「何時間もかけて作った資料を、うっかり保存せずに閉じてしまった」「重要な文書が消えてしまって真っ青になっている」
このような経験をしたことはありませんか?実は、こうした状況は多くの人が経験する問題です。でも安心してください。Microsoft Wordには、このような万が一の事態に備えた復元機能がいくつも用意されています。
この記事では、保存せずに終了してしまった文書を復元する方法を、成功確率の高い順番で詳しく解説します。慌てずに順番に試していけば、大切なデータを取り戻せる可能性が高いですよ。
文書が消えてしまう原因と復元の可能性

まず、なぜ文書が消えてしまうのか、そして復元できる可能性がどれくらいあるのかを理解しましょう。
よくある消失パターン
うっかり保存し忘れ
- 作業終了時に「保存しますか?」で「いいえ」を選択
- 間違って「×」ボタンでウィンドウを閉じる
- パソコンの突然のシャットダウン
操作ミス
- 新規文書として作業していたのに保存場所を指定し忘れ
- 既存ファイルを開いたつもりが新規文書だった
- 編集中に誤って文書を閉じてしまった
システムトラブル
- 停電やパソコンの強制終了
- Wordの予期しない終了
- システムクラッシュ
復元成功の可能性
高い確率で復元可能
- 作業時間が長かった文書(30分以上)
- 自動保存機能が有効になっている
- Microsoft 365やOffice 2019以降を使用
復元が難しい場合
- 作業時間が非常に短い(数分程度)
- 自動保存機能が無効になっている
- 古いバージョンのWordを使用
方法1:自動回復機能を使った復元(最も確実)
最初に試すべき方法です。成功確率が最も高く、操作も簡単です。
自動回復機能とは
Wordは作業中の文書を定期的に自動保存しており、予期しない終了があった場合に文書を復元する機能を持っています。初期設定では10分間隔で自動保存されます。
即座に試すべき手順
パターン1:Word起動時の自動復元
- Wordを通常通り起動 パソコンを再起動した後、Wordを開きます
- 復元パネルを確認 Wordが自動的に「文書の回復」パネルを表示することがあります
- 該当ファイルを選択 復元されたファイル一覧から、目的の文書をクリックします
- 内容を確認 文書が開いたら、内容が正しいか確認します
- すぐに保存 「名前を付けて保存」で正式に保存します
パターン2:手動で回復文書を探す
自動復元パネルが表示されない場合は、手動で探します:
- ファイルメニューを開く Wordの「ファイル」をクリックします
- 情報タブを確認 左側のメニューから「情報」を選択します
- 文書の管理を探す 「文書の管理」という項目を見つけます
- 保存されていない文書の回復 「保存されていない文書の回復」をクリックします
- ファイル一覧から選択 表示されたファイル一覧から、該当する文書を選びます
回復ファイルの見分け方
ファイル名の特徴
- 「自動回復済み~」という文字が含まれる
- 元のファイル名の一部が含まれる
- 作成日時が作業していた時間に近い
内容の確認ポイント
- 最後に作業した内容が含まれているか
- どの時点までの作業が保存されているか
- 複数のファイルがある場合は、最も新しい日時のもの
方法2:一時ファイル(.asd)を手動で探す
自動回復機能で見つからない場合は、Windowsシステム内に保存された一時ファイルを探します。
一時ファイルの保存場所
Wordの一時ファイルは以下の場所に保存されています:
Windows 10/11の場合
標準的な保存場所
C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Local\Microsoft\Office\UnsavedFiles
代替保存場所
C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Roaming\Microsoft\Word
詳細な探し方
- エクスプローラーを開く WindowsキーとEキーを同時に押すか、タスクバーのフォルダアイコンをクリック
- アドレスバーにパスを入力 上部のアドレスバーに以下をコピー&ペースト:
%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Office\UnsavedFiles
- Enterキーを押す 該当フォルダが開きます
- 隠しファイルを表示 ファイルが見つからない場合:
- 「表示」タブをクリック
- 「隠しファイル」にチェックを入れる
- .asdファイルを探す 拡張子が「.asd」のファイルを探します
.asdファイルの開き方
方法1:Wordから直接開く
- Wordを起動 新しいWordウィンドウを開きます
- ファイルメニューを開く 「ファイル」→「開く」をクリック
- 参照を選択 「参照」ボタンをクリック
- ファイルの種類を変更 右下の「ファイルの種類」で「すべてのファイル」を選択
- .asdファイルを選択 見つけた.asdファイルを選んで「開く」をクリック
方法2:ファイルから直接開く
- .asdファイルをダブルクリック エクスプローラーで.asdファイルをダブルクリック
- Wordで開くを選択 「プログラムを選択してください」が表示されたら、Wordを選択
- 内容を確認 文書が開いたら内容を確認し、すぐに保存
方法3:バックアップファイル(.wbk)を探す
Wordのバックアップ機能が有効になっている場合、バックアップファイルから復元できます。
バックアップ機能の確認
まず、バックアップ機能が有効になっているかを確認します:
- Wordのオプションを開く 「ファイル」→「オプション」をクリック
- 詳細設定を選択 左側のメニューから「詳細設定」を選択
