「Wordの表の中の行間が広すぎて読みづらい」
「行と行の間が空きすぎて、ページが無駄に長くなる…」
このような悩みは、レポート・議事録・仕様書など、表を多用する書類でよくあります。
Wordでは表の行間も調整できますが、通常の段落とは少し異なる設定が必要です。
この記事では、Word表の行間を詰める具体的な方法と、美しく整えるコツを丁寧に解説します。
表の行間が広がる原因を理解する

表セル内の段落設定
基本的な仕組み: 表のセル内も「段落」として扱われるため、以下の設定が影響しています:
- 段落後の余白が大きい(初期設定では10pt)
- 行間が「1.15倍」などに設定されている
- セルの縦方向の配置が「中央揃え」になっている
- 文字サイズに対してセルの高さが大きすぎる
Word特有の初期設定
自動設定される内容:
- 新しい文書では段落後に10ptの間隔
- 行間が1.15倍で少し広め
- 表のセルは中央寄せが基本
- フォントサイズに応じた最小行高の自動設定
表レイアウトへの影響
見た目に現れる問題:
- 表が縦に長くなりすぎる
- 情報密度が低くなる
- 読みづらい印象を与える
- 印刷時のページ数増加
表の行間を詰める基本手順
ステップ1:表全体を正しく選択
選択方法:
- 表の左上にある「十字矢印」アイコンをクリック
- または表全体をドラッグして選択
- キーボードショートカット:
Alt + 5
(テンキーの5)
選択時の確認事項:
- 表全体が青くハイライトされている
- 表ツールタブが表示されている
- ステータスバーに選択セル数が表示
ステップ2:段落の設定を変更
詳細手順:
- 表を選択した状態で右クリック
- 「段落」を選択
- 段落の間隔設定:
- 「段落後」→ 0pt に変更
- 「段落前」→ 0pt に変更(必要に応じて)
- 行間の設定:
- 「行間」→ 固定値 または 1.0倍 を選択
- 固定値の場合:フォントサイズ+2pt程度(例:10ptフォントなら12pt)
- 「OK」で確定
ステップ3:結果の確認と微調整
確認ポイント:
- 行間が適切に詰まっているか
- 文字が上下で切れていないか
- 全体のバランスが取れているか
- 読みやすさが改善されているか
さらに行間を詰めたい場合の高度な調整
方法1:セル内の配置を「上揃え」に変更
手順:
- 表を選択
- 「レイアウト」タブ(表ツール)をクリック
- 「配置」グループ → 「上揃え」を選択
効果:
- 行の中央寄せをやめることで行間がより詰まる
- 文字がセルの上端に配置される
- 視覚的な統一感が向上
方法2:セルの上下余白を最小にする
詳細設定手順:
- 表を選択
- 右クリック → 「表のプロパティ」
- 「セル」タブ → 「オプション」をクリック
- セルの余白設定:
- 「上」→ 0mm に設定
- 「下」→ 0mm に設定
- 「左右」は必要に応じて調整(通常は1.9mm程度)
- 「OK」で確定
方法3:行の高さを直接指定
固定高さの設定:
- 調整したい行を選択
- 右クリック → 「表のプロパティ」
- 「行」タブ → 「高さを指定する」にチェック
- **「最小値」または「固定値」**を選択
- 適切な高さを入力(例:4mm~6mm)
方法4:表全体のスタイル調整
統一されたスタイル設定:
- 表を選択
- 「ホーム」タブ → 「スタイル」
- 「表の標準」スタイルを変更
- カスタムスタイルの作成と適用
特殊なケースでの対処法
複数行のセル内容への対応
改行を含むセルの調整:
- 手動改行(Shift + Enter)の使用を最小限に
- 自動改行を活用
- セル幅の調整で行数をコントロール
- 必要に応じて表を分割
異なるフォントサイズが混在する場合
混在フォントの対策:
- 各フォントサイズに応じた行間設定
- 「最低」高さ指定の活用
- セルごとの個別調整
- 統一フォントサイズの検討
画像やオブジェクトを含む表
混合コンテンツの処理:
- 画像の文字列の折り返し設定
- オブジェクトのサイズ調整
- セル内での配置方法の統一
- 代替テキストの活用
よくある問題と解決方法
改行による行間拡大
問題: 改行(Shift + Enter)を多用すると広がることがあります。
解決策:
- できるだけ1行で入力
- 自動改行を活用
- セル幅の調整で対応
- 表の構造見直し
スタイル設定の影響
問題: 「標準」スタイルが段落後に余白を持っていると、セル内にも反映されます。
解決策:
- 「ホーム」タブ → 「スタイル」
- 「標準」スタイルを右クリック → 「変更」
- 段落書式で間隔を0ptに設定
- 「このテンプレートを使用した新しい文書」にチェック(必要に応じて)
印刷時の表示差異
問題: 画面表示と印刷結果で行間が異なる場合があります。
解決策:
- 印刷プレビューでの事前確認
- プリンタードライバーの設定確認
- PDFでの中間確認
- 余白設定の見直し
表の種類別の最適化テクニック

