Excel(エクセル)で作業時間や通話時間などを記録していると、「秒」を「分」に変換したい場面がよくあります。
しかし、ただ割り算をするだけではうまくいかないことも。
この記事では、秒を分に正確かつ簡単に変換する方法を、初心者にもわかりやすく解説します。
秒から分への変換が必要な場面

日常業務での活用例
時間管理での使用:
- 作業時間の記録と集計
- 通話時間の分析
- 会議時間の管理
- プロジェクトの工数計算
- 休憩時間の把握
製造・サービス業での活用:
- 製造工程の時間測定
- サービス提供時間の記録
- 機械の稼働時間計測
- 品質管理での時間分析
- 効率改善のためのデータ分析
スポーツ・健康管理:
- 運動時間の記録
- トレーニング時間の分析
- リハビリ時間の管理
- 競技記録の変換
- 健康データの可視化
データ形式の統一
なぜ変換が必要か:
- 報告書での統一表示
- グラフ作成時の見やすさ
- 他システムとの連携
- 時間集計の正確性
- データ分析の効率化
秒を分に変換する基本の考え方
秒と分の関係
基本的な計算: 1分は60秒なので、秒を分に変換するには「60で割る」ことが基本です。
計算例:
- 120秒 ÷ 60 = 2分
- 180秒 ÷ 60 = 3分
- 90秒 ÷ 60 = 1.5分
基本的な変換式
実例: セルA1に「120」と入力されているとき、以下の数式を別のセルに入力します。
=A1/60
結果: この式で「2」という結果が表示され、120秒が2分に変換されます。
より実用的な変換例
様々な秒数での変換:
秒数 | 計算式 | 結果(分) |
---|---|---|
60 | =60/60 | 1 |
150 | =150/60 | 2.5 |
300 | =300/60 | 5 |
480 | =480/60 | 8 |
小数点を切り捨て・切り上げる方法
小数の処理が必要な理由
実務での必要性: 作業時間の集計などでは、分単位を整数にそろえたいことがあります。そのときは「切り捨て」や「切り上げ」の関数が役立ちます。
切り捨てる場合(TRUNC関数)
基本的な使い方:
=TRUNC(A1/60)
結果例:
- 120秒 → 2分
- 125秒 → 2分(小数点以下を無視)
- 179秒 → 2分
- 240秒 → 4分
TRUNC関数の特徴:
- 小数点以下を完全に削除
- 負の数でも動作
- 最も保守的な計算方法
切り上げる場合(ROUNDUP関数)
基本的な使い方:
=ROUNDUP(A1/60, 0)
結果例:
- 120秒 → 2分
- 125秒 → 3分(少数があれば必ず1分上げ)
- 181秒 → 4分
- 240秒 → 4分
ROUNDUP関数の特徴:
- 少しでも超過があれば切り上げ
- 課金計算などで使用
- 安全マージンを考慮した計算
四捨五入する場合(ROUND関数)
バランスの取れた処理:
=ROUND(A1/60, 0)
結果例:
- 120秒 → 2分
- 150秒 → 3分(2.5を四捨五入)
- 149秒 → 2分
- 151秒 → 3分
切り捨て・切り上げの使い分け
用途別の選択基準:
切り捨て(TRUNC)が適している場面:
- 実働時間の記録
- 最低保証時間の計算
- 保守的な見積もり
切り上げ(ROUNDUP)が適している場面:
- 課金時間の計算
- 安全マージンを含む計画
- リソース確保の計算
四捨五入(ROUND)が適している場面:
- 平均的な時間計算
- 統計分析
- バランスの取れた評価
分と秒を組み合わせた表示方法

