「URLを貼り付けたら勝手に青い文字になってしまった」「目次をクリックしても飛ばないようにしたい」「印刷用の文書なのでリンクが不要」
このような場面で困った経験はありませんか?Wordは便利な機能として自動的にリンクを作成しますが、時にはこれが邪魔になることもあります。
この記事では、Wordで設定されたリンクを確実に解除する方法を、リンクの種類別に詳しく解説します。一つずつの解除から一括処理まで、状況に応じて使い分けられるテクニックをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
Wordのリンク機能とは?解除が必要になる理由

まず、Wordでリンクがどのように機能し、なぜ解除が必要になるのかを理解しましょう。
Wordで作成されるリンクの種類
Wordには主に3つのタイプのリンクがあります:
ハイパーリンク
特徴
- URLやメールアドレスを入力すると自動作成
- 青い文字色と下線で表示
- クリックするとWebサイトやメールソフトが起動
作成される場面
- http://やhttps://で始まるURLを入力
- メールアドレスを入力
- 手動でハイパーリンクを設定
目次・相互参照リンク
特徴
- 文書内の他の部分へのリンク
- 目次から該当ページへのジャンプ
- 図表番号や脚注への参照
作成される場面
- 自動目次の作成
- 相互参照の挿入
- 脚注・図表番号の設定
フィールドリンク
特徴
- Wordが自動生成する動的な要素
- 更新により内容が変わる可能性
- 背景がグレーで表示されることがある
作成される場面
- 日付や時刻の自動挿入
- ページ番号
- 差し込み印刷のフィールド
リンク解除が必要になる場面
印刷・配布用文書
固定された情報が必要
- 印刷物ではクリック機能が不要
- 配布先でのリンク切れを防止
- 文書の自己完結性を保つ
文書の外観統一
見た目の一貫性
- 青い文字色が文書デザインに合わない
- 下線が読みにくさの原因になる
- 統一されたフォント色にしたい
セキュリティ上の配慮
情報保護
- 外部サイトへの意図しないアクセス防止
- 企業内文書での外部リンク制限
- 機密情報の漏洩リスク軽減
ハイパーリンクの解除方法
最も一般的なURLやメールアドレスのリンクを解除する方法です。
方法1:右クリックメニューから解除(推奨)
操作手順
- リンクを選択 解除したいハイパーリンクの上にマウスカーソルを置きます
- 右クリックでメニューを表示 リンク部分で右クリックしてコンテキストメニューを開きます
- ハイパーリンクの削除を選択 「ハイパーリンクの削除」または「リンクの削除」をクリックします
この方法のメリット
確実性
- 最も確実で安全な解除方法
- 他の書式に影響しない
- 操作が分かりやすい
個別対応
- 必要なリンクは残して、不要なもののみ解除
- 選択的な操作が可能
方法2:ショートカットキーで解除
基本的なショートカット
Ctrl + Shift + F9
- リンクを選択してから実行
- フィールド系のリンクにも有効
- 一括解除にも使用可能
操作手順
- リンクを選択 解除したいリンクをクリックして選択します
- ショートカットキーを実行 Ctrl + Shift + F9 を同時に押します
- 結果を確認 リンクが解除され、通常の文字として表示されることを確認します
方法3:文字色と下線の手動変更
見た目のみ変更したい場合
リンク機能は残したいが、見た目だけ変更したい場合の方法です:
- リンクを選択 対象のハイパーリンクを選択します
- フォント色を変更 「ホーム」タブ→「フォントの色」で黒色に変更
- 下線を削除 「ホーム」タブ→「下線」ボタンで下線を削除
注意点
この方法ではリンク機能自体は残るため、Ctrlキーを押しながらクリックするとリンク先に移動してしまいます。
目次・フィールドリンクの解除方法
目次や自動生成されたフィールドのリンクを解除する方法です。
フィールドとは何か
フィールドの特徴
動的コンテンツ Wordが自動的に生成・更新する内容です。