- 保存セクションを確認 下にスクロールして「保存」セクションを見つける
- バックアップファイルの設定確認 「バックアップファイルを作成する」にチェックが入っているか確認
バックアップファイルの探し方
保存場所
バックアップファイルは通常、元のファイルと同じフォルダに保存されます:
ファイル名の特徴
- 「Backup of [元のファイル名].wbk」
- 拡張子は「.wbk」
探す場所
- 最後に保存したフォルダ
- デスクトップ
- ドキュメントフォルダ
開く方法
- .wbkファイルを見つける エクスプローラーで該当フォルダを確認
- ファイルを開く .wbkファイルをダブルクリックするか、Wordから「開く」で選択
- 内容を確認して保存 復元された内容を確認し、すぐに「名前を付けて保存」
方法4:Windowsの一時フォルダを検索

上記の方法で見つからない場合は、Windows全体の一時フォルダを検索します。
検索する場所
Tempフォルダ
C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Local\Temp
Windows Tempフォルダ
C:\Windows\Temp
検索方法
- エクスプローラーで検索
- 該当フォルダを開く
- 右上の検索ボックスに「.asd」または「.tmp」と入力
- 作業していた日付でフィルタリング
- ファイル名で検索
- 「~」で始まるファイル名を探す
- 「Document」や「Word」を含むファイル名
- 作業していた時間帯のファイル
今後の予防策:自動保存設定の最適化
文書の消失を防ぐための設定方法をご紹介します。
自動保存間隔の短縮
設定方法
- Wordオプションを開く 「ファイル」→「オプション」をクリック
- 保存を選択 左側メニューから「保存」を選択
- 自動回復間隔を変更 「次の間隔で自動回復用データを保存する」の数値を変更
- 推奨:1〜3分
- 初期設定:10分
- 設定を保存 「OK」をクリックして設定を保存
自動保存機能の有効化(Microsoft 365)
Microsoft 365を使用している場合:
- OneDriveに保存 文書をOneDriveに保存すると自動保存が有効になります
- 自動保存の確認 画面左上に「自動保存」のトグルボタンが表示されます
- リアルタイム保存 変更が即座にクラウドに保存されます
バックアップ機能の有効化
- 詳細設定を開く 「ファイル」→「オプション」→「詳細設定」
- バックアップを有効化 「バックアップファイルを作成する」にチェック
- 保存場所の確認 バックアップファイルの保存場所を確認・変更
よくある質問と対処法
復元に関する質問
Q:復元したファイルが古い内容しか含まれていません A:自動保存の間隔によって、最新の変更が含まれていない場合があります。複数の回復ファイルがないか確認し、最も新しい日時のファイルを選択してください。
Q:「保存されていない文書の回復」に何も表示されません A:以下を確認してください:
- 作業時間が短すぎなかったか(10分未満)
- 自動回復機能が有効になっているか
- 手動で一時ファイルフォルダを確認
設定に関する質問
Q:自動保存の間隔を短くするとパソコンが重くなりますか? A:現代のパソコンであれば、1分間隔でも大きな影響はありません。ただし、非常に大きなファイル(100MB以上)を扱う場合は3〜5分程度が適切です。
Q:会社のパソコンで設定変更ができません A:管理者権限が制限されている可能性があります。IT部門に相談するか、個人用のOneDriveアカウントを使用して自動保存機能を活用してください。
トラブルシューティング
Q:復元されたファイルが開けません A:ファイルが破損している可能性があります:
- Wordの「開く」メニューから「開いて修復」を試す
- 他の回復ファイルがないか確認
- メモ帳などでファイルを開いてテキスト部分だけでも回収
Q:復元後にまた消えてしまいました A:回復ファイルは一時的なものです。復元後は必ず「名前を付けて保存」で正式に保存してください。
緊急時の心構えと対処法
冷静な対応が重要
焦らずに段階的に対処
- まずはWordを再起動してみる
- 自動回復機能を確認
- 手動でファイルを探す
- 予防策を設定する
時間が経つほど復元が困難 発見した回復ファイルはできるだけ早く開いて保存してください。時間が経つと自動的に削除される場合があります。
データ回復ソフトウェアの活用
上記のすべての方法で復元できない場合:
専用ソフトウェア
- Recuva
- PhotoRec
- R-Studio
注意点
- 新たなデータ書き込みを避けるため、すぐに使用を停止
- 復元率は時間と共に低下
- 重要なデータの場合は専門業者への相談も検討
まとめ
Wordで「保存せずに終了」してしまった文書の復元は、適切な手順を踏めば高い確率で成功します。
この記事のポイント
- 自動回復機能が最も確実な復元方法
- 一時ファイル(.asd)の手動検索も有効
- バックアップファイル(.wbk)も要確認
- 今後の予防策設定が重要
復元の優先順位
- Wordの自動回復機能を確認
- 手動で.asdファイルを探す
- バックアップファイル(.wbk)を確認
- Windows一時フォルダを検索
予防策のポイント
- 自動保存間隔を1〜3分に短縮
- Microsoft 365ではOneDrive自動保存を活用
- バックアップファイル作成を有効化
- 定期的な手動保存の習慣化
緊急時の心構え
- 慌てずに段階的に対処
- 発見したファイルはすぐに保存
- 復元できない場合も代替手段を検討
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