詳細な時間表示
目的: たとえば「125秒」を「2分5秒」と表示したい場合は、関数を組み合わせて使います。
基本的な分秒表示
実例:分と秒を別々に表示
=INT(A1/60)&"分"&MOD(A1,60)&"秒"
結果例:
- 125秒 → 「2分5秒」
- 183秒 → 「3分3秒」
- 90秒 → 「1分30秒」
- 245秒 → 「4分5秒」
関数の詳細解説
INT関数:
INT(A1/60)
:小数点以下を切り捨てて分を取得- 125÷60=2.083… → 2分
MOD関数:
MOD(A1,60)
:60で割った余りを取得(秒の部分)- 125÷60の余り = 5秒
より高度な表示形式
ゼロ埋めを含む表示:
=INT(A1/60)&"分"&TEXT(MOD(A1,60),"00")&"秒"
結果例:
- 125秒 → 「2分05秒」
- 183秒 → 「3分03秒」
- 90秒 → 「1分30秒」
条件付きの表示
分が0の場合は秒のみ表示:
=IF(A1>=60,INT(A1/60)&"分","")&MOD(A1,60)&"秒"
結果例:
- 45秒 → 「45秒」
- 125秒 → 「2分5秒」
- 30秒 → 「30秒」
時間形式での変換と注意点
Excelの時間形式の仕組み
時間形式の基本: Excelの時間は「1 = 24時間」として扱うため、時間計算には特別な配慮が必要です。
時間形式での変換:
- 1分 = 1/1440日
- 1秒 = 1/86400日
時間形式での秒から分への変換
正しい時間形式変換:
=A1/86400
セルの書式設定:
- セルを右クリック → 「セルの書式設定」
- 「時刻」カテゴリを選択
- 「mm:ss」形式を選択
結果例:
- 125秒 → 02:05と表示
- 183秒 → 03:03と表示
時間形式のメリットとデメリット
メリット:
- 時間の加算・減算が簡単
- グラフでの時系列表示
- 24時間を超える計算も可能
- Excelの時間関数との互換性
デメリット:
- 理解が複雑
- 単純な数値計算ができない
- 書式設定が必要
- 初心者には分かりにくい
実務での活用例と応用
作業時間集計システム
タイムシート分析:
作業者 開始時刻 終了時刻 作業秒数 作業分数
田中 09:00 10:30 5400 =B2/60
佐藤 13:15 14:45 5400 =B3/60
週間集計:
=SUM(E2:E8) // 週間合計分数
=SUM(E2:E8)/60 // 週間合計時間数
通話時間分析
コールセンターでの活用:
日付 通話回数 総通話秒数 平均通話分数
2025/7/19 45 8100 =C2/B2/60
2025/7/20 52 9300 =C3/B3/60
製造工程の時間分析
工程別時間管理:
工程名 標準秒数 実績秒数 差異(分)
組立 300 285 =(C2-B2)/60
検査 180 195 =(C3-B3)/60
高度な時間計算テクニック

複数の時間単位を同時に扱う
時分秒の完全表示:
=INT(A1/3600)&"時間"&INT(MOD(A1,3600)/60)&"分"&MOD(A1,60)&"秒"
結果例:
- 3725秒 → 「1時間2分5秒」
- 7323秒 → 「2時間2分3秒」
時間の差分計算
開始・終了時刻からの計算:
// 時刻の差を秒で取得
=(B2-A2)*86400
// 秒から分に変換
=((B2-A2)*86400)/60
累積時間の計算
累計作業時間:
// 日別累計
=SUM($C$2:C2)/60
// 月間累計
=SUMIF($A$2:$A$100,">="&DATE(2025,7,1),$C$2:$C$100)/60
エラー対応とトラブルシューティング
よくあるエラーと対処法
#DIV/0!エラー:
- 原因:ゼロ除算
- 対処:IF関数でチェック
=IF(A1=0,0,A1/60)
#VALUE!エラー:
- 原因:文字列データ
- 対処:VALUE関数で数値変換
=VALUE(A1)/60
負の値の処理:
=ABS(A1)/60 // 絶対値で処理
=IF(A1<0,"エラー",A1/60) // 負の値をエラー表示
データ品質の向上
入力データの検証:
// 妥当な秒数かチェック(0-86400秒/日)
=IF(AND(A1>=0,A1<=86400),A1/60,"範囲外")
異常値の検出:
// 平均の3倍を超える値を検出
=IF(A1/60>AVERAGE($A$2:$A$100)*3,"異常","正常")
自動化とマクロ活用
VBAでの時間変換
基本的な変換マクロ:
Sub ConvertSecondsToMinutes()
Dim cell As Range
For Each cell In Selection
If IsNumeric(cell.Value) Then
cell.Offset(0, 1).Value = cell.Value / 60
End If
Next cell
End Sub
高度な時間表示マクロ:
Function FormatSeconds(seconds As Double) As String
Dim hours As Integer, minutes As Integer, secs As Integer
hours = Int(seconds / 3600)
minutes = Int((seconds Mod 3600) / 60)
secs = seconds Mod 60
FormatSeconds = hours & "時間" & minutes & "分" & secs & "秒"
End Function
まとめ
Excelで秒を分に変換するには、「÷60」が基本です。さらに、切り捨てや切り上げ、または「分+秒」形式の表示を使い分ければ、より実用的になります。
基本的な変換方法:
- 基本変換:
=秒 ÷ 60
- 整数変換:
TRUNC
やROUNDUP
- 見やすい表示:
INT
とMOD
の組み合わせ - 時間形式:
/86400
と書式設定
効果的な活用のポイント:
- 用途に応じた関数の選択
- エラー処理の実装
- データ品質の確保
- 自動化による効率化
実務での価値:
- 正確な時間管理
- 効率的なデータ分析
- レポート作成の自動化
- 業務プロセスの可視化
応用テクニック:
- 複数時間単位の同時表示
- VBAマクロでの自動化
- 条件付き書式での視覚化
- 他システムとのデータ連携
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