データ表(数値中心)
最適化のポイント:
- 固定値での行間設定(12pt~14pt)
- 右揃えでの数値配置
- 罫線の活用で視認性向上
- ヘッダー行の強調
文章表(説明文中心)
調整のコツ:
- 1.0倍~1.1倍の行間設定
- 左揃えでの文章配置
- 適度なセル幅の確保
- 読みやすさ重視の調整
混合表(数値と文章)
バランス調整:
- セルの内容に応じた個別調整
- 統一感のある配置方法
- 重要情報の強調
- 階層構造の明確化
レスポンシブ設計への配慮
画面サイズ対応
表示デバイス別の最適化:
- PC表示での読みやすさ
- タブレット表示での調整
- 印刷時のレイアウト
- PDF変換時の品質
アクセシビリティの確保
誰にでも読みやすい表:
- 十分なコントラスト比
- 読み上げソフト対応
- 色に依存しない情報設計
- 適切なフォントサイズ
表の行間詰めの実践的な活用例
ビジネス報告書の密度向上
効果と方法:
- 行間を詰めることでA4用紙1枚に多くの情報を収納
- 読み手の負担軽減
- プロフェッショナルな印象
- 印刷コストの削減
具体的な設定例:
報告書テーブル設定:
- 行間: 固定値 12pt
- 段落後: 0pt
- セル余白: 上下 0mm, 左右 1.9mm
- 配置: 上揃え
履歴書・職務経歴書の体裁調整
見栄えの改善:
- セル内の文章が中央に寄りすぎる問題を解決
- 適切な情報密度での表現
- 読みやすさと簡潔性の両立
- 標準的なビジネス文書としての品質
技術仕様書での情報整理
技術文書での活用:
- 詳細な仕様情報の効率的な配置
- コードやパラメータの見やすい表示
- 階層構造の明確な表現
- レビュー時の利便性向上
議事録での要点整理
会議記録の効率化:
- 発言内容の簡潔な記録
- 決定事項の明確な表示
- アクション項目の整理
- 後日の参照利便性
高度なカスタマイズ

マクロでの自動調整
効率化のためのマクロ例:
Sub OptimizeTableSpacing()
Dim tbl As Table
For Each tbl In ActiveDocument.Tables
tbl.Range.ParagraphFormat.SpaceAfter = 0
tbl.Range.ParagraphFormat.LineSpacing = 12
tbl.Range.Cells.VerticalAlignment = wdCellAlignVerticalTop
Next tbl
End Sub
スタイルセットでの統一
文書全体での一貫性:
- カスタムスタイルセットの作成
- 表スタイルの統一
- テンプレート化での効率化
- 組織標準の策定
条件付き書式での動的調整
内容に応じた自動調整:
- セル内容の長さに応じた行高調整
- 重要度に応じた強調表示
- データ種別での自動書式適用
- エラー値の自動検出と対処
まとめ
Wordの表でも、段落の設定 + セルの配置・余白調整を組み合わせることで、行間をしっかり詰められます。
基本的な調整方法:
- 段落後の間隔: 0ptに設定
- 行間: 固定値またはIns倍で調整
- セルの配置: 上揃えに変更
- セル余白: 上下を0mmに設定
効果的な活用のポイント:
- 表の種類に応じた最適化
- 読みやすさと情報密度のバランス
- 印刷時の見栄えも考慮
- スタイル設定での統一感
実務での価値:
- プロフェッショナルな文書品質
- 情報の効率的な伝達
- 印刷コストの削減
- 読み手への配慮
応用テクニック:
- マクロでの自動化
- スタイルセットでの統一
- アクセシビリティへの配慮
- レスポンシブ設計の実装
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