更新機能 F9キーやフィールドの更新により、最新の情報に自動更新されます。
背景表示 フィールドを選択すると、薄いグレーの背景が表示されることがあります。
主なフィールドの種類
目次フィールド
- 見出しスタイルに基づいて自動生成
- ページ番号も自動更新
- クリックで該当ページにジャンプ
日付・時刻フィールド
- 現在の日付や時刻を自動表示
- 文書を開くたびに更新される場合がある
ページ番号フィールド
- 各ページの番号を自動表示
- ページの追加・削除で自動調整
フィールド解除の具体的手順
個別フィールドの解除
- フィールドを選択 解除したいフィールド(目次項目など)をクリックして選択します
- ショートカットキーを実行 Ctrl + Shift + F9 を押してフィールドを解除します
- 固定テキストに変換 フィールドが固定のテキストに変換され、自動更新されなくなります
文書全体のフィールド一括解除
- 文書全体を選択 Ctrl + A で文書全体を選択します
- 一括フィールド解除 Ctrl + Shift + F9 でAll フィールドを一括解除します
- 結果の確認 目次、ページ番号、日付などがすべて固定テキストになります
フィールド解除時の注意点
解除後の影響
自動更新の停止
- 一度解除したフィールドは二度と自動更新されません
- 内容変更時は手動で修正が必要
復元の困難性
- フィールド解除は基本的に元に戻せません
- 必要に応じて事前にバックアップを作成
推奨されるタイミング
文書完成時
- 文書の内容が確定してから実行
- 配布・印刷直前の最終処理として
バックアップ後
- 元のファイルを別名で保存
- 解除専用のコピーファイルで作業
複数リンクの一括解除方法
大量のリンクを効率的に解除する方法をご紹介します。
文書全体の一括解除
全選択での一括処理
- 文書全体を選択 Ctrl + A で文書のすべての内容を選択します
- 一括リンク解除 Ctrl + Shift + F9 ですべてのリンクとフィールドを解除します
- 結果の確認 文書内のすべてのリンクが解除されていることを確認します
範囲指定での一括解除
特定の範囲のみ解除
- 範囲を選択 解除したい範囲をドラッグして選択します
- 選択範囲のリンク解除 Ctrl + Shift + F9 で選択範囲内のリンクのみ解除します
検索・置換機能の活用
ハイパーリンクの一括検索
- 検索・置換画面を開く Ctrl + H で検索・置換ダイアログを開きます
- 詳細オプションを表示 「詳細」ボタンをクリックして詳細オプションを表示します
- 書式指定で検索 「書式」→「文字」→「フォント効果」でハイパーリンクを指定
- 一括置換実行 すべてのハイパーリンクを通常の文字に置換します
自動リンク作成の防止設定

リンクが自動作成されないよう事前に設定する方法です。
オートコレクト設定の変更
ハイパーリンク自動作成の無効化
- Wordオプションを開く 「ファイル」→「オプション」をクリックします
- 文章校正を選択 左側のメニューから「文章校正」を選択します
- オートコレクトのオプション 「オートコレクトのオプション」ボタンをクリックします
- 入力オートフォーマットタブ 「入力オートフォーマット」タブを選択します
- ハイパーリンク設定を無効化 「インターネットとネットワークのアドレスをハイパーリンクに変更する」のチェックを外します
この設定による効果
URL入力時
- URLを入力しても自動的にリンクにならない
- 通常の文字として扱われる
- 必要に応じて手動でリンク設定が可能
メールアドレス入力時
- メールアドレスも自動リンク化されない
- 文字色や下線の自動変更も発生しない
その他の自動フォーマット設定
調整可能な項目
自動箇条書き
- ハイフンや数字での自動箇条書き化
- 「-」「1.」などの自動変換
自動罫線
- 連続するハイフンの罫線変換
- 「—」の自動罫線化
引用符の自動変換
- ストレート引用符のカーリー引用符への変換
- 「”」「’」の自動変更
よくあるトラブルと解決方法
