本原因の特定:症状から原因を正確に判断
- 段階的な対処:影響範囲を考慮した設定変更
- 予防策の実施:テンプレート化や事前設定
作業効率化のために
- 文書種別に応じた設定:用途に最適化
- テンプレートの活用:毎回の設定作業を省略
- 組織での統一:チーム全体での設定標準化
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