リンク解除でよく遭遇する問題と対処法をご紹介します。
トラブル1:解除後も青い文字のまま
原因分析
書式の残存 リンク機能は解除されたが、文字色や下線の書式が残っている状態です。
解決方法
書式のクリア
- 該当文字を選択
- 「ホーム」タブ→「書式のクリア」(消しゴムアイコン)をクリック
- すべての書式がリセットされ、標準の文字色になります
個別書式の調整
- 文字を選択
- フォント色を「自動」または「黒」に変更
- 下線ボタンをクリックして下線を削除
トラブル2:目次のリンクが一部残る
原因分析
部分的な選択 目次全体ではなく、一部分のみを選択してフィールド解除を実行した場合に発生します。
解決方法
目次全体の再選択
- 目次の先頭から末尾まで確実に選択
- Ctrl + Shift + F9 で完全にフィールド解除
- 必要に応じて目次を削除して手動作成
トラブル3:フィールド解除後の更新エラー
原因分析
関連フィールドの存在 解除したフィールドと関連する他のフィールドが残っている場合があります。
解決方法
関連フィールドの確認
- Alt + F9 でフィールドコードを表示
- 残っているフィールドを確認
- 必要に応じて個別に解除または調整
トラブル4:一括解除で必要なリンクも消失
予防策
段階的な解除
- 重要なリンクの位置を事前にメモ
- 範囲指定で段階的に解除
- 必要なリンクは手動で再設定
バックアップの活用
- 作業前に必ずファイルをコピー
- 元ファイルは保存しておく
- 失敗時は元ファイルから再開
高度なリンク管理テクニック
条件付きリンク解除
スタイル別の解除
特定のスタイルのみ解除
- 「ホーム」→「編集」→「選択」→「類似した書式の文字列を選択」
- 特定の書式のリンクのみを一括選択
- 選択されたリンクのみを解除
マクロを使った自動化
繰り返し作業の自動化
リンク解除マクロの作成
Sub RemoveAllHyperlinks()
Dim hlink As Hyperlink
For Each hlink In ActiveDocument.Hyperlinks
hlink.Delete
Next hlink
End Sub
マクロの活用場面
定期的な処理
- 月次レポートでの定型処理
- テンプレートの清掃作業
- 大量文書の一括処理
文書テンプレートでの設定
リンク無効化テンプレート
事前設定済みテンプレート
- オートコレクト設定を無効化
- 標準スタイルをカスタマイズ
- 新規文書作成時に自動適用
印刷・配布時の最終チェック

印刷前の確認項目
リンク関連のチェックポイント
視覚的確認
- 青い文字や下線の残存がないか
- 文字色の統一性
- フォント書式の一貫性
機能的確認
- Ctrlクリックでリンクが動作しないか
- フィールドの自動更新が停止しているか
- 目次のクリック動作が無効化されているか
PDF変換時の注意点
リンク情報の引き継ぎ
PDF変換設定
- ハイパーリンクを含めるかの選択
- ブックマーク作成の有無
- アクセシビリティ設定
変換後の確認
- PDFでのリンク動作確認
- 印刷時の見た目チェック
- ファイルサイズの確認
まとめ
Wordのリンク解除は、文書の目的と配布方法に応じて適切に行うことが重要です。一度理解すれば、効率的で確実な処理が可能になります。
この記事のポイント
- ハイパーリンクは右クリックメニューまたはCtrl+Shift+F9で解除
- フィールドリンクはCtrl+Shift+F9で固定テキストに変換
- オートコレクト設定で自動リンク作成を予防可能
- 一括解除時は事前のバックアップが重要
効果的なリンク管理のコツ
- 作業前の文書バックアップ
- 段階的な解除で重要なリンクを保護
- 最終配布前の全体確認
- 目的に応じた解除方法の選択
トラブル回避のポイント
- 解除後の書式確認を怠らない
- フィールド解除のタイミングに注意
- 必要なリンクの事前記録
- 印刷・PDF変換前の最終チェック
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